WBO世界フェザー級王者。コリン・マクミラン戦(WBO戦)、ヘルブ・ジャコブ戦(欧州王座戦)を紹介します。
マウリシオ・ステッカ(イタリア)
身長169cm:オーソドックス(右構え)
①コリン・マクミラン 12R 判定 マウリシオ・ステッカ
(WBO世界フェザー級タイトル戦、1992年)
(感想:マクミランがタイトル獲得。1984年、ロサンゼルス・オリンピックのバンタム級で金メダルを獲得したステッカ(兄ロリスはWBA世界J・フェザー級王座を獲得した「ボクシング兄弟」)。ミラノでのデビュー以来、イタリアを主戦場に連戦連勝(アメリカでも試合)。フリアン・ソリス(元WBA世界バンタム級王者)に勝利後、新設されたWBOのフェザー級王座の初代王者決定戦に出場。ペドロ・ノラスコをTKOして王者に(当時は「超マイナー王座」だったWBO。フェザー級では後にナジーム・ハメドが王者になり、WBO王座も「立派な世界王座」になった)。初防衛に成功したが、実力者ルイ・エスピノサにTKOで初黒星、王座陥落。再び王座決定戦でタイトル奪回。フェルナンド・ラモス、ティム・ドリスコル相手に二度の防衛。マクミラン戦は三度目の防衛戦であり、これまで44勝(22KO)1敗、29歳。22勝(10KO)1敗の挑戦者マクミラン(26歳)はロンドン出身の黒人で、ニックネームは「Sweet C」。デビュー当初に敗北を喫したが、以降は連勝。英国王座(フェザー級)獲得、防衛。英連邦王座(フェザー級)も獲得。残すターゲットは世界王座のみ、といったところ。挑戦者の地元、ロンドンのマスウェル・ヒルでの一戦。スリムなボクサータイプの二人がジャブの応酬。マクミランは典型的なアウトボクサー。ディフェンスしながらジャブを飛ばし、突き刺すような右ストレート。サウスポーに時折チェンジして左フックをかます。ただ、パワーはそこそこ。ステッカはワンツー、右フックを使うが、攻めるパワーに乏しいうえにディフェンス、クリンチされる。マクミランのジャブが目立つ展開が続き、12Rにはマクミランがワンツーを当てて優勢。12R終了。セコンドに肩車されるマクミラン。判定は3-0(二人のジャッジは大差をつけた)。マクミランがアウトボクシングでそのまま勝利。ステッカは残念。相手を追い込む攻めに欠け、敗北。当時WBOはマイナータイトル。そのポジションに合った試合ぶりだった印象。その後のマクミラン。初防衛戦でルーベン・ダリオ・パラシオにTKOで敗北。王座奪回を目指して新王者スティーブ・ロビンソンに挑戦したが、判定負け(ハメドはロビンソンをKOして世界王座初戴冠)。以後、連勝して英国王座(フェザー級)を取り戻したが、ポール・イングルに敗れて引退。世界王者だった時期は短かった。)
②ヘルブ・ジャコブ 11R TKO マウリシオ・ステッカ
(欧州フェザー級タイトル戦、1993年)
(感想:ジャコブがタイトル獲得。マクミラン戦後、ファブリス・ベニシュを2-1で下して欧州王者になったステッカが初防衛戦。挑戦者ジャコブはフランス・カレー出身。デビューから連勝。フランス王座(フェザー級)に挑戦してTKO負け、初黒星。二度目のTKO負け後、二連勝でステッカに挑戦。フランスのブーローニュ=シュル=メールでの一戦。互いにジャブ。ジャコブは積極的で、右ストレートからの左ボディ打ち、右ストレートからの左ジャブなどのコンビネーション。ステッカはジャブ、ストレートなどで応戦するが、攻められてクリンチ。3R、ステッカが力強いストレート、フック攻撃で優勢。その後も中間距離での打ち合い。フック連打のジャコブ、ジャブ、ストレートのステッカ。しかしながら、ステッカ。勢いが続かず、接近戦ではクリンチ多用。11R、ステッカがキズのドクターチェック。試合終了。ジャコブが負傷により新王者に(ヨーロッパでは「負傷した方が負け」という伝統がある。それがバッティングによるものだったとしても)。残念だったステッカ。パワフルなシーンもあったが、この人は戦闘タイプではない。クリンチで休むシーンが多かった。その後の二人。再戦はKOでステッカ勝利、王座奪回。ジャコブはその後、中堅相手に試合をしたが、王座戦はステッカとの再戦が最後となった。王座を取り戻したステッカはまたしても初防衛戦でTKO負け、引退(1993年)。1995年にカムバックしてイタリア王座(J・ライト級)獲得、完全引退。連戦連勝だった頃がベスト。もう少しパワーがあれば、といった選手だった。)