2024年7月13日土曜日

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ⑤「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・バンタム級、WBO世界バンタム級王者。世界王座戦。ラタナチャイ・ソーウォラピン戦(再戦)、ファン・マヌエル・ロペス戦ほかを紹介します。

ジェリー・ペニャロサ(フィリピン)

身長163cm:サウスポー


ジェリー・ペニャロサ 10R 判定 トマス・ロハス

(バンタム級戦、2006年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ⑤「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:徳山昌守との再戦に敗れたペニャロサ(2002年12月)。2004年9月にカムバックして勝利。再起二戦目では決定戦でWBF王座(スーパーフライ級)獲得。三戦目は判定勝ちで、49勝(32KO)5敗2分。そしてこのロハスとの四戦目(プロ57戦目)。このところ試合間隔が長いが、コンディションはどうか? 22勝(14KO)8敗のロハスはメキシカン。勝ったり負けたりの不安定な時期を乗り越え、メキシコ王座(スーパーフライ級)、WBAの地域王座(スーパーバンタム級)獲得。しかし、このところ二連続判定負け。フィリピン・ケソンシティでの一戦(「マニー・パッキャオ vs. オスカー・ラリオス」のアンダーカード)。共にサウスポー。スリムなロハスが距離を取って右ジャブ。左ストレートに伸びとキレ。そしてボディ打ち、突き上げるかのような右フック。打つときは連打で一気に畳み掛ける(ダニエル・サラゴサに似ている)。ペニャロサは以前と全く変わらない。ディフェンス、左ストレート、右フック。2Rにはバッティングで負傷(おなじみの光景)。試合は全般的にパワーのペニャロサ、手数のロハス。ペニャロサが連打するシーンも(4Rほか)。最後までロハスが手数を出して10R終了。判定は3-0。ペニャロサのパワー&ディフェンスが評価されたらしい。ロハスは左ストレート、右フックボディ打ちが良かった。ただ、ペニャロサのガードを突破するほどのパワーではなかった印象。その後のロハス。アンセルモ・モレノ、ホルヘ・アルセに敗北。経験を積んだのが功を奏し、WBC世界スーパーフライ級王座獲得、連続防衛。王座陥落後は山中慎介のWBC世界バンタム級王座に挑戦してKO負けしたり、WBCの地域王座(フェザー級、スーパーフェザー級)を獲得したり。名のある選手と多くの試合をこなした。)


ジェリー・ペニャロサ 9R TKO マウリシオ・マルチネス

(バンタム級戦、2006年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ⑤「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ストレートでマルチネスがダウン

4R:ワンツーでマルチネスがダウン

9R:左ストレートでマルチネスがダウン

(感想:ペニャロサ(34歳)のプロ58戦目。マルチネス(31歳)はパナマの黒人。デビューから無敗でパナマ王座(バンタム級)を獲得したが、フレディ・ノーウッド、エクトール・アセロ・サンチェスに敗北。ニューヨーク州王座(フェザー級)獲得。NABO王座(バンタム級)獲得、連続防衛。決定戦でWBO世界バンタム級王者に。クルス・カルバハルにKO負けで王座陥落後はWBA、WBOの地域王座獲得。WBO王座の奪回には失敗したが、このところ連勝中。テキサス州エル・パソでの一戦。1R、共にサウスポーで似たタイプ。ディフェンスしながら右ジャブ、左ストレート、右フック。動きのスピードはそこそこ。クロス気味の左ストレートでマルチネスがダウン。その後、攻めるペニャロサ、応戦するマルチネス。「パナマのサウスポー」によくある「パンチの伸びとテクニックはあるが、KOを狙う激しさに欠ける」パターン。マルチネスもそのタイプで、ペニャロサのパワーに押され気味。4Rにはワンツーでダウン。9R、ペニャロサが右フックからの左ストレートをキッカケに連打。左ストレートでマルチネスがダウン。倒れると同時にレフェリーストップ。ペニャロサが左パンチで快勝。動きのキレはさすがに落ちたが、パンチ力は健在。マルチネスはテクニックで勝負するタイプ。圧力が強い相手には弱いようだ。その後もマルチネスはリングに上がり続けたが、地域王座戦に敗れたり、ホルヘ・アルセに判定負けしたり。世界王座返り咲きならず。)


ジェリー・ペニャロサ 8R TKO ラタナチャイ・ソーウォラピン

(WBO世界バンタム級タイトル戦、2008年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ⑤「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:連打でラタナチャイがダウン

(感想:ペニャロサがタイトル初防衛。マウリシオ・マルチネス戦の次の試合でダニエル・ポンセ・デ・レオン(メキシコ)のWBO世界スーパーバンタム級王座に挑戦したペニャロサだが、判定負け(2007年3月)。驚くべきことにその再起戦でジョニー・ゴンザレス(メキシコ)のWBO世界バンタム級王座に挑戦してKO勝ち、二階級制覇達成。初防衛戦はラタナチャイとの再戦。初戦はWBCスーパーフライ級インター王者ペニャロサが初防衛戦としてラタナチャイの挑戦を受けてKO防衛(2000年)。再戦はどんな内容となるか? タイの挑戦者ラタナチャイ(33歳)は「兄弟ボクサー」で兄は元IBF世界ストロー級王者ラタナポン・ソーウォラピン。これまで71勝(47KO)9敗。敗北を喫しながらもタイ王座、IBFインターコンティネンタル王座を獲得してきた。しかし、マーク・ジョンソンとのIBF世界スーパーフライ級王座決定戦は判定負け。ペニャロサとのインター王座戦でKO負け。ティム・オースティン(IBF世界バンタム級王座戦)、クリス・ジョンに敗北。WBOアジア王座(バンタム級)獲得後、クルス・カルバハルからWBO世界バンタム級王座奪取。マウリシオ・マルチネス相手に防衛に成功したが、ジョニー・ゴンザレスに敗れて王座陥落。その後、連勝でこのペニャロサ戦。雪辱及び世界王座奪回なるか、といったところ。フィリピン・ケソンシティでの一戦(会場ではマニー・パッキャオ、ファン・マヌエル・マルケスが観戦)。共にサウスポーで共通点が多い(打ち方、体格、トランクスのカラーなど)。ペニャロサはいつもの坊主頭ではなく少し髪を伸ばしている。この試合では動きがリズミカルで右フックからの左ストレートといったコンビネーション、連打が光る。ラタナチャイはタイ人らしい一発一発に力を込めるタイプ。ワンツーからの右フック、左右フック連打に迫力。試合は手数でペニャロサが優勢(かつて曺仁柱、徳山昌守に負けたときは手数で及ばなかったが、この試合のようにしっかり手数を出していれば負けることはなかっただろう)。4R、右フック連打を食ってラタナチャイが後退。8R、バッティングでペニャロサが出血。これでさらに気合いが入ったかペニャロサが右アッパーでラタナチャイをダウン寸前に追い込み、連打でラタナチャイがダウン。立ったラタナチャイだが、連打を浴びてレフェリーストップ。ペニャロサが快勝。手数が多いペニャロサは実に驚異的。ただでさえパンチがある選手に連打で攻められたら打たれる方はたまったものではないだろう。ラタナチャイは強打者だが、「流れるような連打」ができない弱点があった。その後もラタナチャイはリングに上がり続けたが、WBOの地域王座戦に敗れるなど勝ったり負けたり。強い選手だったが、より強い選手に行く手を阻まれることが多いキャリアだった。)


