WBO世界ミドル級、スーパーミドル級王者。世界王者になる前の試合&WBO世界ミドル級王座防衛戦。キッド・マイロ戦、ゲーリー・ストレッチ戦ほかを紹介します。
クリス・ユーバンク(イギリス)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①クリス・ユーバンク 4R KO ジョニー・メルファー
(スーパーミドル級戦、1989年)
(ダウンシーン)
4R:ワンツーで2度、メルファーがダウン
(感想:これまで全勝のユーバンク。プロ18戦目。メルファーも英国の黒人。英国王座戦(ミドル級)でヘロール・グラハムにKO負けしている中堅選手。直前の試合はTKO負けに終わっている。ロンドン・ケンジントン「ロイヤル・アルバート・ホール」での一戦。相手の様子をうかがいながらジャブを出すユーバンク。妙に距離を取ってから踏み込んでジャブ、接近してフック連打、アッパー。メルファーは正統派。ガードを上げてジャブ、ワンツー。右ストレートにスピードとパワー。ディフェンスでユーバンクが優勢。4R、ワンツーでメルファーがダウン。立ったが、さらにワンツーで二度目のダウン。座ったまま10カウントを聞いた。ユーバンクらしい勝利。「英国のボクサー」と言えばバリー・マクギガンのように「ジャブ、ワンツー、左フック」の端正なスタイルを思い出すが、ユーバンクは実にトリッキー。後に活躍するナジーム・ハメドもトリッキー。なぜ英国からこんな個性派が誕生するのだろう? この試合からトリッキーな妙な動きをやり始めたユーバンク。その後、その妙な動きはエスカレートしていくが、「トリッキーだから勝てる」のではなく、「元々素晴らしいスピードとパンチを持っているから勝てる」ということを明記しておきたい。メルファーは伝統的な正統派タイプ。ストレートに良さがあったが、正直すぎるボクシングだったためディフェンスされてしまった。その後、メルファーは勝ったり負けたり。最後はスティーブ・コリンズにKOされるなど連敗でキャリアを終えた。)
②クリス・ユーバンク 8R TKO キッド・マイロ
(WBCミドル級インタータイトル戦、1990年)
(感想:ユーバンクがタイトル防衛。メルファー戦後も勝ち続けるユーバンク。プロ21戦目でWBCのインター王座(ミドル級)を獲得。マイロ戦は二度目の防衛戦。マイロは英国バーミンガム出身の黒人。本名は「ウィンストン・ウォルターズ」。これまで13勝(7KO)3敗1分。英国のローカル王座(J・ミドル級)に挑戦したが、判定負け。このところ連勝中。英国ブライトンでの一戦(レフェリーは世界戦でおなじみラリー・オコーネル)。ユーバンクがトップロープをジャンプしてリングイン。ゴング前、マイロをニラむ。試合では相手を威嚇するかのような姿勢でジャブ、右ストレート。ラウンドが終了しても直ぐにコーナーに帰らず周囲を見渡すかのように悠然とコーナーに引き上げる。マイロはオーソドックス。ガードを上げてジャブ連打、接近してのボディ連打に良さ。しかし、ユーバンクは接近戦を避けたいようでクリンチ。左マブタをカットしたマイロ。6Rにワンツーをクリーンヒットされる。このラウンド終了後、ユーバンクのマネをして腕組み。7R、マイロがキズのチェック。このラウンド終了後、ユーバンクがセコンドからビンタ二発(結構、強いビンタだった)。8R、マイロのキズが悪化して試合終了。ユーバンクがやや物足りない勝利。接近戦が巧いはずのユーバンクがクリンチ連発。相手をニラんだり、ポーズを取ったりといったムダなパフォーマンスが本来の良さを邪魔した印象。マイロはクリンチされて攻撃できず。工夫に欠ける試合ぶりだった。その後のマイロ。再起戦でWBCインター王座、英連邦王座(スーパーミドル級)獲得。しかし、その次の試合でナイジェル・ベンにKO負け。それが事実上のラストファイトとなった。)
③クリス・ユーバンク 6R TKO ゲーリー・ストレッチ
(WBO世界ミドル級タイトル戦、1991年)
(ダウンシーン)
6R:連打、右フックで2度、ストレッチがダウン
(感想:ユーバンクがタイトル防衛。ライバルのナイジェル・ベンを下してWBO世界ミドル級王者になったユーバンク。初防衛戦をダン・シェリー(カナダ)と行ったが、妙な勝ち方(バッティングで大袈裟に倒れたシェリー。「反則勝ち」を狙った疑い)。そして、二度目の防衛戦(プロ27戦目)。挑戦者ストレッチは英国の白人。これまで22勝(14KO)1敗。英国王座、WBCインター王座(いずれもJ・ミドル級)を獲得。このところ連勝中で勢いがある。ロンドン・ケンジントン「オリンピア・グランド・ホール」での一戦(レフェリーはトニー・オーランド。会場ではユーバンク、ベンと並ぶ英国ミドル級有望株マイケル・ワトソンンが観戦)。ユニオンジャックを掲げたフットボーラーに囲まれてユーバンクが自信タップリに入場。表情はまさに「王様」といったところ。ゴング。サウスポーのストレッチがジャブ、ワンツー。ユーバンクは速いジャブ、右ストレート。しかしながらこの試合、クリンチが多い。接近戦が巧くないストレッチ。ユーバンクにクリンチされてエキサイト。ユーバンクは接近戦を避けようとするうえ、狙いすぎで手数が少な目。4R、ユーバンクのワンツーがヒット。6R、ストレッチがユーバンクを押さえつけて減点。右ストレートが効いたストレッチ。連打でダウン。立ったが、右フックを食ってロープ外にはみ出すダウン。今度も立ったが、レフェリーストップ。ユーバンクが6Rに一気に勝利。どうやらいつでも倒せるほど実力差があったようだ。ストレッチは残念。ワンツーの後が続かない。前進する度にクリンチされてイラついていた。そして、この試合が事実上のラストファイトに。後、一試合だけカムバック戦を行い、判定勝ち。)
ダレン・パーカー戦、レス・ウィスニュースキー戦、ロン・マレック戦、ジャン・ノエル・カマラ戦
マイケル・ワトソン戦(初戦)、スラニ・マリンガ戦、リンデル・ホームズ戦
レイ・クローズ戦(初戦・再戦)、グラシアノ・ロッシジャーニ戦、ダン・ショマー戦
ジョー・カルザゲ戦、ルイス・バレラ戦、カール・トンプソン戦(再戦)
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