2025年9月11日木曜日

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界二階級制覇王者。世界王座戦のグレン・ドネア戦、ホセ・ビクトル・ブルゴス戦を紹介します。


ビック・ダルチニアン(アルメニア)

身長166cm:サウスポー


①ビック・ダルチニアン 6R 負傷判定 グレン・ドネア

(IBF世界フライ級タイトル戦、2006年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:右ショートでドネアがダウン

(感想:ダルチニアンがタイトル防衛。これまで26連勝(21KO)のダルチニアン。IBF王座の五度目の防衛戦。挑戦者ドネアはあのノニト・ドネアの兄。フィリピンのヘネラル・サントス出身。2000年のシドニー・オリンピックを目指したが、ブライアン・ビロリアに敗れて出場ならず。アメリカでプロデビュー。連勝だったが、判定負けを喫してフィリピンに帰国。WBOアジア王座(フライ級)を獲得後、アメリカに乗り込んだがZ・ゴレスに1RでTKO負け。NABA、NABO王座(フライ級)を同時に獲得した次の試合でダルチニアンに挑戦。16勝(9KO)2敗1分、IBF15位。ランクは低いが、あのノニトの兄。パワーで勝負。ラスベガス「Mandalay Bay Resort & Casino」での一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはトニー・ウィークス)。右を使いながら左パンチのダルチニアン。ドネアは接近して右ストレート、フックを出すがパワーを込めすぎで、手数が少な目。共にパワーがあり、フライ級とは思えない緊張感。しかし、ダルチニアン がワンツー、左フックを当てて優勢。4R、斜め下からの大きな左フック後の右ショートでドネアがダウン。その後も右のリードブロー&左パンチでダルチニアン。6R、突然相手に背を向けるドネア。口の中を負傷したらしく、ドクターチェック。試合ストップ。「TKO」と思われたが、負傷判定(3-0)でダルチニアン。残念だったドネア。狙いすぎでせっかくのパワーを活かせない戦い方。共にパワーファイターだが、ダルチニアンがリードパンチを使いながら得意の左強打を当てていったのとは対照的だった。その後のドネア。ブランク。カムバックしてウリセス・ソリスのIBF世界ライトフライ級王座に挑戦して3-0の敗北。世界王者にはなれなかった。)


②ビック・ダルチニアン 12R TKO ホセ・ビクトル・ブルゴス

(IBF世界フライ級タイトル戦、2007年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左ボディでブルゴスがダウン

(感想:ダルチニアンがタイトル防衛。六度目の防衛戦。IBF3位の挑戦者ブルゴスはメキシコ・コパラ出身で、これまで39勝(23KO)14敗3分。身長は156cmで小柄。デビューから連敗。経験を積んでメキシコのローカル王座(フライ級)、メキシコ王座(ライトフライ級)獲得。WBO世界ミニマム級王座に挑戦して3-0の敗北。決定戦でIBF世界ライトフライ級王座獲得。防衛にも成功。ウィル・グリッグスビーに3-0で王座陥落。そこから試合間隔が長くなったが、ダルチニアンに挑戦するチャンス。カリフォルニア州カーソンでの一戦。軽快なフットワークのブルゴス。しかし、パンチは速いが軽めで、フックは大振り。攻撃の正確さに欠ける印象。攻めるダルチニアンも大振りパンチで、大味な試合ぶり。2R、左ボディでブルゴスが片ヒザを着くダウン。その後、ブルゴスはサウスポーにこまめにスイッチしたり、クリンチしたりでしぶとく応戦。7R、滑ってバランスを崩したダルチニアンが連打されてちょっとしたピンチ。その後もパワーでダルチニアンが押す。12R、ブルゴスが攻められたところでレフェリーストップ。思ったよりダメージ深く、ブルゴスは担架で運ばれていった。ダルチニアンが雑な攻めで勝利。ブルゴスはパワー不足(これが最後の試合に)。「勝負」という点では物足りない試合だった。その後のダルチニアン。ブルゴス戦の次の防衛戦でノニト・ドネアに豪快にKOされて王座陥落。ディミトリー・キリロフをKOしてIBF世界スーパフライ級王座奪取、二階級制覇(2008年)。WBA・WBC王者クリスチャン・ミハレスをKOして王座統一。ホルヘ・アルセに勝利で王座防衛。IBF世界バンタム級王座挑戦は判定負けで三階級制覇ならず。アンセルモ・モレノ、山中慎介の世界バンタム級王座への挑戦も失敗。WBA世界フェザー級王座も獲得ならず。パワーはあったが、粗さがあった。)

 

2025年9月10日水曜日

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界二階級制覇王者。世界王者になる前の試合&世界戦。ワンディー・シンワンチャー戦、ディオスダード・ガビ戦ほかを紹介します。


ビック・ダルチニアン(アルメニア)

身長166cm:サウスポー


①ビック・ダルチニアン 3R TKO ラン・ソンプラコン

(IBFパンパシフィック・フライ級タイトル戦、2002年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:連打でランがスタンディングダウン

(感想:ダルチニアンがタイトル初防衛。デビューから連勝のダルチニアン(26歳)が防衛戦。挑戦者ランはタイ人(タイ人との対戦が目立つダルチニアン。楽に勝てる相手ばかりでなければよいが)。イーグル・デン・ジュンラパン(後のWBC世界ミニマム級王者)に判定負けするなど多くの敗北。タイ王座(フライ級)を獲得したが、日本やインドネシアで連敗中。オーストラリア・ローズヒルでの一戦(ダルチニアンのセコンドにあのジェフ・フェネック)。ランは慎重な男。ブロックしながら左フック、右ストレート。ダルチニアンは右ジャブを使いながら相手のガードを崩そうと左ストレート、フックを打ち込み、時には連打。3R、連打を浴びたランがスタンディングカウント。ドクターが介入して試合終了。ダルチニアンが勢いで勝利。ランは特に弱い選手ではなく、鍛えた感じの身体。攻めの姿勢に欠けていたのが惜しい。その後、ランはタイ王座戦で勝利できたが、日本で連敗、PABAフライ級王座戦でKO負けするなどサッパリ。積極さに欠けているのが原因か?)


②ビック・ダルチニアン 4R TKO ワンディー・シンワンチャー

(IBFパンパシフィック・フライ級タイトル戦、2003年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:左ストレート、左ボディ、左ボディで3度、ワンディーがダウン

(感想:ダルチニアンがタイトル防衛。挑戦者ワンディーはタイ・ウドーンターニー出身で、これまで39勝(9KO)5敗。日本でロッキー・リンを破ってWBC世界ストロー級暫定王座を獲得したが、王座陥落後は階級アップ。直前の試合はWBFスーパーフライ級王座への挑戦で、3-0の敗北。オーストラリア・シドニーでの一戦。やはり体格差が。トリッキーな動きをしながらダルチニアンが右ジャブ、左ストレートでプレッシャーを掛け、モーション大きめの左フック(いわゆるテレフォンパンチ)。相手の圧力に押されるワンディーは右パンチで反撃するが、単発に終わる。4R、ワンディーが三度ダウンしてレフェリーストップ。ダルチニアンが楽勝。対戦相手がいないのだろうが、勝てる相手とばかりやっても仕方がない。その後のワンディー。再起戦はダルチニアンとのIBF世界フライ級王座挑戦者決定戦で、KO負け。階級を下げて成功。WBC世界ライトフライ級暫定王座を決定戦で獲得(2006年)。王座陥落後はまた階級を上げて勝ったり負けたりになったが、2013年までリングに上がった。) 


③ビック・ダルチニアン 8R TKO ディオスダード・ガビ

(IBF世界フライ級タイトル戦、2006年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:左ストレートでガビがダウン

(感想:ダルチニアンがタイトル防衛。全勝のままイレーネ・パチェコをTKOしてIBF王者になったダルチニアン。30歳で、これまで24連勝(19KO)。ガビ戦は三度目の防衛戦(ダルチニアンはIBO王者でもある)。挑戦者ガビ(26歳)はフィリピン・ダバオ出身のサウスポーで26勝(19KO)2敗1分。ニックネームは「プリンス」(ナジーム・ハメドと同じ。かなり期待されているのだろう)。アマチュアの大会で優勝経験。プロでは連勝後、サムソン・ダッチボーイジムに判定負けでWBFスーパーフライ級王座奪取ならず、初黒星(初の海外試合(タイ)だった)。WBCアジア王座(スーパーフライ級)も獲得ならず(タイでの試合)。地元では強く、WBCインター王座(フライ級)獲得。直前の試合はアメリカで、負傷判定勝ち。カリフォルニア州サンタ・イネスでの一戦(ダルチニアンのセコンドにジェフ・フェネック。ガビには元ライト級のフレディ・ローチが付く)。共にサウスポー。右ジャブ、左ストレート、右フック、互いにディフェンス。ガビは速いパンチで手数。ダルチニアンは例によって左パンチにゴツいパワー。パンチ力でややダルチニアンが有利。しかし、ガビの左ストレート、右フックにも力強さ。8R、それまでのラウンドと同じような一進一退の中、ダルチニアンの強烈な左ストレート。一発で倒れたガビは立ったが、かなりのダメージ。レフェリーは試合を止めた。ダルチニアンがパワーで勝利。隙を突く、良いパンチだった。ガビは悪い選手ではないが、ダルチニアンのガードを突破するほどの攻めが少な目だった印象。その後のガビ。再起後は階級アップ。連勝だったが、NABOバンタム級王座戦でTKO負け。それが最後の試合となった。)

 

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界二階級制覇王者。世界王者になる前のウィン・ネイションマン戦、パノムデット戦ほかを紹介します。


ビック・ダルチニアン(アルメニア)

身長166cm:サウスポー


①ビック・ダルチニアン 3R TKO ウィン・ネイションマン

(スーパーフライ級戦、2002年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ストレートでウィンがダウン

(感想:ダルチニアンはアルメニアのヴァナゾル出身。オーストラリア国籍でプロ活動。サウスポースタイルで左を荒っぽく振るうファイター(ファン・マルチン・コッジに似ている)。ニックネームは「Raging Bull(怒れる雄牛)」。2000年、アルメニア代表としてシドニーオリンピックに出場(フライ級。メダルは獲得ならず)。同年、オーストラリアに移住してプロデビュー。以来、オーストラリア・フライ級王座を決定戦で獲得するなど連勝中。年齢は25。ウィン(24歳)はタイ・ナコーンパノム出身。日本が主戦場で、内藤大助にTKO負けするなどこれまで勝ち星無し(結局、全敗でキャリア終了)。オーストラリア・シドニーでの一戦。1R、ウィンが単発の左ストレート。ダルチニアンが逆に左ストレートでダウンを奪う。その後、ダルチニアンは右を使いながら左ストレート、フック。斜め下からの左フックに威力。ウィンはショートフックなどで反撃するが、ストレートを打った後にバランスを崩すなどディフェンスに甘さ。3R、破れかぶれな打ち方のウィン。ダルチニアンが攻めたところでレフェリーストップ。ダルチニアンが基本ができていない相手に勝利。できればもっとスッキリとKOして欲しかったところ。) 


②ビック・ダルチニアン 2R TKO パノムチャイ・デトリタ

(スーパーフライ級戦、2002年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左カウンターでパノムチャイがダウン

(感想:これまで9連勝(6KO)のダルチニアン。ウィン戦の次の試合は再戦。パノムチャイはタイ人で、13勝(5KO)4敗2分。タイ王座(J・フライ級)を獲得したことがある。来日したときは判定負け。ダルチニアンに6RでTKO負け。シドニーでの一戦(ディナーショー形式らしく、リングの周囲に丸いテーブル)。パノムチャイは平均的なタイ人。ジャブ、右ストレート。パンチにはそれなりに速さがあるが、真っ直ぐ動くクセがある。ダルチニアンはダッキングしながら接近し、得意の左パンチ。2R、強烈な左カウンターでパノムチャイがダウン。レフェリーはカウントを途中で止め、試合終了の合図。ダルチニアンが楽勝。「勝てる相手」だった。その後、パノムチャイはグレン・ドネア(ノニトの兄)と空位のWBOアジア王座(フライ級)を争って判定負けするなど全敗だった。)


