2023年12月15日金曜日

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界J・ウェルター級王者。厳しい防衛戦。エデル・ゴンザレス戦(初戦・再戦)、フランキー・ランドール戦(初戦)ほかを紹介します。

ファン・マルチン・コッジ(アルゼンチン)

身長171cm:サウスポー

ファン・マルチン・コッジ 7R TKO エデル・ゴンザレス

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1993年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:右フックでゴンザレスがダウン、右ストレートでコッジがダウン

5R:右ストレートでコッジがダウン

7R:フック連打でゴンザレスがダウン

(感想:コッジがタイトル防衛。五度目の防衛戦。WBA6位の挑戦者ゴンザレスはコロンビアの黒人。コロンビア王座、WBAの地域王座(いずれもJ・ウェルター級)を獲得した実績。このところスペインが主戦場。アルゼンチンでの一戦。レフェリーはベネズエラのイシドロ・ロドリゲス(「ティム・ウィザスプーン vs. フランク・ブルーノ」のWBA世界ヘビー級王座戦、「柳明佑 vs. 喜友名朝博」のWBA世界J・フライ級王座戦などを裁いた経験豊かな人)。長いワンツー、ブロックを使うゴンザレス。コッジは踏み込んで左ストレート。右を当てようとするゴンザレスだが、2Rに右フックでダウン。攻めるコッジ。逆に右ストレートをマトモに食らってゆっくりとダウン。立ったが連打を浴び、レフェリーが間に割って入る。「レフェリーストップ」と思ったゴンザレスはセコンドと抱き合って「勝利」を喜ぶ。しかし、試合再開(なぜかはわからないが、ロドリゲスが「不可解な休憩」をコッジに与えた形)。3R、右パンチ、連打を浴びてコッジがピンチ。しかし、3分より早く3R終了。4R、コッジが左パンチを決めるシーンもあったが、このラウンドも早く終了。5R、右ストレートでコッジがダウン。しかし、ロドリゲスはこれを「スリップ」扱い。その後、接近戦。コッジが左フック、ゴンザレスは右フックで対抗。7R、コッジの左ストレートがヒット。フック連打でゴンザレスがダウン。立ったが連打され、ゴンザレスのセコンドが棄権を申し入れて試合終了。コッジがレフェリー、関係者、観客を味方に付けて奇跡の逆転勝利。勝って大喜びのコッジ(こんな怪しい勝ち方で満足するとは。人格的に疑う)。ゴンザレスは気の毒だったが、ディフェンスに隙があった印象。ロドリゲスはなぜコッジに味方したのか? その後、世界戦のレフェリングから遠ざかり、1997年に一度だけ復帰できた。)


ファン・マルチン・コッジ 3R TKO エデル・ゴンザレス

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1994年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでコッジがダウン

3R:左フック、フック連打で2度、ゴンザレスがダウン

(感想:コッジがタイトル防衛。六度目の防衛戦は因縁の再戦(いわゆる「ダイレクト・リマッチ」)。試合地はラスベガス「MGM Grand」(ドン・キングの興行。レフェリーは名高いリチャード・スティール。イシドロ・ロドリゲスはいずこへ?)。試合のパターンは初戦と同じ。距離を取って長い右を当てようと狙うゴンザレス。コッジは右ジャブ、左ストレート、接近して荒っぽい左フック連打。攻められると下がってしまうゴンザレスだが、右ストレートでダウンを奪う。その後も右を狙うゴンザレス、左フックのコッジ。3R、ロープ際での左フックでゴンザレスがダウン。立ったが、荒っぽいフック連打で二度目のダウン。今度も立ったが、フラフラ。レフェリーストップ。コッジが凶暴な左で一気に仕留めた。右を食った(昔からの欠点)のは危なかったが、大きな会場で勝てて満足だったろう。ゴンザレスは攻められると弱いところが。再起戦にもKO負けして引退、カムバックしたが二連敗。コッジとの初戦に勝っていれば人生が変わっていたかも。)


フランキー・ランドール 12R 判定 ファン・マルチン・コッジ

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1994年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでコッジがダウン

