WBO世界ミドル級、スーパーミドル級王者。スーパーミドル級王座戦。レイ・クローズ戦(初戦・再戦)、グラシアノ・ロッシジャーニ戦、ダン・ショマー戦を紹介します。
クリス・ユーバンク(イギリス)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①クリス・ユーバンク 12R 引分 レイ・クローズ
(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、1993年)
(ダウンシーン)
11R:右アッパーでクローズがダウン
(感想:ユーバンクがタイトル防衛。これまで35戦全勝(18KO)の王者ユーバンク(26歳)。7度目の防衛戦。挑戦者クローズ(24歳)は北アイルランド・ベルファスト出身の白人。アマチュアで活躍後、プロへ。19勝(10KO)2敗。アイルランド王座(スーパーミドル級)獲得、フランク・ユーバンク(ユーバンクのいとこ)に勝利、欧州王座(スーパーミドル級)に挑戦してTKO負け。二度目の挑戦で欧州王座獲得。その次の試合でユーバンクに挑戦。スコットランド・グラスゴーでの一戦。気が強そうな顔で頑丈そうなアゴをしているクローズ。ユーバンクは「王の威厳」を示すかのような表情。ゴング前、リング中央で両者ニラみ合うが、顔の迫力では互角。ゴング。互いに速いジャブ。ユーバンクはワンツー、回転の速い連打。クローズはゴツいパンチでボディ打ち。いつものようにユーバンクはラウンドが終わっても直ぐにコーナーに戻らず、観客を見渡してからコーナーへ。器用な二人。共にディフェンスができる。ユーバンクは素早い身のこなしでスウェー、クローズはブロックで相手の攻撃を阻止。4R、クローズが素晴らしいコンビネーション(左右フックボディ打ちからの左フック)。その後も前進するクローズ、ジャブでカウンターを取るユーバンク。11R、超接近戦での右アッパーでクローズがダウン。仕留めようとするユーバンクだが、クローズはタフネス&ディフェンス。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利を確信。判定はドロー。ハンドスピードではユーバンク。クローズは攻勢点。個人的にはユーバンクがジャブで勝ったと見る。その後、両者は再戦。)
②クリス・ユーバンク 12R 判定 グラシアノ・ロッシジャーニ
(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、1994年)
(感想:ユーバンクがタイトル防衛。8度目の防衛戦および王座統一戦をWBC王者ナイジェル・ベンと行ったWBO王者ユーバンクだが、ドロー(これで二試合連続で引き分け)。そしてロッシジャーニと9度目の防衛戦(94年初試合、2月)。挑戦者ロッシジャーニはドイツの白人サウスポー。デビューから全勝のまま決定戦でIBF世界スーパーミドル級王者に。王座防衛後、階級を上げて欧州王座(ライトヘビー級)獲得。未だ全勝。階級を下げてユーバンクに挑戦。ドイツ・ベルリンのシャルロッテンブルクでの一戦(ポルトガルで防衛したことがあるユーバンク。ドイツでの防衛戦はこれが初めて)。ドイツでも変わらないユーバンク。仁王立ちして相手をニラむ。そろりそろりとした動きから速いジャブ。ロッシジャーニはブロックをガッチリ固めて右ジャブ、左ストレート、左フック。正確に当てようとする姿勢。良く言えば「堅実」、悪く言えば「地味」なボクシング。ユーバンクがそのガードを崩そうと左右フック、ボディ打ち。しかし、崩せず。5R、ユーバンクが腕をぶつける反則。レフェリー(ヘナロ・ロドリゲス)がハイテンションで警告。6R、連打するロッシジャーニ。7Rにはユーバンクを上から押さえつける反則。11R、ユーバンクが危険なヘッドワーク、減点。その後も手数のユーバンク、正確さのロッシジャーニ。12R終了。判定は3-0(一人が大差、二人は極めて僅差。逆の結果もあり得た)。ユーバンクが攻めの姿勢で勝利。ロッシジャーニは挑戦者にしては物足りない。パンチを丁寧に当てようとするところは良かったが、ディフェンシブすぎた。その後のロッシジャーニ。ヘンリー・マスケ(ドイツ)のIBF世界L・ヘビー級王座に二度挑戦したが、勝てず。ダリウス・ミハエルゾウスキー(ポーランド)のWBO世界L・ヘビー級王座に挑戦して勝てず。決定戦でマイケル・ナン(アメリカ)を下してWBC世界L・ヘビー級王座獲得。ついに二階級制覇達成。しかし、ミハエルゾウスキーとのWBO王座を懸けた再戦に敗北。L・ヘビー級ではあまり活躍できなかった。)