③ビック・ダルチニアン 4R TKO パノムデット・オーユタナコーン

(IBFパンパシフィック・フライ級王座決定戦、2002年)

「アルメニアの雄牛」ビック・ダルチニアン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フック連打でパノムデットがダウン

2R:連打でパノムデットがダウン

4R:左ストレートでパノムデットがスタンディングダウン

(感想:ダルチニアンがタイトル獲得。連勝のダルチニアンがIBFの地域王座戦。パノムデットはタイ・スリン出身で、これまで14勝(4KO)3敗。1997年、マニー・パッキャオに1RでKOされた過去(東洋太平洋フライ級王座戦)。タイ王座(フライ級)を獲得。数度の来日は全て敗北。シドニーでの一戦。1R、のらりくらりとしたところがあるパノムデット。左ジャブ、右ストレートを出すが、打ち方やバランスがよろしくない。ダルチニアンはパターンを確立。右を使いながら左パンチにパワーを込める。右フック連打でパノムデットがダウン。フックで攻めるダルチニアン。パノムデットはサウスポーにチェンジして左ストレート、右フック。サウスポーの時の方が良いパンチ。しかし、ダルチニアンがディフェンス&パワーで優勢。2R、勢いのある連打でパノムデットがダウン。立ったパノムデット。なかなかのしぶとさ。ワンツー、左ストレートからの右フックなどで反撃。4R、左ストレートでパノムデットがスタンディングダウン。再開後、ダルチニアンのワンツーからの右ジャブが入ったところでレフェリーストップ。ディフェンスと手数でダルチニアン勝利。パノムデットはタイ人らしく一発一発にパワーを込めるため、連打の回転力で負けた。その後のパノムデット。タイ王座戦で勝ったり負けたり。日本でも試合したが、一度も日本では勝てなかった。)

 

2025年9月9日火曜日

「メキシコのケンカ小僧」ホルヘ・アルセ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界五階級制覇王者。世界戦のファニト・ルビリアル戦、シンピウェ・ノンクアイ戦ほかを紹介します。


ホルヘ・アルセ(メキシコ)

身長164cm:オーソドックス(右構え)


①ホルヘ・アルセ 12R 判定 ファニト・ルビリアル

(WBC世界ライトフライ級タイトル戦、2004年)

「メキシコのケンカ小僧」ホルヘ・アルセ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:アルセがタイトル防衛。メキシコのロス・モチス出身のアルセ。世界三階級制覇するフェルナンド・モンティエルとは同郷の友人で、一緒にトレーニング。ニックネームは「Travieso(やんちゃ坊主)」。好戦的なスタイルで人気。アマチュアを少し経験し、16歳でプロデビュー。敗北はあったが、WBAの地域王座、NABO王座(いずれもライトフライ級)を獲得。ファン・ドミンゴ・コルドバ(アルゼンチン)を判定で下し、19歳でWBO世界ライトフライ級王者に。しかし、二度目の防衛戦の相手はあのマイケル・カルバハル。11RでのTKOで王座陥落。WBC王座奪取、防衛。これまで26勝(27KO)3敗1分、25歳。挑戦者ルビリアル(27歳)はフィリピン・マティ出身のサウスポーで、33勝(14KO)6敗7分。1994年、デビュー。ポンサクレック・ウォンジョンカムにKO負けで初黒星。日本で二連敗。ポンサクレックとの再戦に判定負け、タイで連敗。WBCインター王座(ミニマム級)獲得、防衛。ゾラニ・ペテロのIBF世界ミニマム級王座に挑戦して3-0の敗北。以来、全勝で、WBCインター王座(ライトフライ級)獲得、防衛。アルセとのWBC世界ライトフライ級暫定王座決定戦で3-0の敗北。正規王者となって防衛を続けるアルセと再戦。メキシコ・ティフアナでの一戦(レフェリーはトビー・ギブソン)。ガードを上げる両者。アルセは打ち方が良く、手数を出していくタイプで、左ジャブ、右ストレート、左フック。ルビリアルは左ストレート狙いで、カウンターを取ろうとする。なかなかガードが固いルビリアル。アルセは左のテクニック(斜め下からのフックなど)、コンビネーション(左ボディからの右ストレートなど)を使うが、相手のガードを崩せず。ただ、ルビリアルは応戦するが受け身の姿勢で、手数で劣る。8Rから変化。攻めるルビリアル、フットワーク&連打で反撃のアルセ。9R、ルビリアルが背後からの攻撃で減点。11R、ルビリアルの左ストレートがヒット。12R、両者もつれ合ってロープ外に転落。12R終了。判定は3-0。アルセが手数&ディフェンスで勝利。しかし、攻められて押され気味になるシーンも。ルビリアルは攻撃を仕掛けるのが遅すぎ。そういう性格なのか、その後も世界挑戦のチャンスを得たが勝てず。地域王座を獲得できたが、負けが込むようになっていった。)


②ホルヘ・アルセ 6R TKO トマス・ロハス

(WBCラティノ・バンタム級王座決定戦、2007年)

「メキシコのケンカ小僧」ホルヘ・アルセ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:左ボディでロハスがダウン

(感想:アルセがタイトル獲得。ルビリアル戦後のアルセ。WBC世界フライ級暫定王座獲得、防衛(アルセは「世界五階級制覇王者」とされるが、フライ級は暫定王者だった)。クリスチャン・ミハレスに敗れ、WBC世界スーパーフライ級王座奪取ならず。ロハスと再起戦。ロハスはメキシコ・ベラクルス出身のサウスポー。身長は173cmもある。メキシコ王座(スーパーフライ級)を獲得、防衛したが、クリスチャン・ミハレスに王座を奪われたことがある。直前の試合はパナマでアンセルモ・モレノに判定負け。ラスベガスでの一戦(レフェリーはジョー・コルテス)。ドレッドヘアーのロハスはボクサータイプ。右のガードをやや下げた構えから右ジャブ、シャープな左ストレート、フック連打。パワーはまずまずだが、当てるテクニックがある。アルセは左を使いながら右パンチ、左フックを狙うが、1Rから左ストレートを食う。接近戦。互いに手数。ロハスはディフェンスが巧く、時折パンチを入れる。アルセも右パンチを入れるが、巧くかわされるシーンも。6R、アルセが左フック、左ボディ攻め。ロハスは左右フック乱れ打ちで対抗するが、左ボディ一発でダウン。立ったがボディがかなり効いているらしく、反撃できずに連打されてレフェリーストップ。アルセがボディ打ちで勝利。良い打ち方のうえパワー。基本がしっかりできていることによって得られた勝利。ロハスは動きは良かったが、パワー不足か。しかしその後、WBC世界スーパーフライ級王座獲得。日本でも防衛。王座陥落後、山中慎介のWBC世界バンタム級王座に挑戦してTKO負け、二階級制覇ならず。その後も2022年まで多くの試合に出場した。)


その後のアルセ

ロハス戦の次の試合でメッグン・シンスラット(マニー・パッキャオをKOしてWBC世界フライ級王座を獲得したことがあるタイ人)を左ボディカウンターなどでダウンを奪い、1RでTKO勝ち。WBA世界スーパーフライ級暫定王者ラファエル・コンセプション(パナマ)にTKO勝ちで暫定王座を獲得(2008年)。WBA・WBC・IBF世界スーパーフライ級王者ビック・ダルチニアンに挑戦したが、敗北。ダルチニアンが王座返上。IBF王座の決定戦に出場することに。


③シンピウェ・ノンクアイ 12R 判定 ホルヘ・アルセ

(IBF世界スーパーフライ級王座決定戦、2009年)

「メキシコのケンカ小僧」ホルヘ・アルセ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ノンクアイがタイトル獲得。ノンクアイは南アフリカの東ケープ州ボーダーポスト出身の黒人。ニックネームは「Golden Master」(どういう意味なのだろう?)。アマチュアで活躍。プロではデビューから連勝でWBF王者に(スーパーフライ級)。王座を連続防衛。メキシコのロス・モチスでIBF世界スーパーフライ級王座挑戦者決定戦を行い、判定勝ち(相手はアルセの弟フランシスコ・アルセ)。その次の試合が、この決定戦。アルセ兄弟を連破なるか、といったところ。メキシコ・カンクンでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア。アルセのセコンドにナチョ・ベリスタイン)。個性的なスタイルのノンクアイ。髪とヒゲを染め、頭はサッカーボールのよう。試合では距離を取ってジャブ、右ストレート、ディフェンス。なかなか地味な試合ぶりだが、左フックやインサイドからのパンチなどを当てる巧さがある。アルセはいつものように左フックからの右ストレートなどにパワー。しかし、パワーを入れすぎているのか、ブロックされたり、クリンチされたり、細かいパンチを食ったりでしっくりいかない。共に相手以外にも敵が。なぜかリングが濡れており、両者スリップ(特にアルセの方がよくバランスを崩していた)。レフェリーの指示でラウンド中にスタッフがモップやタオルでキャンバスを拭く。結局、 ノンクアイが細かいテクニック&ディフェンスでポイント上、優勢のまま12R終了。判定は3-0。ボクシングは不思議なもの。思いっ切り打ったからといって勝てるわけではないし、パワーがある方が負けることも珍しくない。負けたがアルセは最後まで前進。勝っても負けても自分らしい試合ができれば満足なのかも。その後のノンクアイ。実に意外なことに初防衛戦はドロー。二度目の防衛戦でTKO負け、王座陥落。アルセとWBO世界スーパーバンタム級王座を懸けて再戦したが、TKO負け。その次の試合もTKO負けで引退。アルセとの初戦後は勝ち星無し。パワー不足が原因か?)


④ホルヘ・アルセ 10R 引分 ロレンソ・パーラ

(WBO世界スーパーバンタム級王座挑戦者決定戦、2010年)

「メキシコのケンカ小僧」ホルヘ・アルセ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ノンクアイ戦の再起戦がWBO世界スーパーフライ級王座決定戦だったアルセ。これに勝利。しかし、防衛戦を行うことなく、上の階級へ。パーラはベネズエラ・マチケス出身。日本でもおなじみで、元WBA世界フライ級王者。坂田健史との防衛戦で体重を作れず、王座剥奪。しかも、試合に敗北。一気に階級を上げ、WBA世界スーパーバンタム級王者セレスティーノ・カバジェロに挑戦したが、勝てず。このところ二連勝だが、試合間隔がある。メキシコ・クリアカンでの一戦(リングアナはルペ・コントレラス。会場ではフェルナンド・モンティエルが観戦)。共に左のテクニック(ジャブ、フック)、ディフェンス。右ストレート、左ボディ打ちなどで攻めるアルセ。パーラは受け身の姿勢で足を使ったアウトボクシング。右ストレートからの左フックなど良いパンチを持っているが、パワーはあまり感じられない。攻めるアルセ、距離を取るパーラ。7R、パーラがラビットパンチで減点。8R、打ち合いに応じないパーラにアルセが「打ってこい」アピール。10R、パーラがワンツーからの左フック。10R終了。判定はドロー。攻勢点でアルセの勝ちでもよかったと思うが、逃げられるシーンが多かった。パーラは器用だったが、パワー不足。負けずに済んでよかった、といったところ。しかし、アルセとの再戦にKO負け。その後は連敗続きで引退。上の階級では通用しなかった。)


その後のアルセ

ウィルフレド・バスケス・ジュニアをTKOしてWBO世界スーパーバンタム級王座奪取で四階級制覇(2011年)。防衛戦でシンピウェ・ノンクアイにTKOで雪辱。決定戦でWBO世界バンタム級王座獲得、五階級制覇。ノンタイトル戦でロレンソ・パーラにKO勝ち。王座返り咲きを狙ってWBO世界スーパーバンタム級王者ノニト・ドネアに挑戦したが、KO負け。ラストファイトはWBC世界フェザー級王者ジョニー・ゴンサレスへの挑戦で、TKO負け。ゴング前には棒付きキャンディを口にくわえてリングアナにコールされるユーモラスな演出。試合では小さい身体ながらパワーとタフネス。最後まで挑戦する男だった。

 

