2023年12月20日水曜日

「小柄なテクニシャン」ジェームス・マクガート③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界J・ウェルター、ウェルター級王者。王座防衛戦。ヘナロ・レオン戦、パーネル・ウィテカー戦ほかを紹介します。

ジェームス・マクガート(アメリカ)

身長169cm:オーソドックス(右構え)

ジェームス・マクガート 12R 判定 ヘナロ・レオン

(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1993年)

「小柄なテクニシャン」ジェームス・マクガート③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マクガートがタイトル防衛。二度目の防衛戦。WBC1位の挑戦者レオンはメキシカン。これまで42勝(37KO)2敗2分。アマチュアで活躍。1984年のロサンゼルス・オリンピックにウェルター級で出場。後の世界王者、平仲明信を破ったがマーク・ブリーランドにKO負けしてメダルは獲得ならず。プロ入り後は取りこぼしもあったが、WBO初代ウェルター級王者に。当時のWBOは価値が低かったため防衛戦を行うことなく返上。WBC米大陸王座(ウェルター級)獲得。防衛を続け、マクガートの王座に挑戦するチャンスを得た。ニューヨークでの一戦。ワンツーに力強さがあるレオン。しかしながら、攻撃が単発でとぎれがち。しかも、真っ直ぐ攻めるため、ジャブ、右カウンターを食う。さらにフックがぎこちないなど不器用さがあり、クリンチ中のラフ行為(ラビットパンチ)でレフェリーから警告を受ける(3Rに減点)。マクガートももう一つ。攻めてくるレオンにジャブ、右カウンターをヒットさせるがそれ以上の攻撃に乏しく、パワーに欠ける。10R、レオンが闇雲に連打。12R、連打されてマクガートがダウン寸前に。12R終了。判定は3-0。マクガートが当てるテクニックで勝利。マクガートはパワー不足、レオンは不器用さ。世界ウェルター級王座戦にしては残念な内容だった印象。その後、レオンは米大陸王座戦、NABO王座戦に敗れるなど勝ったり負けたりでキャリアを終えた。)


パーネル・ウィテカー 12R 判定 ジェームス・マクガート

(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1993年)

「小柄なテクニシャン」ジェームス・マクガート③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ウィテカーが三階級制覇。マクガートが厄介な選手と三度目の防衛戦。挑戦者は「スウィートピー」と呼ばれるウィテカー。小粒だが素晴らしい(スウィート)動きをするサウスポー。世界ライト級王座を統一し、強打者ラファエル・ピネダを下してIBF世界J・ウェルター級王座を獲得して二階級制覇。トリッキーな動きで目立っている個性的な選手だが、鋭いジャブ、一撃で相手をKOできるほどパワーのある左ストレート、突き上げるような左ボディアッパーといったしっかりした武器を持っている実力派。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」で行われた注目の技巧派対決。しかしながら、試合内容はイマイチ。マクガートは手数が少な目で、押される展開。ウィテカーがパンチの正確さとディフェンスで優勢のまま12R終了。判定は3-0。ウィテカーのパンチはそんなに強かったのだろうか? なかなか前に出れないマクガートに物足りなさを感じた。ジャブをもっと多く出していれば逆の判定になっていたかも。ただ当時、マクガートは肩を痛めることが多かった。ベストコンディションではなかったのかも。)


ジェームス・マクガート 12R 判定 リビングストン・ブランブル

(ウェルター級戦、1994年)

「小柄なテクニシャン」ジェームス・マクガート③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ウィテカーに王座を奪われたマクガート(30歳)。再起二連勝で、これまで61勝(44KO)3敗1分。三戦目の相手は「懐かしの選手」。36勝(23KO)12敗3分のブランブル(33歳、セントクリストファー・ネービス出身)は元WBA世界ライト級王者。レイ・マンシーニを二連続で破ったことで有名だが、エドウィン・ロサリオにアッサリKOされて王座陥落(1986年)。その後も精力的にリングに上がり続けてきたが、ロジャー・メイウェザー、コンスタンチン・チューといった実力者に敗れ、売り出し中の選手の「踏み台」と化している状況。バージニア州ノーフォークでの一戦(ウィテカーの防衛戦のアンダーカード。「12R制」だったのは「勝った方がウィテカーに挑戦」という意味があったと思われる)。ブランブルがガードを固めて前進。右ストレート、左フック。時折サウスポーにスイッチ。しかしながら、動きのスピードに欠ける。マクガートはディフェンスしながらジャブ、ワンツーで相手のガードの隙間を狙う作戦。左フックからの右ストレート、右カウンターなどをヒットさせる。そのパターンでラウンドを重ねる両者。コンビネーションに巧さがあるマクガートだが、「当てるボクシング」であまりエキサイティングな試合ぶりではない。12R終了。判定は大差の3-0(マクガートのほぼフルマーク)。あまり盛り上がらなかった試合。「両者の今後に期待できる」という気分にはならなかった。その後もブランブルは多くの試合、多くの敗北。この選手はライト級王者時代がベスト。)

