WBA世界ミドル級王者。世界王座を三度獲得。世界戦のピーター・ベナンシオ戦、アシン・シェリフィ戦、米大陸王座戦のジャーメイン・テーラー戦を紹介します。
ウィリアム・ジョッピー(アメリカ)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①ウィリアム・ジョッピー 12R 判定 ピーター・ベナンシオ
(WBA世界ミドル級タイトル戦、1997年)
(ダウンシーン)
4R:右フック連打でベナンシオがダウン
10R:右ショートでベナンシオがダウン
(感想:ジョッピーがタイトル防衛。筋肉と弾むような攻撃(体のバネを生かしたボクシング)で三度WBA世界ミドル級王者になったジョッピー。ワシントンD.C.出身の黒人。アマチュアで活躍したが、バルセロナ・オリンピック(1992年)には出場ならず。プロデビュー以来、連戦連勝。ただ、北米ミドル級王座への挑戦は引き分け。王座を獲得した経験が無いまま日本で初の世界挑戦。竹原慎二からダウンを奪ってWBA王者に。レイ・マッケロイ相手に初防衛に成功。これまで23勝(19KO)1分、26歳。ベナンシオと二度目の防衛戦。WBA1位の挑戦者ベナンシオ(32歳)はブラジル人。アマチュアで活躍(1988年ソウル・オリンピックではライトミドル級で出場。メダルは獲得ならず)。その後、プロへ。地元を中心に連勝。WBAの地域王座(J・ミドル級)獲得。判定で初黒星。その後、バーノ・フィリップス(当時、元WBO世界J・ミドル級王者。後、IBF王者に)らを相手に四連勝でジョッピーに挑戦。マイアミでの一戦(ドン・キングの興行。「オルズベック・ナザロフ vs. リーバンダー・ジョンソン」といったWBA戦が行われた。リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。軽いジャブを連打するジョッピー。ベナンシオはパワーを込めるタイプで、ジャブ、右ストレート、左右フック。互いにディフェンス。ジョッピーが手数、ベナンシオはパワー。しかしながら、ベナンシオはボクシングが粗い。全てのパンチに力を入れるため空転が多い。4R、右フック連打でベナンシオがダウン。さらにジョッピーはシュガー・レイ・レナードのように相手を挑発したり、サウスポーにスイッチしたり。その後、ジョッピーはブロックしながらアウトボクシング。ベナンシオは9Rにパワフルなボディ連打を見せたが、10Rに右ショートでダウン。12R、最後まで攻めるベナンシオ。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は僅差の3-0。ジョッピーが辛勝。もしダウンを奪っていなかったら負けていた。スピードと器用さはあったが、「世界ミドル級王者」にしては「軽いボクシング」だった。ベナンシオはパワーを込めすぎ。もう少し力の加減ができれば、といったところ。その後、ベナンシオはIBO王座戦(スーパーミドル級)でKO負けするなど勝ったり負けたり。ただ、地元では強く、WBCの地域王座、ブラジル王座(いずれもライトヘビー級)を獲得、防衛する活躍を見せた。)
その後のジョッピー
三度目の防衛戦でフリオ・セサール・グリーンに判定負け、王座陥落(初黒星)。 グリーンから判定で王座奪回。ロベルト・デュラン、グリーン(ラバーマッチ)、リト・ルバルカバ相手に防衛成功。
②ウィリアム・ジョッピー 12R 判定 アシン・シェリフィ
(WBA世界ミドル級タイトル戦、2000年)
(ダウンシーン)
8R:連打でシェリフィがダウン
9R:右ストレートでシェリフィがダウン