2025年9月7日日曜日

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界三階級制覇王者。世界戦のイシドロ・ガルシア戦、ファン・ドミンゴ・コルドバ戦、Z・ゴレス戦を紹介します。


フェルナンド・モンティエル(メキシコ)

身長163cm:オーソドックス(右構え)


①フェルナンド・モンティエル 7R TKO イシドロ・ガルシア

(WBO世界フライ級タイトル戦、2000年)

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:ワンツーでガルシアがダウン

3R:右フックでガルシアがダウン

6R:左フックでガルシアがダウン

7R:右フック、連打で2度、ガルシアがダウン

(感想:モンティエルがタイトル獲得。小柄ながら腕っぷしが強かったモンティエル。メキシコのロス・モチス出身で、ニックネームは「Cochulite(狼)」。「兄弟ボクサー」で、兄アレハンドロは世界ランカー、父もプロボクサーだった(トレーナーとして息子をサポート)。強豪ホルヘ・アルセとは友人で、一緒に練習してきたという(強くなるのが当たり前、といった環境)。16歳でプロデビュー。WBAアメリカ王座(スーパーフライ級)を獲得したり、クルス・カルバハルを破ったりで、これまで無敗。初の世界挑戦。王者ガルシアもメキシコ(ビヤ・ゲレロ出身)。身長160cm。主戦場はアメリカ。デビューから連勝。NABOフライ級王座に挑戦してTKO負け、初黒星。同王座を獲得、連続防衛。決定戦でWBO王者に。モンティエル戦は二度目の防衛戦。メキシコのシウダード・オブレゴンでの一戦。互いにジャブ。右ストレート、左フックにパワーを込めるガルシアだが、狙いすぎの傾向。モンティエルはアップライトな構えからジャブ連打、ストレート、フック。真っ直ぐ攻めるタイプだが、正確に当てていこうとし、ディフェンス(ブロック、バックステップ、首を振ってパンチをかわす小技)もしっかり。2R、ワンツーでガルシアがダウン。3Rには左フックからの右フックでダウン。4R、ガルシアの左フックが当たり、モンティエルは足で距離を取りながらジャブ中心に。6R、左フックが効いたガルシア。左フックでダウン。7R、ジャブ連打からの右フック、連打でガルシアが二度ダウン。セコンドからタオル投入で試合終了。終わってみればモンティエルの圧勝。正確に当てるボクシングだが、パワーを感じるシーンもあった。ガルシアは一発にパワーを入れすぎ。地道に相手を追い込む攻めができないタイプか? 力んだ右ストレート、左フックをかわされるシーンが目立った。その後、ガルシアはWBA世界フライ級王者エリック・モレルに挑戦して3-0の敗北、IBAフライ級王座を決定戦で獲得、WBA世界スーパーフライ級暫定王者ホルヘ・アルセに挑戦してTKO負け。トップには及ばなかった。)


②フェルナンド・モンティエル 1R KO ファン・ドミンゴ・コルドバ

(WBO世界フライ級タイトル戦、2001年)

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックで2度、コルドバがダウン

(感想:モンティエルがタイトル防衛。これまで21勝(16KO)1分のモンティエル。 ガルシアから奪った王座の初防衛戦をドイツで行い、TKO勝ち。二度目の相手コルドバはアルゼンチンのサンチアゴ・デル・エステロ出身で、34勝(19KO)5敗3分。ウンベルト・ゴンザレス、チャッチャイ・サーサクンとの世界戦に敗れた後、メルチョル・コブ・カストロからWBO世界ライトフライ級王座奪取。二度目の防衛戦でホルヘ・アルセに判定負け、王座陥落。ブランク、カムバック二連勝でモンティエルに挑戦。二階級制覇なるか、といったところ。メキシコ・アカプルコでの一戦(レフェリーはロベルト・ラミレス)。ジャブを出すモンティエル。ワンツー、左パンチ(フック、ボディ打ち)。コルドバは相手を警戒しているうえにスピードに乏しく、右ストレートを出してそれっきり。右ストレートからの左フックでコルドバがダウン。立ったが、今度は左ボディからの左フックで二度目。倒れたまま10カウント。モンティエルが楽勝。あまり意味のない試合だった印象。コルドバは動きが鈍かった。これが最後の試合に。)  


その後のモンティエル

WBO世界スーパーフライ級王座もTKO勝ちで獲得し、二階級制覇。ところが二度目の防衛戦でマーク・ジョンソンに2-0で敗れて王座陥落、初黒星。イバン・エルナンデスをKOして王座奪回(2005年)。三階級制覇を狙ってジョニー・ゴンサレスのWBO世界バンタム級王座に挑戦したが、2-1の敗北(2006年)。再起戦はWBO世界スーパーフライ級王座の防衛戦。


③フェルナンド・モンティエル 12R 判定 Z・ゴレス

(WBO世界スーパーフライ級タイトル戦、2007年)

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:モンティエルがタイトル防衛。これまで32勝(24KO)2敗1分のモンティエル。挑戦者ゴレスはフィリピン・ナシピット出身のサウスポー。本名は「ZC Oliveros Gorres」で、ニックネームは「The Dream」(「期待の星」ということか?)。2001年にデビューで、25勝(12KO)1敗1分。フィリピン王座(フライ級)への挑戦はTKO負けに終わったが、そこから連勝で東洋太平洋王座(スーパーフライ級)を決定戦で獲得。フィリピン・セブでの一戦(モンティエルのセコンドに父マヌエルら家族総出でサポート。会場ではマニー・パッキャオが観戦)。ゴレスはなかなか良い選手。足でリズムを取って右ジャブ、ワンツー、フック。「フィリピンのサウスポー」には大振りのフックを振り回すイメージがあるが、ゴレスはそうではないスタイリッシュなタイプ。モンティエルは左を使いながら右パンチを狙うが、真っ直ぐ攻めるクセは昔から変わらない。互いにディフェンス。2R、ゴレスが攻め、バッティングでモンティエルが被害。その後も一進一退。ゴレスが右ボディからの右アッパー。モンティエルはワンツー、左フック。互いのパンチが時折ヒット。終盤はモンティエル。左フックを当て、その流れで右ストレートをヒットさせる。10R、連打が効いたゴレス。倒れまいと必死にクリンチするが、減点。12Rにはホールドで減点。12R終了。共にセコンドにかつがれて自身の勝利をアピール。判定は僅差の2-1。終盤にキャリアの差が出た試合。モンティエルが左フック&ディフェンスで勝利。ただ、左目が腫れるなど苦しい試合だった。ゴレスは正統派。最後に底力の差を見せつけられて敗れた。その後のゴレス。IBFインターコンティネンタル王座獲得(スーパーフライ級)、実力者ビック・ダルチニアンとドローといった活躍はあったが、二度目の世界戦は無かった(なぜ?)。)


その後のモンティエル

WBO世界スーパーフライ級王座をさらに防衛後、決定戦でWBO世界バンタム級暫定王座獲得。正規王者ジェリー・ペニャロサが王座を返上したことによって正規王者に格上げ。1RでのTKOで初防衛に成功し、来日。WBC王者長谷川穂積を猛烈な連打でTKOしてWBC・WBO世界バンタム級王座統一(2010年)。しかし、世界は広い。ノニト・ドネアに2RでTKO負けし、世界バンタム級王座陥落。以後も多くの試合。IBF世界フェザー級王者リー・セルビーに3-0で判定負けを喫し、四階級制覇ならず。小柄だったが、海外でもKO勝ちする本物の王者だった。

 

2025年9月6日土曜日

「ハワイの強打者」ブライアン・ビロリア「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界ライトフライ、フライ級王者。世界王者になる前のレオナルド・グチェレス戦、ファン・アルフォンソ・ケブ・バース戦を紹介します。


ブライアン・ビロリア(アメリカ、ハワイ)

身長163cm:オーソドックス(右構え)


①ブライアン・ビロリア 4R TKO レオナルド・グチェレス

(スーパーフライ級戦、2002年)

「ハワイの強打者」ブライアン・ビロリア「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:右カウンターでグチェレスがダウン

4R:ワンツー、左ボディで2度、グチェレスがダウン

(感想:ハワイ・ホノルル出身のビロリア。ニックネームはその強打から「The Hawaiian Punch」。9歳でボクシングを始め、シドニーオリンピック(2000年)にはライトフライ級で出場(メダル獲得はならず)。プロ入り後はこれまで5連勝(3KO)。グチェレスはメキシカン。勝ったり負けたりのベテラン。ローカル王座(フライ級)獲得、ホルヘ・アルセに判定負け、アレハンドロ・モンティエルに判定負け(WBC米大陸フライ級王座戦)、ダニー・ロメロにKO負け、ジョニー・ブレダルにデンマークで判定負け。このところ負けが込んでいるが、経験は充分。ニューヨークでの一戦。背は低いが、よく鍛えられたガッチリした身体のビロリア。1R開始早々、「グローブを合わせる挨拶」を無視してフック攻撃。足でリズムを取ってディフェンスしながら左のテクニック、右ストレートからの左ジャブ、ワンツー、ボディ打ち。力んでいるが、コンビネーション主体の攻め。グチェレス(コチラも背は低いが、ガッチリした身体)はワンツー、左フックを出すが、残念ながら動きのスピードとパンチのキレに欠ける。2R、左パンチで目を痛めるグチェレス。ビロリアは右パンチを被弾。3R、右カウンターでグチェレスがダウン。4R、右ストレート連打からのワンツーでグチェレスがダウン。立ったが、左ボディで二度目のダウン。ダメージ深いと見て、レフェリーは試合を止めた。なかなかの馬力のビロリア。多少打たれたが、タフネスでカバー。グチェレスはスピードの無さで敗北。これが事実上のラストファイトに。数年後にカムバックして1RでTKO負けだった。)


②ブライアン・ビロリア 12R 判定 ファン・アルフォンソ・ケブ・バース

(北米フライ級タイトル戦、2004年)

「ハワイの強打者」ブライアン・ビロリア「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:左フック、右ストレートで2度、バースがダウン

(感想:ビロリアがタイトル防衛。グチェレス戦後も好調のビロリア(23歳)。一つノーコンテスト試合があったが、WBCユース王座、北米王座(いずれもフライ級)を獲得、防衛してきた。挑戦者バース(33歳)はメキシコ・メリダ出身で、これまで30勝(20KO)9敗2分。メキシコのローカル王座(ライトフライ級)を獲得できたが、メキシコ王座、WBC米大陸王座(いずれもライトフライ級)は獲得ならず。WBCの地域王座(ライトフライ級)を獲得後、ケルミン・グアルディアのWBO世界ミニマム級王座に挑戦して判定負け。ホセ・アントニオ・アギーレのWBC世界ミニマム級王座への挑戦はTKO負け。以来、ウリセス・ソリスにTKO負けするなど勝ち星無し。コネチカット州アンカスビルでの一戦。開始から攻めるビロリア。早いジャブ、ワンツー、フック連打。バースはビロリアよりも小さいが、ガッチリした身体。ガードを上げて応戦。左フックからの右ストレート、ボディ連打に強さがあるが、相手の勢いに受け身の姿勢。ビロリアがコンビネーションで先手を取る展開。また、ビロリアはインサイドから右フックを当てるなど腕力だけの選手ではないところも披露。8R、強烈な左フックでバースがダウン。立ったが、追い込まれて右ストレートで二度目。KOを狙って攻めるビロリアだが、終盤はジャブ中心の受け身な試合ぶり(コブシを痛めたか?)。バースは攻めるが、ブロックされてしまう。12R終了。判定は3-0(三者とも「119-107」)。8Rまで勢いがあったビロリア。その後、失速したが、全体的に力強い攻め&正確な強打。バースはタフでパンチもあったが、8Rに強烈なダウンを食った。KOされなかったのを讃えるべきか。しかしその後、バースはエリック・モレル、グレン・ドネアらを相手に多くの敗北。)


