2024年1月1日月曜日

「長身サウスポー」マイケル・ナン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」 

世界ミドル、S・ミドル級王者。S・ミドル級で再出発。ランドール・ヨンカー戦、クロフォード・アシュレー戦ほかを紹介します。

マイケル・ナン(アメリカ)

身長185cm:サウスポー

マイケル・ナン 10R KO ランドール・ヨンカー

(北米S・ミドル級タイトル戦、1991年)

「長身サウスポー」マイケル・ナン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

10R:連打でヨンカーがダウン

(感想:ナンがタイトル獲得。デビューから全勝だったナン。ドナルド・カリーを破ってIBF世界ミドル級王座の五度目の防衛に成功。しかし、六度目の防衛戦でジェームス・トニーに番狂わせのKO負け。初黒星で王座陥落(トニー戦は当時「番狂わせ」と言われたが、後にトニーはヘビー級でも試合。今ではナンよりトニーの方が評価されている)。再起戦でヨンカーの北米王座に挑戦。これまで36勝(24KO)1敗。23勝(17KO)1敗で、ナンと同じ28歳の王者ヨンカーはカリフォルニア出身。北米王座を連続防衛。ただし、相手はローカルな選手が多い印象。ラスベガス「Mirage」での一戦(会場ではマイク・タイソンが観戦。ナンのセコンドにアンジェロ・ダンディ)。パワーを込めるヨンカー。ジャブ、思い切りのいい右ストレート、左右フック。ナンは長身とリーチを生かしたパンチ。右ジャブ、振りの大きい左フック、左ストレート、ワンツーからの右フック、左カウンター、左右フックボディ連打。3R、パワフルな連打を見せるヨンカー。しかし、力みすぎのためか、流れるような攻撃ができない。ナンが連打、ディフェンスで優勢。時折打たれるが、効いていない様子。10R、連打されてヨンカーが片ヒザを着くダウン。ギブアップするかのような形で10カウントを聞いた。ナンが連打で勝利。手打ち気味の軽いパンチも多かったが、S・ミドル級でもスピードは落ちていなかった印象。ヨンカーは残念。気合いの入ったパンチを打っていたが、攻めが単発だった。その後、ヨンカーはWBF王座(ライトヘビー級)獲得。マイク・マッカラムとWBC暫定王座(ライトヘビー級)を争った試合はTKO負け。メジャー団体の世界王者にはなれなかった。)


マイケル・ナン 1R KO ダニー・モーガン

(WBA世界S・ミドル級タイトル戦、1993年)

「長身サウスポー」マイケル・ナン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ボディ、左ストレートで2度、モーガンがダウン

(感想:ナンがタイトル防衛。ヨンカー戦の次の試合でパナマのビクトル・コルドバが持つWBA世界S・ミドル級王座に挑戦したナン。判定で王座奪取、二階級制覇。初防衛戦をコルドバと行い、返り討ち。そして、このモーガンとの二度目の防衛戦。WBA12位の挑戦者モーガン(32歳)はミネソタ州ミネアポリス出身の白人。これまで41勝(30KO)2敗。デビューから連勝でクリストフ・ティオーゾのWBA世界S・ミドル級王座に挑戦したが、2RでTKO負け。再起戦に勝利したが、スティーブ・コリンズ(後、二階級制覇)に3RでTKO負け。その再起戦でナンに挑戦。メキシコシティでの一戦(ドン・キングの興行。「メヒコの英雄」フリオ・セサール・チャベスがメインでグレグ・ホーゲンを軽くKO)。ウィービングしながら接近して左フックを振るうモーガン。動きとパンチにキレがなく、攻撃が単発。ナンは右ジャブ、左パンチ(左アッパー、左ボディなど)。右ストレート、左フックをヒットさせるモーガンだが、ナンは効いていない様子。連打からの左ボディでモーガンがダウン。立ったが、今度は左ストレートで二度目。10カウント。ナンが楽勝。戦っても意味の無い相手だったが、キングが抱えるスター選手が登場する興行に出られたことは「顔見せ」の効果があった(かもしれない)。あっけなく負けたモーガン。再起戦でダリル・ミラー(日本でミッキー・ロークにKOされた男)に判定勝ちしたが、その次の試合でWBC米大陸王座(クルーザー級)に挑戦してTKO負け。世界王座に挑戦できるレベルの選手ではなく、どうやら「作られた戦績」の持ち主だったようだ。)


マイケル・ナン 6R KO クロフォード・アシュレー

(WBA世界S・ミドル級タイトル戦、1993年)

「長身サウスポー」マイケル・ナン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:左ボディで2度、アシュレーがダウン

