IBF ・WBO世界フェザー級王者。キャリア終盤の試合。マイク・ファレス戦、アグスティン・ロレンソ戦、ロドニー・ジョーンズ戦、スコット・マクラッケン戦を紹介します。
ホルヘ・パエス(メキシコ)
身長165cm:オーソドックス(右構え)
①ホルヘ・パエス 5R KO マイク・ファレス
(ライト級戦、2002年)
(ダウンシーン)
5R:左フックでファレスがダウン
(感想:オーギー・サンチェスにKOされたパエス(1999年)。再起戦で空位のIBA王座(J・ライト級)を狙ったが、TKO負け(結果的にそれが最後のタイトル戦に)。その後は中堅を相手に連勝中。直前の試合ではトム・ジョンソンと「元IBF世界フェザー級王者対決」を行い、2RでKO勝ち。ファレス(32歳)はネブラスカ州オマハの中堅選手。デビューから連勝後、判定で二連敗。フィリップ・ホリデイ(後のIBF世界ライト級王者)に判定負け、ジェフ・フェネックにKO負け。IBAインターコンティネンタル王座戦、北米王座戦(いずれもフェザー級)、エリック・モラレス戦に敗北。直前の試合でジュニア・ジョーンズにKOされるなど連敗中。テキサス州コーパス・クリスティでの一戦。共に坊主頭。パエス(36歳)は前髪だけ残した珍妙な髪型(&口ヒゲ)。互いにジャブ。パエスが左ボディ打ち。パワーはそこそこだが、良い打ち方。ファレスはややアップライトな姿勢からジャブ、ワンツー、フック。攻めるときのディフェンスに甘さ。2R、調子に乗っておどけるパエスだが、得意の左ボディ打ちがローブローとなって減点。4Rにもローブロー。5R、左ボディからの左フック連打でファレスがダウン。立てず、KO。パエスが得意の左フックで勝利。危うくローブローで反則負けになるところだったが、実力差があった。ファレスはディフェンスに問題。それが実力者たちに勝てなかった原因だろう。その後もファレスはウェイン・マッカラーらを相手に連敗。6回戦で判定勝ちしてそれが最後の試合に。)
②ホルヘ・パエス 3R TKO アグスティン・ロレンソ
(ライト級戦、2002年)
(ダウンシーン)
1R:左ボディでロレンソがダウン
3R:左アッパーでロレンソがダウン
(感想:これまで72勝(48KO)14敗5分のパエス。27勝(21KO)14敗3分のロレンソもメキシカン。マイナー王座を獲得したことがあるが、メキシコ王座戦(J・フェザー級)、イスラエル・バスケス戦、オスカー・ラリオス戦、ジャン・バチスト・メンディ戦に敗北。直前の試合は1RでKO負け。カリフォルニア州レモーでの一戦。屋外リングでの試合。外は日が暮れかかっている。1R、パエスがリズミカルなボクシング。ロレンソは意外に良い選手。ガードを上げてジャブ、ワンツーからの左フック、左ボディからの左フック、左右アッパー。打ち方が良い。しかし、ボディを打たれてあっけなくダウン(どうやら攻めるときは強いが、攻められると弱いタイプらしい)。2R、パエスが手首を回しながらフック攻撃。3R、パエスが踏み込んで打った左アッパーでロレンソがダウン。痛烈なダウンにレフェリーは直ちに試合を止めた。パエスが快勝。ロレンソは打たれ弱さがあった。その後、ロレンソはWBCの地域王座戦(スーパーライト級)でTKO負けするなど三連敗。そして、2003年9月に30歳で死去。酒場で刺殺されたという。)
③ホルヘ・パエス 10R 判定 ロドニー・ジョーンズ
(ウェルター級戦、2003年)
(感想:中堅どころを相手に連勝のパエス。これまで77勝(51KO)14敗5分。ジョーンズ(33歳)はアーカンソー州出身の白人。身長が低めで(161cm)、ニックネームは「Pitbull」。25勝(12KO)4敗。デビューから連戦連勝だったが、ポール・スパダフォーラに判定で初黒星(当時、スパダフォーラはIBF世界ライト級王者。ノンタイトル戦だった)。WBAインターコンティネンタル王座戦(ウェルター級)でKO負けするなどこのところ勝ち星に恵まれていない。シカゴでの一戦(レフェリーはティモシー・アダムス)。ゴング前、両選手リング中央へ。パエスは太々しい表情、ジョーンズは気が強そうな顔。開始からフックで乱打戦。ジョーンズは不器用なタイプ。いきなりの右ストレート、左右フック。パエスを持ち上げたり、中途半端に距離を取って一貫しない攻めを見せたり。パエスはディフェンスしながら大きめのフック、得意の左ボディ打ち。ディフェンスが甘いジョーンズ。1Rに右フックをカウンターで食ったが構わず前進(タフ)。3R終了後、両者ニラみ合い。4R、ジョーンズの右フックでパエスがピンチ。しかし、当てる巧さで挽回。5R終了後、ジョーンズがパエスに肩をぶつける(態度悪し)。6R、パエスがジョーンズをロープ外に押し出す。ジョーンズは右アッパーをヒットさせる(たまに良いパンチを入れるジョーンズ。才能はあるが、気が荒すぎ)。7R終了時、ホールドを離さないジョーンズにパエスがヘッドバット。9R、互いに挑発。レフェリーが困惑し、セコンドなどの関係者と協議。何とか10R終了。判定は大差の3-0(ジャッジ三人が「99-90」)。大荒れの試合となったが、パエスがパンチの正確さで勝利。普段は陽気なパエスだが、実はかなり気が強い。そのお陰でここまでやってこれたが、こういうラフな試合は困る。ジョーンズはタフだったが、上には行けないレベル・試合態度。その後も勝ったり負けたり。ラストファイトはNABAライト級王座決定戦で、判定負け。王座とは無縁だった。)
④ホルヘ・パエス 10R 判定 スコット・マクラッケン
(スーパーライト級戦、2003年)
(感想:パエス(38歳)のプロ98戦目で最後の試合。マクラッケン(25歳)はペンシルベニア州の白人。身長は175cm。これまで15勝(11KO)5敗。ローカルな試合が多く、このところ勝ったり負けたり。アリゾナ州フェニックスでの一戦。スーパーマンのコスチュームで入場のパエス。観客にウケている。試合ではトランクスではなく、スーパーマンのロングタイツ。右フック、左ボディ打ちを交えたコンビネーションが光るが、1Rからバッティング。スリムなマクラッケンは速いジャブ連打、右ストレート。手数が多い。接近戦。力強いフックを見せるマクラッケン。両者一歩も引かない打撃戦。映像では左フックを連発したり、左フックダブルからの右ストレートといった連打で攻めたりでパエスが優勢に見える。10R終了。判定は2-1。パエスがコンビネーションで勝利。精力的な攻め、力強さがあった。マクラッケンは細かいボクシング。ややジャッジへのアピールが足りなかったか。その後の二人。マクラッケンはローカル王座(ライトウェルター級)を獲得できたが、そこまで。パエスは試合前から脳の腫れがあったことからマクラッケン戦が最後に。獲得できた世界王座はフェザー級のみにとどまったが、観客を沸かせた「名物男」。引退後はWWEプロレスにも出演。息子二人もボクサーになった。)
カルビン・グローブ戦(再戦)、ルイ・エスピノサ戦(初戦)、アラン・マキトキ戦
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