その後のビロリア

エリック・オルティスを何と1RでKOしてWBC世界ライトフライ級王座奪取(2005年)。しかし、二度目の防衛戦で判定負け、王座陥落&初黒星。ウリセス・ソリスを11RでKOしてIBF世界ライトフライ級王座奪取(2009年)。しかし、またしても二度目の防衛戦で王座陥落。フリオ・セサール・ミランダに3-0でWBO世界フライ級王座奪取(2011年)。WBA王者エルナン・マルケスとの統一戦でTKO勝ちし、WBO・WBA王座統一(2012年)。しかし次の防衛戦でファン・フランシスコ・エストラーダに敗北。その後はローマン・ゴンザレスに敗北し、王座返り咲きならず。パワフルでエキサイティングな選手だったが、当時は実力者が競い合うハードな時代だった。

 

2025年9月4日木曜日

「指揮者と呼ばれた男」ミゲル・カント「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界フライ級王者。世界王座防衛戦の大熊正二戦(三戦目)、ファコムロン・ビボンチャイ戦、朴賛希戦(初戦)を紹介します。


ミゲル・カント(メキシコ)

身長152cm:オーソドックス(右構え)


①ミゲル・カント 15R 判定 大熊正二

(WBC世界フライ級タイトル戦、1978年)

「指揮者と呼ばれた男」ミゲル・カント「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カントがタイトル防衛。「El Maestro(指揮者、師匠を意味する)」と呼ばれたメキシカン、カント(日本では「教授」と呼ばれた)。優秀な選手であるが他のメキシカンとは違い、KOを狙うタイプではない(ただし、相手をKOできるだけのパワーはある)。デビュー戦に敗北。その後も敗北と引き分けを経験するが、コツをつかんだか、連勝。メキシコ・フライ級王座獲得。ベツリオ・ゴンザレス(ベネズエラ)と空位のWBC世界フライ級王座を争ったが、2-0で判定負け。二度目の世界挑戦でサウスポーの小熊正二を破り、WBC世界フライ級王座獲得。以来、ベツリオ・ゴンザレスに雪辱したり、高田次郎、花形進、触沢公男、小熊ら日本勢を相手に防衛したり。12度目の防衛戦の相手は名前を「小熊」から「大熊」に変えた大熊正二(「新日本木村」所属)。大熊はカントに王座を奪われた後、アルフォンソ・ロペス(パナマ)のWBA世界フライ級王座に挑戦したが、2-0で敗北。触沢公男にはKO負け。再起二連勝でカントに挑戦して、2-1の敗北。そして、「世界2位」としてダイレクト・リマッチ。両国国技館での一戦(三度目の対戦)。左右の構えは違うが、互いにディフェンスしながらジャブ、ワンツー、ボディ打ち、隙を狙う攻撃。共にテクニシャンタイプだが、時折パワーの乗ったパンチを披露。微妙に「当てるテクニック」でカント。大熊が打ち終わった後や前進する際に右ストレート、左フック、カウンターをヒットさせる。15R終了。小差の3-0。カントがテクニックで勝利。しかし、いざというときはパワーもあった。大熊は力強いシーンもあったが、相手に合わせてテクニック合戦。もっと相手を引っかき回すような戦いをすべきだったと思うが、相手のペースで試合。いつの間にかテクニックの勝負に持ち込むのがカントが「指揮者」と呼ばれる所以か?)


②ミゲル・カント 15R 判定 ファコムロン・ビボンチャイ

(WBC世界フライ級タイトル戦、1978年)

「指揮者と呼ばれた男」ミゲル・カント「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カントがタイトル防衛。これまで54勝(14KO)4敗3分のカントが13度目の防衛戦。挑戦者ファコムロンはタイ人。記録が抜け落ちているのか、試合数が少ない。このところ三連勝中だが、世界挑戦できるほどの実績が見当たらない「謎の男」(井岡弘樹とWBC世界ストロー級初代王座を争ったマイ・トンブリファームみたいなものか?)。テキサス州ヒューストンでの一戦。身長差。スラリとしたファコムロンがアップライトな構えから左ジャブ。しかし、手数が極端に少ない。ただ、右ストレートからの左フックに良さがある(ポーン・キングピッチのようなタイプ)。小柄なカントは左ジャブ、そして踏み込んで左フック。左フックからの右ストレートといったコンビネーションも使うが、相手との身長差にやりにくそうな雰囲気。手数が少ないファコムロン。11Rに左フックをマトモに食ってダウン寸前。その後、ショートフック、ボディ打ちで攻めるが、カントはディフェンス、カウンター、左フック。15R終了。判定は2-1。カントが左フックを当てる巧さで勝利。ファコムロンは慎重すぎ。(前に出る姿勢を評価したジャッジもいたが)もっと早いラウンドから攻めるべきだった。その後のファコムロン。タイ王座(バンタム級)に挑戦してKO負け、日本で小林光二にKO負けして引退。最後まで「謎の男」だった印象。)


③朴賛希 15R 判定 ミゲル・カント

(WBC世界フライ級タイトル戦、1979年)

「指揮者と呼ばれた男」ミゲル・カント「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:朴がタイトル獲得。同じメキシコの強打者アントニオ・アベラル(後、WBC王者に)を3-0で下して14度目の防衛に成功したカント。15度目の相手は韓国人。朴は韓国プサン出身。無敗だが、これまでの試合は全て韓国。「プロとしての経験」という点ではどうか? プサンでの一戦。ゴング前、両選手に花輪の贈呈。ゴング。忙しく上体を動かしながらシャープなジャブ、左フックを振るう朴。カントもリズミカルに足を使いながらジャブ、左フック。実に積極的な朴。右ストレートからの左フックなどを力強く打ち、打たれても反撃してラッシュをかける。カントもまた強い。パンチにはキレがあり、右ストレート、左フック、突き上げるフックにパワー&迫力(カントはウェルター級のピピノ・クエバスに戦い方、パンチの打ち方が似ている。同じ人の指導を受けたのかも)。互いに強さを見せるが、攻めの勢いは朴。15R終了。判定は3-0。一人は僅差。大差をつけたジャッジも。ついに陥落のカント。決して衰えてはいなかった。相手がより頑張った結果。再戦が行われ、ドロー。カントはその後もリングに上がったが、結果的にそれが最後の世界戦に。朴は王座を順調に防衛後、ソウルで大熊正二にKO負けで王座陥落。二度、大熊に日本で挑戦したが、いずれも僅差の判定負け。カントも朴も王座陥落後、返り咲きならず。)

 

2025年9月3日水曜日

「フィリピンの大型台風」ミラン・メリンド「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界ライトフライ級王者。世界王者になる前のカルロス・タマラ戦、ジャン・ピエロ・ペレス戦ほかを紹介します。


ミラン・メリンド(フィリピン)

身長157cm:オーソドックス(右構え)


①ミラン・メリンド 10R 判定 カルロス・タマラ

(フライ級戦、2010年)

「フィリピンの大型台風」ミラン・メリンド「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:フィリピン・ミンダナオ島のカガヤン・デ・オロ出身のメリンド。そのパワーから「Milenyo(ミレニオ:かつてフィリピンを襲った大型台風の名)」と呼ばれる。6歳でボクシングを始め、アマチュアで優秀な成績。2005年にプロデビュー。WBCやWBOの地域王座などを獲得し、これまで22連勝(7KO)。21勝(15KO)5敗2分のタマラはコロンビア・シンセレホ出身。2004年のアテネ・オリンピックにライトフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロデビューから連勝でWBCラティノ王座(フライ級)を獲得したが、次の試合で判定負け。再起戦でジョバンニ・セグラにも判定負けで二連敗。地域王座戦に勝利後、オマール・ナルバエスのWBO世界フライ級王座に挑戦して判定負け。ブライアン・ビロリアのIBF世界ライトフライ級王座に挑戦して、TKO勝ち。しかし、初防衛ならず。その再起戦でメリンドと対戦。フィリピン・セブでの一戦(レフェリーはブルース・マクダビッシュ。アジアでのWBC関連試合をよく裁いていることでおなじみ)。共に速いジャブ。タマラは南米の選手らしいスタイル。距離を取ってシャープなジャブ、ワンツーからの左ジャブ、左フックからの右ストレート、左ボディ打ち。しかしながら、真っ直ぐ攻めるクセ。パワーで上回るメリンドはブロックしながら隙を突く強打(右ストレート、左フックにパワー)。接近戦で手数を出すタマラだが、メリンドがブロック&強打。10R終了。判定は3-0。メリンドが隙を突く強打で勝利。当てる巧さがあった。タマラはシャープなパンチだったが、パワー負け。上位陣との対戦で不安定なのを物語る試合ぶりだった。その後、タマラはエルナン・マルケスとのWBO世界フライ級王座挑戦者決定戦に敗北し、世界戦はなかった。)


②ミラン・メリンド 1R KO ロセンド・ベガ

(フライ級戦、2011年)

「フィリピンの大型台風」ミラン・メリンド「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ボディ、右アッパーで2度、ベガがダウン

(感想:23歳のメリンド。タマラ戦の次の試合。ベガ(33歳)はメキシカン。これまで17勝(11KO)6敗。デビューから二連敗。日本で判定負け、WBCラティノ王座(フライ級)に挑戦して1RでKO負け。直前の試合は日本で亀田大毅に判定負け。セブでの一戦(レフェリーはブルース・マクダビッシュ)。攻めの姿勢のメリンド。ジャブ連打からの左フック、右ストレート。ベガは慎重にガードを上げてジャブ、ストレート、大振りのフック。動きのスピードに欠け、大振りのフックにはキレがない。メリンドの強烈な右フックがヒット。右ボディでベガがダウン。立ったが、左フックからの右アッパーで二度目のダウン。座ったまま10カウントを聞いた。メリンドがパワーで圧勝。勝負はやってみないとわからないが、この程度の相手と試合するのは時間の無駄。ベガは右ストレートはまずまずだったが、全体的なスピード感に乏しかった。これが最後の試合に。)  


③ミラン・メリンド 12R 判定 ジャン・ピエロ・ペレス

(WBOインターナショナル・フライ級タイトル戦、2012年)

「フィリピンの大型台風」ミラン・メリンド「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:メリンドがタイトル初防衛。決定戦でインター王者になったメリンドが初防衛戦。挑戦者ペレスはベネズエラ人。パナマが主戦場で、デビューもパナマ。これまで19勝(14KO)4敗1分。カルロス・ムリージョにKO勝ち、ラファエル・コンセプシオンに2-1の敗北とTKO負け。決定戦でWBA世界フライ級暫定王座を獲得したが、ファン・カルロス・レベコに2RでKOされて初防衛ならず。再起戦に勝利し、メリンドに挑戦。セブでの一戦(レフェリーはブルース・マクダビッシュ)。パワフルなメリンド。この試合では左フックにパワーがあり、左フック連打(ボディからアゴへ)、左右フックボディ打ちに迫力。ペレスはボクサータイプで、スタイリッシュなボクシング。ジャブ、ワンツーからの左フック、左ボディ打ち、手数で勝負。互いに器用さ&ディフェンス。接近戦ではパワーと手数の勝負。12R終了。判定は2-0。パワーでメリンド。ペレスはバランスの良い選手だったが、「ナチュラルなパワー」という点でメリンドには及ばなかったか。その後のペレス。日本で井岡一翔にKOされるなど試合間隔が長めになっていった。)


その後のメリンド

全勝のままフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)のWBA・WBO世界フライ級王座に挑戦したが、3-0で判定負け。ハビエル・メンドサ(メキシコ)のIBF世界ライトフライ級王座への挑戦も失敗。ファーラン・サックリンJr(タイ:日本で宮崎亮をぶっ倒した男)との決定戦でIBF世界ライトフライ級暫定王座獲得(正規王者の八重樫東が負傷したことにより暫定王座が設定された)。八重樫と正規王座と暫定王座の統一戦を行い、1RでTKO勝利。初防衛に成功したが、WBA王者の田口良一との統一戦に判定負け、王座陥落。拳四朗のWBC世界ライトフライ級王座に挑戦して7RでTKO負け(2018年)。新鋭の中谷潤人にもTKO負け。腕っぷしは間違いなく強かったが、上位陣とは苦戦が続いた。 

2025年9月2日火曜日

「インドネシアの最軽量級」ムハンマド・ラクマン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF・WBA世界ミニマム級王者。王座戦のデンバー・クエリョ戦、ポンサワン・ポープラムック戦を紹介します。


