2024年1月5日金曜日

「消灯時間」ジェームス・トニー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界三階級王者。階級を上げて勝負。ダグ・デウィット戦、モンテル・グリフィン戦、アーネスト・マーティン戦ほかを紹介します。

ジェームス・トニー(アメリカ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)

ジェームス・トニー 7R TKO ダグ・デウィット

(S・ミドル級戦、1992年)

「消灯時間」ジェームス・トニー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:IBF世界ミドル級王者トニーがノンタイトル戦。これからはS・ミドル級で勝負。ターゲットはIBF世界S・ミドル級王者アイラン・バークレー。その前にデウィットとテストマッチ。IBF世界S・ミドル級8位のデウィットはオハイオ州ヤングスタウン出身の白人。ニックネームは「コブラ」だが、「ヘビのように鋭いパンチの持ち主」ということではなく「ヘビを飼っている」ということかららしい。タフ男で、トーマス・ハーンズと対戦したときはKOされなかった。WBO世界ミドル級王座を獲得。しかし、ナイジェル・ベンに「粉砕された」といった感じのKO負け。ブランク後にカムバックしたが、ダメージの方はどうか?。アトランチックシティ「Trump Taj Mahal」での一戦(レフェリーはトニー・オーランド)。力強いトニー。1Rからパワーを込めたコンビネーション(ワンツーからの左ボディ打ち、など)で優勢。デウィットはショートパンチの使い手で、特に左ボディ打ちを得意とするが動きに精彩が無い。3R、デウィットは左ボディ打ちを出すがローブローに。そして強烈な右ストレートを食う。5R、トニーが凄まじい攻め。冴えない表情のデウィット。6R終了後に棄権。トニーが伸び伸びした攻めで勝利。パンチにはパワーとキレがあった(減量苦から解放されたためだと思われる)。デウィットはこれで引退。)


ジェームス・トニー 10R 判定 グレン・トーマス

(S・ミドル級戦、1993年)

「消灯時間」ジェームス・トニー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:バークレーを打ちのめしてIBF世界S・ミドル級王座を獲得したトニー(これまで36勝(25KO)2分)。その後、ノンタイトル戦が続く。24勝(13KO)1敗のトーマスはケンタッキー州ルイビル(モハメド・アリの故郷)の黒人。デビューから連戦連勝だったが、ロイ・ジョーンズ・ジュニアにTKO負け、初黒星。その再起戦でトニーと対戦。 ラスベガスでの一戦。動きが素早いトーマス。速いジャブ、ワンツーからの左フック。しかしながら、速いが、パンチが軽い。トニーは正確なジャブ、伸びる右ストレート、パワフルな左ボディ打ち。共に機敏な動きでディフェンス。1R終了後、ニラみ合い。レフェリーが毅然とした態度で両者を分ける。その後も前に出るトニー、距離を取るトーマス。クリーンヒットが少ない分、パワーでトニーがポイント上で有利か? 4R終了後にもトニーに対してイラ立ちを見せるトーマス(パンチが当たらないから?)。8R終了後、トーマスのセコンドがトニーに食ってかかる(何が原因? 映像ではトニーには特に悪いところは見られなかったが)。10R終了。やたらハイテンションなトーマス&陣営。勝ちを確信している様子。判定は文句無しの3-0。アナウンスを聞いてトーマスはショックでダウン。トニーが正確なジャブ、左ボディ打ちで勝利。トーマスは動きは速かったが、トニーを苦しめるようなパンチは打っていなかった。その後のトーマス。再起戦でマイク・マッカラムに判定負け。マイケル・ナン、バージル・ヒルにも判定負け。実力者には勝てず。パワー不足&距離を取る慎重な試合姿勢が原因と思われる。) 


その後のトニー

トニー・ソーントン、ティム・リトルズ、チャールズ・ウィリアムズ(元IBF世界ライトヘビー級王者)を相手にIBF世界S・ミドル級王座防衛。しかし、四度目の相手ロイ・ジョーンズ・ジュニアに判定負け、初黒星。


モンテル・グリフィン 12R 判定 ジェームス・トニー

(IBFインターコンティネンタル L・ヘビー級王座決定戦、1995年)

