WBA世界J・フライ級王者。初めての海外(日本)での試合&防衛戦。井岡弘樹戦(初戦・再戦)、細野雄一戦(ラストファイト)を紹介します。
柳明佑(韓国)
身長163cm:オーソドックス(右構え)
①井岡弘樹 12R 判定 柳明佑
(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1991年)
(感想:井岡が二階級制覇。日本で行われた試合。意外なことに柳はこれが初めての外国での試合。挑戦者は元WBC世界ストロー級王者の井岡。背は高いが、パワーはもう一つ、といった評価のある選手。これまで17連続防衛をしている「ソナギパンチ」の柳に通用するかどうか? リングサイトではヒルベルト・メンドサWBA会長が観戦。スピードとディフェンスを見せる井岡。速いジャブと伸びるストレートにキレがある。柳は踏み込むスピードが鈍く、連打どころか手数も少なく、攻撃が単発に終わる。終盤には井岡が柳をコンビネーションで追うシーンも。判定は(ちょっとした混乱があったが)2-1。日本ボクシング史上に残る番狂わせ。井岡がシャープなジャブで勝利。柳は相手を追い掛ける足が無かった。柳はそもそも小柄であり、背の高い選手が苦手というわけではない。ピークを過ぎたのだろう。)
②柳明佑 12R 判定 井岡弘樹
(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1992年)
(感想:柳がタイトル奪回。再び日本で行われた再戦。リングサイトには再びヒルベルト・メンドサWBA会長。前回、まさかの初黒星を喫した柳。地元に帰ってその試合ぶりだけではなく、選手としての能力までかなり酷評されたとか。雪辱のため、再び日本に乗り込む。戦いの基本スタイルは前回とほぼ同じ。しかしながら、井岡には初戦のようなキレがない。柳は手数が多い。井岡は試合中に笑みを浮かべるなどの余裕を見せていたが10R以降は激しく打ち合う。結局、柳がバッティングによる負傷にも負けず、井岡を押し切って12R終了。判定は2-0。柳が攻める姿勢で勝利。井岡はどこか気迫に欠けたところがあった。)
③柳明佑 12R 判定 細野雄一
(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1993年)
(感想:柳がタイトル防衛。井岡からタイトルを奪回した柳の初防衛戦。ジャブと回転の速い連打を使う柳。細野はジャブ、連打。細野のジャブでタフな柳の顔が腫れる。判定は3-0。ディフェンス、コンビネーション、当てる巧さで柳が勝利。経験の差があった。柳はこの後王座を返上し、引退。WBA世界J・フライ級タイトルを17連続防衛(通算では18度の防衛)。「張正九の15連続防衛記録を抜きたい」と語っていたが、見事に達成。破られることはないのではないかと思われた同王座で具志堅用高が作った13連続防衛も超えた。異常に打たれ強かった柳。彼がダウンしたところを見たことがない(ありますか?)。しかも、パンチや動きにはキレがあった。「ソナギパンチ」とは闇雲に連打するパンチではなく、回転の速いコンビネーションだった。速い連打を打ち続けるスタミナ、タフネス、ディフェンスの巧さなど「一流の王者」に必要な条件を兼ね備えていた柳は「本物の王者」だ。)
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