2R:左フックでランドールがダウン

5R:右ストレートでコッジがダウン

6R:右ストレートでコッジがダウン

(感想:ランドールがタイトル獲得。コッジの七度目の防衛戦。このところ地元での防衛戦が中心だったが、今回はアメリカで大一番。相手はフリオ・セサール・チャベスに勝ったことで世界中から注目されたことがあるランドール。WBCタイトルはチャベスに取り返されたが、実力は十分。ラスベガス「MGM Grand」での注目の一戦。1Rから積極的に攻めるランドール。先制のダウンを奪ったが、2Rには攻めすぎて左フックでダウン。それでも攻め続けるランドールは5R、6Rに得意の右でダウンを奪い、最後までアグレッシブに攻めた。判定は文句無し(3-0)でランドール。キレのある右ストレートと左フックでサウスポーのコッジを問題とせず。コッジは「ラティゴ(鞭)」のニックネームを持つ「恐怖のハードパンチャー」。しかし、世界は広い。あのコッジを何度もダウンさせたうえ負かす選手がいる。上には上がある。)

   

ファン・マルチン・コッジ 10R 判定 坂本博之

(J・ウェルター級戦、1995年)

(ダウンシーン)

3R:左フックで2度、坂本がダウン

(感想:コッジが再び来日。ランドールにWBA王座を奪われて無冠になったが、コンディションはどうか? WBAライト級4位の坂本は日本ライト級王座を獲得するなどこれまで全勝。軽量級が中心の日本ボクシング界においてライト級で世界を目指す貴重な存在。後楽園ホールでの一戦。コッジのサウスポースタイルから繰り出すパンチはかなりのパワーと速さで、強さ健在。坂本は攻めるがディフェンスされ、3Rにダウン。判定は3-0。坂本が初黒星。コッジの世界レベルの強さと当てさせないテクニックが印象に残った。この次の試合でコッジはランドールから王座を奪回。そしてまた奪われて無冠に。坂本は数度の世界挑戦のチャンスを得たが、勝てず。)


ファン・マルチン・コッジ 1R KO サンティアゴ・アウマダ

(J・ウェルター級戦、1998年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでアウマダがダウン

(感想:ランドールとの第三戦(96年)に敗れて王座を失ったコッジ。その後は試合間隔が長めに。97年は一試合のみ(TKO勝ち)。そして、この98年初試合。アウマダもアルゼンチンの選手。王座戦の経験が無く、ディンガン・トベラ(南アフリカ)にKOされている中堅どころ。アルゼンチンでの一戦。ブランクがちではあるが体型、パンチのキレが変わっていないコッジ。アウマダは右ストレートは良いが、フックは振りが大きく不正確。ロープ際でコッジの強烈な左フック。座り込むようにアウマダがダウン。コーナーからタオルが投入されたが、レフェリーはカウント(タオルに気付かなかったのか無視したのかは不明)。立てず、KO。コッジが圧勝。相手は二線級であったが、世界戦に出場できそうな強さがあった。その後、コッジはミケーレ・ピッチリーリョのWBUウェルター級王座に挑戦して判定負け(99年)。それが最後の試合に。ボクサーとしては「右パンチを食う欠点」があり、エデル・ゴンザレスとの初戦での怪しい勝利で評価が少し落ちるコッジ。しかし、「当たれば誰でも倒れるほどの左強打」、フランキー・ランドールとの激しい抗争は見事なものだった。引退後はトレーナーをしているらしい。彼からテクニックを学ぶことはできるだろうが、猛烈な「ラティゴ・パンチ」を継承できる若手がいるだろうか?) 

ファン・マルチン・コッジ①

パトリツィオ・オリバ戦、李相縞戦、ハロルド・ブレージャー戦、平仲伸章戦

ファン・マルチン・コッジ②

ホセ・ルイス・ラミレス戦、ロレト・ガルサ戦、モーリス・イースト戦、ドミンゴ・マルチネス戦

ファン・マルチン・コッジ③

ジョー・リベラ戦、吉野弘幸戦、ホセ・バルボサ戦、メモ・クルス戦

0 件のコメント:

コメントを投稿