2024年7月1日月曜日

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・バンタム級、WBO世界バンタム級王者。強打炸裂&不発。曺仁柱戦(初戦・再戦)、ラモン・ウルタド戦を紹介します。

ジェリー・ペニャロサ(フィリピン)

身長163cm:サウスポー


曺仁柱 12R 判定 ジェリー・ペニャロサ

(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、1998年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:曺がタイトル獲得。WBC世界スーパーフライ級(J・バンタム級)王者ペニャロサの四度目の防衛戦(98年最後の試合、8月)。挑戦者の曺仁柱(チョ・インジュ)はなかなか優秀な選手。これまで全勝。プロ四戦目であのアブラハム・トーレス(日本で辰吉丈一郎、葛西裕一と対戦したベネズエラ人)に判定勝ち。六戦目で元IBF世界J・フライ級王者タシー・マカロスに判定勝ち。満を持しての世界挑戦。韓国・ソウルでの一戦(レフェリーは浦谷信彰)。白のトランクス、ペニャロサはいつものように力強い右ジャブ、左ストレート、右フック。青の曺は変わったスタイル。ガードを上げて左手を前に出す構え。「当てない左ジャブ」で相手の接近を阻止。ペニャロサはやりにくそう。レフェリーは「もっと打ち合え」と両者に指示。時折速い連打をまとめる曺。しかし、KOを狙うようなパンチではない。ペニャロサはパワフルだが、ディフェンスされて空転。5R、バッティングでペニャロサが負傷。6Rにペニャロサが左ストレート、7Rは曺が連打で見せ場を作る。その後も曺がアウトボクシング、ペニャロサは後手に回って12R終了。判定は2-1。曺が左のテクニック&連打で勝利。「打たせずに打つ」のが近代ボクシング。曺はそれを忠実に実行。しかしながら、これはプロボクシング。エキサイティングな試合をしない選手は人気が出ず、試合自体が少なくなってしまう。そのため選手は打ち合って自分の強さをアピールするが、曺はこの試合ではそういう戦い方をしなかった。いつもこういう戦い方なのか、この試合は確実に勝ちたかったから特別慎重だったのだろうか? ペニャロサはいつものようにパワーのあるパンチだったが、タイトルをかすめ取られたような気分だろう。その後、両者は王座を懸けて再戦。)


ジェリー・ペニャロサ 2R KO ラモン・ウルタド

(NABAスーパーフライ級王座決定戦、1999年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左ストレートでウルタドがダウン

(感想:ペニャロサがタイトル獲得。これまで39勝(24KO)2敗2分のペニャロサ(WBC世界スーパーフライ級1位)が曺に敗れた再起戦で地域王座に挑戦(99年初試合、6月)。ウルタドはパナマの黒人。12勝(9KO)3敗。パナマでデビュー。元々はミニマム級。パナマで連勝後、主戦場をアメリカに。しかし、苦戦。このところ二連続KO負け。ミシシッピ州ビロクシでの一戦(ペニャロサのセコンドに兄ドディボーイ)。スリムなウルタド。ジャブ、右ストレート、振りが大きめの右フック。どうやら右パンチに自信があるらしいが、動きのスピード、パンチのキレはそこそこ。ペニャロサは左ストレート、右フックにパワー。互いにストレートがヒット。接近戦ではボディ攻撃。2R、強烈な左ストレートでウルタドがダウン、10カウント。ペニャロサが得意パンチで快勝。一発のパワーは凄まじいものがある。ウルタドはパワーを込めて右パンチを使ったが、撃沈。やはり階級差によるタフネスの違いがあったか。その後もウルタドはリングに上がり続けたが、タイトル戦は無し。最後の相手はホルヘ・アルセ(当時、ライトフライ級)で、KO負けだった。)


曺仁柱 12R 判定 ジェリー・ペニャロサ

(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、2000年)

「強打の三男」ジェリー・ペニャロサ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:曺がタイトル防衛。結局、1999年はウルタド戦のみとなったペニャロサ。その次の試合は王座奪回を目指す世界戦。曺はペニャロサとの初戦後、三度の防衛成功。韓国・ソウルでの一戦(レフェリーはマーティ・デンキン。ジャッジの一人に森田健)。基本的には初戦と同じ。曺は左を使いながら距離を取って右ストレート、左フック。打ってはまた足を使って距離を取る。ペニャロサは左ストレート狙いで前進。1Rに右フックを決めたペニャロサだが、パワーを込めすぎて攻撃が単発。スムーズに連打できない欠点があり、手数が少ない。曺は連打などで手数を出すが、KOするようなパワーは無し。9R、左ボディで曺がダウンしたが、低いパンチだったため「スリップ」の判定。10R、よく足を使う曺が自身の濡れたコーナーでスリップ(二度。実にカッコ悪い倒れ方だった)。11R、ペニャロサの左ストレートがヒット。曺はクリンチ&連打。12R終了。判定はまたしても2-1。ペニャロサは初戦と同様、手数で負けた。どのパンチにもパワーを込めるスタイルは手数が少なくなる弱点がある。曺は作戦通りだったのではないか?   その後の曺。六度目の防衛戦で徳山昌守に判定負けで王座陥落、初黒星。徳山との再戦はKO負け、引退。)

ジェリー・ペニャロサ①

イポリト・サウセド戦、趙英柱戦、ホルヘ・ルナ・サラテ戦

ジェリー・ペニャロサ③

ポーン・シンモロコット戦、山口圭司戦、徳山昌守戦(初戦)

ジェリー・ペニャロサ④

ジョエル・アビラ戦、オスカー・アンドラーデ戦、田中聖二戦、徳山昌守戦(再戦)

ジェリー・ペニャロサ⑤

トマス・ロハス戦、マウリシオ・マルチネス戦、ラタナチャイ・ソーウォラピン戦(再戦)、ファン・マヌエル・ロペス戦 

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