IBF・WBO世界フェザー級王者。IBF王座防衛戦&ノンタイトル戦。カルビン・グローブ戦(再戦)、ルイ・エスピノサ戦(初戦)、アラン・マキトキ戦を紹介します。
ホルヘ・パエス(メキシコ)
身長165cm:オーソドックス(右構え)
①ホルヘ・パエス 11R KO カルビン・グローブ
(IBF 世界フェザー級タイトル戦、1989年)
(ダウンシーン)
10R:右フック、右ストレート、左フックで3度、グローブがダウン
11R:左アッパーでグローブがダウン
(感想:パエスがタイトル初防衛。「マルメロ(軽業師)」と呼ばれたパエスはサーカス生まれ。子供の頃からアクロバットを習い、身体能力が高い。リングでは派手なガウン、トランクス、髪型。腰を振って相手を挑発するなど、いちいち個性的。デビュー初期に判定負けを喫したが、それ以降、連勝。グローブから大逆転の判定勝ちでIBF王者に。立場を入れ替えてグローブと再戦(初戦は15R制。今回は12R制)。挑戦者グローブはペンシルベニア州出身の黒人。ニックネームは「Silky(「絹のようになめらかな動きをする選手」の意)」。シャープなパンチ、スピードが武器のボクサータイプ。パエスに敗れるまでは全勝だった。雪辱なるか? 初戦と同様、メキシコ・メヒカリでの一戦(パエス23歳(29勝(24KO)2敗1分)、グローブ26歳(34勝(13KO)1敗))。共に見た目が個性的。パエスはキラキラしたロングのトランクス、刈り込みを入れた髪型。グローブは色気を感じるパープルのトランクス、まるで毛糸の帽子を被っているかのような髪型(サイドを剃って、頭頂部の部分だけ残している)。1R、パエスが先制攻撃。接近してフック攻撃。ボクサータイプのグローブは速いジャブ、ワンツー。しかし、パエスが執拗に接近してくるためフックなどで応戦。2R、パエスがグローブを挑発し、グローブの速いジャブをダッキングでキレイにかわす。グローブはクリンチ、ホールド。7R、グローブのワンツーにパエスはフック攻撃。左のガードを下げた構えから時折パンチをヒットさせるグローブだが、10Rに三度のダウン。11R、強烈な左アッパーでグローブがダウン。立ったが、カウントアウト。パエスがしつこい攻めで勝利。初戦ではグローブのスピードに付いていけず大苦戦だったが、今回は「追い詰める作戦」が成功。グローブは速かったがパンチが軽く、パエスを突き放すことはできなかった。その後、グローブは階級を上げながら多くの試合。世界挑戦もあったが、王座返り咲きならず。)
②ホルヘ・パエス 12R 引分 ルイ・エスピノサ
(IBF 世界フェザー級タイトル戦、1989年)
(感想:パエスがタイトル防衛。二度目の防衛戦。IBF3位の挑戦者エスピノサはアリゾナ州出身(フィリピンのルイシト・エスピノサとは別人)。高校時代はアマチュアレスリングをやっていたとか。「レナード vs. デュラン」の再戦を観て、ボクシングに挑戦。アマチュアで好戦績(タイトルも獲得)。プロ入り後も正確にジャブ、ストレートを当てていく正統派スタイルでWBA世界J・フェザー級王者に。王座陥落後は北米王座(J・フェザー級)、アリゾナ州王座(フェザー級)を獲得している。アリゾナ州フェニックスでの一戦(会場ではWBA世界ライトヘビー級王者バージル・ヒルが観戦)。派手なコスチュームでリングインしてダンスするパエス。しかし、ここは敵地。観客の反応は薄め(に感じられた)。エスピノサが手数で勝負。細かいジャブ連打からの右ストレート、フック。パエスはトリッキーな動きから相手を挑発したり、意表を突くタイミングでフックを打ち込んだり。接近戦が続く。互いにディフェンス(ブロッキング)。インサイドからアッパー気味フックを入れるパエス。7Rには左フックを連続ヒットさせる。その後もアグレッシブなパエスにエスピノサが受け身になるシーン。11R、エスピノサの右フックがヒット。12R終了。判定はドロー。映像ではパエスがフックを当てる巧さで勝ったように見えたが、エスピノサは手数が多かった。この後、エスピノサはWBO王座(フェザー級)獲得、二階級制覇。IBF王者パエスと統一戦を行ったが、判定負け。その後は全米王座(フェザー級)を獲得する活躍もあったが、世界戦には敗北。二冠王にとどまったが、個人的に好みの正統派選手だった。)
③ホルヘ・パエス 7R TKO アラン・マキトキ
(ライト級戦、1989年)
(感想:エスピノサ戦後、スティーブ・クルス、ホセ・マリオ・ロペス相手に防衛に成功したパエス。マキトキとノンタイトル戦。マキトキ(27歳)はフィリピン人。1981年デビューのベテラン。これまで31勝(21KO)15敗1分。後の世界フライ級王者フランク・セデニョ、申喜燮にKO負け。日本で小林光二、穂積秀一に判定負け。勝ったり負けたりだが、ルペ・グチェレス(後、全米フェザー級王者になり、パエスの世界王座に挑戦)にTKO勝ちしている(1988年)。カリフォルニア「グレート・ウェスタン・フォーラム」での一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはラリー・ロザディリャ)。キラキラしたグリーンのトランクス、パエス。腕を回したり、相手を挑発したりしながらジャブ、フック。マキトキ(後ろ髪を長くして束ねている)は一発ずつパンチにパワーを込めるタイプで、動きのスピードが全く無い。パエスがそんなマキトキと接近戦。ヘンな動きをしながら妙な打ち方で連打。マキトキはフックで応戦。6R終了後、レフェリーが試合ストップ。マキトキはグロッキーになるほど打たれたワケではなかったが、このまま続けても勝てないとレフェリーは判断したのだと思われる。パエスがディフェンス&連打で勝利。しかし、パワーを感じない打ち方。パエスはこの後も多くの試合に出場するが、結局「パワー不足」に悩まされることになる。パワー不足をパフォーマンスでゴマかしながらどこまで勝ち続けることができるか? マキトキはこれが最後の試合に。)
マイク・ファレス戦、アグスティン・ロレンソ戦、ロドニー・ジョーンズ戦、スコット・マクラッケン戦
0 件のコメント:
コメントを投稿