2023年12月27日水曜日

「左フックの名手」マイク・マッカラム①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

三階級制覇王者。J・ミドル級時代。カルロス・ベタンコート戦、アユブ・カルレ戦、ショーン・マニオン戦を紹介します。

マイク・マッカラム(ジャマイカ)

身長182cm:オーソドックス(右構え)

マイク・マッカラム 3R TKO カルロス・ベタンコート

(ミドル級戦、1982年)

「左フックの名手」マイク・マッカラム①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フックでベタンコートがダウン

3R:連打でベタンコートがダウン

(感想:ジャマイカ出身の「謎の男」マッカラム。本当の年齢がハッキリしないところが「謎」。性格的に難しい男らしく、マネージャーらと衝突したりする。しかし、練習熱心で、ボクシングの実力は確かなもの。左ボディ打ちの巧さから「ボディスナッチャー」と呼ばれる。アマチュアで優秀な成績。プロ入り後は連戦連勝。ベタンコート戦はプロ16戦目。ベタンコートはプエルトリカンで、このところ勝ったり負けたり。ニューヨークでの一戦。共にジャブ、ワンツー。左をよく出すマッカラム。ワンツーからの左フック、左フックのダブル、ボディ連打。ベタンコートはアップライトな姿勢でディフェンスにやや難がある。攻められると受け身になり、手数も少な目に。正確な左、右カウンターでマッカラムが優勢。2R、ワンツーからの左フックでベタンコートがダウン。3R、右ストレートからの左ジャブといったテクニックを見せるマッカラム。そしてロープ際での連打でベタンコートがダウン。倒れると同時にレフェリーストップ。マッカラムが快勝。似たようなタイプの試合だったが、左のテクニック、畳み掛けるパワーで勝負がついた。その後、ベタンコートはプエルトリコ王座(ミドル級)を獲得できたが、ヘロール・グラハム、アイラン・バークレーにKO負け。中堅どころで終わった。)


マイク・マッカラム 8R TKO アユブ・カルレ

(J・ミドル級戦、1982年)

「左フックの名手」マイク・マッカラム①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでカルレがダウン

(感想:全勝のマッカラム(25歳)。プロ17戦目の相手は経験者。カルレ(28歳)はウガンダのサウスポーで元WBA世界J・ミドル級王者。これまで40勝(19KO)2敗。工藤政志から王座を奪取したが、シュガー・レイ・レナードに敗北、王座陥落。王座奪回を目指してデビー・ムーアに挑戦したが、TKO負け。マッカラム戦はムーアに敗れた再起戦となる。アトランチックシティでの一戦。身長で上回るマッカラム。左ジャブを多用し、伸びとスピードのある右ストレート。カルレは右ジャブ、左ストレート。互いにディフェンス(ダッキング、ブロック)。「当てるパンチ」でテクニックを競い合う。斜め下からの右フックでカルレがダウン。その後、正確なパンチ、手数でマッカラム優勢。6Rには左右フックボディ打ちからの左アッパー、7Rにはコンビネーション(左ボディからの左フック、右ストレート)を次々にヒットさせる。7R終了後、カルレが棄権。畳み掛ける攻めでマッカラム勝利。共にテクニックがあったが、カルレは「KOを狙うパンチ」ではなかった。この試合後、カルレはブランク。カムバックして欧州ミドル級王者に。後の世界王者スンブ・カランベイを破って防衛成功。しかし、ヘロール・グラハム(後、数度の世界挑戦。マッカラムとも対戦)に敗れ、それが最後の試合に。)


マイク・マッカラム 15R 判定 ショーン・マニオン

(WBA世界J・ミドル級王座決定戦、1984年)

「左フックの名手」マイク・マッカラム①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マッカラムがタイトル獲得。これまで全勝のマッカラムがプロ22戦目で初の世界挑戦。この試合には少し事情が。WBA王者ロベルト・デュランがWBC王者トーマス・ハーンズと統一戦を行おうとしたがWBAはこれを認めず、王座は空位に。その決定戦にマッカラム出場。相手のマニオンはアイルランド出身の白人サウスポー。29勝(11KO)5敗1分。アメリカでプロデビュー。全米J・ミドル級王座に挑戦して敗北。アトランチックシティで後のWBA世界S・ミドル級王者白仁鉄に判定勝ちするなどこのところ連勝中。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦(レフェリーはトニー・ペレス。TV解説席にシュガー・レイ・レナード。リングサイドではハーンズ、WBC世界ウェルター級王者ミルトン・マクローリーが並んで観戦。メインイベントは「マービン・ハグラー vs. ムスタファ・ハムショ(再戦)」の世界ミドル級王座戦)。共に27歳。マッカラムのセコンドにはルー・デュバ。いつものようにジャブを使うマッカラム。マニオンは相手を警戒しながら距離を取って右ジャブ、左ストレート。早くもマッカラムがパンチの正確さで優勢。右ボディからの右アッパー、左ボディ打ちで相手の隙を突く(カルレを破ったマッカラムにとってサウスポーは特に問題ではない)。マニオンは4Rに左ストレートをヒットさせるシーンを見せたが受け身の姿勢で、相手をKOするような精力的な攻めはしない。そのパターンで15R終了。パンチの正確さ、攻める姿勢でマッカラム勝利。正直なところ、盛り上がりに欠けた試合。何かのトラブルでリングサイドがざわついていたが、試合よりもそっちの方が気になってしまったほど。マニオンはエキサイティングでない選手。世界戦で受け身な試合をしてしまうと「この選手には期待できない」とボクシング関係者やファンから見放されてしまう。その後、マニオンは連勝したが次第に負けが込むように。世界戦はマッカラム戦のみとなった。)

 

その後のマッカラム

ルイジ・ミンキロ、デビッド・ブラクストン、ジュリアン・ジャクソン、サイド・スクマ、ミルトン・マクローリー、ドナルド・カリーら実力者相手に王座防衛。王座を返上し、スンブ・カランベイのWBA世界ミドル級王座に挑戦。 

マイク・マッカラム②

フランク・ミントン戦、スンブ・カランベイ戦(再戦)、カルロス・クルス戦、ニッキー・ウォーカー戦

マイク・マッカラム③

ジェフ・ハーディング戦、カール・ジョーンズ戦、アリ・サイディ戦 

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