2025年9月7日日曜日

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界三階級制覇王者。世界戦のイシドロ・ガルシア戦、ファン・ドミンゴ・コルドバ戦、Z・ゴレス戦を紹介します。


フェルナンド・モンティエル(メキシコ)

身長163cm:オーソドックス(右構え)


フェルナンド・モンティエル 7R TKO イシドロ・ガルシア

(WBO世界フライ級タイトル戦、2000年)

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:ワンツーでガルシアがダウン

3R:右フックでガルシアがダウン

6R:左フックでガルシアがダウン

7R:右フック、連打で2度、ガルシアがダウン

(感想:モンティエルがタイトル獲得。小柄ながら腕っぷしが強かったモンティエル。メキシコのロス・モチス出身で、ニックネームは「Cochulite(狼)」。「兄弟ボクサー」で、兄アレハンドロは世界ランカー、父もプロボクサーだった(トレーナーとして息子をサポート)。強豪ホルヘ・アルセとは友人で、一緒に練習してきたという(強くなるのが当たり前、といった環境)。16歳でプロデビュー。WBAアメリカ王座(スーパーフライ級)を獲得したり、クルス・カルバハルを破ったりで、これまで無敗。初の世界挑戦。王者ガルシアもメキシコ(ビヤ・ゲレロ出身)。身長160cm。主戦場はアメリカ。デビューから連勝。NABOフライ級王座に挑戦してTKO負け、初黒星。同王座を獲得、連続防衛。決定戦でWBO王者に。モンティエル戦は二度目の防衛戦。メキシコのシウダード・オブレゴンでの一戦。互いにジャブ。右ストレート、左フックにパワーを込めるガルシアだが、狙いすぎの傾向。モンティエルはアップライトな構えからジャブ連打、ストレート、フック。真っ直ぐ攻めるタイプだが、正確に当てていこうとし、ディフェンス(ブロック、バックステップ、首を振ってパンチをかわす小技)もしっかり。2R、ワンツーでガルシアがダウン。3Rには左フックからの右フックでダウン。4R、ガルシアの左フックが当たり、モンティエルは足で距離を取りながらジャブ中心に。6R、左フックが効いたガルシア。左フックでダウン。7R、ジャブ連打からの右フック、連打でガルシアが二度ダウン。セコンドからタオル投入で試合終了。終わってみればモンティエルの圧勝。正確に当てるボクシングだが、パワーを感じるシーンもあった。ガルシアは一発にパワーを入れすぎ。地道に相手を追い込む攻めができないタイプか? 力んだ右ストレート、左フックをかわされるシーンが目立った。その後、ガルシアはWBA世界フライ級王者エリック・モレルに挑戦して3-0の敗北、IBAフライ級王座を決定戦で獲得、WBA世界スーパーフライ級暫定王者ホルヘ・アルセに挑戦してTKO負け。トップには及ばなかった。)


フェルナンド・モンティエル 1R KO ファン・ドミンゴ・コルドバ

(WBO世界フライ級タイトル戦、2001年)

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックで2度、コルドバがダウン

(感想:モンティエルがタイトル防衛。これまで21勝(16KO)1分のモンティエル。 ガルシアから奪った王座の初防衛戦をドイツで行い、TKO勝ち。二度目の相手コルドバはアルゼンチンのサンチアゴ・デル・エステロ出身で、34勝(19KO)5敗3分。ウンベルト・ゴンザレス、チャッチャイ・サーサクンとの世界戦に敗れた後、メルチョル・コブ・カストロからWBO世界ライトフライ級王座奪取。二度目の防衛戦でホルヘ・アルセに判定負け、王座陥落。ブランク、カムバック二連勝でモンティエルに挑戦。二階級制覇なるか、といったところ。メキシコ・アカプルコでの一戦(レフェリーはロベルト・ラミレス)。ジャブを出すモンティエル。ワンツー、左パンチ(フック、ボディ打ち)。コルドバは相手を警戒しているうえにスピードに乏しく、右ストレートを出してそれっきり。右ストレートからの左フックでコルドバがダウン。立ったが、今度は左ボディからの左フックで二度目。倒れたまま10カウント。モンティエルが楽勝。あまり意味のない試合だった印象。コルドバは動きが鈍かった。これが最後の試合に。)  


その後のモンティエル

WBO世界スーパーフライ級王座もTKO勝ちで獲得し、二階級制覇。ところが二度目の防衛戦でマーク・ジョンソンに2-0で敗れて王座陥落、初黒星。イバン・エルナンデスをKOして王座奪回(2005年)。三階級制覇を狙ってジョニー・ゴンサレスのWBO世界バンタム級王座に挑戦したが、2-1の敗北(2006年)。再起戦はWBO世界スーパーフライ級王座の防衛戦。


フェルナンド・モンティエル 12R 判定 Z・ゴレス

(WBO世界スーパーフライ級タイトル戦、2007年)

「メキシコの狼」フェルナンド・モンティエル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:モンティエルがタイトル防衛。これまで32勝(24KO)2敗1分のモンティエル。挑戦者ゴレスはフィリピン・ナシピット出身のサウスポー。本名は「ZC Oliveros Gorres」で、ニックネームは「The Dream」(「期待の星」ということか?)。2001年にデビューで、25勝(12KO)1敗1分。フィリピン王座(フライ級)への挑戦はTKO負けに終わったが、そこから連勝で東洋太平洋王座(スーパーフライ級)を決定戦で獲得。フィリピン・セブでの一戦(モンティエルのセコンドに父マヌエルら家族総出でサポート。会場ではマニー・パッキャオが観戦)。ゴレスはなかなか良い選手。足でリズムを取って右ジャブ、ワンツー、フック。「フィリピンのサウスポー」には大振りのフックを振り回すイメージがあるが、ゴレスはそうではないスタイリッシュなタイプ。モンティエルは左を使いながら右パンチを狙うが、真っ直ぐ攻めるクセは昔から変わらない。互いにディフェンス。2R、ゴレスが攻め、バッティングでモンティエルが被害。その後も一進一退。ゴレスが右ボディからの右アッパー。モンティエルはワンツー、左フック。互いのパンチが時折ヒット。終盤はモンティエル。左フックを当て、その流れで右ストレートをヒットさせる。10R、連打が効いたゴレス。倒れまいと必死にクリンチするが、減点。12Rにはホールドで減点。12R終了。共にセコンドにかつがれて自身の勝利をアピール。判定は僅差の2-1。終盤にキャリアの差が出た試合。モンティエルが左フック&ディフェンスで勝利。ただ、左目が腫れるなど苦しい試合だった。ゴレスは正統派。最後に底力の差を見せつけられて敗れた。その後のゴレス。IBFインターコンティネンタル王座獲得(スーパーフライ級)、実力者ビック・ダルチニアンとドローといった活躍はあったが、二度目の世界戦は無かった(なぜ?)。)


その後のモンティエル

WBO世界スーパーフライ級王座をさらに防衛後、決定戦でWBO世界バンタム級暫定王座獲得。正規王者ジェリー・ペニャロサが王座を返上したことによって正規王者に格上げ。1RでのTKOで初防衛に成功し、来日。WBC王者長谷川穂積を猛烈な連打でTKOしてWBC・WBO世界バンタム級王座統一(2010年)。しかし、世界は広い。ノニト・ドネアに2RでTKO負けし、世界バンタム級王座陥落。以後も多くの試合。IBF世界フェザー級王者リー・セルビーに3-0で判定負けを喫し、四階級制覇ならず。小柄だったが、海外でもKO勝ちする本物の王者だった。

 

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