ファン・マヌエル・ロペス 10R TKO ジェリー・ペニャロサ

(WBO世界スーパーバンタム級タイトル戦、2009年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ⑤「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ロペスがタイトル防衛。これまで54勝(34KO)6敗2分のWBO世界バンタム級王者ペニャロサ。かつて獲れなかった王座に挑戦して三階級制覇を狙う。24戦全勝(22KO)の王者ロペスはプエルトリカン。10歳でボクシングを始める。アマチュアの国内王者(バンタム級)に。アテネ・オリンピック(2004年)にプエルトリコ代表でバンタム級に出場したが、1回戦で敗退。プロ入り後は連戦連勝。WBOの地域王座(スーパーバンタム級)獲得、防衛。2008年6月7日、ダニエル・ポンセ・デ・レオン(メキシコ)を1Rで仕留めてWBO世界スーパーバンタム級王座奪取。ペニャロサ戦は三度目の防衛戦となる。プエルトリコ・バヤモンでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ。TV解説者はレノックス・ルイス)。共にサウスポー。接近戦では力強く右ジャブ、ワンツー、フック、ボディ打ち。積極的で手数が多いロペス。ボディをよく攻め、アッパーも入れていく。打撃戦が続く。ペニャロサはワンツーがパワフルだが、勢いでロペス優勢。9R、ロペスが左アッパーからの右フックなどで攻勢。このラウンド終了後、ペニャロサが棄権。ロペスが攻めの姿勢で勝利。ペニャロサは負けたが、タフでパワーがあった。これだけ戦えれば十分だろう。その後の二人。ロペスは全勝を守り、2010年1月23日にスティーブン・ルエバノ(アメリカ)をTKOで下してWBO世界フェザー級王座獲得、二階級制覇。防衛に成功後、TKOで初黒星。王座奪回を目指したが、世界王座返り咲きならず。ボクサーとしては素晴らしい実績を残したが、プライベートでは女性に暴力を振るって逮捕。リングでも強い男が女性に暴力では話にならない(残念)。ペニャロサはWBO世界バンタム級王座返上。エリック・モレルとWBO世界バンタム級暫定王座決定戦を行い、判定負け。その再起戦にTKO勝ちして引退。引退後はボクサーになった甥のプロモートをしたり、ノニト・ドネアのトレーナーを務めたりした。) 

ジェリー・ペニャロサ①

イポリト・サウセド戦、趙英柱戦、ホルヘ・ルナ・サラテ戦

ジェリー・ペニャロサ②

曺仁柱戦(初戦・再戦)、ラモン・ウルタド戦

ジェリー・ペニャロサ③

ポーン・シンモロコット戦、山口圭司戦、徳山昌守戦(初戦)

ジェリー・ペニャロサ④

ジョエル・アビラ戦、オスカー・アンドラーデ戦、田中聖二戦、徳山昌守戦(再戦)

2024年7月10日水曜日

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・バンタム級、WBO世界バンタム級王者。ジョエル・アビラ戦、オスカー・アンドラーデ戦、田中聖二戦、徳山昌守戦(再戦)を紹介します。

ジェリー・ペニャロサ(フィリピン)

身長163cm:サウスポー


ジェリー・ペニャロサ 8R 負傷判定 ジョエル・アビラ

(WBCスーパーフライ級インタータイトル戦、2002年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペニャロサがタイトル防衛。徳山昌守に判定負けでWBC世界スーパーフライ級王座奪回に失敗したペニャロサ。再起戦はインター王座の三度目の防衛戦(プロ50戦目。2002年初試合、3月)。挑戦者アビラもまたフィリピン人。ウィラポン(タイ)、西岡利晃にKO負け。フィリピン王座(スーパーフライ級)獲得。WBAインターコンティネンタル王座(スーパーフライ級)はKO負けで獲得ならず。このところ二連勝でペニャロサに挑戦。フィリピン・マカティでの一戦。1R開始早々、ロープ下段に足を引っかけてコケるペニャロサ(珍しいシーン)。試合ではいつものようにパワーのある右ジャブ、左ストレート、右フック。接近戦ではワンツーからの右フック、ボディ連打など手数を出していく。アビラはパワーに押されて慎重姿勢。右ストレートで反撃しようとするが、パワーはそこそこ。そのため攻撃をブロックされてしまう。5R、6R、ペニャロサが連打。アビラはブロックするので精一杯。8R、ペニャロサのバッティングでアビラが負傷。負傷判定でペニャロサ防衛。最後は消化不良だったが、ペニャロサが押し気味で勝利。それにしてもペニャロサはバッティングが多い。攻めるときに力むせいなのかもしれない。アビラはパワーの点でペニャロサに対抗できるレベルにはなかった。その後、アビラは日本で連敗するなど負けが込むようになっていった。)


