世界四階級王者。デビュー当初の試合。ファーレン・コミュ戦、ダニー・アベリー戦、ニック・パーカー戦ほかを紹介します。
パーネル・ウィテカー(アメリカ)
身長168cm:サウスポー
①パーネル・ウィテカー 2R TKO ファーレン・コミュ
(ライト級戦、1984年)
(感想:バージニア州ノーフォーク出身のウィテカー。ニックネームは「スウィートピー」(「ピー(豆)のように小粒だが、素晴らしい動きをする選手」の意)。幼い頃からボクシングを始め、ロス五輪(1984年)ではライト級金メダル。プロ入り後も実力を発揮し、世界ライト、J・ウェルター、ウェルター、J・ミドル級王座を獲得して四階級制覇。コミュ戦はデビュー戦(セコンドにはおなじみルゥ・デュバ)。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」で行われ、その日はメダリストが勢揃いでデビュー。金メダリストのマーク・ブリーランド、メルドリック・テーラー、タイレル・ビッグス、ウィテカー、銀メダリストのバージル・ヒル、銅メダリストのイベンダー・ホリフィールド(ヘビー級のビッグス以外は後に世界王者になった)。コミュはアメリカの選手でこれまで10連勝(6KO)。20歳のウィテカー。上体を滑らかに動かしながらジャブ、ワンツー、左アッパーでボディ打ち、右フック。なかなか積極的でパワーもある。コミュはワンツーを出すが当たらず、ロープ、コーナーに追い込まれて防戦一方。2R、右フックを食ってコミュが後退。さらに左を打たれたところでレフェリーストップ。ウィテカーがシャープなパンチを正確にヒットさせて快勝。左フックを少しもらったが、後に世界を獲る動きはデビュー時点で既に完成していた。コミュはその後ブランクを作り、三試合やって引退。)
②パーネル・ウィテカー 5R TKO ダニー・アベリー
(ライト級戦、1985年)
(ダウンシーン)
2R:左ストレートでアベリーがダウン
(感想:ウィテカーのデビュー二戦目。金色のガウン&トランクス。アベリーはこれまで10勝(1KO)3敗2分(実力者テレンス・アリ、ハリー・アローヨに敗北)。髪型が80年代のマイケル・ジャクソン風(カッコいい)。アトランチックシティでのサウスポー対決。ジャブ、ワンツーのアベリー。左ストレートにはパワーがある。しかしながら、やっぱりウィテカー。パンチをかわすテクニック、当てる巧さで優勢。パンチには伸びとパワー。2R、左ストレートでアベリーがダウン。その後も攻めるウィテカー。接近して左右フックでアベリーを追い込む。4R終了後、アベリーが棄権。アベリーも良い選手だったが、ディフェンス、左の多彩さで金メダリストには及ばず。これが最後の試合となった。)
③パーネル・ウィテカー 6R 判定 ニック・パーカー
(ライト級戦、1985年)
(ダウンシーン)
2R:ワンツーでパーカーがダウン
(感想:テキサスで行われたウィテカーのデビュー四戦目。パーカーはこれまで13勝(11KO)4敗1分。後に世界挑戦するフランキー・ミッチェル、タイロン・クローリーに判定負けしている。黒人ボクサーらしいリズミカルな動きのパーカー。ジャブ、右ストレート、左フック。ウィテカーは伸びるジャブ、パワーを感じる左ボディアッパー、右フック。2R、ワンツーでパーカーがダウン。その後、ボディを集中的に攻めるウィテカー。パーカーは動きが鈍りながらもジャブで応戦する。6R終了。判定は3-0。KOできなかったが、ウィテカーは実に積極的で良かった。パーカーはよく耐えたが、そこまでだった。その後、パーカーは負けに負けてキャリアを終えたが、ダリル・タイソン、トレーシー・スパン、ハリー・アローヨといった当時の実力者と数多く試合した。)
④パーネル・ウィテカー 2R TKO ジョン・シネガル
(ライト級戦、1985年)
(ダウンシーン)
1R:左フックでシネガルがダウン
2R:左ストレートでシネガルがダウン
(感想:ウィテカーの地元バージニア州ノーフォークで行われたデビュー五戦目(オシャレなグリーンのトランクス)。シネガルはこれまで22勝(17KO)1敗1分。唯一の敗北はテレンス・アリ戦のみで、なかなか良い戦績。ところがパンチにスピードがない。右ストレートは良いが全体的に緩慢で、左右フックを連打するときのディフェンスが甘い。ウィテカーはいつものようにジャブ、左ストレートを突き刺し、左右フック、ボディ打ち。1Rに殴りつけるような左フックでシネガルがゆっくりとダウン。2Rには左ストレートで二度目のダウン。立ったが、ワンツーからの右フックでグラついてレフェリーストップ。ウィテカーが快勝。実力が既に世界レベルにあることを証明。シネガルは動きが遅かった(ダウンの時もゆっくり倒れた)。その後、シネガルはホセ・ルイス・ラミレス、バディ・マクガートらに敗れて、リングを去った。)
ウィルフレド・リベラ戦(再戦)、ディオベリス・ウルタド戦、アンドレイ・ペストリャエフ戦ほか
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