WBO世界ミドル級、スーパーミドル級王者。スーパーミドル級&クルーザー級王座戦。ジョー・カルザゲ戦、カール・トンプソン戦(再戦)ほかを紹介します。
クリス・ユーバンク(イギリス)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①クリス・ユーバンク 12R 判定 ヘンリー・ウォートン
(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、1994年)
(感想:ユーバンクがタイトル防衛。無敗を守り続けるユーバンク。14度目の防衛戦(プロ43戦目。94年最後の試合、12月)。WBO5位の挑戦者ウォートンはヨークシャー出身の白人。デビューから連勝で英連邦王座、英国王座(スーパーミドル級)獲得。無敗のままナイジェル・ベンのWBC世界スーパーミドル級王座に挑戦したが、判定負け。再起二連勝で、この二度目の世界挑戦。英国マンチェスターでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー)。いつものように踏み込んで速いジャブ、右ストレートのユーバンク。ウォートンは努力型の正統派。ガードを固めてジャブ、右ストレート、左ショートフック。しかしながら、相手の首をつかんで打つ悪いクセ。2R、ユーバンクが左右フックボディ打ち(迫力)。その後もハンドスピードでユーバンク。ウォートンは右ストレート、左ボディ打ちに良さがあるが、かわされたり、ブロックされたり。左目が腫れていくウォートンにユーバンクが右ストレートからの左ジャブ。12R終了。判定は3-0。ユーバンクがディフェンス&速いパンチで勝利。ただ、手加減しているように見えた。ユーバンクはマイケル・ワトソンをKOしてWBO王者になったが、その試合でワトソンは重体に。そのことがユーバンクの精神に与えた影響は大きかったという。ユーバンクの防衛戦は判定が多い。本来は鋭さとパワーがあるのがユーバンクだが、ワトソン戦後はパワーを加減してきたのではないか? ウォートンは一生懸命に頑張るタイプだが、「パンチの伸び」という点でユーバンクに及ばず。その後、ウォートンは欧州王座(スーパーミドル級)も獲得。しかし、ロビン・リードのWBC世界スーパーミドル級王座への挑戦は判定負け。世界王者にはなれなかった。)
その後のユーバンク
15度目の防衛戦で同じ英国のスティーブ・コリンズに判定負け、王座陥落。再戦にも敗れ、王座奪回ならず。ルイス・バレラと再起戦。
②クリス・ユーバンク 5R KO ルイス・バレラ
(スーパーミドル級戦、1996年)
(ダウンシーン)
5R:フック連打でバレラがダウン
(感想:ユーバンクがカムバック戦(プロ48戦目。96年初試合、10月)。バレラはアルゼンチンの選手。南米王座(ウェルター級)を獲得しているが、ミドル級では苦戦。アルゼンチン王座戦、IBFインターコンティネンタル王座戦(いずれもミドル級)で敗北するなどこのところ連敗中。エジプト・カイロでの一戦(レフェリーはジョン・コイル)。どこに行ってもユーバンクは変わらない。「ピタッ」と静止して相手をニラんだり、速いジャブを連打したり。バレラは非常に用心深い。相手から距離を取ってジャブ。右ストレートに良さがあるが、受け身で手数が少ない。スピード、身軽な動き、伸びのあるジャブ、ストレートでユーバンク優勢。5R開始早々、ユーバンクがフック連打。ダウンしたバレラは片ヒザをキャンバスに着いたまま10カウントを聞いた。ユーバンクが圧勝。見たところ王者時代と変わらない動き、スピードだった印象。消極的すぎたバレラはこれが最後の試合に。引退後はトレーナーに。ファン・カルロス・レベコ(井岡一翔との対戦でおなじみ)らを指導したそうだ。)
その後のユーバンク
ジョー・カルザゲのWBO世界スーパーミドル級王座に挑戦したが判定負けで王座奪回ならず。その再起戦で何とカール・トンプソンのWBO世界クルーザー級王座に挑戦。これに判定負け。体格差で敗れたが、ダウンを奪う善戦だった。そこでリターンマッチが行われることに。
③カール・トンプソン 10R TKO クリス・ユーバンク
(WBO世界クルーザー級タイトル戦、1998年)
(感想:トンプソンがタイトル防衛。これまで45勝(23KO)4敗2分のユーバンク。再び大きな相手に挑む。王者トンプソンはマンチェスター出身の黒人。ニックネームは「The Cat(猫)」(どう見てもネコには見えない。顔立ち、戦い方が同じ英国のフランク・ブルーノに似たゴツいタイプ)。ゴツイ身体ながらジャブ、ストレートを基本とする正統派スタイル。23勝(16KO)4敗。ラルフ・ロッシジャーニとの再戦に判定勝ち、WBO世界クルーザー級王座奪取。ユーバンクとの初防衛戦に勝利。そして、このダイレクト・リマッチ。英国シェフィールドでの一戦。なかなか力強いユーバンク。ジャブ連打、ストレート、左右フック。相手のガードの隙を狙い、手数が多い。しかしながら、やはりパワーとタフネスに差が。打たれてたじろぐシーンもあるトンプソンだが、前進してジャブ、ストレート、フック。ユーバンクの左目が酷く腫れていく。9R、パワフルに打って出るユーバンクだが、このラウンド終了後に棄権。目の腫れが理由と思われる。ユーバンクは負けたが、実に勇敢だった。あれだけ戦えれば十分だろう。その後の二人。トンプソンは次の防衛戦でジョニー・ネルソンにTKO負け、王座陥落。その後は英国王座、欧州王座、IBO王座(全てクルーザー級)獲得。メジャー団体の世界王座に返り咲くことはなかったが、後の世界クルーザー級、ヘビー級王者デビッド・ヘイにTKO勝ちするなど強さを見せた。ユーバンクはトンプソンとの再戦がラストファイトに。リングでは試合中に突然ピタッと静止したり、リング中央で仁王立ちしたり、「打ってこい」とアピールしたりするなど「妙なヤツ」だったユーバンク。しかし、パワー、スピード、当てるテクニックなど実力は本物。強さ&個性のプロらしい選手だった。しかし、引退後はトラブル(逮捕されたり、破産したり)。息子のジュニアもボクサーになり、WBA世界ミドル級暫定王座を獲得した。)
ダレン・パーカー戦、レス・ウィスニュースキー戦、ロン・マレック戦、ジャン・ノエル・カマラ戦
ジョニー・メルファー戦、キッド・マイロ戦、ゲーリー・ストレッチ戦
マイケル・ワトソン戦(初戦)、スラニ・マリンガ戦、リンデル・ホームズ戦
レイ・クローズ戦(初戦・再戦)、グラシアノ・ロッシジャーニ戦、ダン・ショマー戦
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