ジェリー・ペニャロサ 12R 判定 オスカー・アンドラーデ

(北米スーパーフライ級タイトル戦、2002年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペニャロサがタイトル獲得。これまで44勝(28KO)4敗2分のWBCインター王者ペニャロサ(30歳)。アメリカで北米王座に挑戦。王者アンドラーデ(27歳)はメキシカン。ニックネームは「Pajarito(パハリート)」(「小鳥」を意味するらしい。転じて「かわいい」「か弱い」の意味があるとか)。28勝(16KO)21敗1分。デビューから二連続KO負けするなど勝ったり負けたりで、いわゆる「エリート」ではない。アレックス・サンチェスとWBO世界ストロー級王座を争ってTKO負け。ラタナポン・ソーウォラピンのIBF世界ストロー級王座に挑戦してKO負け。北米J・フライ級王座を獲得して連続防衛。メルチョル・コブ・カストロ、マイケル・カルバハルに敗北。WBU王座戦(フライ級)に判定負け。どうやら減量苦から解放されてパワーが付いたらしく、NABA王座(フライ級)獲得、北米スーパーフライ級王座獲得。ペニャロサ戦は二度目の防衛戦となる。カリフォルニア州オーロビルでの一戦。ヒゲを生やして精悍な顔つきのアンドラーデ。しかも赤のトランクスで、名王者ウィルフレド・バスケスに似た雰囲気。ペニャロサのセコンドにはかつてのライト級選手フレディ・ローチが付く。ゴング。左右の構えは違うが、共にディフェンスしながらリズミカルな動きでジャブ、ストレート。アンドラーデは右パンチに自信。右ストレートにキレとパワーがあり、右フックでボディを叩く。ペニャロサはブロック&隙を突くパンチ。4R、ペニャロサがパワフルなワンツー、右フック。アンドラーデは右フックで応戦。全般的にペニャロサがワンツー&ディフェンスでポイント上、優勢。8R、バッティングでペニャロサが流血。その後もペニャロサがワンツー&ディフェンスで12R終了。アンドラーデは両手を上げて自身の勝利をアピールするが、判定は3-0。ペニャロサがディフェンスで勝利。共に実戦で鍛えた強さがあったが、ペニャロサはしっかりブロック。パワーでも上だった。その後もアンドラーデは多くの試合。WBOの地域王座(バンタム級)を獲得したり、強打者ノニト・ドネア相手に負けたが判定まで粘ったり。世界王者にはなれなかったが、多くの地域王座戦に出場した。)


ジェリー・ペニャロサ 8R TKO 田中聖二

(WBCスーパーフライ級インタータイトル戦、2002年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペニャロサがタイトル防衛。四度目の防衛戦。挑戦者の田中は鳥取県出身。これが初のタイトル戦。ハワイ・ホノルルでの一戦。共にサウスポー。足で距離を取る田中。右ジャブ、ワンツー、左カウンター、右フック。ペニャロサはブロックしながら前進し、左ストレート、右フック。速いパンチを使う田中。しかし、ペニャロサのパンチには速さに加えて伸びがあり、ジャブを正確に当てる。5R、田中の左フックがカウンターでヒット。その後、ペニャロサが右フックでボディ攻め。田中はシャープなワンツー連打。7R終了でレフェリーストップ。映像ではなぜストップされたのかよくわからなかった。田中自身はマウスピースを入れて8R開始のゴングに応じようとしていたが。ペニャロサがディフェンスと正確なジャブで勝利。パワーで上だった。田中はシャープな連打、左カウンターなどに良さ。ただ、ペニャロサのガードを崩せるようなパワーではなかった印象。その後、田中は判定で日本スーパーフライ級王座獲得。しかし、初防衛戦で名城信男にTKO負け。控え室で意識を失い、数日後に死去(2005年4月)。)


徳山昌守 12R 判定 ジェリー・ペニャロサ

(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、2002年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:徳山がタイトル防衛。王座奪回を目指すペニャロサ(WBC1位)が徳山と再戦(2002年最後の試合、12月)。初戦は手数で徳山。ペニャロサはパワーでは勝っていたが、後手に回って僅差の判定負け。王座奪回は戦法次第、といったところ。徳山はこれまで27勝(8KO)2敗1分。初戦後、二度の防衛。この再戦は六度目の防衛戦となる。大阪での一戦(会場ではTVゲストとして辰吉丈一郎が観戦)。徳山が忙しいボクシング。足で距離を取ってディフェンスしながらジャブ、右ストレート、左フック。打ち終わった後はまた距離を取り、接近戦での打ち合いを避ける。ペニャロサはどこに行っても同じ。強打で前進。3R、攻めるペニャロサだが、バッティングで出血(プロレスばりに流血するのがパターンになってしまった)。その後もジャブ、右カウンターの徳山、接近して左ストレート、右フックボディ打ちのペニャロサ。12R終了。判定は極めて僅差の2-1(二人のジャッジは1ポイント差で割れた)。ペニャロサはよく攻めたが、徳山がアウトボクシング。強打者ペニャロサとの打ち合いを避けたのは賢明なことだと思うが、エキサイティングな試合ぶりではなかった。その後の二人。ペニャロサはブランク。徳山は八度目の防衛成功。KO負けで王座を失ったが、奪回して初防衛。世界王者のまま引退した。)

ジェリー・ペニャロサ①

イポリト・サウセド戦、趙英柱戦、ホルヘ・ルナ・サラテ戦

ジェリー・ペニャロサ②

曺仁柱戦(初戦・再戦)、ラモン・ウルタド戦

ジェリー・ペニャロサ③

ポーン・シンモロコット戦、山口圭司戦、徳山昌守戦(初戦)

ジェリー・ペニャロサ⑤

トマス・ロハス戦、マウリシオ・マルチネス戦、ラタナチャイ・ソーウォラピン戦(再戦)、ファン・マヌエル・ロペス戦 

2024年7月2日火曜日

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・バンタム級、WBO世界バンタム級王者。WBCインター王座戦&WBC世界王座戦。ポーン・シンモロコット戦、山口圭司戦、徳山昌守戦(初戦)を紹介します。

ジェリー・ペニャロサ(フィリピン)

身長163cm:サウスポー


ジェリー・ペニャロサ 6R TKO ポーン・シンモロコット

(WBCスーパーフライ級インター王座決定戦、2000年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペニャロサがタイトル獲得。曺仁柱との再戦に敗れたペニャロサ(39勝(26KO)3敗2分)が再起戦。ポーンはタイ人。デビューから全勝で曺仁柱のWBC世界スーパーフライ級王座に挑戦したが、KO負け。徳山昌守との東洋太平洋王座戦(スーパーフライ級)、タイ王座戦(バンタム級)にも敗北。王座には縁がない状況。フィリピン・パラニャケでの一戦。この試合のペニャロサは手数が多い。ジャブで先手を取り、ワンツー、左右フックボディ打ちからの左ストレートといったコンビネーション。ポーンは相手のパワーを警戒して慎重姿勢。距離を取ってジャブ、ワンツーからの左フックなどで応戦。5R、ペニャロサの左ストレートが連続ヒット。右マブタを負傷したポーンがドクターチェック。6R、ポーンのキズが悪化して試合終了。ペニャロサが良い勝ち方。一発一発にパワーを込めるのは相変わらずだったが、手数、コンビネーション。これが本来のペニャロサなのだろう。ポーンは悪い選手ではないが、普通。ディフェンスもできるペニャロサには及ばなかった。その後もポーンはリングに上がり続けたが、王座戦は無し。ラストファイトは日本で。池原信遂に判定負けだった。)