(感想:ジョッピーがタイトル防衛。奪回した王座の四度目の防衛戦。WBA4位の挑戦者シェリフィ(32歳)はフランス人で元WBC王者。デビュー戦に敗北。フランス王座(ミドル級)挑戦に失敗。二度目のチャレンジで同王座獲得。欧州王座(ミドル級)も獲得、防衛。WBC世界スーパーミドル級王座戦でロビン・リードに敗北したが、その再起戦でキース・ホームズからWBC世界ミドル級王座奪取。しかし、リターンマッチに敗れて王座陥落。その後、四連勝でジョッピーに挑戦。これまで30勝(19KO)3敗1分。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(レフェリーはジョー・コルテス。会場ではジョニー・タピア、デビッド・トゥアが観戦)。前髪が薄いのが特徴のシェリフィ。ややアップライトな姿勢でジャブ、ワンツー、フック。ワンツー連打はまずまずだが、フックのパワーはそこそこ。ジョッピー(30歳)はリズミカルにジャブ連打、フック。共に手数を出すが、1Rに右フックをヒットさせるなどジョッピーが当てる巧さとディフェンスで優勢。6R、シェリフィがクリンチ中に攻撃して減点。8R、連打されてシェリフィが自ら片ヒザを着くダウン。9Rには右ストレートでダウン。さらにこのラウンド終了直前、右ストレートでダウン寸前。その後もハンドスピードでジョッピー。12R終了。判定は3-0。ジョッピーが器用さで勝利。シェリフィは悪い選手ではないが、動きの機敏さに欠けた。その後、シェリフィはWBOの暫定王座戦(ミドル級)で判定負け。フェリックス・トリニダードにTKO負け。フランス王座戦(ミドル級)に勝利するなどの活躍を見せたが、勝ったり負けたりでキャリア終了。)
その後のジョッピー
ジョナサン・リード相手に五度目の防衛成功。しかし、次の相手は強すぎた。フェリックス・トリニダードに5RでTKO負け、王座陥落。驚くべき事に再起戦は空位となったWBA世界ミドル級王座の決定戦出場。これに判定勝ちして三度目の同王座獲得。保住直孝をTKOで下して初防衛成功。しかし、このクラスはハイレベル。バーナード・ホプキンスとの世界ミドル級王座統一戦に判定負け。約一年ぶりの再起戦でジャーメイン・テーラーと勝負。
③ジャーメイン・テーラー 12R 判定 ウィリアム・ジョッピー
(WBC米大陸ミドル級タイトル戦、2004年)
(ダウンシーン)
5R:左フックでジョッピーがダウン
(感想:テーラーがタイトル防衛。ジョッピーが実力者と勝負。テーラーはアーカンソー州出身の黒人(貧しい家庭だった)。ニックネームは「バッド・インテンション(邪悪な意思)」(悪役キャラ)。2000年のシドニー・オリンピックではライトミドル級で銅メダル。プロではこれまで21戦全勝(16KO)。決定戦で米大陸王者に。ジョッピー戦は三度目の防衛戦となる。アーカンソー州リトルロックでの一戦。スキンヘッドのテーラー。パンチの打ち方が良い。速いジャブ、ストレート、振りが大きめの左フック。ワンツーからの左フックといったコンビネーション、斜め下から右フックを当てる器用さ。パンチにはキレもあり、なかなかの迫力。ジョッピーはワンツーなど。互いにディフェンスするが、5R、左フックでジョッピーがダウン(会場が「ドッ」と沸いた)。その後も左フックからの右ストレートなどでテーラーが押し気味。9Rにハプニング。ホールドを離さないジョッピーにテーラーが乱打(かなり激しい性格。良い選手であるが、こういったエキサイトは残念)。その後、ジョッピーは足を使い、テーラーは攻めるがブロックやクリンチされて倒せず。12R終了。判定は3-0(ジャッジ三者「120-107」)。テーラーがパワーで勝利。これからの活躍が期待できる力強い攻めだった。ジョッピーはここまで。ハンドスピードで勝ってきたが、一発のパワー、迫力に欠ける。三度も世界王座に就ければ十分だろう。その後の二人。テーラーはバーナード・ホプキンスを破って世界ミドル級王者に。連続防衛後、TKOで初黒星(2007年)。その後はボクシングのダメージ。2014年、IBF王座を奪取してそれが最後の試合に。引退後は数々の事件と逮捕。ジョッピーはルシアン・ブーテ戦(IBF世界S・ミドル級王座戦)、 ベイブット・シュメノフ戦(WBA世界L・ヘビー級王座戦)に敗れ、二階級制覇ならず。)
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