2024年5月4日土曜日

「悲劇の三冠王」ジョニー・タピア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」  

世界三階級王者。世界王者になる前の試合&WBO王座防衛戦。ノルベルト・アヤラ戦、ホセ・モンティエル戦、リカルド・バルガス戦を紹介します。

ジョニー・タピア(アメリカ)

身長168cm:オーソドックス(右構え)

ジョニー・タピア 4R KO ノルベルト・アヤラ

(バンタム級4回戦、1988年)

「悲劇の三冠王」ジョニー・タピア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:左フックで2度、アヤラがダウン

(感想:ニューメキシコ州アルバカーキ出身のタピア。「Baby-faced Assassin(童顔の暗殺者)」と呼ばれた好戦的なファイター。世界J・バンタム級王座(WBO・IBF)、世界バンタム級王座(WBA・WBO)、世界フェザー級王座(IBF)を獲得して三階級制覇。素晴らしい実績を残したが、悲しい人生。両親はメキシコ系アメリカ人。8歳の時、母親が殺害される悲劇。9歳でボクシングを始め、アマチュアで優秀な成績(祖父ミゲルはアマチュア王者だったらしく、タピアにボクシングを教えたそうだ)。プロ転向。デビュー戦は引き分け。2戦目は判定勝ち。アヤラ戦はプロ3戦目。アヤラはカリフォルニアの選手。勝ち星がほとんどなく、「負け役」といったところか。カリフォルニア州フレズノでの一戦。この頃は坊主頭ではなく普通の髪型のタピア(胸にイレズミ)。試合前のインタビューではハミカムような笑顔。しかし、試合では実に激しい。前傾姿勢からジャブ連打、ワンツー、左フック、左ボディ連打。パンチにパワーとキレ。速射砲のようにジャブ、ストレートを連打するなど手数も多く、それでいてバランスが良い。ワンツーからの左ジャブといったテクニックも持っている。アヤラは距離を取って右ストレート、左フックで応戦する受け身の姿勢。2R、勢い余って両者バッティング。激しく打ち合い、ラウンド終了後にニラみ合う。その後も攻めるタピア。4R、左フックでアヤラがダウン。立ったが、ラウンド残り時間わずかのところで二度目のダウン、KO。タピアが激しい攻めで勝利。最後まで倒しに行こうとするなどなかり好戦的だった。アヤラは自分から試合の流れを作るような動きではなかった。それがボクサーとして成功しなかった原因であろう。)


ジョニー・タピア 9R TKO ホセ・モンティエル

(全米J・バンタム級タイトル戦、1990年)

「悲劇の三冠王」ジョニー・タピア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

9R:左アッパー、右カウンター、左ボディで3度、モンティエルがダウン

(感想:タピアがタイトル防衛。ノルベルト・アヤラ戦後、連勝のタピア。決定戦で全米J・バンタム級王座獲得(プロ18戦目)。KOで初防衛に成功。これまで18勝(11KO)1分。モンティエルと二度目の防衛戦。挑戦者モンティエルはメキシカンで16勝(6KO)4敗。デビューから無敗だったが、メキシコ王座戦(J・バンタム級)で初黒星。アルマンド・カストロ(カオサイ・ギャラクシー、鬼塚勝也、ナジーム・ハメドとの世界戦でおなじみ)から同王座奪取。連続防衛を果たしたが、TKOで王座陥落。タピアの全米王座を狙う。ラスベガスでの一戦(「トップランク・ボクシング」。リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはカルロス・パディーリャ)。モンティエルが足で距離を取りながら「八の字」の構えでジャブ(エドウィン・ロサリオに似ている)。タピアは勢い、パワー、ディフェンス。ワンツー、左フックダブル、右ストレートからの左ジャブ。左フックからの右ストレートなどで応戦するモンティエル。パンチ自体は悪くないが、勝ちに行くような攻撃をしない。9R、ラッシュするタピア。左アッパーでモンティエルがダウン。立ったが、タピアの素晴らしい右カウンターで二度目のダウン。最後のフィニッシュも見事なもの。ワンツーからの左ボディでモンティエルが三度目のダウンを喫して試合終了。速さ、パワー、テクニック。いつ世界戦をやってもいいぐらいタピアは強かった。モンティエルは残念。なぜ攻めない? 相手のパワーを警戒する余り、自分から負けたように見えた。その後、モンティエルはカストロ、キッド・アキーム、マルコ・アントニオ・バレラらを相手に全敗だった(全てKO)。)


その後のタピア

ルイジ・カンプタロ、サンチャゴ・カバレロを相手にさらに二度、全米王座防衛。ところがカバレロ戦後、コカイン検査で陽性。無期限出場停止処分を受け、3年半のブランクを作った。94年3月、復帰戦にKO勝利。連勝後、決定戦で北米J・バンタム級王座獲得。その次の試合も決定戦。WBO世界J・バンタム級王座獲得。ホセ・ラファエル・ソーサに判定勝ちして初防衛に成功。


ジョニー・タピア 8R 負傷引分 リカルド・バルガス

(WBO世界J・バンタム級タイトル戦、1995年)

「悲劇の三冠王」ジョニー・タピア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:左フックでバルガスがダウン

(感想:タピアがタイトル防衛。2度目の防衛戦(プロ31戦目)。WBO3位の挑戦者バルガス(23歳)はメキシカン。これまで20勝(7KO)4敗2分。メキシコ王座(バンタム級)獲得、防衛後、ホルヘ・エリセール・フリオのWBA世界バンタム級王座に挑戦したが判定負け(2-0)。タピア戦は二度目の世界挑戦となる。ラスベガス「シーザース・パレス」屋外リングでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはミルズ・レーン)。デビュー当初と戦い方が変わらないタピア(28歳)。パワーを込めてジャブ、ストレート、フックで攻めの姿勢。バルガスはリズミカルなボクシング。足でリズムを取ってダッキングなどを使いながらジャブ。左フックからの右ストレート、左ボディ連打などテクニックがあり、当てる巧さがある。力強いタピアだが、打たれて左目が腫れてくる。5R終了後にも攻撃しようとするタピア(冷静に戦うのを基本とするが、時折激しさを見せる。エキサイトしやすい性格)。6R、左フックでバルガスがダウン。7R、バッティングで互いに負傷、出血。8R、キズで試合ストップ。負傷判定の結果、ドロー。タピアが辛くも防衛。いつものようにパワフルだったが、相手のテンポの良いボクシングを攻略することはできなかった。バルガスは逆にパワーの点で少し物足りないところが。その後、バルガスはNABO王座(スーパーフライ級)を獲得したり、ジョニー・ゴンザレスを破って北米王座(バンタム級)獲得して連続防衛に成功したり。しかし、ラファエル・マルケスとのIBF王座戦(バンタム級)に敗北。決定力不足、相手が実力者だったことから世界王座には手が届かなかった。)

ジョニー・タピア②

ウィリー・サラサール戦、ジョバンニ・アンドラーデ戦、ウーゴ・ソト戦、ホルヘ・バレラ戦

ジョニー・タピア③

アンディ・アゴスト戦、ロドルフォ・ブランコ戦、カルロス・エルナンデス戦、ホルヘ・エリセール・フリオ戦 

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