ジェリー・ペニャロサ 1R TKO 山口圭司

(WBCスーパーフライ級インタータイトル戦、2001年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックで山口がダウン

(感想:ペニャロサがタイトル防衛。ラタナチャイ・ソーウォラピン(タイ)を相手にインター王座の初防衛に成功したペニャロサ(6RでのKO。ラタナチャイとは後に再戦)。二度目の防衛戦(2001年初試合、5月)。挑戦者の山口(29勝(11KO)6敗1分)は元WBA世界J・フライ級王者。KO負けで王座陥落後はホセ・ボニージャのWBA世界フライ級王座に挑戦してTKO負け、曺仁柱のWBC世界S・フライ級王座に挑戦して判定負け。直前の試合はKO負け。元々、打たれ弱さがあるうえにピークを過ぎている。フィリピンのケソン・シティでの一戦(共に27歳)。ナジーム・ハメドのファンだという山口。ヒョウ柄のトランクスで、ベルトラインには「PRINCE(ハメドのニックネーム)」。共にサウスポーであるが、タイプが違う。ファイターのペニャロサ、ボクサータイプの山口。互いにジャブ。フットワークの山口をペニャロサが左ストレートで追う。左フックで山口がダウン。立ったが、右フック、左ストレートを打ち込まれたところでセコンドからタオル投入。ペニャロサが強打で圧勝。山口は早めのタオル投入に困惑している様子だったが、強いパンチを食っていた。元々コンディションが良くなかったのではないか? セコンド陣は山口が危険な状態になったらすぐに棄権するつもりだったのだろう。再起戦もTKO負けで引退。)

 

徳山昌守 12R 判定 ジェリー・ペニャロサ

(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、2001年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:徳山がタイトル防衛。王座奪回を目指すペニャロサ(WBC1位)。曺仁柱を破った徳山に挑戦。これまで24勝(6KO)2敗1分の徳山はこれが三度目の防衛戦。横浜アリーナでの一戦(テレ朝での放送。TV実況席に大橋秀行、川島郭志、プロレスラーの武藤敬司。リングサイドではファイティング原田、米倉健司など)。レフェリーはラリー・オコーネル。徳山がジャブ、右ストレート。ペニャロサはワンツー、右フック。互いにディフェンスしながらストレート狙い。残念なことにペニャロサは曺仁柱戦の時のように力んで手数が少な目。徳山が足で距離を取りながらジャブで先手を取り、ワンツーからの左フックといった手数。ただし、共にクリーンヒットは少な目。5R、徳山の右カウンターがヒット。9R、バッティングで出血したペニャロサがドクターチェック。11Rにはプロレスばりの出血でペニャロサが再びドクターチェック。12R、互いのストレートがヒット。12R終了。判定は小差の3-0。ペニャロサが惜しい敗北。後手に回って相手にポイントを取られるパターン。ポーン・シンモロコット戦ではジャブで先手を取り、コンビネーションを出すなど手数を意識した試合をしていたが、徳山戦ではパワーに頼って空転。勝てる試合を落とした印象。徳山はそれほどパワーがあるタイプではないが、巧く相手の攻撃をかわした。後、両者は世界王座を懸けて再戦。)

ジェリー・ペニャロサ①

イポリト・サウセド戦、趙英柱戦、ホルヘ・ルナ・サラテ戦

ジェリー・ペニャロサ②

曺仁柱戦(初戦・再戦)、ラモン・ウルタド戦

ジェリー・ペニャロサ④

ジョエル・アビラ戦、オスカー・アンドラーデ戦、田中聖二戦、徳山昌守戦(再戦)

ジェリー・ペニャロサ⑤

トマス・ロハス戦、マウリシオ・マルチネス戦、ラタナチャイ・ソーウォラピン戦(再戦)、ファン・マヌエル・ロペス戦 

2024年7月1日月曜日

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・バンタム級、WBO世界バンタム級王者。強打炸裂&不発。曺仁柱戦(初戦・再戦)、ラモン・ウルタド戦を紹介します。

ジェリー・ペニャロサ(フィリピン)

身長163cm:サウスポー


曺仁柱 12R 判定 ジェリー・ペニャロサ

(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、1998年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:曺がタイトル獲得。WBC世界スーパーフライ級(J・バンタム級)王者ペニャロサの四度目の防衛戦(98年最後の試合、8月)。挑戦者の曺仁柱(チョ・インジュ)はなかなか優秀な選手。これまで全勝。プロ四戦目であのアブラハム・トーレス(日本で辰吉丈一郎、葛西裕一と対戦したベネズエラ人)に判定勝ち。六戦目で元IBF世界J・フライ級王者タシー・マカロスに判定勝ち。満を持しての世界挑戦。韓国・ソウルでの一戦(レフェリーは浦谷信彰)。白のトランクス、ペニャロサはいつものように力強い右ジャブ、左ストレート、右フック。青の曺は変わったスタイル。ガードを上げて左手を前に出す構え。「当てない左ジャブ」で相手の接近を阻止。ペニャロサはやりにくそう。レフェリーは「もっと打ち合え」と両者に指示。時折速い連打をまとめる曺。しかし、KOを狙うようなパンチではない。ペニャロサはパワフルだが、ディフェンスされて空転。5R、バッティングでペニャロサが負傷。6Rにペニャロサが左ストレート、7Rは曺が連打で見せ場を作る。その後も曺がアウトボクシング、ペニャロサは後手に回って12R終了。判定は2-1。曺が左のテクニック&連打で勝利。「打たせずに打つ」のが近代ボクシング。曺はそれを忠実に実行。しかしながら、これはプロボクシング。エキサイティングな試合をしない選手は人気が出ず、試合自体が少なくなってしまう。そのため選手は打ち合って自分の強さをアピールするが、曺はこの試合ではそういう戦い方をしなかった。いつもこういう戦い方なのか、この試合は確実に勝ちたかったから特別慎重だったのだろうか? ペニャロサはいつものようにパワーのあるパンチだったが、タイトルをかすめ取られたような気分だろう。その後、両者は王座を懸けて再戦。)


