世界二階級制覇王者。世界王座防衛戦。パオロ・ロベルト戦、トニー・マーシャル戦、ハビエル・マルティネス戦を紹介します。
ハビエル・カスティリェホ(スペイン)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①ハビエル・カスティリェホ 7R TKO パオロ・ロベルト
(WBC世界S・ウェルター級タイトル戦、1999年)
(感想:カスティリェホがタイトル防衛。ベルナール・ラザノを破って欧州王座(J・ミドル級)を獲得したカスティリェホ。その後、王座を連続防衛したが、苦難。ローラン・ブードゥアニに敗北(ブードゥアニは後、フリオ・セサール・バスケスを破ってWBA世界J・ミドル級王座獲得)。再戦でも敗北。地域王座を獲得するなど連勝し、二度目の世界挑戦。キース・ムリングスを判定で下し、WBC王者に。TKOで初防衛に成功。そして二度目の防衛戦。挑戦者ロベルトはスウェーデンのサウスポー。ヨーロッパを中心にリングに上がってきた。アメリカでも試合をしているが、王座戦はこれが初めて。スペイン・レガネスでの一戦。相手から距離を取ってジャブを出すカスティリェホ。ロベルトは「攻めるタイプのサウスポー」(ヘクター・カマチョ、ナジーム・ハメドの雰囲気)。右ジャブを使いながら左ストレート、右フック。慎重姿勢のカスティリェホだが、攻めるときは左フックからの右ストレート、フック連打(どうやらサウスポーはあまり得意ではないようだ)。互いに相手を警戒してディフェンス。6R、カスティリェホが攻め、フック、左アッパーをヒットさせる。ロベルトはクリンチ&反撃。7R、攻めるロベルトだが、左フックを連続で食って動きが止まったところでレフェリーストップ。カスティリェホが強打を爆発させて勝利。勝って大喜びしていた。ロベルトは悪くはなかったが、攻めが単調。攻撃のバリエーションがもっとあれば、といったところ。その後、ロベルトはWBO世界ミドル級王座に挑戦したが、判定負け。WBCインター王座(ウェルター級)などを獲得する活躍を見せたが、世界王座には手が届かなかった。)
②ハビエル・カスティリェホ 12R 判定 トニー・マーシャル
(WBC世界S・ウェルター級タイトル戦、2000年)
(感想:カスティリェホがタイトル防衛。四度目の防衛戦。挑戦者マーシャルはガイアナの黒人で、ニックネームは「The Tiger」。元世界王者アーロン・デービスに判定勝ち、フリオ・セサール・バスケスに判定負け(WBA世界J・ミドル級王座戦。カスティリェホとマーシャルは「バスケスに判定負け」という共通点がある)、ロナルド・ライトに判定負け(北米J・ミドル級王座戦)、グレンウッド・ブラウン、デービス(再戦)に判定負け。キース・ムリングスに判定勝ちして浮上。北米J・ミドル級王座獲得、防衛。連勝中の勢いでカスティリェホに挑戦。レガネスでの一戦。共に速いジャブ。接近戦。フックでの打ち合い。カスティリェホはパワー。マーシャルはパンチのキレがあり、インサイドからのフック、しゃくるようなフックに強さ。互角の勝負で、一進一退。ディフェンスとジャブを当てる巧さでややカスティリェホが上か? 12R終了。判定は3-0。ジャッジの一人は8ポイント差。2ポイント差のジャッジも。大きな実力差が無かった好勝負。「互角の場合は王者がポイントを取る」というボクシング界のルールが「3-0」になった原因かもしれない。その後、意外なことにマーシャルはIBAインターコンティネンタル王座戦(S・ウェルター級)、フェルナンド・バルガス戦に連敗するなど大きな活躍は無かった。)
③ハビエル・カスティリェホ 4R TKO ハビエル・マルティネス
(WBC世界S・ウェルター級タイトル戦、2000年)
(ダウンシーン)
1R:左ボディでマルティネスがダウン
4R:ワンツー、連打で2度、マルティネスがダウン
(感想:カスティリェホがタイトル防衛。これまで50勝(33KO)4敗のカスティリェホが五度目の防衛戦。WBC15位の挑戦者マルティネスもスペイン。1988年のソウル・オリンピックにウェルター級で出場(メダルは獲得ならず)。プロでは35勝(18KO)2敗1分。地元で連勝し、スペイン王座(ウェルター級)獲得。パトリック・シャルパンティエとの欧州王座戦(ウェルター級)でTKO負け、初黒星(シャルパンティエは後、オスカー・デラ・ホーヤのWBC世界ウェルター級王座に挑戦してKO負け)。欧州J・ミドル級王座挑戦もTKO負け。以来、スペイン王座を防衛するなど連勝でカスティリェホに挑戦。メキシコ・ポランコでの一戦。体格、構え方、ジャブから入るところなど共通点がある二人。しかし、実力差。フック連打で攻めるカスティリェホ。マルティネスがなぜか自らしゃがみ込むようにヒザを着く。そして左ボディでマルティネスがあっけなくダウン。この試合、左フックが冴えるカスティリェホ。左フックをアゴからボディへ。右フックも力強い。2R、左アッパーでマルティネスのマウスピースが落下。レフェリーは試合を止めてマウスピースをマルティネスに入れさせようとするが、それはカスティリェホのものだった(映像では打たれてマルティネスが落下させたように見えた。カスティリェホがパンチを打つときにマウスピースを吹き出してしまったようだ)。4R、強烈なワンツーでマルティネスがダウン。立ったが、ラッシュされて二度目のダウン。それと同時にレフェリーは試合を止めた。カスティリェホが世界王者らしい攻めで勝利。マルティネスは悪い選手ではなかったが、パワー、コンビネーションなど全体的にカスティリェホには及ばなかった。これが最後の試合に。)
その後のカスティリェホ
次の六度目の防衛戦でオスカー・デラ・ホーヤに判定で敗北、王座陥落。再起戦で欧州連合王座(ミドル級)獲得。WBC世界スーパーウェルター級暫定王座、WBA世界ミドル級レギュラー王座を獲得。しっかりしたディフェンスに攻めの姿勢。フリオ・セサール・チャベス型の選手だった印象。)