2023年12月8日金曜日

「虎のような猛攻」トニー・ロペス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界J・ライト、ライト級王者。王座奪回。ファン・モリナ戦(三戦目)、ルペ・グチェレス戦ほかを紹介します。

トニー・ロペス(アメリカ)

身長168cm:オーソドックス(右構え)  

トニー・ロペス 12R 判定 ファン・モリナ

(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1990年)

「虎のような猛攻」トニー・ロペス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

11R:右ストレートでモリナがダウン

(感想:ロペスがタイトル奪回。モリナにIBF王座を奪われたロペス。再起戦に勝利して、このモリナとの決着戦。過去二試合ではモリナの勢いのある連打に劣勢だったロペス。実力的にはモリナの方が上だと思われるが、三度目の対戦を行うことに。モリナはロペスから奪った王座の初防衛戦で過去に負けているルペ・スアレスに雪辱、防衛成功。ロペスと二度目の防衛戦。ネバダ州リノでの一戦。リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはリチャード・スティール。モリナのセコンドには「狂犬」ルー・デュバ(ロッキー・ロックリッジのセコンドも務めた。「ロペス vs. ロックリッジ」の経験があるデュバにとってロペスは熟知している選手)。ロペスが虎をデザインしたガウン&トランクス、モリナはプエルトリコのデザインのTシャツで入場。試合開始。力強いモリナ。ワンツーからの左フックがパワフル。しかしながら、今回のロペスは違う。集中しており、ジャブ、ワンツーを使いながらダッキングでモリナのパンチを巧くかわす。互いにジャブ、連打。手数が多いモリナだが、ロペスがディフェンス&右パンチ。6R、ロペスが右フック、左ボディ打ちで優勢。7Rにもロペスが右フック。モリナは相手を挑発するが、特に効果無し。8R、ロペスのフック攻撃。終盤、モリナは連打&距離を取るフットワーク(初戦で負けにされた戦法)。11R、ロペスの右ストレートでモリナがピンチ。そして右ストレートでダウン。かなり効いていたがゴングに救われ、12Rは互いに打ち合って終了。判定は極めて僅差の2-1(ジャッジ二人が1ポイント差)。「効いたパンチ」という点ではロペスの方が多く当てた。当てさせないテクニックも光っていた。モリナは残念。ポイント上は接近していたが、ダウンを食ったうえにフラフラになってしまった。その後、モリナは連勝。空位となったIBF世界J・ライト級王座を決定戦で奪回、連続防衛。しかし、オスカー・デラ・ホーヤ、シェーン・モズリーの世界ライト級王座は獲れず。上の階級では通用しなかった。) 


トニー・ロペス 6R TKO ルペ・グチェレス

(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1991年)

「虎のような猛攻」トニー・ロペス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:右ストレートでグチェレスがダウン

(感想:ロペスがタイトル防衛。激戦を繰り返し、試合運びを身に付けてきたロペス。モリナとの三戦目後、ホルヘ・パエス(メキシコ)に判定勝ちで奪回した王座の初防衛に成功。WBA王者ブライアン・ミッチェル(南アフリカ)との王座統一戦は引き分けで二度目の防衛。グチェレス戦は三度目の防衛戦となる。これまで25勝(19KO)3敗のグチェレス(IBF4位)はカリフォルニアの選手で、ニックネームは「Little Guns」。中堅どころを相手に連戦連勝。全米フェザー級王座獲得。ホルヘ・パエスのIBF世界フェザー級王座に挑戦してTKO負け。その後、全米王座を防衛して、この二度目の世界挑戦。ネバダ州ステートラインでの一戦。テンポ良くジャブ、ワンツーのロペス。ヒゲを生やして気合いの入った表情のグチェレスはジャブ、右ストレートで応戦。ショートの左フックを振るうなど細かいボクシングだが、左ボディ打ちに巧さがある。試合はロペスが優勢。ワンツー、右ストレートからの左ジャブといったテクニックを披露。グチェレスの真っ直ぐな攻めをディフェンス。3R、バッティングでロペスが出血するが、その後、グチェレスも負傷。6R、グチェレスがキズのドクターチェック。その後、右カウンターを打たれてグチェレスが後退。右ストレートでダウンすると同時にレフェリーストップ。ロペスがテンポの良い攻めで勝利。ディフェンスにも差があった。グチェレスは悪い選手ではなかったが、攻めが正直すぎた。その後、グチェレスはルイ・エスピノサ、アレハンドロ・ゴンザレスに敗れるなど負けが込んでいくようになった。一定のレベル以上の実力者には敵わない選手だった。)


その後のロペス

グチェレス戦の次の試合はブライアン・ミッチェルとの再戦。これに敗れ、王座陥落。階級を上げ、ジョーイ・ガマチェからWBA世界ライト級王座獲得。しかし、初防衛戦で苦戦したディンガン・トベラ(南アフリカの黒人)に再戦で敗れて王座陥落。再起二連勝でホーゲン戦を迎える。


トニー・ロペス 10R TKO グレグ・ホーゲン

(ウェルター級戦、1994年)

「虎のような猛攻」トニー・ロペス③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

6R:右ストレートでホーゲンがダウン

(感想:J・ウェルター級の世界ランカー同士の対戦。ロペスはWBC4位。9位のホーゲンは白人のタフ男。元IBF世界ライト級、WBO世界J・ウェルター級王者。ただし、フリオ・セサール・チャベスには惨敗。チャベス戦後にブランクを作ってカムバック。目下、二連勝中。ラスベガス「MGM Grand」で行われたサバイバル戦。星条旗とメキシコ国旗を合体させたトランクスのロペス。ホーゲンは黒。互いにジャブ、ワンツー、フック。しかしながら、器用さ、特に右パンチを当てる巧さでロペスが上回る。右を打たれるホーゲンはその度にグラつく(歴戦のダメージを感じる試合ぶり)。6R、連打からの右ストレートでホーゲンがダウン。7R、右ストレートでホーゲンのマウスピースが吹っ飛ぶ。8Rには右アッパーでホーゲンがマウスピース落下。バッティングでロペスが出血(古傷と思われる)。10R、攻めるロペス。ホーゲンが二度マウスピースを落下させた後、右を連続して浴びてレフェリーストップ。ロペスが右パンチ&ディフェンスで勝利。ホーゲンにはかなりの衰えを感じた。こういう状態でリングに上がるのは非常に危険。その後もホーゲンはリングに上がり続け、WBFウェルター級王座獲得。ロペスはフリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級王座に挑戦してTKO負け。フレディ・ペンドルトン、チャールズ・マレーにも敗れて三連敗。その後、連勝してNABO王座(J・ウェルター級)を獲得。最後の意地を見せた。ピークが過ぎたり、階級を上げたことによって本来の強さを見せられなくなるのはボクサーにはよくあること。ロペスは地元サクラメントのファンの前でIBF 世界J・ライト級タイトル戦をやっていた時がベストであろう。)

トニー・ロペス①

ローマン・アルマガー戦、セサール・セペダ戦、ファン・モリナ戦(初戦)

トニー・ロペス②

ロッキー・ロックリッジ戦(再戦)、タイロン・ジャクソン戦、ファン・モリナ戦(再戦)

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