 

ジェームス・マクガート 5R TKO ジョー・ガッティ

(ミドル級戦、1995年)

「小柄なテクニシャン」ジェームス・マクガート③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:右クロスでガッティがダウン

(感想:ウィテカーとのリターンマッチに敗れたマクガート。再起戦でバック・スミス(異常に試合数が多い名物男)に判定勝ち。そしてガッティと再起二戦目。これまで22勝(17KO)4敗のガッティはカナダ人(弟アルツロは後に世界王者に)。テリー・ノリスのWBC世界J・ミドル級王座に挑戦して1RでKO負けしたことがある。ミシシッピ州ビロクシでの一戦。慎重にディフェンスしながらジャブを連打するガッティ。ワンツー、左フックに力を入れる。しかし、試合はマクガートが当てるテクニックで優勢。特に右を当てるタイミングを捉えるのが巧い。ワンツーからの左フックでガッティのマウスピースを飛ばし、右カウンター。ガッティは真っ正直なボクシングのため、ワンツー、左フックをかわされる。5R、実に見事な右クロスでガッティがダウン。ダメージ深く、レフェリーはカウントを途中で止めて試合を止めた。マクガートが職人芸で勝利。ガッティは悪い選手ではないが、実に素直なボクシング。相手に動きを読まれてしまった。その後もガッティはリングに。スベン・オットケのIBF世界S・ミドル級王座に挑戦してTKO負け。それがラストファイトとなった。)


アンドリュー・カウンシル 9R TKO ジェームス・マクガート

(ミドル級戦、1995年)

「小柄なテクニシャン」ジェームス・マクガート③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

7R:フック連打でマクガートがダウン

9R:連打でマクガートがダウン

(感想:マクガート(31歳)のプロ73戦目。28歳のカウンシル(メリーランド州出身)はこれまで22勝(14KO)3敗3分の黒人。キース・ホームズと空位の全米王座(J・ミドル級)を争って判定負け。その後、連勝でこのマクガート戦。アトランチックシティでの一戦。身長差がある二人。背が高いカウンシル(177cm)がガードをしっかり固めてジャブ、右ストレート、左フックといったロングのパンチを使う。左ボディ打ちには巧さとパワーが。マクガートはいつものようにジャブを使いながら相手の隙を狙うがブロックされてしまう。2R、接近して連打するカウンシルが左フックを当てる。3R、マクガートが珍しくふざけた動き(悪い予感)。さらに得意の「ワンツーからの左フック」をブロックされる。5R、カウンシルのパンチ(右アッパー、左フック、右ストレート)が連続ヒット。7R終了間際、右フックからの左フックでマクガートがダウン。9Rにも連打でダウン。セコンドがリングインして試合終了。マクガートが惨敗。元々小柄でミドル級の選手ではないうえに得意のパターンをブロックされてしまっては勝ち目はなかった。その後の二人。カウンシルはロナルド・ライトの北米王座(J・ミドル級)、バーナード・ホプキンスのIBF世界ミドル級王座、キース・ホームズのWBC世界ミドル級王座に挑戦して敗北。実力はあったが、大きな王座は獲れず。マクガートはカムバックして連勝。決定戦でIBCのJ・ミドル級王座を獲得。ラストファイトは1997年で判定負け。引退後はトレーナーに。若い選手のセコンドにつく姿はボクシング中継でおなじみの光景となった。)

「小柄なテクニシャン」

ジェームス・マクガート①

フランキー・ウォーレン戦(初戦・再戦)、ソウル・マンビー戦

ジェームス・マクガート②

オルランド・オロスコ戦、トミー・エイヤーズ戦、サイモン・ブラウン戦、デルフィノ・マリン戦、パトリツィオ・オリバ戦

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