ムハンマド・ラクマン(インドネシア)

身長160cm:オーソドックス(右構え)


①デンバー・クエリョ 9R TKO ムハンマド・ラクマン

(WBCインターナショナル・ミニマム級タイトル戦、2010年)

「インドネシアの最軽量級」ムハンマド・ラクマン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:左ストレートでラクマンがダウン

(感想:クエリョがタイトル防衛。インドネシア・メラウケ出身のラクマン。ニックネームは「Predator (捕食者)」。1993年、プロデビュー。連勝だったが、インドネシア・ミニマム級王座の獲得に失敗。しかし、勝つコツをつかんだか、連勝して同王座獲得、防衛。IBFの地域王座も獲得。ようやく世界戦のチャンス。2004年、ダニエル・レイジェス(コロンビア)を2-1で下し、IBF世界ミニマム級王者に。四度目の防衛戦でフィリピンのフローレンテ・コンデスに2-1の判定負け(2007年)。再起戦に勝利したが、ミラン・メリンド、オーレイドン・シスサマーチャイ(WBC世界ミニマム級王座戦、2009年)に敗北。これまで62勝(31KO)8敗5分、年齢は39。オーレイドンに敗れた再起戦でクエリョと対戦。21勝(12KO)4敗5分の王者クエリョ(23歳)はフィリピンのイロイロ州カバチュアン出身。9歳でアマチュアのリングに上がり、17歳でプロに。しかし、まだ身体ができていなかったらしく、デビュー戦は敗北。その後もドロー、敗北。実力を付け、フィリピン・ミニマム級王座を獲得。決定戦でWBCインター王者に。WBC王座挑戦者決定戦で反則負けして後退。「仕切り直し」といった感じで元世界王者ラクマンとインター王座防衛戦。フィリピンのイリガン・シティでの一戦。共にスリムな体型で、似た体格。左右の構えの違いはあるが、共にジャブ連打。パワーも同じくらいか。構え方、右ストレートを伸ばす姿が大場政夫に似ているラクマン。しかし、試合はクエリョがサウスポーのテクニックで優勢。ラクマンのストレート、ショートフックをディフェンスし、左ストレート、連打で手数。斜め下からの左フックにも威力。3R、クエリョの左ストレートがクリーンヒット。5R、左ストレートでラクマンがダウン。その後もクエリョの左構えにラクマンは空転。8R、クエリョの左ストレート&連打。9R、ラクマンが右フックを食ったところでレフェリーストップ。クエリョが積極的な攻めで勝利。一方、ラクマンはこれが初のKO負け。サウスポーが苦手らしく、攻撃が単発に終わった。その後のクエリョ。連勝。インター王座を防衛したり、WBCシルバー王座(ミニマム級)を獲得したり。しかし、熊朝忠に2-0での判定負けでWBC世界ミニマム級王座奪取ならず。アジア王座(バンタム級)に就いたが、世界王者にはなれなかった。) 


②ポンサワン・ポープラムック 12R 判定 ムハンマド・ラクマン

(WBA世界ミニマム級タイトル戦、2011年)

「インドネシアの最軽量級」ムハンマド・ラクマン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ポンサワンがタイトル獲得。WBA世界ミニマム級王者クワンタイ・シッモーセンをKOして世界王座に返り咲いたラクマンが初防衛戦。挑戦者ポンサワンはタイ・タープラヤー出身。世界を目指すタイのエリートらしくプロ二戦目でPABA王座(ミニマム級)を獲得するなどデビューから連勝。PABA王座を守り続け、タイ王座(ミニマム級)も獲得。全勝のままドニー・ニエテスと空位のWBO世界ミニマム級王座を争ったが、3-0で初黒星。オーレイドン・シスサマーチャイのWBC世界ミニマム級王座、エドガル・ソーサのWBC世界ライトフライ級王座への挑戦も失敗。オーレイドンとの再戦で引き分けた次の試合で、この挑戦。インドネシア・ジャカルタでの一戦。この試合のラクマンはフットワーク&ジャブのアウトボクシング。接近されて打ち合いも展開。しかし、さすがにスピードはそこそこ(キャリア終盤のシュガー・レイ・レナードのような雰囲気だった)。ポンサワンは終始前進し、右ストレート、フック。フックは意外に迫力がなく、ストレートに強さ。アウトボクシングのラクマン、攻めるポンサワン。接近戦では互角に打ち合うが、勢いはやはりポンサワン。ラクマンは当てる巧さを時折見せるが、攻められてクリンチするシーンも。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は極めて僅差の2-0。ポンサワンが攻勢点で勝利。ラクマンは年齢の割にはよく頑張った。その後の二人。ポンサワンは初防衛戦を日本で行い、八重樫東にKO負け。2012年にWBA世界ミニマム級王座決定戦に出場したが、宮崎亮に2-1の判定負け。PABA戦が中心のキャリアで、世界王者としては活躍できなかった。ラクマンは何とその後もタイトル戦に出場。IBOインターナショナル・ライトフライ級王座を決定戦で獲得。WBA世界ミニマム級暫定王者ノックアウト・CPフレッシュマートに挑戦したが、3-0で敗北。ラストファイトは2016年で、インドネシア・・ライトフライ級王座決定戦で2-1の敗北。長いキャリアを終えた後はボクシングのプロモーターになった。) 

「南アのハグラー」モルティ・ムザラネ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界フライ級王者。IBF王座防衛戦のゾラニ・テテ戦、アンドレア・サリッツ戦を紹介します。


モルティ・ムザラネ(南アフリカ共和国)

身長161cm:オーソドックス(右構え)


①モルティ・ムザラネ 5R TKO ゾラニ・テテ

(IBF世界フライ級タイトル戦、2010年)

「南アのハグラー」モルティ・ムザラネ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:連打、左ストレートで2度、テテがダウン

(感想:ムザラネがタイトル初防衛。南アフリカ・ハウテン出身のムザラネはスキンヘッドの黒人(「小型ハグラー」といった印象)。しかし、ニックネームはその童顔な風貌から「Babyface」。デビューから連戦連勝だったが、15戦目で初黒星(ダブルタイトル戦。南アフリカ王座、WBCインター王座(フライ級)獲得ならず)。その後は快調。一度失敗したその二つの王座を獲得。しかし、上には上が。ノニト・ドネアのIBF世界フライ級王座に挑戦して負傷TKO負け(2008年)。決定戦でIBF王者に。テテと初防衛戦。挑戦者テテは南アフリカ・ムダントサネ出身の黒人。何と身長175cm。しかもサウスポー。デビューから全勝。WBFフライ級王座を防衛してきたが、メジャー団体の王座を狙う。南アフリカ・ブラックパンでの一戦。ボクサータイプのテテ。相手から距離を取ってシャープで伸びのある右ジャブ、左ストレート。フックにもキレがあり、まるで「サウスポーのトーマス・ハーンズ」といった雰囲気。しかし、ムザラネはその上を行く。スキンヘッドでハグラーのようだが、戦いぶりはアイラン・バークレーといった感じ。ブロックを固めて前進し、パワーを込めた右ストレート、フック。攻めるムザラネ、応戦するテテ。3R、右パンチを食ってテテがバランスを崩すなどパワーでムザラネ優勢。5R、コーナー付近でのフック連打でテテがダウン。立ったが、またしてもコーナーに追い込まれて左ストレートでダウン。再開後、コーナーでムザラネが猛烈な連打、レフェリーストップ。ムザラネが強打&ブロックで快勝。南アフリカの黒人ボクサーはスピードを生かすテクニシャンタイプが多いが、ムザラネは「KOを狙うタイプ」。何とも凄まじい破壊力を見せた。テテは素晴らしい素質を持っているが、身体全体のパワーで及ばず。背が高すぎるのだろう。その後、テテは重要な試合を落としながらもIBF世界スーパーフライ級王者に。WBO世界バンタム級王者にもなり、1R(11秒)でKO防衛したときは世界中の話題となった。)


②モルティ・ムザラネ 7R TKO アンドレア・サリッツ

(IBF世界フライ級タイトル戦、2011年)

「南アのハグラー」モルティ・ムザラネ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ムザラネがタイトル防衛。二度目の防衛戦でジョンリル・カシメロをTKOしたムザラネ。三度目の防衛戦は海外で。挑戦者サリッツはイタリア・サルデーニャ島のクアルトゥ・サンテレナ出身で、これまで32勝(12KO)4敗4分。IBFインター王座、WBOインターコンティネンタル王座(いずれもフライ級)を獲得後、オマール・ナルバエスのWBO世界フライ級王座に二度挑戦したが勝てず(2002年、2003年)。そこから欧州フライ級王座をめぐる戦い。そして三度目の世界挑戦のチャンス。イタリア・カリアリでの一戦。互いにジャブ。しかし、1Rからパワーの差が明らかに。ムザラネの伸びとパワーのワンツー、左フックからの右ストレートにサリッツは押される。サリッツは動きは悪くはないが、普通の選手。ワンツー、左ボディ打ちに良さがあるが、攻撃をブロックされてそれっきり。しかし、ムザラネにも問題。パワフルに攻めるが、ブロックするときは防御に専念する攻防分離型。ただ、かなりのパワーと当てるテクニックがあるため、しっかりブロックしてからでも相手を追い込むことができる。パワーでムザラネ優勢。斜め下からのフックにも迫力。7R、ムザラネがワンツーからの左フック、左ボディ打ち。さらに左ボディが入ったところでサリッツは相手に背を向け戦意喪失。対応に戸惑うレフェリー(試合を止めればいいのか、スタンディングカウントを取ればいいのか、といった感じだった)。セコンドからタオルが投入されて試合終了。ムザラネがパワー&正確な攻撃で勝利。サリッツは実績は申し分なかったが、ムザラネと戦えるレベルではなかった。その後の二人。サリッツは欧州フライ級王座戦を行ったが、勝てず。ムザラネは次の防衛戦にも勝利したが、王座返上(ファイトマネーや待遇に不満があったとか)。ブランク。復帰してIBOフライ級王座獲得。連続防衛。何と2018年に決定戦に勝利してIBF世界フライ級王座に返り咲き。日本で黒田雅之、八重樫東を相手に防衛。そこから間が空いてサニー・エドワーズに判定負け、王座陥落。強かった時期にブランクを作ったのが非常に残念。防衛回数といった数字では測れない強い男だった。)

 

2025年9月1日月曜日

「双子の世界王者」ラウル&ラモン・ガルシア「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界ミニマム、ライトフライ級王者。「ラウル vs. ロンメル・アセンホ」「ラモン vs. ホセ・アントニオ・ヒメネス」を紹介します。


ラウル・ガルシア(メキシコ)

身長163cm:サウスポー


ラモン・ガルシア(メキシコ)

身長174cm:サウスポー


メキシコ・ラパス出身の双子サウスポー、ラウルとラモン(どちらが兄なのかは不明)。1982年9月10日生まれ。ラウルは身長163cmで、デビュー戦は2004年。ラモンは174cmで、2007年。違いはあるが、共に世界王者になった。


ラウル

デビューから連勝。メキシコ王座(ミニマム級)に挑戦してドロー。その後、連勝でメキシコ王座(ミニマム級)獲得、防衛。フローレンテ・コンデス(フィリピン)に2-1で勝利してIBF世界ミニマム級王座獲得。4度の防衛に成功したが、ヌコシナチ・ジョイに3-0で初黒星、王座陥落。WBO世界ミニマム級暫定王座を獲得。正規王者ドニー・ニエテスが王座を返上し、正規王者に格上げ。ロンメル・アセンホと初防衛戦。


①ラウル・ガルシア 3R TKO ロンメル・アセンホ

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2011年)

「双子の世界王者」ラウル&ラモン・ガルシア「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:左フックでアセンホがダウン