6R:左ボディで3度、アシュレーがダウン

(感想:ナンがタイトル防衛。三度目の防衛戦。ライトヘビー級でWBA5位にランクされている挑戦者アシュレー(28歳)は英国・ヨークシャー出身の黒人。身長が191cmあり、ナンよりも大きい。これまで18勝(18KO)4敗1分。ジョニー・ネルソンに判定負け、カール・トンプソンにTKO勝ちして英国のローカル王座(ライトヘビー級)獲得(ネルソン、トンプソンは後、WBO世界クルーザー級王者に)。グラシアノ・ロッシジャーニ(元IBF世界スーパーミドル級王者で、後にWBC世界ライトヘビー級王座獲得)に2-1で敗北。英国王座(ライトヘビー級)を獲得、防衛し、この初の世界挑戦。ドイツとイタリアで試合したことはあるが、アメリカでの試合はこれが初めてとなる。テネシー州メンフィスでの一戦。長身ながら小顔なアシュレー。ジャブ、右ストレート、接近戦ではフックを使うボクサータイプ。ややぎこちなさがあり、パワーはそこそこ。ナンは普段は自分の方が背が高いことが多いが、今回は逆。ディフェンスしながら右ジャブ、左パンチ。右ストレートにパワーがあるアシュレーだが、ナンはディフェンス。サウスポーのテクニックでナンがポイントを取り、4Rには連打(特に左パンチ)で優勢。5R、左ボディ打ちが効いたアシュレー。左ボディで二度ダウン。ラウンド終了時には「もう、ダメだ」といった感じのキツそうな表情。6R、左フックからの右ストレートといったコンビネーションで反撃するアシュレー。なかなかパワフルな攻めだったが、やはりボディが効いている。左ボディ打ちで三度ダウンして強制終了(スリーノックダウン・ルール)。ナンがディフェンス&ボディ打ちで勝利。アシュレーは悪い選手ではないが、ディフェンスされてしまった。その後、アシュレーはバージル・ヒルのWBA世界ライトヘビー級王座に挑戦して判定負け。欧州王座、英連邦王座(いずれもライトヘビー級)を獲得する活躍を見せたが、世界王座には手が届かなかった。)


スティーブ・リトル 12R 判定 マイケル・ナン

(WBA世界S・ミドル級タイトル戦、1994年)

「長身サウスポー」マイケル・ナン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでナンがダウン

(感想:リトルがタイトル獲得。メルキ・ソーサ(ドミニカ)に判定勝ちして四度目の防衛に成功したナン(30歳)。五度目の相手は微妙。WBA9位で、これまで21勝(5KO)13敗2分の挑戦者リトル(28歳)はペンシルベニア州フィラデルフィア出身の黒人。勝ったり負けたりで、マーク・ブリーランドに判定負け、ピピノ・クエバスに判定勝ち。全米王座、北米王座、WBO王座(全てJ・ミドル級)への挑戦は全て敗北。ペンシルベニア州王座(J・ミドル級)を獲得して、この二度目の世界挑戦。英国・ケンジントンで行われたアメリカ黒人同士の一戦(ドン・キングの興行。WBC王者ナイジェル・ベンも登場。キングはナンとベンを戦わせる計画のようだ)。1R、互いにジャブ連打。右ストレートを狙うリトル。接近して左右フック。左フックでナンがダウン。その後もリトルはしつこく接近。ナンはサウスポーの細かいテクニックで応戦。器用さに欠けるリトル。接近戦ではもみ合いが多い。ナンはディフェンスしながら右ジャブ、左ストレートのアウトボクシング。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は2-1。映像ではナンがアウトボックスしたように見えたが、二人のジャッジはリトルの攻めの姿勢を評価したようだ。正直なところパワー不足だったナン。シャープな動きとパンチだったミドル級の頃と比べるとS・ミドル級では非力さが目立った。その後のリトル。初防衛に失敗。WBCの地域王座(S・ミドル級)を獲得したり、クルーザー級に挑戦したりといった頑張りを見せたが、世界王座への返り咲きはならず。ラストファイトは1998年で、ドロー。2000年、ガンで死去。34歳だった。)

マイケル・ナン①  

スティーブ・ジョンソン戦、ジョン・ボーマン戦、セルヒオ・カンポス戦、ラリー・デービス戦、マルコス・ヘラルド戦

マイケル・ナン② 

フランクリン・オーエンス戦、ケビン・ワッツ戦、アイラン・バークレー戦、マーロン・スターリング戦

マイケル・ナン④ 

アール・バトラー戦、セシル・マッケンジー戦、チャールズ・オリバー戦、エベラルド・アルメンタ戦 

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