2023年12月12日火曜日

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界J・ウェルター級王者。世界挑戦&王座防衛戦。パトリツィオ・オリバ戦、李相縞戦、平仲伸章戦ほかを紹介します。

ファン・マルチン・コッジ(アルゼンチン)

身長171cm:サウスポー

ファン・マルチン・コッジ 3R KO パトリツィオ・オリバ

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1987年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:連打、右フックで2度、オリバがダウン

(感想:コッジがタイトル獲得。アルゼンチン・サンタフェ州出身のコッジ(祖父母はイタリアからアルゼンチンに移住した移民)。ニックネームは「El Látigo(ラティゴ)」(英語で言うところの「The Whip(ムチ)」)。まるでムチがしなうかのような強烈な左フックが武器。アマチュアで活躍後、プロへ。デビュー以来、試合は全て地元。判定で初黒星。その後、アルゼンチン王座(J・ウェルター級)獲得。そして、この初の世界挑戦。王者オリバはイタリアのナポリ出身。1980年のモスクワ・オリンピック(アメリカがボイコットした大会)ではライトウェルター級で金メダル。プロ入り後は地元を中心にリングに上がり、これまで全勝。テクニックでポイントを取るタイプ。これが三度目の防衛戦。イタリア・リベーラで行われた試合(コッジはイタリア移民の子孫。コッジにとっては敵地での試合ではなく、いわば「凱旋帰国」のようなもの)。独特の打ち方だがパンチがあるコッジ。伸びる左ストレートに威力があり、接近してフックを猛烈に振るう。オリバもジャブ・ストレートで攻めるが、パワーが違う。3R、左フックからの連打でオリバがリング外にダウン。さらにフックでダウンして立てなかった。オリバはアルゼンチンのサッコからタイトルを奪ったが、王座は再びアルゼンチンへ。猛烈な勝ち方をしたコッジ。この試合が「伝説」の始まり。オリバはその後もリングに上がり続けて欧州ウェルター級王座を獲得するなどの活躍を見せたが、バディ・マクガートのWBC世界ウェルター級王座への挑戦は判定負け、世界王座返り咲きならず。それが最後の試合に。プロよりもアマチュア向きの選手だった。)


ファン・マルチン・コッジ 2R KO 李相縞

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1988年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フックで李がダウン

(感想:コッジがタイトル初防衛。王座獲得後、ノンタイトル戦を行い、KO勝ちしたコッジ(この選手はよくノンタイトル戦を行った。マッチメイクの問題もあったのだろうが、世界王者が頻繁にノンタイトル戦を行うのは珍しい。フリオ・セサール・チャベスもよく「調整試合」としてノンタイトル戦をやっていたが)。挑戦者の李はアジア期待の「倒し屋」。一つの負けを除いてKOの山を築いてきた(日本人とも対戦多数)。東洋太平洋J・ウェルター級タイトルを獲得した実績。イタリア・アブルッツィで行われた試合。互いに相手を警戒。ジャブ、右ストレートを出す李だが、コッジはディフェンス。2R、右フックが効いた李にコッジが一気に乱打。猛烈なパンチの嵐に李は倒れ、立てなかった。異常なパワーを見せつけたコッジ。まるで「倒そうと思ったらいつでも倒せる」といった感じの倒しっぷり。李は右ストレートに強さがあったが、サウスポーのテクニックでかわされて不発。これが最後の試合となった。)


ファン・マルチン・コッジ 12R 判定 ハロルド・ブレージャー

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1989年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

10R:左ストレートでブレージャーがダウン

(感想:コッジがタイトル防衛。88年5月に李と防衛戦を行ったコッジだが、その後はノンタイトル戦。二度目の防衛戦となるブレージャー戦は89年初試合。挑戦者ブレージャーはインディアナ州インディアナポリス出身の黒人。試合数が多い選手で「多くの経験を積みたい」というのがその理由だとか。北米王座(J・ウェルター級)獲得。有望株ウェズリー・ミーキンス、ロビン・ブレイクを破って防衛にも成功。ロジャー・メイウェザーのWBC王座に挑戦したときは2-1で判定負け。その後、連勝してこの二度目の世界挑戦。イタリア・ヴァストでの一戦。スリムなブレージャー。相手を警戒しながら右ストレートを狙う。コッジはまず最初は様子見。そして右ジャブ、左ストレート。踏み込んで打つ左ストレート、腕をしならせる左フック、パワフルなワンツーが印象的。ブレージャーは攻めが単発。3R、コッジが畳み掛ける連打、ブレージャーはディフェンス。4Rブレージャーの右ストレートがクリーンヒット。接近戦。フックでの打ち合い。コッジの強打を恐れないブレージャー。コッジは手数で勝るが、左目の下をカット。中盤以降は互角。接近戦での打ち合い、もみ合い、クリンチ。10R、右フックからの左ストレートでブレージャーがダウン。仕留めようと連打するコッジだが、ブレージャーは右ストレートで反撃。その後もフックのコッジ、右を当てるブレージャー。12R終了。判定は3-0。相手の粘りに苦戦しながらもダウンを奪ったポイントと手数でコッジが勝利。ブレージャーは右は良かったが、ジャブが少なかった。その後もブレージャーは多くの試合をし、全米王座(ウェルター級)を獲得する活躍を見せたが、世界王者にはなれなかった。)


ファン・マルチン・コッジ 12R 判定 平仲伸章

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1989年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックで平仲がロープダウン

3R:左フック、右ストレートで2度、コッジがダウン

9R:右フックで平仲がダウン

(感想:コッジがタイトル防衛。三度目の防衛戦。挑戦者平仲は沖縄の選手。これまで全勝。凄まじい強打で日本王座を獲得、防衛してきた。この試合でのリングネームは「伸章」(戸籍上の名は「信明」。後に世界王座を獲ったときのリングネームは「明信」。ちょっとややこしい)。共に人間離れしたパワーの持ち主。どんな試合になるか? イタリア・ヴァストで行われた試合。ハンマーのようなパンチのコッジ。打つときは一気に連打する。初回から平仲がロープダウンでピンチ。その後、平仲は頭から突っ込んで接近戦を仕掛けるが度々それをレフェリー(ジョン・コイル)に注意され、バッティングで減点をとられる。3R、左フックでコッジがダウン。さらに右ストレートで二度目。平仲にとってはビッグチャンスだったが、その後、コッジはジャブで距離を取るなど慎重な試合ぶり。クリンチが多く、もみ合うような展開に。9R、右フックで平仲がダウン。12R終了。判定は3-0。コッジのジャブが評価されたか。惜しかった平仲。ジャブを使ってジャッジに「見栄えのよいボクシング」を見せるべきだった。当時、ジョン・コイルがまるで「平仲を敵視し、KO勝ちを邪魔した」かのようにレフェリングしたと批判する意見があったが、「頭から突っ込む」危険な行為に厳しい扱いをするのは当然であり、平仲がまぶたを負傷したときはドクターにチェックさせるなど正当に職務を果たした(と思う)。ボクシングは非常に危険なスポーツ。個人的には「反則に厳しいレフェリー」を歓迎したい。) 

ファン・マルチン・コッジ②

ホセ・ルイス・ラミレス戦、ロレト・ガルサ戦、モーリス・イースト戦、ドミンゴ・マルチネス戦

ファン・マルチン・コッジ③

ジョー・リベラ戦、吉野弘幸戦、ホセ・バルボサ戦、メモ・クルス戦

ファン・マルチン・コッジ④

エデル・ゴンザレス戦(初戦・再戦)、フランキー・ランドール戦(初戦)、坂本博之戦、サンティアゴ・アウマダ戦

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