ジェリー・ペニャロサ 2R KO ラモン・ウルタド

(NABAスーパーフライ級王座決定戦、1999年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左ストレートでウルタドがダウン

(感想:ペニャロサがタイトル獲得。これまで39勝(24KO)2敗2分のペニャロサ(WBC世界スーパーフライ級1位)が曺に敗れた再起戦で地域王座に挑戦(99年初試合、6月)。ウルタドはパナマの黒人。12勝(9KO)3敗。パナマでデビュー。元々はミニマム級。パナマで連勝後、主戦場をアメリカに。しかし、苦戦。このところ二連続KO負け。ミシシッピ州ビロクシでの一戦(ペニャロサのセコンドに兄ドディボーイ)。スリムなウルタド。ジャブ、右ストレート、振りが大きめの右フック。どうやら右パンチに自信があるらしいが、動きのスピード、パンチのキレはそこそこ。ペニャロサは左ストレート、右フックにパワー。互いにストレートがヒット。接近戦ではボディ攻撃。2R、強烈な左ストレートでウルタドがダウン、10カウント。ペニャロサが得意パンチで快勝。一発のパワーは凄まじいものがある。ウルタドはパワーを込めて右パンチを使ったが、撃沈。やはり階級差によるタフネスの違いがあったか。その後もウルタドはリングに上がり続けたが、タイトル戦は無し。最後の相手はホルヘ・アルセ(当時、ライトフライ級)で、KO負けだった。)


曺仁柱 12R 判定 ジェリー・ペニャロサ

(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、2000年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:曺がタイトル防衛。結局、1999年はウルタド戦のみとなったペニャロサ。その次の試合は王座奪回を目指す世界戦。曺はペニャロサとの初戦後、三度の防衛成功。韓国・ソウルでの一戦(レフェリーはマーティ・デンキン。ジャッジの一人に森田健)。基本的には初戦と同じ。曺は左を使いながら距離を取って右ストレート、左フック。打ってはまた足を使って距離を取る。ペニャロサは左ストレート狙いで前進。1Rに右フックを決めたペニャロサだが、パワーを込めすぎて攻撃が単発。スムーズに連打できない欠点があり、手数が少ない。曺は連打などで手数を出すが、KOするようなパワーは無し。9R、左ボディで曺がダウンしたが、低いパンチだったため「スリップ」の判定。10R、よく足を使う曺が自身の濡れたコーナーでスリップ(二度。実にカッコ悪い倒れ方だった)。11R、ペニャロサの左ストレートがヒット。曺はクリンチ&連打。12R終了。判定はまたしても2-1。ペニャロサは初戦と同様、手数で負けた。どのパンチにもパワーを込めるスタイルは手数が少なくなる弱点がある。曺は作戦通りだったのではないか?   その後の曺。六度目の防衛戦で徳山昌守に判定負けで王座陥落、初黒星。徳山との再戦はKO負け、引退。)

ジェリー・ペニャロサ①

イポリト・サウセド戦、趙英柱戦、ホルヘ・ルナ・サラテ戦

ジェリー・ペニャロサ③

ポーン・シンモロコット戦、山口圭司戦、徳山昌守戦(初戦)

ジェリー・ペニャロサ④

ジョエル・アビラ戦、オスカー・アンドラーデ戦、田中聖二戦、徳山昌守戦(再戦)

ジェリー・ペニャロサ⑤

トマス・ロハス戦、マウリシオ・マルチネス戦、ラタナチャイ・ソーウォラピン戦(再戦)、ファン・マヌエル・ロペス戦 

2024年6月30日日曜日

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・バンタム級、WBO世界バンタム級王者。WBC王座戦。イポリト・サウセド戦、趙英柱戦、ホルヘ・ルナ・サラテ戦を紹介します。

ジェリー・ペニャロサ(フィリピン)

身長163cm:サウスポー


ジェリー・ペニャロサ 10R 判定 イポリト・サウセド

(バンタム級戦、1997年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

10R:ワンツーでサウセドがダウン

(感想:ペニャロサはフィリピンの有名な「ペニャロサ三兄弟」の三男(長兄のドディ・ボーイ・ペニャロサはIBF世界J・フライ級、フライ級で二階級制覇。次兄のジョナサン・ペニャロサは世界挑戦の経験)。デビュー以来、連勝でIBFのインター王座(J・フライ級)を獲得。しかし、サムエル・デュラン(日本で辰吉と戦ったり、オルランド・カニザレスのIBF世界バンタム級王座に挑戦したりで有名)のフィリピン・バンタム級王座に挑戦して判定負け、初黒星。その後、ローランド・ボホール、ローランド・パスクワといった選手を相手に連勝。「WBC1位」として初の世界挑戦。川島郭志から判定でWBC世界J・バンタム級王座獲得。李承九(韓国)を相手にKOで初防衛。その次の試合がこのノンタイトル戦。これまで37勝(23KO)1敗1分。13勝(5KO)3敗1分のサウセド(29歳)はメキシカン。デビュー戦はTKO負け。その後も敗北はあったが、北米王座(J・バンタム級)獲得。ダニー・ロメロのIBF世界J・バンタム級王座挑戦はTKO負け。再起戦に勝利して、このペニャロサ戦。コネチカット州マシャンタケットでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ。会場ではモンテル・グリフィンが観戦。当時、グリフィンはWBC世界ライトヘビー級王者。しかし、このすぐ後、ロイ・ジョーンズ・ジュニアとの再戦でKO負けして王座陥落)。右ジャブで慎重に相手の様子を見るペニャロサ(25歳)。サウセドも相手を警戒してジャブ。2Rから攻めるサウセド。長いジャブ、右ストレート、フック、左ボディ打ち。なかなかシャープなパンチ。ペニャロサはジャブ、ワンツーでカウンター。右フックにパワーがある。しかしながら、ペニャロサは全体的に受け身。右フック、左ボディ打ちに良さがあるサウセドは攻めの姿勢で手数が多い。10R、ワンツーでサウセドがダウン。ラウンド終了後にも打ち合う。判定は3-0。意外なことにフルマークでペニャロサ。パワーで勝っていたが、受けに回るシーンが多かった。サウセドは手数が全く評価されなかった。シャープなパンチであったが、パワー不足だったか。その後のサウセド。再起戦に勝利(1997年10月)。しかし、1998年2月に自ら命を絶った。思うようにならない人生に悲観したようだ。)