(感想:ガルシアがタイトル初防衛。これまで28勝(17KO)1敗1分の王者ガルシア(28歳)。挑戦者アセンホはフィリピン・ピグカワヤン出身のサウスポー。ニックネームは「小さな暗殺者」。キャリア初期に判定負けはあったが、このところWBOオリエンタル王座(ミニマム級)を獲得するなど連勝中。20勝(16KO)で、21歳の若さ。その勢いでガルシアを攻略できるかどうか、といったところ。メキシコシティでの一戦(リングアナはルペ・コントレラス)。サウスポー同士。共に速い右ジャブ。ガルシアは足のスタンスを広く取り、相手から距離を取りながらワンツーからの右フックといったコンビネーション、左ボディ打ち。一発のパワーはそこそこだが、しなうように打つフックにキレがある。アセンホは典型的なフィリピンのサウスポー。一発にパワーを込め、左ストレート、右フック。単発傾向だが、ワンツーにはかなりの威力を感じる。2R、ガルシアの左フックがヒットしてアセンホがグラつく。3R、接近戦。互いに斜め下からのフックを当てる。左フックカウンターでアセンホがダウン。再開後も打ち合い、アセンホが右フックでフラついたところでレフェリーストップ。ガルシアが快勝。ディフェンスしながら巧く隙を突き、勝った瞬間、大喜びだった。アセンホはパワフルだったが、融通が利かないタイプ。相手の柔軟な動きについていけなかった。その後の二人。アセンホは地元で連勝後、メキシコでファン・フランシスコ・エストラーダのWBO世界フライ級王座に挑戦したが、3RでTKO負け。その後もリングに上がり続けたが、それが最後の世界戦に。ガルシアは次の二度目の防衛戦でモイセス・フェンテスに判定負けで王座陥落。その後もリングへ。2016年、ドニー・ニエテスのWBO世界ライトフライ級王座に挑戦したが、TKO負け。それが最後の試合に。獲得した王座はIBFとWBOのミニマム級王座。上の階級では通用しなかった。)

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ラモン

ニックネームは「Principe(貴公子)」。デビュー戦はドロー、プロ四戦目で判定負け。以後、連勝。WBCのインター王座(ライトフライ級)を獲得・防衛。ジョンリル・カシメロを破ってWBO世界ライトフライ級暫定王座獲得。「暫定王座」は「一時的なもの」のはずだが、暫定王座を連続防衛。しかも、もう一人の暫定王者が。ヘスス・ゲレスと暫定王者同士の対戦。これに2-1の敗北。正規王者になったゲレスとメキシコシティで再戦(ダイレクト・リマッチ)。4RでのKOで王座奪取。しかし、ついてない。初防衛戦の相手は強打のドニー・ニエテス。3-0で敗北し、WBO王座陥落。再起戦で今度はWBA王座を狙ったが、WBA世界ライトフライ級王者ローマン・ゴンサレスに4RでKO負け。


②ラモン・ガルシア 3R TKO ホセ・アントニオ・ヒメネス

(ライトフライ級戦、2013年)

「双子の世界王者」ラウル&ラモン・ガルシア「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ゴンサレスにKO負け後、再起二連勝のガルシア。これまで18勝(11KO)4敗1分。10勝(3KO)4敗のヒメネスはコロンビア・マガンゲ出身の黒人。デビュー戦は敗北。南米王座(ミニマム級)、コロンビア王座(フライ級)獲得ならず。このところ二連勝だが、元世界王者相手にどれだけの動きができるか? メキシコ・オコトランでの一戦。ラウルとは違って攻めが粗いラモン。踏み込んで左ストレート、接近して左右フック連打。勢いとパワーはあるが、ガードの甘さが感じられる。ヒメネスは慎重な性格なのか、相手から距離を取って左ジャブ、右ストレートで応戦。左フックに良さがあるが、相手の勢いを警戒して押され気味。2R終わりでヒメネスが棄権(左肩を痛めたらしい)。ガルシアが勢いで勝利。その戦い方が通用する相手には勝てるだろう。ヒメネスはもう少し思い切った攻撃をして欲しかったところ。その後の二人。ヒメネスは連勝してホセ・アルグメドのIBF世界ミニマム級王座に挑戦したが、3RでTKO負け。その後も多くの試合を行ったが、地域王座戦でKO負けするなど敗北を重ねていった。ガルシアはこの次の試合に勝利後、空位のIBF世界ライトフライ級王座を狙ったが、3-0で敗北。さらに四連敗で引退。獲得はWBO世界ライトフライ級王座のみにとどまった。)

 

2025年8月31日日曜日

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界ミニマム、ライトフライ級王者。王座戦のミゲル・テレス戦、ホセ・ルイス・バレラ戦ほかを紹介します。


イヴァン・カルデロン(プエルトリコ)

身長152cm:サウスポー


①イヴァン・カルデロン 9R TKO ミゲル・テレス

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2006年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カルデロンがタイトル防衛。デビューから25連勝(5KO)のカルデロン(31歳)が10度目の防衛戦。挑戦者テレス(28歳)はニカラグア・レオン出身で、17勝(6KO)5敗。ニカラグア王座(ミニマム級)を獲得しているが、WBAの地域王座戦(ミニマム級)は敗北。「ニカラグア代表」といった感じでカルデロンに挑戦。プエルトリコ・グアイナボでの一戦(テレスのセコンドにニカラグアの先輩ロセンド・アルバレス)。左右の構えは違うが、互いにジャブを使いながらストレートを狙う。器用さではやはりカルデロン。右ジャブ、左カウンターを当て、連打(右フックからの左ストレートなど)をまとめる。テレスは力まかせな打ち方で、単発。左フックをかわされるなど空転。5R、少しオーソドックスにチェンジするカルデロン(良い右ストレートを打っていた。勝つためにサウスポーになったのだろうが、オーソドックスの方が強いかもしれない)。テレスは強引に攻めるが、右眉上をカット(バッティング?)。8R、テレスがキズのドクターチェック。9R、カルデロンが速く、細かいパンチ。テレスがキズのドクターチェックを受け、試合終了。カルデロンが相手の負傷で勝利。瞬間的なパワー、動きの機敏さは昔から変わらない。テレスは柔軟さに欠ける力んだ攻め方。相手に逃げられ、細かいパンチを食った。その後、テレスはニカラグアの新しいスター、ローマン・ゴンサレスに二連敗。最後は連敗続きで引退。)


②イヴァン・カルデロン 12R 判定 ホセ・ルイス・バレラ

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2006年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:右フックでバレラがダウン

(感想:カルデロンがタイトル防衛。11度目の防衛戦。挑戦者バレラはベネズエラのエル・ビギア出身。2000年シドニー・オリンピックにライトフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではデビューから連勝後、WBA地域王座戦(ミニマム級)で負傷判定負け、初黒星。そこから連勝でカルデロンに挑戦。コロンビア・バランキージャでの一戦。カルデロンが前進し、得意の右ジャブ、左パンチ。1Rから右フックをヒットさせる。バレラは一発一発にパワーを込め、右ストレート、左フック。4Rには右フックをヒットさせる。しかしながら、バレラは単発傾向。よく動くカルデロンを捉えることができない(カルデロン戦に良くあるパターン。カルデロンはディフェンスが巧く、隙を突くテクニックがある。力む選手、隙を見せる選手ではカルデロンを攻略できない。これまで敗れ去ったチャレンジャーたちはカルデロンの映像を見て研究することなくリングに上がったのだろうか?)。6R、カルデロンに合わせてサウスポーにスイッチしたバレラだが、右フックでダウン。その後はいつものパターン。カルデロンがディフェンス&隙を突くパンチ。挑戦者は力むが、空転。12R終了。判定は大差の3-0。カルデロンが安定の判定パターンで勝利。最早、KO勝ちは期待するまい。バレラは工夫に欠けた。その後のバレラ。再起戦に勝利したが、ローマン・ゴンサレスに1RでKO負け。にもかかわらず、新井田豊のWBA世界ミニマム級王座に挑戦するチャンス。これにKO負け。以後、ラウル・ガルシアとのIBF世界ミニマム級王座戦で二連敗するなど全敗。なぜか世界戦のチャンスを何度ももらえたが、世界王者にはなれなかった。)


③イヴァン・カルデロン 12R 判定 ロナルド・バレラ

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2007年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カルデロンがタイトル防衛。12度目の防衛戦。挑戦者バレラはコロンビア・バランキージャ出身の黒人で、これまで20勝(12KO)2敗1分。デビューから連勝でコロンビア王座(ミニマム級、ライトフライ級)獲得。パナマで初黒星。コロンビア王座(スーパーフライ級)獲得。日本で新井田豊のWBA世界ミニマム級王座に挑戦して判定負け(2006年)。そこから連勝でカルデロンに挑戦。試合地は前回の防衛戦と同じコロンビア・バランキージャ(挑戦者の地元)。いつものように右ジャブ、左カウンター、隙を突く右フックのカルデロン。ドレッドヘアーのバレラは長いパンチを使う男で、ジャブ、ストレート。悪くはないが、長いパンチをかわされ、頻繁に左右にスイッチする中途半端なボクシング。6Rにバレラの右ストレートがヒット。カルデロンがいつものようなパターンで12R終了。セコンドにかつがれて勝利を確信している様子のバレラだが、判定は僅差の2-1(三者とも「115-113」)。映像では競った内容には見えなかったが、バレラの前に出る姿勢が評価されたようだ。個人的には「当てるテクニック」でカルデロンが勝ったと見る。バレラは攻撃の正確さに欠いた。その後、バレラは地域王座は獲得できたが、世界挑戦は失敗に終わった。)


その後のカルデロン

全勝のままWBO世界L・フライ級王者ウーゴ・カサレスに挑戦し、2-1の判定勝ちで二階級制覇。カサレスとの再戦はドローに終わったが、王座を連続防衛。2010年、WBA世界ライトフライ級王者ジョバンニ・セグラと王座統一戦。KO負けでプロ初黒星。再戦もKOで敗北。WBO世界ミニマム級王者モイセス・フェンテスに挑戦したが、王座奪回ならず、引退。「Iron Boy」というほどの凄味はなかったが、「一瞬のパワー」はあった。

 

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界ミニマム、ライトフライ級王者。王座戦のカルロス・ファハルド戦、ダニエル・レイジェス戦ほかを紹介します。


イヴァン・カルデロン(プエルトリコ)

身長152cm:サウスポー


①イヴァン・カルデロン 12R 判定 カルロス・ファハルド

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2004年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カルデロンがタイトル防衛。未だ全勝のカルデロンが5度目の防衛戦。挑戦者ファハルド(23歳)はニカラグア・ムラ出身のサウスポー。デビュー戦に敗北するなどもう一つなキャリア。このところ連勝中の勢いで世界挑戦のチャンス到来。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(4度目の防衛戦に続いて「MGM Grand」。カルデロンはベガスで人気なのだろうか? 「マルコ・アントニオ・バレラ vs. エリック・モラレス」など軽量級の興行で、プロモーターはボブ・アラム。会場ではオスカー・デラ・ホーヤが観戦。レフェリーはトニー・ウィークス)。共にサウスポー。左ストレート、振りが大きいフックで攻めるファハルド。カルデロンは受け身のディフェンシブな試合ぶり。相手の攻撃をかわしてジャブ、左ストレートなどでカウンター。ファハルドの雑な攻めをカルデロンがディフェンスして隙を突く展開。11R、ファハルドが減点(ラフ行為?)。全く盛り上がらないまま12R終了(リングサイドの客はノーリアクションだった。デラ・ホーヤも途中で退席)。判定は大差の3-0。カルデロンが大きな会場でつまらない試合。何が原因なのだろう? 自分の商品価値を下げるような試合運びだった。ファハルドは積極さはあったが、そこまで。ただ、ボディ連打は悪くなかった。その後のファハルド。再起戦でWBCラティノ王座(フライ級)獲得。ウリセス・ソリスとIBF世界ライトフライ級王座挑戦権を争ってTKO負け。日本で 亀田興毅にTKO負け。それが最後の試合となった。)  


