「小柄なテクニシャン」ジェームス・マクガート①「世界チャンピオン列伝：ボクシングブログ」

世界Ｊ・ウェルター、ウェルター級王者。世界王者になる前の試合＆IBF戦。フランキー・ウォーレン戦（初戦・再戦）ほかを紹介します。「世界チャンピオン列伝：ボクシングブログ」

ジェームス・マクガート（アメリカ）

身長169cm：オーソドックス（右構え）

①フランキー・ウォーレン 10R 判定 ジェームス・マクガート

（Ｊ・ウェルター級戦、1986年）

（感想：ニューヨーク・ブレントウッド出身のマクガート。「バディ・マクガート」と呼ばれることが多いが、本名は「ジェームス・ウォルター・マクガート」（なぜ「バディ（相棒？）」なのかは不明）。この階級の選手にしては小柄だが、シャープなパンチとディフェンスで勝負する男。子供の頃からプロボクサー志望だったが、身体の小ささから周囲は反対。高校卒業後、82年にプロ転向。デビュー戦は引き分け。以降は連勝。WBC米大陸王座（Ｊ・ウェルター級）獲得。ウォーレンはテキサスの黒人。コチラも連戦連勝。後の世界王者サミー・フエンテス、実力者ロニー・シールズ（全米Ｊ・ウェルター級王座決定戦）に勝利。テキサス州コーパス・クリスティでの無敗対決。小柄なマクガートより背が低いウォーレン（セコンドにルー・デュバ）。しかし、よく鍛えられたガッチリした身体。攻めの姿勢でウィービング、ダッキングしながら前進。パワーを込めてジャブ、右ストレート、左右フック。マクガートはまずはディフェンスから入る慎重姿勢。距離を取ってジャブ、ワンツー、左フック。実に攻撃が正確。互いにディフェンスしながら接近戦。マクガートは右ストレート、左ボディ打ち、ウォーレンは左右フックが効果的。4R、ウォーレンが左フックからの右ストレートをヒットさせる。5R、マクガートが左フック、右アッパーをヒットさせる。体力で押すウォーレンだが、グローブのテーピングが何度もはがれる（勢いを削がれてウンザリした表情に）。マクガートの正確なパンチには美しさすら覚えるが、同じように打ち合うのであればパワーで押すウォーレンが有利。10R終了。判定は３－０。マクガートが初黒星。惨敗ではなかったが、勢いに押されて受け身になるシーンがもったいなかった印象。その後、二人は世界王座を懸けて再戦する。）

 

②ジェームス・マクガート 10R 判定 ソウル・マンビー

（ウェルター級戦、1986年）

（感想：ウォーレンに敗れた再起戦。マンビー（ニューヨーク・ブロンクス出身の黒人）は経験豊富なテクニシャンタイプで元WBC世界Ｊ・ウェルター級王者。ピークは過ぎているが、安定したテクニックは健在。ニューヨークで行われたニューヨーカー同士の一戦（レフェリーはアーサー・マーカンテ）。共に左のガードをやや下げた構えからジャブ。マンビーは力を込めた打ち方でロングの左フック。マクガートはスピードのある打ち方で右クロス、ショートフック。接近戦。互いにボディ打ち。テクニック合戦。マクガートが相手のロングパンチをディフェンスして右ストレート、左フックを当てる。10R終了。判定は３－０。マクガートが当てるテクニックで勝利。派手な試合ではなかったが、タイミングを捉える巧さがあった。マンビーはパンチの振りが大きかったためブロックされてしまった。その後もマンビーは多くの試合。勝ったり負けたりだったが、新鋭グレンウッド・ブラウンに判定勝ちしたり、ニューヨーク州王座（ウェルター級）を獲得したりといった活躍を見せた。）

IBF世界Ｊ・ウェルター級王座戦

ウォーレン戦以降は連勝のマクガート。WBC米大陸王座（Ｊ・ウェルター級）を獲得するなど好調。フランキー・ウォーレンと空位のIBF世界Ｊ・ウェルター級王座を懸けて再戦。これにTKO勝ちして雪辱、王座獲得。初防衛戦の相手はモントリオール・オリンピック（1976年）ライト級金メダリストのハワード・デービス。何と1RでのKO勝ちで王座防衛。二度目の相手も金メダリスト。ロサンゼルス・オリンピック（1984年）フェザー級金メダルのメルドリック・テーラー。12RでのTKO負けで王座陥落。優秀なマクガートだが、肩を痛めることが多くなっていく。実力、センスは十分。後はコンディション次第、といった状況。

ジェームス・マクガート②

オルランド・オロスコ戦、トミー・エイヤーズ戦、サイモン・ブラウン戦、デルフィノ・マリン戦、パトリツィオ・オリバ戦

ジェームス・マクガート③

ヘナロ・レオン戦、パーネル・ウィテカー戦、リビングストン・ブランブル戦、ジョー・ガッティ戦、アンドリュー・カウンシル戦