IBF世界ライトフライ級王者。世界王者になる前のカルロス・タマラ戦、ジャン・ピエロ・ペレス戦ほかを紹介します。
ミラン・メリンド(フィリピン)
身長157cm:オーソドックス(右構え)
①ミラン・メリンド 10R 判定 カルロス・タマラ
(フライ級戦、2010年)
(感想:フィリピン・ミンダナオ島のカガヤン・デ・オロ出身のメリンド。そのパワーから「Milenyo(ミレニオ:かつてフィリピンを襲った大型台風の名)」と呼ばれる。6歳でボクシングを始め、アマチュアで優秀な成績。2005年にプロデビュー。WBCやWBOの地域王座などを獲得し、これまで22連勝(7KO)。21勝(15KO)5敗2分のタマラはコロンビア・シンセレホ出身。2004年のアテネ・オリンピックにライトフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロデビューから連勝でWBCラティノ王座(フライ級)を獲得したが、次の試合で判定負け。再起戦でジョバンニ・セグラにも判定負けで二連敗。地域王座戦に勝利後、オマール・ナルバエスのWBO世界フライ級王座に挑戦して判定負け。ブライアン・ビロリアのIBF世界ライトフライ級王座に挑戦して、TKO勝ち。しかし、初防衛ならず。その再起戦でメリンドと対戦。フィリピン・セブでの一戦(レフェリーはブルース・マクダビッシュ。アジアでのWBC関連試合をよく裁いていることでおなじみ)。共に速いジャブ。タマラは南米の選手らしいスタイル。距離を取ってシャープなジャブ、ワンツーからの左ジャブ、左フックからの右ストレート、左ボディ打ち。しかしながら、真っ直ぐ攻めるクセ。パワーで上回るメリンドはブロックしながら隙を突く強打(右ストレート、左フックにパワー)。接近戦で手数を出すタマラだが、メリンドがブロック&強打。10R終了。判定は3-0。メリンドが隙を突く強打で勝利。当てる巧さがあった。タマラはシャープなパンチだったが、パワー負け。上位陣との対戦で不安定なのを物語る試合ぶりだった。その後、タマラはエルナン・マルケスとのWBO世界フライ級王座挑戦者決定戦に敗北し、世界戦はなかった。)
②ミラン・メリンド 1R KO ロセンド・ベガ
(フライ級戦、2011年)
(ダウンシーン)
1R:右ボディ、右アッパーで2度、ベガがダウン
(感想:23歳のメリンド。タマラ戦の次の試合。ベガ(33歳)はメキシカン。これまで17勝(11KO)6敗。デビューから二連敗。日本で判定負け、WBCラティノ王座(フライ級)に挑戦して1RでKO負け。直前の試合は日本で亀田大毅に判定負け。セブでの一戦(レフェリーはブルース・マクダビッシュ)。攻めの姿勢のメリンド。ジャブ連打からの左フック、右ストレート。ベガは慎重にガードを上げてジャブ、ストレート、大振りのフック。動きのスピードに欠け、大振りのフックにはキレがない。メリンドの強烈な右フックがヒット。右ボディでベガがダウン。立ったが、左フックからの右アッパーで二度目のダウン。座ったまま10カウントを聞いた。メリンドがパワーで圧勝。勝負はやってみないとわからないが、この程度の相手と試合するのは時間の無駄。ベガは右ストレートはまずまずだったが、全体的なスピード感に乏しかった。これが最後の試合に。)
③ミラン・メリンド 12R 判定 ジャン・ピエロ・ペレス
(WBOインターナショナル・フライ級タイトル戦、2012年)
(感想:メリンドがタイトル初防衛。決定戦でインター王者になったメリンドが初防衛戦。挑戦者ペレスはベネズエラ人。パナマが主戦場で、デビューもパナマ。これまで19勝(14KO)4敗1分。カルロス・ムリージョにKO勝ち、ラファエル・コンセプシオンに2-1の敗北とTKO負け。決定戦でWBA世界フライ級暫定王座を獲得したが、ファン・カルロス・レベコに2RでKOされて初防衛ならず。再起戦に勝利し、メリンドに挑戦。セブでの一戦(レフェリーはブルース・マクダビッシュ)。パワフルなメリンド。この試合では左フックにパワーがあり、左フック連打(ボディからアゴへ)、左右フックボディ打ちに迫力。ペレスはボクサータイプで、スタイリッシュなボクシング。ジャブ、ワンツーからの左フック、左ボディ打ち、手数で勝負。互いに器用さ&ディフェンス。接近戦ではパワーと手数の勝負。12R終了。判定は2-0。パワーでメリンド。ペレスはバランスの良い選手だったが、「ナチュラルなパワー」という点でメリンドには及ばなかったか。その後のペレス。日本で井岡一翔にKOされるなど試合間隔が長めになっていった。)
その後のメリンド
全勝のままフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)のWBA・WBO世界フライ級王座に挑戦したが、3-0で判定負け。ハビエル・メンドサ(メキシコ)のIBF世界ライトフライ級王座への挑戦も失敗。ファーラン・サックリンJr(タイ:日本で宮崎亮をぶっ倒した男)との決定戦でIBF世界ライトフライ級暫定王座獲得(正規王者の八重樫東が負傷したことにより暫定王座が設定された)。八重樫と正規王座と暫定王座の統一戦を行い、1RでTKO勝利。初防衛に成功したが、WBA王者の田口良一との統一戦に判定負け、王座陥落。拳四朗のWBC世界ライトフライ級王座に挑戦して7RでTKO負け(2018年)。新鋭の中谷潤人にもTKO負け。腕っぷしは間違いなく強かったが、上位陣とは苦戦が続いた。



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