2025年9月2日火曜日

「南アのハグラー」モルティ・ムザラネ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界フライ級王者。IBF王座防衛戦のゾラニ・テテ戦、アンドレア・サリッツ戦を紹介します。


モルティ・ムザラネ(南アフリカ共和国)

身長161cm:オーソドックス(右構え)


モルティ・ムザラネ 5R TKO ゾラニ・テテ

(IBF世界フライ級タイトル戦、2010年)

「南アのハグラー」モルティ・ムザラネ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:連打、左ストレートで2度、テテがダウン

(感想:ムザラネがタイトル初防衛。南アフリカ・ハウテン出身のムザラネはスキンヘッドの黒人(「小型ハグラー」といった印象)。しかし、ニックネームはその童顔な風貌から「Babyface」。デビューから連戦連勝だったが、15戦目で初黒星(ダブルタイトル戦。南アフリカ王座、WBCインター王座(フライ級)獲得ならず)。その後は快調。一度失敗したその二つの王座を獲得。しかし、上には上が。ノニト・ドネアのIBF世界フライ級王座に挑戦して負傷TKO負け(2008年)。決定戦でIBF王者に。テテと初防衛戦。挑戦者テテは南アフリカ・ムダントサネ出身の黒人。何と身長175cm。しかもサウスポー。デビューから全勝。WBFフライ級王座を防衛してきたが、メジャー団体の王座を狙う。南アフリカ・ブラックパンでの一戦。ボクサータイプのテテ。相手から距離を取ってシャープで伸びのある右ジャブ、左ストレート。フックにもキレがあり、まるで「サウスポーのトーマス・ハーンズ」といった雰囲気。しかし、ムザラネはその上を行く。スキンヘッドでハグラーのようだが、戦いぶりはアイラン・バークレーといった感じ。ブロックを固めて前進し、パワーを込めた右ストレート、フック。攻めるムザラネ、応戦するテテ。3R、右パンチを食ってテテがバランスを崩すなどパワーでムザラネ優勢。5R、コーナー付近でのフック連打でテテがダウン。立ったが、またしてもコーナーに追い込まれて左ストレートでダウン。再開後、コーナーでムザラネが猛烈な連打、レフェリーストップ。ムザラネが強打&ブロックで快勝。南アフリカの黒人ボクサーはスピードを生かすテクニシャンタイプが多いが、ムザラネは「KOを狙うタイプ」。何とも凄まじい破壊力を見せた。テテは素晴らしい素質を持っているが、身体全体のパワーで及ばず。背が高すぎるのだろう。その後、テテは重要な試合を落としながらもIBF世界スーパーフライ級王者に。WBO世界バンタム級王者にもなり、1R(11秒)でKO防衛したときは世界中の話題となった。)


モルティ・ムザラネ 7R TKO アンドレア・サリッツ

(IBF世界フライ級タイトル戦、2011年)

「南アのハグラー」モルティ・ムザラネ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ムザラネがタイトル防衛。二度目の防衛戦でジョンリル・カシメロをTKOしたムザラネ。三度目の防衛戦は海外で。挑戦者サリッツはイタリア・サルデーニャ島のクアルトゥ・サンテレナ出身で、これまで32勝(12KO)4敗4分。IBFインター王座、WBOインターコンティネンタル王座(いずれもフライ級)を獲得後、オマール・ナルバエスのWBO世界フライ級王座に二度挑戦したが勝てず(2002年、2003年)。そこから欧州フライ級王座をめぐる戦い。そして三度目の世界挑戦のチャンス。イタリア・カリアリでの一戦。互いにジャブ。しかし、1Rからパワーの差が明らかに。ムザラネの伸びとパワーのワンツー、左フックからの右ストレートにサリッツは押される。サリッツは動きは悪くはないが、普通の選手。ワンツー、左ボディ打ちに良さがあるが、攻撃をブロックされてそれっきり。しかし、ムザラネにも問題。パワフルに攻めるが、ブロックするときは防御に専念する攻防分離型。ただ、かなりのパワーと当てるテクニックがあるため、しっかりブロックしてからでも相手を追い込むことができる。パワーでムザラネ優勢。斜め下からのフックにも迫力。7R、ムザラネがワンツーからの左フック、左ボディ打ち。さらに左ボディが入ったところでサリッツは相手に背を向け戦意喪失。対応に戸惑うレフェリー(試合を止めればいいのか、スタンディングカウントを取ればいいのか、といった感じだった)。セコンドからタオルが投入されて試合終了。ムザラネがパワー&正確な攻撃で勝利。サリッツは実績は申し分なかったが、ムザラネと戦えるレベルではなかった。その後の二人。サリッツは欧州フライ級王座戦を行ったが、勝てず。ムザラネは次の防衛戦にも勝利したが、王座返上(ファイトマネーや待遇に不満があったとか)。ブランク。復帰してIBOフライ級王座獲得。連続防衛。何と2018年に決定戦に勝利してIBF世界フライ級王座に返り咲き。日本で黒田雅之、八重樫東を相手に防衛。そこから間が空いてサニー・エドワーズに判定負け、王座陥落。強かった時期にブランクを作ったのが非常に残念。防衛回数といった数字では測れない強い男だった。)

 

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