2023年12月13日水曜日

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界J・ウェルター級王者。世界王座防衛戦、王座陥落、奪回。ホセ・ルイス・ラミレス戦、ロレト・ガルサ戦ほかを紹介します。

ファン・マルチン・コッジ(アルゼンチン)

身長171cm:サウスポー

ファン・マルチン・コッジ 12R 判定 ホセ・ルイス・ラミレス

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1990年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:コッジがタイトル防衛。平仲戦でキツいダウンを喫しながらも何とか王座を防衛したコッジ。その後、ノンタイトル戦を二試合こなしてラミレスとの四度目の防衛戦。これが90年初試合となる。挑戦者ラミレスは大ベテラン。あのルーベン・オリバレスにTKO負けしたことがある。アレクシス・アルゲリョを苦戦させて注目を集める。エドウィン・ロサリオを再戦で下してWBC世界ライト級王座獲得。ヘクター・カマチョに王座を奪われたが、テレンス・アリとの決定戦で王座奪回。しかし、WBA王者フリオ・セサール・チャベスとの統一戦に敗北。WBCとIBF王座を懸けてパーネル・ウィテカーと再戦したが勝てず。コッジ戦はウィテカーに負けた再起戦となる。フランス・アジャクシオでの一戦(レフェリーはジョン・コイル。何とジャッジの一人が試合に間に合わなかったらしくコイルがジャッジも兼ねた)。サウスポー同士。共に右ジャブ、左ストレート。ラミレスはタフで良いストレートを打つが、一発で相手をKOするタイプではない。コッジがパワーで優勢。右フックからの左ストレート、左フック乱打といった畳み掛ける攻撃、そして相手の攻撃をディフェンス。手数、パワーで優勢のまま12R終了。判定は大差の3-0。ラミレスはテクニシャンタイプだが、コッジもテクニックを持っている。よりパワーがあり、手数が多いコッジが勝ったのは当然か。これが最後の試合となったラミレス。ライト級もJ・ウェルター級も激戦区。世界王者にはなれたが、カマチョ、チャベス、ウィテカー、コッジといった実力者に阻まれて地味な存在に甘んじた。) 


ロレト・ガルサ 12R 判定 ファン・マルチン・コッジ

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1990年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ガルサがタイトル獲得。コッジの五度目の防衛戦。WBA4位の挑戦者ガルサはカリフォルニア州サクラメント出身の猫背な男。長身(178cm)から繰り出すジャブが武器。ハリー・アローヨを下してWBC米大陸王座、フランキー・ウォーレンを破って全米王座(いずれもJ・ウェルター級)獲得。そして、この初の世界王座挑戦。フランス・ニースでの一戦。上体でリズムを取り、左のガードを下げた構えからジャブ、右ストレートのガルサ。コッジは相手の様子をうかがいながら右ジャブ、踏み込んで左ストレート。なかなか用心深いガルサ。右ストレートを打ち、距離を取る。攻めるが、攻め込まない戦法。3R、強引に仕掛けるコッジだが、ガルサはディフェンス。その後もガルサは右ストレートからの左フック、右カウンター。パワーは無いが、ポイントを取るボクシング。コッジはハロルド・ブレージャー戦の時のように長い右を食う。反撃しようとするが、ブロックされたり、クリンチされたり。時折コッジの強打が当たるが、ガルサは耐える。12R終了。判定は2-0。ガルサが「打たせないボクシング」で勝利。エキサイティングな勝ち方ではなかったが、危険な強打を持つコッジにはそれでよかったと思う。コッジは残念。腕っぷしでは誰にも負けないほどだが、打たれたり、ディフェンスされたり。上には上がある、ということか。その後のガルサ。ビニー・パジェンサを相手に初防衛に成功したが、二度目の防衛戦でエドウィン・ロサリオに惨敗、王座陥落。三連勝して引退。ロサリオは初防衛戦で平仲明信に何と1RでTKO負け。王座の移動が頻繁に見られた。)

   

ファン・マルチン・コッジ 8R TKO モーリス・イースト

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1993年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フック連打でイーストがダウン

8R:左カウンターでイーストがダウン

(感想:コッジがタイトル奪回。90年に王座を失ったコッジ。その後、連勝。そして93年初試合。「WBA1位」としてようやく王座奪回のチャンス(元王者であるにもかかわらずチャンスがなかなか回って来なかった。エドウィン・ロサリオの不調・試合延期も原因)。王者イーストはフィリピンの黒人。平仲を番狂わせでKOして王座奪取。これが初防衛戦となる。アルゼンチンでのサウスポー同士の一戦。勇敢なイースト。前進し、左ストレート、右フック。しかし、コッジはやはりパワーがあるようで、イーストは攻められてクリンチ。2R、エプロンサイドに設置された邪魔な広告物のせいで試合が少し中断。そして、コーナー付近でのコッジの荒っぽい左フック連打でイーストがダウン。その後はパワーでコッジ。イーストは悪い選手ではないが、素直なボクシング。攻めるがディフェンスされ、ボディを打たれてスタミナが厳しくなっていく。7R、イーストの左ストレートがクリーンヒット。コッジが後退(ゴツい身体をしているコッジだが、実はあまり打たれ強くない)。しかし、最後はコッジ。8R、左カウンターでイーストがダウン。立ったが、キズもありレフェリーストップ。大喜びのコッジ陣営。その時、無関係(?)な者もリングに入り込んで大喜び(スタッフによってプロレスばりに場外に放り出された)。コッジが接近戦で腕力を生かして勝利。最後のカウンターも見事だった。イーストは正直なボクシング。百戦錬磨のコッジに動きを読まれてしまった。その後、イーストはフィリピン王座(J・ミドル級)を獲得したが、敗北もあって世界王座奪回のチャンスは無かった。)

   

ファン・マルチン・コッジ 3R TKO ドミンゴ・マルチネス

(ウェルター級戦、1993年)

「ムチのような左強打」ファン・マルチン・コッジ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:フック連打、左ストレートで2度、マルチネスがスタンディングダウン

3R:左フックでマルチネスがスタンディングダウン

(感想:世界王者コッジがノンタイトル戦。マルチネスはベネズエラの黒人選手であるが、記録に乏しい。どんな動きを見せるか? アルゼンチンでの一戦。いつものように白のトランクス(アルゼンチンの国旗をイメージしたブルーのライン入り)のコッジ。マルチネスはグリーン。ガードを上げて相手を警戒するマルチネス。長い右ストレートが武器のようだが、ディフェンスされてしまう。コッジは独特の左フック、左ストレート。1Rから早くも強打を爆発させて二度のスタンディングダウンを奪う。3R、ロープ際に追い込まれるマルチネス。左フックを食らってスタンディングカウントを聞く。ダメージ深く、レフェリーストップ。コッジが左パンチで勝利。マルチネスの右は悪くはなかったが、身体のパワーでコッジが上回った。) 

ファン・マルチン・コッジ①

パトリツィオ・オリバ戦、李相縞戦、ハロルド・ブレージャー戦、平仲伸章戦

ファン・マルチン・コッジ③

ジョー・リベラ戦、吉野弘幸戦、ホセ・バルボサ戦、メモ・クルス戦

ファン・マルチン・コッジ④

エデル・ゴンザレス戦(初戦・再戦)、フランキー・ランドール戦(初戦)、坂本博之戦、サンティアゴ・アウマダ戦 

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