②イヴァン・カルデロン 12R 判定 ヘラルド・ベルデ

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2005年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カルデロンがタイトル防衛。これまで22連勝(5KO)のカルデロン(30歳)が7度目の防衛戦。挑戦者ベルデ(20歳)はメキシコ・イスタカルコ出身で、13勝(10KO)1敗。WBCラティノ王座(ミニマム級)の初防衛に成功してカルデロン戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはランディ・ニューマン。元ヘビー級選手で大柄なニューマンが最軽量級の小さい選手の試合を裁く姿は少し面白い雰囲気があった)。この試合のカルデロンは積極的。右ジャブ、左ストレートで前進。ベルデはマイケル・カルバハルのようなタイプ。後ろ髪を少し伸ばして束ねている姿、一発一発にパワーを込める打ち方など。しかしながら、大振りのフックを空振りするなど攻めが単発。カルデロンがディフェンス&コンビネーション(左ストレートからの右フック、右ボディ連打など)でポイント上、優勢。ところが中盤以降、カルデロンは受け身に(コブシを痛めているのか、減量の影響なのか。急にトーンダウンしてつまらない試合に)。ベルデは単発。12R終了。判定は3-0。カルデロンがいわゆる「塩試合(退屈な試合)」で勝利。ベルデはパワーはあったが、継続的な流れるような攻めができない欠点があった。その後のベルデ。WBC・WBOラティノ王座(フライ級)を獲得したが、防衛ならず。勝ったり負けたり後、ブランク。復帰したが、KO負けが続いた(無茶なカムバック。相当ダメージがあるだろう)。)


③イヴァン・カルデロン 12R 判定 ダニエル・レイジェス

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2005年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カルデロンがタイトル防衛。8度目の防衛戦。挑戦者レイジェスはコロンビア人で、身長はカルデロンと同じ152cm(たぶん、間違ったデータ。映像ではもっと背が高く見えた)。リーチは165cmある(カルデロンは160cm)。1996年アトランタ・オリンピックにフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。同年、プロデビュー。コロンビア王座(ミニマム級)を獲得するなど連戦連勝でロベルト・カルロス・レイバと空位のIBF世界ミニマム級王座を争ったが、3-0で初黒星。そこから連勝。エドガル・カルデナスからIBF王座奪取。初防衛戦でレイバにTKOで雪辱。ムハマド・ラクマンに2-1で敗れ、二度目の防衛ならず。再起戦はオマール・ソトとのIBF王座挑戦者決定戦で、3-0の敗北。決定戦でWBCラティノ王座(フライ級)を獲得してカルデロンに挑戦。戦績は34勝(29KO)3敗1分で素晴らしいが、王者の地元でどんな試合を見せるか? プエルトリコ・サンフアンでの一戦(レフェリーはロベルト・ラミレス)。ガードを上げて長い左ジャブ、右ストレートのレイジェス。大きく振るう右フックに迫力。しかしながら、大きなパンチをかわすのはカルデロンの得意技。右ジャブを使いながらディフェンス(時にはクリンチ)し、左ボディストレート、右フックをヒットさせる。連打の回転の速さでカルデロン優勢。10Rには斜め下から絶妙な右フックを決め、客席が沸く。その後もカルデロンがディフェンス&右フック。レイジェスの長い右パンチは空転。12R終了。判定は3-0(ほぼフルマーク)。KOできなかったが、カルデロンはこの試合での動きは良かった。レイジェスはパンチのキレに欠け、ちょこまか動くカルデロンを捉えることはできなかった。その後、レイジェスはWBO世界ミニマム級暫定王座を決定戦で獲得。しかし、初防衛ならず。なかなかのスペック(スリムな身体&長いリーチ)を持ちながら、世界王者としては短命だった。)

 

2025年8月29日金曜日

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界ミニマム、ライトフライ級王者。王座戦のエドガル・カルデナス戦、ロベルト・カルロス・レイバ戦ほかを紹介します。


イヴァン・カルデロン(プエルトリコ)

身長152cm:サウスポー


①イヴァン・カルデロン 12R 判定 リー・サンドバル

(NABOミニマム級王座決定戦、2002年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カルデロンがタイトル獲得。デビューから12連勝(3KO)のカルデロン(27歳)が初の王座戦。サンドバル(32歳)はニカラグア・レオン出身で、19勝(10KO)7敗3分。1993年デビュー。後の世界王者ロセンド・アルバレスに判定負け、ニカラグア王座(ミニマム級)獲得、後の世界王者カルロス・ムリージョにTKO負け、WBCの地域王座(ミニマム級)獲得、ラタナポン・ソーウォラピンのIBF世界ストロー級王座に挑戦してTKO負け。このところニカラグア王座を防衛しているが、WBC米大陸王座戦(ライトフライ級)に敗れるなど勝ったり負けたり。プエルトリコ・カグアスでの一戦(会場ではフェリックス・トリニダードが観戦)。巧さと連打の回転の速さを見せるカルデロン。ワンツーからの右フック、突き上げるように打つ右フックなどで隙を狙う。サンドバルはタフそうな男で、右ストレート、左フックにパワーを込める。しかしながら、力みすぎで、攻撃が単発に終わる。6R、カルデロンが速い連打(ワンツーダブルからの右フック)。その後も手数でカルデロンがポイント上、優勢。12R、これまで強打が空を切っていたサンドバルが右ストレートを決め、カルデロンはクリンチでしのぐ。12R終了。判定は大差の3-0。カルデロンが当てさせないテクニックで勝利。しかし、KO勝利ならず。瞬発力はあるが、相手を制圧するパワー、KOを狙って畳み掛けるパワーに欠けるのが原因。サンドバルは工夫が足りないボクシング。パワーはあったが、カルデロンの柔軟な動きに対応するだけの機敏さに欠けていた。その後、サンドバルはホルヘ・アルセ、ウリセス・ソリスらに連敗で引退。)


②イヴァン・カルデロン 11R KO エドガル・カルデナス

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2004年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

11R:右ボディでカルデナスがダウン

(感想:カルデロンがタイトル防衛。WBO世界ミニマム級王者エドゥアルド・レイ・マルケスを負傷判定で下して王座を獲得したカルデロン。これまで18連勝(3KO)。3度目の防衛戦の相手は元世界王者。カルデナスはメキシコのニコラス・ロメロ出身で、30勝(16KO)11敗2分。1991年デビュー。北米王座、メキシコ王座、NABO王座、WBC米大陸王座(全てライトフライ級)を獲得した後、初の世界挑戦でIBF世界ミニマム級王座獲得。しかし、ダニエル・レイジェスにTKO負けで初防衛ならず。その再起戦でカルデロンに挑戦。ところがカルデナスが体重超過。「カルデロンが勝った場合は王座防衛、カルデナスは勝っても王座無し」の条件に。プエルトリコ・グアイナボでの一戦。ワンツー、左フックで攻めるカルデナス。右ストレートを当てようと狙うが、打ち終わった後に隙ができる欠点。カルデロンは例によってディフェンスしながらワンツー、斜め下からの右フック、左ストレートからの右ジャブ。相手の隙を突くカウンターが時折ヒットする。一方、攻めるが当てさせてもらえないカルデナス。11R、右ボディでダウン。ヒザをキャンバスに着いたまま10カウントを聞いた。カルデロンが珍しくKO勝利。「一発のパワー」はあることを証明。カルデナスは動きやパンチのキレに問題。力強く前に出たが、標的になってしまった。これが最後の試合に。)


③イヴァン・カルデロン 12R 判定 ロベルト・カルロス・レイバ

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2004年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カルデロンがタイトル防衛。29歳のカルデロンが4度目の防衛戦。挑戦者レイバ(24歳)はメキシコ・ソノラ出身のサウスポーで、これまで23勝(20KO)3敗1分。WBCユース王座(ミニマム級)、NABO王座(ライトフライ級)を獲得後、IBF世界ミニマム級王者に。ミゲル・バレラに王座を奪われ、王座奪回を目指したがバレラ、新王者ダニエル・レイジェスにKO負け。標的をWBO王座に。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(エリック・モラレス、ラファエル・マルケスが登場した軽量級の興行。フリオ・セサール・チャベスがジュニアの試合の応援。会場ではプロモーターのボブ・アラムが観戦。リングアナはマイケル・バッファ)。サウスポー同士。ガードを上げて右ジャブ。足でリズムを取るレイバはオスカー・デラ・ホーヤのような動き。1Rに早くもバッティングでカルデロンが負傷。接近戦。ディフェンスしながらフックでの打ち合い。やや振りが大きめのレイバは力強いがディフェンスされて、カルデロンが細かいパンチを当てる。しかし、8Rに十八番の「ワンツーからの右フック」を出したカルデロンだが、全般的にディフェンシブ。大きな舞台にしては消極的な試合ぶりで12R終了。判定は3-0。カルデロンがテクニックで勝利。レイバは空転。昔はラスベガスのリングサイドの観客はメインイベントしか観戦しないということがよくあったが、この試合の時点ではお客は結構入っていた。この試合を観たベガスのファンはどう思っただろう? 個人的には「最軽量級とは思えない」と思うようなエキサイティングなものではなかったように見えた。その後のレイバ。エドガル・ソーサにTKO負けでWBC世界ライトフライ級王座奪取ならず。敗北を重ね、ラストファイトはウィルフレド・バスケス・ジュニアに3RでKO負けだった。)

 

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界ミニマム、ライトフライ級王者。若手時代のホセ・マヌエル・ラミレス戦、アルベルト・ロセル戦ほかを紹介します。


イヴァン・カルデロン(プエルトリコ)

身長152cm:サウスポー


①イヴァン・カルデロン 6R 判定 ホセ・マヌエル・ラミレス

(ライトフライ級戦、2001年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:プエルトリコ・グアイナボ出身のカルデロン。身長152cmながらニックネームは「Iron Boy」。アマチュアで実績。シドニーオリンピック(2000年)にライトフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロ入り後、これまで4連勝(2KO)。ラミレスはメキシコ・モレロス出身。1995年にファーラン・ルークミンクワンとWBF王座(フライ級)を争って判定負け。以来、試合数が減り、グレン・ドネアにKO負けするなど敗北が増えていっている状況。プエルトリコ・サンフアンでの一戦(リングアナはルペ・コントレラス)。童顔のカルデロン(フロイド・メイウェザー・ジュニアに似ている)。攻めの姿勢で右ジャブ、左ストレート、フック(斜め下から打つ場合も)、アッパー。口ヒゲのラミレスは身長で上回るが、攻められて応戦する形。3R、右フックをクリーンヒットさせたカルデロンだが、ボディ打ちがローブローに。4R、ラミレスが右フックを決め、カルデロンが後退するピンチ。その後も互いにディフェンス、攻めるカルデロン。6R終了。判定は3-0。カルデロンが攻勢点で勝利。ただ、あまり打たれ強くはなさそう。ラミレスは相手の手数に押され気味だったが、ディフェンス&打ち返す気の強さがあった。しかし、次の試合にKO負けで引退。)


②イヴァン・カルデロン 6R 判定 アルベルト・ロッセル

(ライトフライ級戦、2001年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ストレートでロッセルがダウン

2R:右ストレートでカルデロンがダウン

(感想:ラミレス戦の次の試合。ロッセルはペルー・ウアラル出身。身長は155cmで、カルデロンと同じくらい。 後の世界ミニマム級王者ダニエル・レイジェスにTKOで初黒星。アメリカでの再起戦に勝利してカルデロン戦。プエルトリコ・カロリーナでの一戦。1R、相手から距離を取りながら左ストレートを伸ばすカルデロン。接近戦では連打。ロッセルは小さいが、ガッチリした身体。思い切りのいい打ち方で右ストレート、左フック。器用さではカルデロンが上。左ストレートでロッセルがダウン。2R終了間際にハプニング。左フックからの強烈な右ストレートでカルデロンがダウン。3R、ロッセルが左目下をカット(バッティング?)、ドクターチェック。その後、カルデロンが先手を取る展開で6R終了。判定は3-0。ディフェンス&当てるテクニックでカルデロン勝利。ダウンを食ったが、いいパンチ。むしろ打ち返して挽回したため、評価が下がることはあるまい。ロッセルは攻めのバリエーションに乏しかったのが惜しい。その後、ロッセルは多くの試合。地元では強かったが、敵地で苦戦。2012年にWBA世界ライトフライ級暫定王座を獲得。正規王者に格上げ。5度目の防衛戦で初来日。田口良一に3-0で王座を明け渡した。)


