2025年8月9日土曜日

「辰吉を二度粉砕」ウィラポン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界バンタム級王者。WBC王座防衛戦のオスカー・アルシニエガ戦、セルヒオ・ペレス戦、ウーゴ・ディアンソ戦ほかを紹介します。


ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)

身長160cm:オーソドックス(右構え)


ウィラポン 5R TKO オスカー・アルシニエガ

(WBC世界バンタム級タイトル戦、2000年)

「辰吉を二度粉砕」ウィラポン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ウィラポンがタイトル防衛。日本でもおなじみのウィラポン。タイ人ボクサーにはよくあることだが、スポンサーによりリングネームは複数(「ウィラポン・~」といった感じ。その一つ「ナコンルアンプロモーション」はスポンサーになっている映画会社の名前)。ニックネームは「デスマスク(死者の顔)」(表情を全く変えずに強打で攻撃する姿を形容しているらしい)。ムエタイで三階級制覇。国際式(プロボクシング)に転向。デビュー戦でWBCインター王座(スーパーフライ級)を獲得し、初防衛にも成功。WBA12位としてデビュー四戦目で世界初挑戦。同国人のダオルン・MPペトロリアムを判定で下してWBA世界バンタム級王座奪取(1995年)。しかし、初防衛戦で強打者ナナ・コナドゥ(ガーナ)に豪快にKO負け。それからはフィリピン人を中心にタフな試合を展開。1998年、辰吉丈一郎をKOしてWBC世界バンタム級王座獲得。辰吉との再戦はTKO勝ちで王座防衛。ノンタイトル戦をこなしながらアルシニエガと五度目の防衛戦。これまで27勝(19KO)1敗。30勝(18KO)13敗2分の挑戦者アルシニエガ(WBC15位)は日本のファンには懐かしい選手。ユーリ・アルバチャコフのWBC世界フライ級王座に日本で挑戦して判定負け。その後はメキシコ王座(フライ級)を防衛したが、WBCインター王座戦(フライ級)、エリック・モレル戦など四連敗。WBCの地域王座(フライ級)を獲得して連敗脱出。その次の試合は階級を上げて、この二度目の世界挑戦。タイ・バンコクでの一戦。素直なボクシングのウィラポン。左ジャブ、ワンツー、左フック。タイ人らしいシンプルな攻めだがよく鍛えられており、パンチが強い。アルシニエガは打ち方が良く、右ストレート、左フックで器用にコンビネーション(ワンツーからの左フックなど)。ただ、動きのキレが微妙で、打ち終わった後に打たれる。ウィラポンがディフェンスしながら強打。5Rには連打をまとめる。アルシニエガが左眉のキズのドクターチェック。負傷によりTKO。ウィラポンが当てる巧さで勝利。アルシニエガは攻撃にバリエーションがあって良かったが、全体的なスピード感に欠けた。その後、アルシニエガはブランクがちにリングに上がったが、連続KO負けを喫するなど散々だった。)  


ウィラポン 12R 判定 セルヒオ・ペレス

(WBC世界バンタム級タイトル戦、2002年)

「辰吉を二度粉砕」ウィラポン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ウィラポンがタイトル防衛。33歳のウィラポンが8度目の防衛戦(7度目の防衛戦は西岡利晃とドロー。西岡とは後にこの王座を懸けてさらに二度対戦)。挑戦者ペレス(26歳)は長身(173cm)で、メキシコシティ出身。これまで23勝(16KO)9敗。デビューから連勝だったが、メキシコのローカル王座戦(J・バンタム級)、イサイアス・サムディオ戦に連敗するなど不調。NABOジュニアバンタム級王座を獲得、連続防衛。しかし、IBA王座戦(バンタム級)、マーク・ジョンソン戦、北米フェザー級王座戦に敗北。世界挑戦できる状況ではないと思われるが「メキシカンの特権」なのか、WBC王座に挑戦。タイ・タンヤブリーでの一戦。速いジャブを打つペレス。左ボディ打ちに良さ。ところがサウスポーにスイッチ。左ストレート、フックを出すが、迫力不足。ウィラポンは相手がサウスポーでも変わらない。前進してストレート、フック、ボディ攻め。3Rからパワーアップするペレス。アッパー気味の左フック連打に迫力。ガードしながらの接近戦が続く。攻めるウィラポン、フックで応戦するペレス。11R、ウィラポンがローブローを入れながら連打(どうやら頭をぶつけてくるペレスに低打で報復した様子)。最後までウィラポンが前に出て12R終了。判定は大差の3-0。ポイント上、圧勝のウィラポンだが、ダウンを奪えず。やはり攻め方が単調なのだろう。ペレスはディフェンスしながらよく応戦したが、そこまで。その後、ペレスは長いブランクを挟みながらリング活動。ラストファイトは2013年で、ローカル王座(スーパーライト級)挑戦。1RでKO負けだった。)


ウィラポン 3R TKO ディーン・ベルムデス

(フェザー級戦、2002年)

「辰吉を二度粉砕」ウィラポン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:ワンツー、右ショートで2度、ベルムデスがダウン

3R:右ボディでベルムデスがダウン

(感想:世界王者ウィラポンがノンタイトル戦。ベルムデスはフィリピン・タベイ出身で、勝ったり負けたりの男。ウィラポンとは再戦で、初戦は4RでTKO負け。バンコクでの一戦。ベルムデスは微妙な選手。ジャブを連打するが、妙に左右をスイッチ。サウスポーでの左ストレート、右フックに良さがあるが、攻めるときのバランスに問題(ガードが甘くなってしまう)。ウィラポンがディフェンスしながらワンツー。2R、キレイなワンツーでベルムデスがダウン。立ったが、右ショートで二度目のダウン。3R、攻めるウィラポン。ベルムデスはスイッチしながら反撃するが、右ストレートがボディに入ってダウン。立ったが、レフェリーに止められた。ウィラポンが相手の隙を突いて勝利。ベルムデスは何かと中途半端。あまりスイッチはしない方がいい。その後、ベルムデスは連敗続きで引退。) 


ウィラポン 12R 判定 ウーゴ・ディアンソ

(WBC世界バンタム級タイトル戦、2003年)

「辰吉を二度粉砕」ウィラポン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ウィラポンがタイトル防衛。10度目の防衛戦。WBC14位の挑戦者ディアンソ(28歳)はメキシコシティ出身。TKO負け、判定負けする不安定な時期もあったが、その後、連勝。クルス・カルバハル(マイケルの弟)に勝利、WBC米大陸王座、メキシコ王座(いずれもバンタム級)獲得、防衛。KO負けで米大陸王座陥落、北米王座(バンタム級)獲得・防衛、ポーリー・アヤラ、クルス・カルバハルに連敗、WBC地域王座(バンタム級)獲得。連戦連勝とはいかないが、実力者と対戦してきた経験がある。バンコクでの一戦。似たタイプの二人。ガードしながらジャブ、右ストレート。ディアンソは斜め下からの左フックなど左のテクニックがある。接近戦が続くが、右カウンター、隙を突く巧さなどでウィラポンのパンチが時折ヒットする。12R終了。判定は大差の3-0。共に巧さを見せ合った試合。ウィラポンは当てる巧さがあったが、パワーの点では物足りない攻撃。ディアンソはダッキングで攻撃をかわされるなどウィラポンの守りを突破するだけのパワーに欠けた。その後のディアンソ。スティーブ・モリターとのNABA王座戦(バンタム級)に敗れるなど苦戦。ブランク後の2007年、ファン・マヌエル・ロペスにTKO負けで引退。)

 

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