世界ウェルター級、S・ウェルター級王者。北米王座戦&その後。サンティアゴ・サマニエゴ戦、ビンス・フィリップス戦ほかを紹介します。
バーノン・フォレスト(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)
①バーノン・フォレスト 7R KO サンティアゴ・サマニエゴ
(北米ウェルター級タイトル戦、1999年)
(ダウンシーン)
7R:右ストレートでサマニエゴがダウン
(感想:フォレストがタイトル防衛。世界ランカーのフォレスト(28歳)。これまで29連勝(24KO)。三度目の防衛戦。挑戦者サマニエゴ(25歳)はパナマの黒人で、ロベルト・デュランのいとこ。27勝(23KO)4敗1分。パナマでデビュー。連勝して主戦場をアメリカへ。「NBA」なる団体のウェルター級王座戦で判定負け、初黒星。NABO王座(ウェルター級)獲得後、WBO世界ウェルター級王座決定戦に出場したが判定負け。一定の実力はあるようだが、時折取りこぼしがあるキャリア。ジョージア州オーガスタでの一戦(フォレストのセコンドにルー・デュバ。会場ではイベンダー・ホリフィールドが観戦)。ガードを上げてジャブのサマニエゴ(構え方、打ち方、後ろ姿がウィルフレド・バスケスに似た雰囲気)。フォレストは快調。ジャブ連打、ワンツー、左ボディ打ち、左フックトリプル、しゃくるようなアッパー気味の右フック。勇敢なサマニエゴは接近戦で打ち合うが、攻撃力ではフォレスト。ディフェンスしながら強打をヒットさせる。7R、左フックからの右ストレートでサマニエゴがダウン。立ったが、カウントアウト。フォレストが素晴らしいパンチ。しかし、もうそろそろ年齢的にも世界戦をやらねば。サマニエゴは打ち返す粘り強さはあったが、そこまで。その後、サマニエゴはIBA王座戦(スーパーウェルター級)で判定負け。中堅には強かったが、それ以上にはなれなかった。)
②バーノン・フォレスト 12R 判定 ビンス・フィリップス
(北米ウェルター級タイトル戦、2000年)
(感想:フォレストがタイトル防衛。フォレストの2000年初試合(1月)は実力者との四度目の防衛戦。これまで40勝(29KO)4敗の挑戦者フィリップスはフロリダ州ペンサコーラ出身の黒人(ロイ・ジョーンズ・ジュニアと同じ)。パワーが売り物。アマチュアで優秀な成績(タイトルも獲得)。プロ入り後は連戦連勝。薬物でブランクを作ってしまうなど問題もあったが、IBFのインター王座(J・ウェルター級)を獲得。アンソニー・ジョーンズ(パーネル・ウィテカーの統一世界ライト級王座に挑戦したこともある実力者)に負けて、初黒星。初の世界挑戦ではアイク・クォーティにKO負け(WBA世界ウェルター級王座戦)。コンスタンチン・チューをTKOで下してIBF世界J・ウェルター級王座獲得。四度目の防衛戦でTKO負け、王座陥落。再起戦に勝利してフォレストに挑戦。ラスベガスでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはリチャード・スティール)。フィリップスのベルトラインにニックネームの「COOL」(「カッコいい男」の意)。ゴング前、フォレストのセコンドのルー・デュバがフィリップスに何やらクレーム(うるさい男だが、それが名物になっている)。試合の方は一進一退。互いにジャブ。ロングレンジではフォレストが長いパンチで有利。接近戦では互いにディフェンスできるため、パンチが当たっても単発。両者、決め手に欠け、クリンチも目立つ。フィリップスは右パンチにパワーを込めるが、力みすぎて空転。しかも、左マブタ付近をカットするハンデ。フォレストの右フックがクリーンヒット。フィリップスが勢いで押すシーンも。12R終了。判定は3-0。フォレストのジャブ、長いフックが評価されたか。ポイントでは大差がついたが、大きな実力差は無し。派手なダウンシーンも無し。ディフェンスができる者同士の試合はこういう内容になりがち。これが本当のプロボクシング。その後もフィリップスはリングに上がり、WBC米大陸王座(スーパーウェルター級、次いでウェルター級)を獲得する活躍。しかし、敗北もあり、世界王座に返り咲くことはなかった。)
③バーノン・フォレスト 4R KO エドガル・ルイス
(スーパーウェルター級戦、2001年)
(ダウンシーン)
4R:右アッパーで2度、ルイスがダウン
(感想:ビンス・フィリップスに競り勝ったフォレスト。その次の試合は待望の世界戦。しかし、ノーコンテストで王座獲得ならず。改めてラウル・フランクとIBF世界ウェルター級王座決定戦を行い、3-0で王座獲得。ルイスとノンタイトル戦。ルイスはメキシカン。アマチュアで実績。1992年バルセロナ・オリンピックにライトウェルター級で出場(メダルは獲得ならず)。プロデビュー。連勝後、TKOで初黒星。WBC米大陸王座、NABO王座(ウェルター級)獲得。しかし、デビッド・カマウに敗北、NABO王座陥落。このところコーリー・スピンクスらを相手に二連敗中。ウェストバージニア州チェスターでの一戦。互いに力強いパンチ。しかし、パンチの伸び、パワーに違いが。ダッキングしながらジャブ連打、ワンツー、フック、アッパーのフォレスト。ルイスはフック、左ボディ打ちに強さがあるが、押され気味。4R、右アッパーでルイスがダウン。立ったが、再びアッパーで10カウント。フォレストが強打で快勝。強いパンチでありながら連打の回転が速く、隙を突くのが巧いのがフォレストの強味。ルイスはKOされたが、決して弱くはなかった。その後のルイス。二連敗で引退。カムバックしてWBCの地域王座(スーパーウェルター級)獲得。防衛にも成功。しかし、世界挑戦のチャンスは無かった。)
その後のフォレスト
IBF王座を一度も防衛することなく返上。エドガル・ルイス戦の次の試合はシェーン・モズリーのWBC世界ウェルター級王座への挑戦。これに判定勝ち。再戦も3-0でフォレスト勝利(モズリーとは相性が良かった)。しかし、ニカラグアのリカルド・マヨルガにKO負けで王座陥落、初黒星。再戦もマヨルガ勝利(2-0の判定。マヨルガとは相性が良くなかった)。階級を上げて元世界ウェルター級王者カルロス・マヌエル・バルドミールとWBC世界スーパーウェルター級王座決定戦。二階級制覇。その後は不安定で、王座を防衛したり、失ったり、奪回したり。そして2009年7月25日。ガソリンスタンドで強盗と銃撃戦になり、フォレストは死んだ(38歳)。)