③イヴァン・カルデロン 8R 判定 マイク・トーマス

(ライトフライ級戦、2002年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:連勝を続けるカルデロン(24歳)。トーマスはアメリカの黒人。判定で初黒星以来、試合間隔が長め。ブライアン・ビロリアと四回戦を行い、判定負け。その再起戦でカルデロンと勝負。プエルトリコ・カグアスでの一戦(レフェリーはロベルト・ラミレス。カルデロンのセコンドにあのウィルフレド・バスケス)。口ヒゲ&スキンヘッドのトーマス(マービン・ハグラーに似た雰囲気)。スリムな身体で前進し、力強い左ジャブ、右ストレートを打つ。カルデロンはなかなか器用。トーマスの強い攻撃をディフェンス&クリンチで阻止し、左カウンター、右フック、ボディ打ち。頑張って攻めるトーマスだが、当てさせてもらえない。8R終了。判定はフルマークの3-0(80-72)。カルデロンは実に巧い。力強く攻めて空転するトーマスが気の毒に思えたほどだった。トーマスは次の試合でTKO負けして引退。もっと活躍できるだけの強さがあったが・・・。)


④イヴァン・カルデロン 10R 判定 アレハンドロ・モレノ

(ライトフライ級戦、2002年)

「小さな鉄人」イヴァン・カルデロン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでモレノがダウン

(感想:連勝のカルデロン。モレノはメキシコ・シウダードファレス出身の中堅どころ。1997年デビュー。6回戦、8回戦を戦ってきた。王座戦の経験はないようだ。オクラホマ州コンチョでの一戦。スキンヘッドのモレノ。力強いワンツー、左フック。しかし、1R早々、右フックでダウン。その後、慎重姿勢でワンツーを主に出すモレノ。カルデロンはディフェンスしながら踏み込んで左ストレート、接近戦でフックを時折ヒットさせる。そのパターンで10R終了。判定は大差の3-0。柔軟な動きで勝利したカルデロン。小さい身体ながら強いパンチを持っているが、「KOするパワー」に欠けるのが残念。モレノは攻めが単調。また、真っ直ぐ攻めるクセもあり、攻撃をかわされて隙を突くパンチを打たれた。その後のモレノ。再起戦でブライアン・ビロリアと北米王座戦(フライ級)を行い、判定負け。ウーゴ・フィデル・カサレス戦、NABA王座戦(フライ級)に判定負け。負けの方が多いキャリアとなったが、2024年までリングに上がった。)

 

2025年8月28日木曜日

「メキシコの人間風車」ジョバンニ・セグラ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界ライトフライ級王者。世界王者になる前&王座陥落後の試合。ウィルフリド・バルデス戦、エルナン・マルケス戦を紹介します。


ジョバンニ・セグラ(メキシコ)

身長163cm:サウスポー


①ジョバンニ・セグラ 1R KO ウィルフリド・バルデス

(フライ級戦、2007年)

「メキシコの人間風車」ジョバンニ・セグラ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ボディでバルデスがダウン

(感想:メキシコ・ゲレーロ州出身のセグラ。15歳でボクシングを始める。アマチュアを経験。プロではアメリカを主戦場にIBA王座、北米王座(いずれもライトフライ級)を獲得。これまで18勝(14KO)1分で、無敗。年齢は25。バルデスとノンタイトル戦。バルデス(29歳)はコロンビア・カルタヘナ出身の黒人。コロンビア王座(ミニマム級、ライトフライ級)を獲得するなど国内では強く、WBCラティノ王座(ミニマム級)も獲得。しかし、ウーゴ・フィデル・カサレスのWBO世界ライトフライ級王座に挑戦して2RでTKO負け。その再起戦でセグラと勝負。イリノイ州シセロでの一戦(リングアナはルペ・コントレラス)。長いパンチを使うセグラ。ジャブ、ストレート、ロングフック。オーソドックスでスタート後、サウスポーにスイッチ。バルデスは左のガードを下げた構えからパワーを込めて右ストレート、フック。斜め下から左フックを当てるなど腕力だけの選手ではない。ところが左ボディ一撃でダウン。立とうとするが、カウントアウト。セグラがカウンターのボディ打ち一発で勝利。振りの大きいフックは雑な印象もあったが、当てる巧さがあった。バルデスは鍛えられた身体でパンチ力を感じる試合ぶりだったが、一発で敗北。意外な打たれ弱さがあるのかもしれないが、最後のパンチはなかなか強烈だったため「打たれ弱い」とまでは言えない。その後のバルデス。自信を無くしたのか、さらに連敗して絶不調。ラストファイトはルイス・コンセプシオンにパナマシティで1RでKO負けだった。)


その後のセグラ 

バルデス戦の次の試合でセサール・カンチラとWBA世界ライトフライ級暫定王座を争ったが、判定負けで初黒星。メキシコでダイレクト・リマッチを行い、暫定王座獲得。正規王者に格上げされてソニー・ボーイ・ハロを1RでKO防衛するなど好調。WBO世界ライトフライ級王者イヴァン・カルデロンと王座統一戦を行い、KO勝ち(王座統一)。WBO王座を懸けたカルデロンとの再戦もセグラがKO勝利。しかし、ここまで。ブライアン・ビロリアのWBO世界フライ級王座に挑戦してTKO負け、二階級制覇ならず。エドガル・ソーサに敗北、ジョナサン・ゴンザレスをKOしてWBOラテンアメリカ・フライ級暫定王座獲得。元WBA世界フライ級王者エルナン・マルケスとWBO世界フライ級王座挑戦者決定戦。


②ジョバンニ・セグラ 12R KO エルナン・マルケス

(WBO世界フライ級王座挑戦者決定戦、2013年)

「メキシコの人間風車」ジョバンニ・セグラ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:右フックでマルケスがダウン

11R:右フックでマルケスがダウン

12R:左フックでマルケスがダウン

(感想:セグラが挑戦権獲得。31歳のセグラが挑戦者決定戦に出場。マルケス(25歳)はメキシコ・ソノラ出身のサウスポー。ニックネームは「タイソン」(パンチ力&タフネスの男)。これまで36勝(26KO)3敗。WBCアメリカ王座(フライ級)を獲得するなどデビューから連勝だったが、ノニト・ドネアらに二連敗。ルイス・コンセプシオン(パナマ)をTKOしてWBA世界フライ級王者に。防衛にも成功。WBO王者ブライアン・ビロリアとの王座統一戦にTKO負け。再起二連勝でセグラと勝負。元世界王者同士のサバイバル。メキシコ・エルモシージョでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。共にサウスポー。ガッチリした身体のマルケス。スリムな体型で、ヒラヒラしたトランクスのセグラ。互いに右ジャブ、左ストレート、フック、ボディ打ち。1Rからセグラは右フックを当てるなど積極的に攻める。マルケスはパワーで応戦。時折強打を食うセグラだが、ひるまず前進(タフな戦いぶり)。4R、右フックでマルケスがヒザを着くダウン。5R、マルケスが左ストレートで逆襲。11R、セグラの勢いに押されるマルケス。ロープにもたれたところに右フックを打ち込まれてダウン。12R、このまま判定かと思われたが、左フックでマルケスがダウン。立てず、KO。セグラがタフなマルケスを完全に粉砕。強打を食う危ないシーンがあったが、この試合ではタフネスを感じる攻めっぷりだった。マルケスは根負け。セグラのタフさに押し切られた。その後の二人。セグラはファン・フランシスコ・エストラーダのWBA・WBO世界フライ級王座に挑戦したが、TKO負けで王座獲得ならず(2014年9月)。フライ級では通用しなかった。マルケスもまたエストラーダに挑戦したが、KO負け(2015年9月)。セグラは2016年に引退したが、マルケスは2023年までリングに上がった。)

 

2025年8月27日水曜日

「タイのヒットマン」デンカオセーン・カオウィチット「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界フライ級王者。ルイス・コンセプシオン戦(暫定王座戦)、パンカ・シラバン戦(PABA王座戦)を紹介します。


デンカオセーン・カオウィチット(タイ)

身長161cm:オーソドックス(右構え)


①ルイス・コンセプシオン 1R KO デンカオセーン・カオウィチット

(WBA世界フライ級暫定タイトル戦、2010年)

「タイのヒットマン」デンカオセーン・カオウィチット「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フック、右フック、左フックで3度、デンカオセーンがダウン

(感想:コンセプシオンがタイトル防衛。タイ・サムイ島出身のデンカオ。身長は161cmで大きくないが、伸びのあるストレートを打つスタイルはトーマス・ヒットマン・ハーンズの雰囲気。デビュー戦がPABAフライ級王座決定戦で、王座獲得(大変な天才ぶり。結局、この王座は返上するまで18度も防衛)。しかし、全勝のままWBA世界フライ級王者エリック・モレルに挑戦したが、11RでKO負け(2002年)。タイ人特有の「真っ直ぐ攻めるクセ」があり、動きが多彩でパンチの回転が速い柔軟なモレルにやられてしまった。その後もPABA王座戦。日本で坂田健史のWBA世界フライ級王座に挑戦するチャンスを得たが。引き分け(2007年)。二度目の坂田への挑戦はおそらくベストファイト。2RでのKO でようやく世界王者に(2008年)。久高寛之、亀田大毅を相手に防衛。亀田との再戦で判定負け、王座陥落。再起二連勝(PABA王座戦)。これまで50勝(20KO)2敗1分で、34歳。暫定王座に挑戦するチャンス。王者コンセプシオン(パナマシティ出身)は21勝(16KO)1敗で、24歳。決定戦でWBA世界フライ級暫定王者に。これが三度目の防衛戦。パナマシティでの一戦。ワンツーにキレがあるコンセプシオン。デンカオセーンはジャブ、左フックを出すが、残念なことにスピード感に欠ける動き。左フックで早くもダウン(滑ったようなダウン)。立ったが、右フックで二度目(これも滑ったようなダウン)。三度目のダウンは強烈。右アッパーからの左フックで文句無しのダウンで、スリーノックダウン。コンセプシオンが圧勝。デンカオセーンは動きが重かった。かつて坂田を2Rで仕留めたときは「強い王者が誕生した」と思ったものだが、この人は波がありすぎる。その後のコンセプシオン。正規王者に昇格したが、エルナン・マルケスに敗れて王座陥落。WBA世界スーパーフライ級暫定王座を獲得。正規王者の河野公平に勝利して正規王者に昇格。)


②デンカオセーン・カオウィチット 2R KO パンカ・シラバン

(PABAスーパーフライ級タイトル戦、2011年)

「タイのヒットマン」デンカオセーン・カオウィチット「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:右ストレートでシラバンがダウン

(感想:デンカオセーンがタイトル初防衛。コンセプシオンに敗れた再起戦でPABAスーパーフライ級暫定王座決定戦に出場したデンカオセーン。TKOで王座獲得。シラバンと初防衛戦。シラバンはインドネシア人。デビューから連勝だったが、初の海外試合でTKO負け。インドネシア・フライ級王者になったが、日本でKO負け。以来、WBCアジア王座戦でKO負けするなど敗北が増えていっている状況。タイ・パユハキーリーでの一戦。共に同じぐらいのスピード(あまり速くない)。そうなるとデンカオセーン有利。ジャブ、右ストレート、左フックダブル、左ボディ打ちで優勢。シラバンは振り大きめの左フックを空振りしたり、手が出なくなったり。2R、左ボディからの右ストレートでシラバンがダウン。立てず、KO。デンカオセーンがパワーで圧勝。どうやら動きの速い相手にはついていけないが、パワーを活かせる相手には勝てるようだ。シラバンは攻めも守りもイマイチ。その後、数試合。ラストファイトは日本でKO負けだった。)


その後のデンカオセーン

PABA王座を連続防衛。タイで名城信男を2-1で下してWBA世界スーパーフライ級暫定王座獲得。その次の試合は日本で。河野公平とWBA世界スーパーフライ級王座決定戦を行い、KO負け。それが最後の世界戦に。パンカ・シラバンと同様、ラストファイトは日本でKO負け。世界戦よりPABA王座戦がメインのキャリアだった。