世界J・ライト級王者。IBF王座防衛戦のジョニー・デラ・ローサ戦、ハロルド・ナイト戦を紹介します。
ロッキー・ロックリッジ(アメリカ)
身長169cm:オーソドックス(右構え)
①ロッキー・ロックリッジ 10R TKO ジョニー・デラ・ローサ
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1987年)
(ダウンシーン)
3R:左フックでロックリッジがダウン
10R:右フックでデラ・ローサがダウン
(感想:ロックリッジがタイトル初防衛。バリー・マイケル(オーストラリア)をTKOしてIBF王者になったロックリッジが初防衛戦。挑戦者デラ・ローサはドミニカの黒人。ドミニカでプロデビュー後、主戦場をアメリカへ。全勝のままファン・ラポルテのWBC世界フェザー級王座に挑戦したが、2-1の敗北(ロックリッジはラポルテに強烈なKO負けをしたことがある)。その後、アントニオ・エスパラゴサ(後のWBA世界フェザー級王者)にTKO負けしたが、WBC米大陸J・ライト級王座奪取。ジャッキー・ビアード(後、ブライアン・ミッチェルのWBA世界J・ライト級王座に挑戦して敗北)相手に防衛成功。連勝の勢いでロックリッジに挑戦。アリゾナ州ツーソンでの一戦(TVテロップになぜか「IBF」ではなく「IFB」)。クロンクジム所属のデラ・ローサ(金色トランクス)。クロンクの選手らしいジャブ連打、ワンツー。ワンツーからの左ジャブといったテクニックも披露。ロックリッジは昔から変わらない。ひたすら相手に接近してジョー・フレージャーまたはケン・ノートンばりにフックを打ち込む。ただ、攻めが単調なせいか、クリンチされてもみ合うシーンも。3R終了間際にハプニング。左フックでタフなロックリッジがダウン。それでも打って出るロックリッジ。6R、デラ・ローサの左フックが連続ヒット。ロックリッジはタフネスで打ち返す。10R、ロックリッジの強烈な右フック、左フックが立て続けにヒットし、右フックでデラ・ローサがダウン。立ったが、朦朧。レフェリーストップ。ロックリッジが逆転勝利。タフネスとパワーで勝てたが、デラ・ローサの正確なパンチをマトモに食うシーンも。デラ・ローサはややテクニック指向。ボクシングとケンカは別物だが、闘争心で押し切られた印象。その後、デラ・ローサはブランクがちにリングに上がり、ダンデ・フォスター、ホルヘ・パエスらに敗北。)
②ロッキー・ロックリッジ 15R 判定 ハロルド・ナイト
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1988年)
(感想:ロックリッジがタイトル防衛。29歳のロックリッジ。デラ・ローサ戦の次の試合はIBF王座の二度目の防衛戦。挑戦者ナイト(24歳)はニュージャージー州の黒人。アマチュアで好成績。プロではこれまで全勝。全米J・ライト級王座を獲得、防衛。このところ連続KO勝ち。ただ、相手は中堅どころが多い。アトランチックシティでの一戦(リングアナは名物男エド・デリアン。ロックリッジのセコンドにルー・デュバ)。器用なナイト。突き刺すように左ジャブを連打し、ワンツーからの左フック。しゃくるようなフックに迫力。ロックリッジは無骨な攻めで接近戦を仕掛ける。フックの応酬が続く。ナイトが強いパンチと軽めのパンチを使い分ける。ロックリッジはどのパンチも全力。ただ、この試合ではパンチと動きのキレがもう一つ。どちらかが一方的になるシーンがないまま15R終了。判定は3-0。映像では互角に見えたが、ロックリッジがパワー、当てる巧さで微妙に上回ったようだ。ただ、パッとしない動き。歴戦の疲れがあったか。善戦のナイト。脳の検査に引っかかり、これが最後の試合に。引退後はトレーナーに転身し、レノックス・ルイスらを指導。2000年、ニュージャージー州のボクシング殿堂入り。ロックリッジは次の防衛戦で新鋭トニー・ロペスに判定負け、王座陥落。王座を懸けた再戦もロペス勝利。再起戦に勝利して引退したが、1992年にカムバック。後の世界王者ラファエル・ルエラス、シャンバ・ミッチェルに判定負けで引退。 引退後はつらい状況。2019年、身体の不調により死去(享年60)。)