世界J・ライト級王者。世界王者になる前のレフジオ・ロハス戦、トニー・トリス戦ほかを紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
ロッキー・ロックリッジ(アメリカ)
身長169cm:オーソドックス(右構え)
①ロッキー・ロックリッジ 10R 判定 レフジオ・ロハス
(フェザー級戦、1981年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでロハスがダウン
2R:右ストレートでロハスがダウン
(感想:ワシントン州タコマ出身の黒人ロックリッジ。アマチュアで優秀な成績。食っていくためプロ転向。デビューから全勝のままエウセビオ・ペドロサの持つWBA世界フェザー級王座に挑戦したが、15R判定負け。さらに強打者ファン・ラポルテにまるで交通事故のような強烈なKO負けで全米フェザー級王座陥落。ロハスと再起戦。これまで20勝(17KO)2敗。16勝(11KO)6敗のロハスはメキシカン。ヘルマン・トーレス、アントニオ・アベラルにKO負け。主戦場をアメリカに。階級を上げ、中堅どころを相手に連勝しては敗北。ローランド・ナバレッテ、エドウィン・ロサリオに敗北。このところ三連勝でロックリッジ戦。ニュージャージー州イーストラザフォードでの一戦(レフェリーはトニー・ペレス。ロックリッジのセコンドにルー・デュバ)。まるで「フェザー級のケン・ノートン」といった感じのロックリッジ。やや前傾姿勢で前進し、右ストレート、フックを強打する。ロハスはアレクシス・アルゲリョ風のスリムな身体、テクニック。相手から距離を取ってガードしながらジャブ連打、右カウンター。左フックに巧さ。強烈な右フックでロハスがダウン。2Rには右ストレートでダウン。その後も攻めるロックリッジ。ロハスは次第に相手のパワーに慣れてきたようでディフェンス、クリンチしながら反撃。ただし、パンチは軽め(そのへんがアルゲリョとは違うところ)。強打、攻める姿勢でロックリッジ優勢だが、倒せない。10R終了。判定は何と2-0。映像では3-0に見えたが、ジャッジの一人はロハスのテクニックを評価したらしい。ロックリッジがパワーで勝利。しかし、KOできず。どうやらロックリッジの攻撃はディフェンスされやすいようだ(外からのフックが多いから?)。その後のロハス。バーナード・テーラー、ヘクター・カマチョに敗れたが、カリフォルニア州王座、全米王座(それぞれフェザー級とJ・ライト級)獲得。フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ライト級王座への挑戦はTKO負け。カリフォルニア州王座(ライト級)獲得。ヘナロ・エルナンデスにKO負け。世界王者にはなれなかったが、名のある選手と対戦できた。)
②ロッキー・ロックリッジ 10R 判定 トニー・トリス
(J・ライト級戦、1981年)
(感想:ロハス戦の次の試合。トリスはドミニカ人。このところ連敗中であるが、レオネル・エルナンデス、ベニス・ボーコーソー、エドウィン・ロサリオといった実力者と対戦してきた。ニュージャージー州トトワでの一戦。互いにジャブ、ストレート、接近戦で振りの大きいフック。ロックリッジはいつものように前進。パワーで上か? トリスは距離を取ろうとし、右カウンター、右ストレートからの左フックなどに良さ。しかし、受け身の試合ぶりでクリンチも使用。同じように打ち合う接近戦が続き、10R終了。判定はフルマークの3-0。ロックリッジが攻勢点で勝利。しかし、攻め続けたが、ダウンを奪えず。トリスは惜しい選手。器用さがあったが、自分から攻めて相手を圧倒するような試合運びではなかった。その後、トリスはブランクがちに試合。二連敗で引退。)
その後のロックリッジ
ノンタイトル戦で連勝後、再びエウセビオ・ペドロサのWBA世界フェザー級王座に挑戦したが、またしても15R判定負け。実力者コーネリアス・ボサ・エドワーズに判定勝ちして三度目の世界挑戦。ロジャー・メイウェザーを1Rで始末してWBA世界J・ライト級王座獲得。文泰鎮、カメル・ブ・アリ相手に防衛。三度目の防衛戦でウィルフレド・ゴメスに微妙な判定負け、王座陥落(1985年)。フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ライト級王座への挑戦は判定負け(1986年)。再起戦に勝利してデニス・クルス戦。
③ロッキー・ロックリッジ 7R KO デニス・クルス
(J・ライト級戦、1987年)
(ダウンシーン)
7R:右フックでクルスがダウン
(感想:クルスはニューヨーク・ブロンクスのサウスポー。アマチュアで活躍後、プロ入り。デビューから連勝後、TKOで初黒星。北米J・ライト級王者になったが、ドワイト・プラチェットに判定負けで初防衛ならず(勝ったプラチェットはチャベスのWBC世界J・ライト級王座に挑戦して判定負け)。ジャッキー・ビアード(後、ブライアン・ミッチェルのWBA世界J・ライト級王座に挑戦して敗北)らを相手に三連勝でロックリッジ戦。テキサス州コーパス・クリスティでの一戦。クルスが右ジャブを連打してワンツーからの右ボディ打ち。ロックリッジは髪がスキンヘッド風になり、まるで「小型マービン・ハグラー」といった雰囲気。相手がサウスポーであっても関係なく当然のように1Rから接近して右ストレート、左右フックで攻撃的。やや強引な攻めだが、ディフェンスもしっかり。攻めるロックリッジ、応戦するクルス。打ち返していたクルスだが、7Rにピンチ。右フックを食い、さらに右フックを追撃されてダウン。立とうとするが立てず、KO。ロックリッジがパワーで勝利。KOできないときはもどかしいが、KOで勝つときは実に豪快なのがロックリッジ。最後のパンチはなかなかキツい一撃だった。クルスはよく頑張ったが、タフな強打者に終始攻められて陥落。その後、クルスはブランク。カムバックして四連勝したが、カルビン・グローブにKOされて引退。)