ジェリー・ペニャロサ 10R TKO 趙英柱

(WBC世界J・バンタム級タイトル戦、1997年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでペニャロサがダウン

10R:ボディ連打で趙がダウン

(感想:ペニャロサがタイトル防衛。二度目の防衛戦(97年最後の試合、11月)。WBC9位の挑戦者、趙(韓国)は無敗。これまでの試合は全て地元で王座戦はこれが初めて。韓国での一戦(リングサイドにWBC会長ホセ・スライマン)。共にサウスポー。右ジャブ、左ストレート、右フック。しかしながら、「パンチの伸び」でペニャロサ。1Rから左ストレートを当て、ボディ打ちも力強い。ところが右フックでペニャロサがダウン(大いに盛り上がる会場)。しかし、趙は1Rから左マブタをカットするハンデ。その後も趙は上体を忙しく動かしながら前進。ペニャロサはディフェンスしながらジャブ、ストレートでカウンター。6R、ペニャロサが右フック、連打で優勢。10R、ボディ連打で趙がダウン。立ったが、レフェリーストップ。ペニャロサが粘り強い試合ぶりで勝利。相手の攻撃をブロックし、伸びとパワーのあるパンチを打ち込み続けた。趙はよく頑張ったが、ブロックされた。相手のガードを突破するような攻撃が少なかった印象。これが最後の試合に。)


ジェリー・ペニャロサ 2R 負傷引分 ホルヘ・ルナ・サラテ

(WBC世界J・バンタム級タイトル戦、1998年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペニャロサがタイトル防衛。三度目の防衛戦(98年初試合、4月)。挑戦者サラテはメキシカン。あのカルロス・サラテの甥。デビューから全勝でフリオ・セサール・ボルボアのIBF世界J・バンタム級王座に挑戦したが、判定負け(1993年)。再起戦でメキシコ王座(J・バンタム級)を獲得。それから時が過ぎ、この二度目の世界挑戦。フィリピン・パサイでの一戦(レフェリーはリチャード・スティール)。左右の構えの違いはあるが、共にガードを上げてジャブ、ストレート。サラテはカルロスに似た構えからジャブ、右ストレート。しかし、1Rからペニャロサが左ストレートを当てる。2Rには左カウンター。そしてバッティング。右目付近を負傷したペニャロサがドクターチェック。試合終了。注目の対決だったが、あっけなく終わってしまった。左ストレートでペニャロサが優勢ではあったが、その後もそのパターンが続くとは限らない。ただ、サラテはカルロスほどパワーは感じられず。結局、両者の再戦は無し。その後、サラテは二度の世界挑戦のチャンスを得たが、いずれも判定負け。世界王者にはなれなかった。)

ジェリー・ペニャロサ②

曺仁柱戦(初戦・再戦)、ラモン・ウルタド戦

ジェリー・ペニャロサ③

ポーン・シンモロコット戦、山口圭司戦、徳山昌守戦(初戦)

ジェリー・ペニャロサ④

ジョエル・アビラ戦、オスカー・アンドラーデ戦、田中聖二戦、徳山昌守戦(再戦)

ジェリー・ペニャロサ⑤

トマス・ロハス戦、マウリシオ・マルチネス戦、ラタナチャイ・ソーウォラピン戦(再戦)、ファン・マヌエル・ロペス戦 

2024年6月28日金曜日

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF ・WBO世界フェザー級王者。キャリア終盤の試合。マイク・ファレス戦、アグスティン・ロレンソ戦、ロドニー・ジョーンズ戦、スコット・マクラッケン戦を紹介します。

ホルヘ・パエス(メキシコ)

身長165cm:オーソドックス(右構え)


ホルヘ・パエス 5R KO マイク・ファレス

(ライト級戦、2002年)

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:左フックでファレスがダウン

(感想:オーギー・サンチェスにKOされたパエス(1999年)。再起戦で空位のIBA王座(J・ライト級)を狙ったが、TKO負け(結果的にそれが最後のタイトル戦に)。その後は中堅を相手に連勝中。直前の試合ではトム・ジョンソンと「元IBF世界フェザー級王者対決」を行い、2RでKO勝ち。ファレス(32歳)はネブラスカ州オマハの中堅選手。デビューから連勝後、判定で二連敗。フィリップ・ホリデイ(後のIBF世界ライト級王者)に判定負け、ジェフ・フェネックにKO負け。IBAインターコンティネンタル王座戦、北米王座戦(いずれもフェザー級)、エリック・モラレス戦に敗北。直前の試合でジュニア・ジョーンズにKOされるなど連敗中。テキサス州コーパス・クリスティでの一戦。共に坊主頭。パエス(36歳)は前髪だけ残した珍妙な髪型(&口ヒゲ)。互いにジャブ。パエスが左ボディ打ち。パワーはそこそこだが、良い打ち方。ファレスはややアップライトな姿勢からジャブ、ワンツー、フック。攻めるときのディフェンスに甘さ。2R、調子に乗っておどけるパエスだが、得意の左ボディ打ちがローブローとなって減点。4Rにもローブロー。5R、左ボディからの左フック連打でファレスがダウン。立てず、KO。パエスが得意の左フックで勝利。危うくローブローで反則負けになるところだったが、実力差があった。ファレスはディフェンスに問題。それが実力者たちに勝てなかった原因だろう。その後もファレスはウェイン・マッカラーらを相手に連敗。6回戦で判定勝ちしてそれが最後の試合に。)


ホルヘ・パエス 3R TKO アグスティン・ロレンソ

(ライト級戦、2002年)