「消灯時間」ジェームス・トニー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ジョーンズに負けた再起戦。階級を上げてライトヘビーで勝負。スピードのあるパンチで勝ってきたトニー。体重が増えてパンチのキレにどう影響するか? グリフィンはイリノイ州シカゴ出身の実力者。身長は低いが(170cm)、アマチュアでは全米王者に。1992年のバルセロナ・オリンピックではメダル獲得ならず。プロではこれまで全勝。IBF10位(トニーは3位)。ラスベガス「MGM Grand」での一戦。共にジャブ、右ストレート、フックに速さ。互いにディフェンス。グリフィンは左を器用に使う。ワンツーからの左フック、左フックダブルからの右ストレート。3R、トニーの右ショートカウンターでグリフィンがダウン寸前。接近戦ではもみ合いが多い。6R終了後にグリフィンが左フック(そのハプニングにトニーはちょっとしたアピール)。7R、今度は左フックでトニーがバランスを崩してダウン寸前に。9R、トニーの右カウンターがヒット。10R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピールするが、グリフィンは特に勝利を確信している様子。判定は2-0。パンチは軽めだったが、グリフィンが手数でわずかに勝利。トニーはパワーでは勝っていたが、やはり身体が重いのか畳み掛ける攻めができず、もみ合いが多かった。後、グリフィンはトニーと再戦して再び勝利。そしてWBC世界ライトヘビー級王座を獲得したが、アッサリ王座陥落。世界王者としてはほとんど活躍できなかった。体格とパワーがライトヘビーではなかったのが原因だろう。)

   

ジェームス・トニー 5R 反則 アーネスト・マティーン

(WBU L・ヘビー級タイトル戦、1995年)

「消灯時間」ジェームス・トニー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フックでマティーンがダウン

5R:右ストレートでマティーンがダウン

(感想:トニーがタイトル初防衛。L・ヘビー級のトニー。グリフィン戦後、全米王座、WBU王座獲得。マティーンと初防衛戦。これまで23勝(9KO)4敗1分の挑戦者マティーンはミズーリ州の黒人。アマチュアで活躍(大会で優勝経験も)。プロデビューから無敗でWBC米大陸王座(L・ヘビー級)を獲得するなど好調だったが、元世界王者チャールズ・ウィリアムスにTKO負けで初黒星、王座陥落。その後、WBOインターコンティネンタル王座戦(L・ヘビー級)に敗れるなどあまり良い状況ではない。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(リングサイドでジョージ・フォアマンが観戦。トニーのセコンドには元WBA世界L・ヘビー級王者エディ・ムスタファ・ムハマド)。強そうな顔と身体のマティーン。しかしながら、残念な選手。アマチュアで優秀な選手だったとは思えないほど不器用。ジャブ、クリンチ。しかも、クリンチ中にラビットパンチ、左ボディ打ちを連発。レフェリー(ミルズ・レーン)も怒りながらマティーンに警告。トニーももう一つ。ゴツい身体になったが、パンチのキレに欠ける。ワンツーを空振りするなどミスショットをし、クリンチされまくる。2R、左フックでマティーンがだらしなくダウン。そしてクリンチ中の加撃により減点。その後もマティーンはクリンチ&パンチ。4R、トニーの左フックカウンターがヒット。マティーンはまたしても減点。5R開始早々、右ストレートでマティーンがダウン。これで吹っ切れたか、マティーンはやりたい放題。ヘッドロックしてパンチ、クリンチしてパンチ。ついに反則負け。とても残念だった試合。マティーンは何がしたかったのだろう? 臆病さと大胆な反則。トニーもS・ミドル級時代のような力強さとキレが無く、魅力を感じない選手になってしまった。その後の二人。マティーンはIBU王座(クルーザー級)を獲得できたが、勝ったり負けたりの不安定なキャリア。引退後はトレーナーになり、プロになった弟のサポート。そして2012年、46歳で死去。妻に暴力を振るったところ逆に銃で撃たれたという。トニーは激しいキャリア。IBF世界クルーザー級王座などメジャー団体、マイナー団体の王座獲得。2005年にはWBA世界ヘビー級王者ジョン・ルイス(アメリカ)に挑戦。判定勝ちしたが、禁止薬物の使用が発覚して「ノーコンテスト」扱い。四階級制覇は取り消しとなったが、最重量級にも挑戦するバイタリティには見事なものがあった。) 

ジェームス・トニー①

レジー・ジョンソン戦、フランチェスコ・デラキラ戦、マイク・マッカラム戦(初戦)

ジェームス・トニー②

デーブ・タイベリ戦、グレン・ウォルフ戦、マイク・マッカラム戦(再戦)

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