③クリス・ユーバンク 12R 判定 レイ・クローズ
(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、1994年)
(感想:ユーバンクがタイトル防衛。10度目の防衛戦は再戦(プロ39戦目)。初戦後、クローズは一試合(TKO勝ち)。今回はどんな攻めを見せるか? 北アイルランド・ベルファストでの一戦(英国のバリー・ハーンと米国のドン・キングによる共同プロモート。リングアナはジミー・レノン・ジュニア。TV解説席にバリー・マクギガン)。ジャブで前に出るユーバンク。今回は接近戦でのショートフックに巧さとスピード。クローズもジャブ。しかしながら、初戦のようなボディ打ちを交えたコンビネーションが少なく、接近戦では雑な攻め。しかもディフェンス、クリンチされる。妙な動きを取り入れながらユーバンクが速いジャブ。7R、ジャブでクローズのマウスピースが落下。10R、ユーバンクの速くパワフルなワンツー、右アッパーがヒット。12Rにも大きなフックで攻める。12R終了。クローズは両手を上げて自身の勝利を強く確信している様子。判定は2-1。ユーバンクが接近戦でのフックで勝利。クローズはよくジャブを出していたが、王者を上回る攻めだったとは言い難い試合ぶり。初戦のようなコンビネーションを使って欲しかったところ。その後、クローズはブランク。アメリカでカムバックして五連勝して引退。)
④クリス・ユーバンク 12R 判定 ダン・ショマー
(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、1994年)
(感想:ユーバンクがタイトル防衛。このところ実に精力的に防衛戦を行うユーバンク(結果的に1994年は6度の防衛戦)。クローズとの再戦後、マウリシオ・アマラル、サム・ストーリーを相手に防衛に成功。そして13度目の防衛戦。挑戦者ショマー(34歳)はミネソタ州ミネアポリス出身の白人サウスポー。ニックネームは「デンジャラス」(どんな「危ないヤツ」なのか?)。アマチュアで活躍。25歳でプロ転向。ミネソタ州王座(ミドル級)獲得するなどこれまで30勝(19KO)1分、無敗。しかし、ローカルな試合、相手がほとんど。南アフリカ・サンシティでの一戦(レフェリーはスタンリー・クリストドーロー)。女性歌手による国歌の生歌。ゴング。サウスポースタイルからゴツい右ジャブ、左ストレートのショマー。しかしながら、まるで古い時代の選手のようで、パンチにキレが無い。ユーバンクは速いジャブ、右ストレート、フック。次第にエンジンがかかってきたショマー。ワンツーにスピードとパワー。互いにディフェンス。7R、右ストレートでショマーがグラつく。残念なことにショマーは距離を取るタイプで、KOを狙うような試合ぶりではない。そのためユーバンクが速いパンチでプレッシャーを掛けるパターンが続く。12R終了。判定は3-0。ユーバンクがパンチのキレで勝利。ただ、精力的に防衛戦を行うのはいいが、判定決着が多い。パワーが落ちているようには見えなかったが。ショマーはワンツーの後の攻撃が見られず、ディフェンシブ。そして、これで引退。2013年、ミネソタ州ボクシング殿堂入り。)
ダレン・パーカー戦、レス・ウィスニュースキー戦、ロン・マレック戦、ジャン・ノエル・カマラ戦
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