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ボディでロレンソがダウン

3R:左アッパーでロレンソがダウン

(感想:これまで72勝(48KO)14敗5分のパエス。27勝(21KO)14敗3分のロレンソもメキシカン。マイナー王座を獲得したことがあるが、メキシコ王座戦(J・フェザー級)、イスラエル・バスケス戦、オスカー・ラリオス戦、ジャン・バチスト・メンディ戦に敗北。直前の試合は1RでKO負け。カリフォルニア州レモーでの一戦。屋外リングでの試合。外は日が暮れかかっている。1R、パエスがリズミカルなボクシング。ロレンソは意外に良い選手。ガードを上げてジャブ、ワンツーからの左フック、左ボディからの左フック、左右アッパー。打ち方が良い。しかし、ボディを打たれてあっけなくダウン(どうやら攻めるときは強いが、攻められると弱いタイプらしい)。2R、パエスが手首を回しながらフック攻撃。3R、パエスが踏み込んで打った左アッパーでロレンソがダウン。痛烈なダウンにレフェリーは直ちに試合を止めた。パエスが快勝。ロレンソは打たれ弱さがあった。その後、ロレンソはWBCの地域王座戦(スーパーライト級)でTKO負けするなど三連敗。そして、2003年9月に30歳で死去。酒場で刺殺されたという。)


ホルヘ・パエス 10R 判定 ロドニー・ジョーンズ

(ウェルター級戦、2003年)

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:中堅どころを相手に連勝のパエス。これまで77勝(51KO)14敗5分。ジョーンズ(33歳)はアーカンソー州出身の白人。身長が低めで(161cm)、ニックネームは「Pitbull」。25勝(12KO)4敗。デビューから連戦連勝だったが、ポール・スパダフォーラに判定で初黒星(当時、スパダフォーラはIBF世界ライト級王者。ノンタイトル戦だった)。WBAインターコンティネンタル王座戦(ウェルター級)でKO負けするなどこのところ勝ち星に恵まれていない。シカゴでの一戦(レフェリーはティモシー・アダムス)。ゴング前、両選手リング中央へ。パエスは太々しい表情、ジョーンズは気が強そうな顔。開始からフックで乱打戦。ジョーンズは不器用なタイプ。いきなりの右ストレート、左右フック。パエスを持ち上げたり、中途半端に距離を取って一貫しない攻めを見せたり。パエスはディフェンスしながら大きめのフック、得意の左ボディ打ち。ディフェンスが甘いジョーンズ。1Rに右フックをカウンターで食ったが構わず前進(タフ)。3R終了後、両者ニラみ合い。4R、ジョーンズの右フックでパエスがピンチ。しかし、当てる巧さで挽回。5R終了後、ジョーンズがパエスに肩をぶつける(態度悪し)。6R、パエスがジョーンズをロープ外に押し出す。ジョーンズは右アッパーをヒットさせる(たまに良いパンチを入れるジョーンズ。才能はあるが、気が荒すぎ)。7R終了時、ホールドを離さないジョーンズにパエスがヘッドバット。9R、互いに挑発。レフェリーが困惑し、セコンドなどの関係者と協議。何とか10R終了。判定は大差の3-0(ジャッジ三人が「99-90」)。大荒れの試合となったが、パエスがパンチの正確さで勝利。普段は陽気なパエスだが、実はかなり気が強い。そのお陰でここまでやってこれたが、こういうラフな試合は困る。ジョーンズはタフだったが、上には行けないレベル・試合態度。その後も勝ったり負けたり。ラストファイトはNABAライト級王座決定戦で、判定負け。王座とは無縁だった。)


ホルヘ・パエス 10R 判定 スコット・マクラッケン

(スーパーライト級戦、2003年)

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:パエス(38歳)のプロ98戦目で最後の試合。マクラッケン(25歳)はペンシルベニア州の白人。身長は175cm。これまで15勝(11KO)5敗。ローカルな試合が多く、このところ勝ったり負けたり。アリゾナ州フェニックスでの一戦。スーパーマンのコスチュームで入場のパエス。観客にウケている。試合ではトランクスではなく、スーパーマンのロングタイツ。右フック、左ボディ打ちを交えたコンビネーションが光るが、1Rからバッティング。スリムなマクラッケンは速いジャブ連打、右ストレート。手数が多い。接近戦。力強いフックを見せるマクラッケン。両者一歩も引かない打撃戦。映像では左フックを連発したり、左フックダブルからの右ストレートといった連打で攻めたりでパエスが優勢に見える。10R終了。判定は2-1。パエスがコンビネーションで勝利。精力的な攻め、力強さがあった。マクラッケンは細かいボクシング。ややジャッジへのアピールが足りなかったか。その後の二人。マクラッケンはローカル王座(ライトウェルター級)を獲得できたが、そこまで。パエスは試合前から脳の腫れがあったことからマクラッケン戦が最後に。獲得できた世界王座はフェザー級のみにとどまったが、観客を沸かせた「名物男」。引退後はWWEプロレスにも出演。息子二人もボクサーになった。) 

ホルヘ・パエス①

カルビン・グローブ戦(再戦)、ルイ・エスピノサ戦(初戦)、アラン・マキトキ戦

ホルヘ・パエス②

フェルナンド・セグラ戦、ジョニー・デラローサ戦、ラモン・フェリックス戦

ホルヘ・パエス③

ホセ・ビダ・ラモス戦(初戦)、ファン・マシアス戦、オーギー・サンチェス戦

2024年6月27日木曜日

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF・WBO世界フェザー級王者。世界王座返上後の苦戦。ホセ・ビダ・ラモス戦(初戦)、ファン・マシアス戦、オーギー・サンチェス戦を紹介します。

ホルヘ・パエス(メキシコ)

身長165cm:オーソドックス(右構え)


ホセ・ビダ・ラモス 5R 反則 ホルヘ・パエス

(J・ウェルター級戦、1995年)

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでパエスがダウン

(感想:元IBF 世界フェザー級王者パエス(29歳)。フレディ・ペンデルトンのIBF世界ライト級王座に挑戦して判定負け。オスカー・デラ・ホーヤとWBO世界ライト級王座決定戦を行って2RでKO負け。中堅どころには勝利しているが、大きな勝負には勝てず。元々パワーファイターではないため階級を上げて苦戦するのは当然か。さらにヘナロ・エルナンデスにTKO負けして53勝(35KO)8敗4分に。ラモス戦はその再起戦となる。ラモス(28歳)はドミニカ人。24勝(17KO)2敗。地元を中心にデビューから全勝でドミニカ王座(フェザー級)獲得。しかし、ケビン・ケリーのWBC世界フェザー級王座への挑戦はKOで惨敗。パエスと再起戦。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはジョー・コルテス。パエスのセコンドにナチョ・ベリスタイン、ミゲル・ディアス)。白いウェディングドレスで入場のパエス。トランクスは白のロングタイプ。後頭部には文字の刈り込み。1R、スリムなラモスがジャブ連打、右ストレート。距離を取ってボクサータイプの戦い方。パエスはいつものように前に出る姿勢。接近戦。互いにフック。ラモスのしゃくるような大きな右フックが迫力。右フックでパエスがダウン。しかし、パエスも右をヒットさせる。その後、勢いを増すラモス。右ストレートからの左フック、右アッパーからの左フックといったコンビネーションにパワー。手数を出していく。パエスは正確なジャブ、当てる巧さで対抗。4R、激しい打ち合い。攻めるラモスは頭もぶつける。5R、右パンチを当てるパエス。しかし、左ボディ打ちがローブローに。そして再び左ボディ打ちがローブローに。ダウンしたラモスに右フック。うつぶせにぶっ倒れたラモスを見てレフェリーはパエスの反則負けを宣告。意外な結末でパエス敗北。確かにラモスには勢いがあったがパエスのパンチも当たっており、パエスにはタフネスとディフェンスもある。相手のパワーに思わず焦ったのかもしれない。ラモスは攻められると弱いところがあったが、ラッキーな勝利。勝って喜んでいた(ボクサーはイマイチな勝ち方でも勝てば嬉しいものらしい)。その後のラモス。パエスと空位のNABOジュニアライト級王座を懸けて再戦(ダイレクト・リマッチ)し、判定勝利。防衛にも成功し、レジリオ・ツールのWBO世界ジュニアライト級王座に挑戦したが何と1RでKO負け。それが最後のタイトル戦となり、事実上のラストファイトとなった。)

 

その後のパエス

中堅選手相手に連勝後、ナルシソ・バレンズエラとの決定戦でWBC米大陸王座(J・ライト級)獲得。ジュリアン・ウィーラーに判定負け、王座陥落。判定で王座奪回。エンジェル・マンフレディのWBU王座(J・ライト級)に挑戦してTKO負け。再起戦はファン・マシアスと「NABU」なる北米団体のJ・ライト級王座決定戦。


ホルヘ・パエス 6R KO ファン・マシアス

(NABUジュニアライト級王座決定戦、1998年)

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:左ボディでマシアスがダウン

(感想:パエスがタイトル獲得。マシアスもメキシカン。デビューから連勝だったが、TKOで初黒星。以来、不調。このところNABO戦、IBAインターコンティネンタル王座戦(いずれもライト級)に敗北するなど連敗中。ラスベガスでの一戦(レフェリーはミッチ・ハルパーン。パエスのセコンドにはおなじみチャック・ボダック)。パエス(黒地にカラフルな水玉のトランクス。「HONDA」の文字入り)が妙な動きを取り入れながら前進。左ボディ、アッパー気味の左フックといった左のテクニック。マシアスはブロックしながらジャブ、左ボディフックで応戦。接近戦。フックにパワーがあるマシアスだが、パエスはディフェンス、左フック連打。手数とハンドスピードでパエス優勢。4R、バッティングでパエスが左眉付近から出血(強く当たったようには見えなかった。たぶん、キレやすくなっているのだろう)。5R、パエスが左フックからの右ストレート。6R、左ボディでマシアスがダウン。ヒザをキャンバスに着いたままカウントアウト。パエスが積極的な攻めで勝利。一発のパワーはそれほどではないが、タフさ、手数、当てるテクニックはまだまだ健在。マシアスは力を込める分、連打の回転力で劣った。その後のマシアス。WBC米大陸王座(J・ライト級)獲得。しかし、フリオ・ディアズ、エンジェル・マンフレディ、ミゲル・コット、パエス(再戦)らに敗北。トップクラスではなかったが、多くの試合に出場した。)


オーギー・サンチェス 7R KO ホルヘ・パエス

(J・ライト級戦、1999年)

「サーカス出身のフェザー級」ホルヘ・パエス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでパエスがダウン

7R:左フックでパエスがダウン

(感想:マシアス戦後、ファン・ポロ・ペレスとの決定戦に勝利してIBAのアメリカス王座(J・ライト級)を獲得したパエス。その次の試合はノンタイトル戦(99年初試合、5月)。サンチェスはラスベガス出身でニックネームは「Kid Vegas」。アマチュアで活躍。フロイド・メイウェザー・ジュニアを破ったことがあるという。ただ、メイウェザーに敗れ、オリンピック出場ならず。プロデビュー以後、連勝だったが、TKOで初黒星。その後、また連勝でパエス戦。ラスベガス「ヒルトン」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはリチャード・スティール)。ピンクやオレンジ色の派手なフリフリなトランクスのパエス。前髪だけを残した坊主頭(実にもっともない。しかし、凄く目立つ。プロは目立つことも必要)。試合ではいつものようにジャブ、意表を突くタイミングでフック攻撃。サンチェスは基本的なタイプ。ブロックを固めてジャブ、左ショートフック。左のテクニックを持っている。左フックでパエスがダウン。その後もインサイドからのアッパーなど器用なところを見せるサンチェス。パエスはフックに迫力。3R、パエスがおどけた動き&大きなフック。接近戦。互いにディフェンス&手数。7R、打ち合いの中、左フックでパエスがダウン。ほぼ失神状態で10カウント。パエスが完敗。振りの大きいパンチがパエスの武器だが、その隙を突かれた。コンディションはいつもと同じように見えた。サンチェスはショートパンチが巧かった。実力による決着。その後もサンチェスは元世界王者ダニエル・ヒメネスを破るなど連勝。しかし、ナジーム・ハメドのWBO世界フェザー級王座への挑戦はTKO負け(2000年。かなりのダメージを負った)。その後、ルイシト・エスピノサ、ダニエル・ヒメネス(再戦)を破ったが、ジョン・マイケル・ジョンソンとのIBA王座戦(フェザー級)で31秒KO負け。ハメド戦と同様、担架で運ばれるほどのダメージを負ったことからボクシングライセンスを剥奪され、引退。トレーナーに転身した。)

ホルヘ・パエス①

カルビン・グローブ戦(再戦)、ルイ・エスピノサ戦(初戦)、アラン・マキトキ戦

ホルヘ・パエス②

フェルナンド・セグラ戦、ジョニー・デラローサ戦、ラモン・フェリックス戦

ホルヘ・パエス④

マイク・ファレス戦、アグスティン・ロレンソ戦、ロドニー・ジョーンズ戦、スコット・マクラッケン戦