2025年8月3日日曜日

「異例の長身」ラウル・ペレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界バンタム、J・フェザー級王者。WBC王座防衛戦のルシオ・ロペス戦、カルデニオ・ウリョア戦ほかを紹介します。


ラウル・ペレス(メキシコ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)


ラウル・ペレス 12R 判定 ルシオ・ロペス

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1989年)

「異例の長身」ラウル・ペレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

12R:左フックでロペスがダウン

(感想:ペレスがタイトル防衛。ペレスは長身のメキシカン(ティフアナ出身)。これまで敗北は一つだけ。元世界王者プルデンシオ・カルドナ、ガビー・カニザレス、ウィルフレド・バスケスに勝利後、ミゲル・ハッピー・ロラからWBC王座奪取。これが初防衛戦。挑戦者ロペスはアルゼンチン・メルセデス出身。デビューから連勝。決定戦でアルゼンチン王座、南米王座(いずれもバンタム級)獲得。判定で初黒星。後の世界王者ファン・ホセ・エストラーダに判定勝ち、二つの王座を防衛。ロラのWBC王座に挑戦して判定負け。その後、一勝一敗でペレスに挑戦。ロサンゼルス「スポーツ・アリーナ」での一戦。ペレスは手数で勝負する男。長身であるにもかかわらず、しっかりガード(長身トーマス・ハーンズは左のガードを下げた構えだったが、その分、ガードの隙を突かれることがよくあった)。足でリズムを取りながらジャブ、ワンツー、左フック。アッパー気味の右フックからの左フックなどコンビネーションを使いこなすが、パンチの回転が速めな分、一発のパワーはそこそこ。身長で劣るロペスは踏み込んで左フックをかますなどフックを振っていくタイプ。動き自体は悪くないがジャブを出さないため、アウトサイドからのフックをディフェンスされがち。接近戦。フックでの攻防。ペレスがディフェンスしながらインサイドからのパンチ。当てる巧さはあるが、パワー不足でロペスの接近を止めることができない。最終12Rも前に出るロペスだが、ワンツーからの左フックでダウン。12R終了。判定は中差の3-0。ペレスが手数、当てるテクニックで勝利。ただ、出血するなどキツい試合となった。ロペスはフックを降り続ける凄まじいスタミナ。ジャブを使うといったパンチを当てる工夫に欠けていたのが惜しい。その後、ロペスはアルゼンチン王座戦(J・フェザー級)に敗れるなど勝ったり負けたりになり、最後は連敗でキャリア終了。引退後の1994年に31歳で死去。義兄弟に刺殺されたとのこと。)


ラウル・ペレス 8R TKO カルデニオ・ウリョア

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1989年)

「異例の長身」ラウル・ペレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペレスがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者ウリョアはチリのプエルト・バラス出身。1980年、デビュー。地元を主戦場に多くの試合。WBC米大陸王座(バンタム級)を決定戦で獲得したが、リッチー・サンドバル(後のWBA世界バンタム級王者)にアメリカでTKO負け、初黒星。1986年にチリ王座(バンタム級)を獲得してからは全勝でペレスに挑戦。チリ・タルカワノでの一戦。これも身長差のある対戦。共に機敏な動きで速いジャブ、ワンツー。ウリョアはチャレンジャーらしく攻める姿勢。しかしながら、ペレスは長いリーチで特に左を使うのが巧い。ワンツー、左ボディからの左フック、左フックからの右ストレートなどで正確な攻撃。ウリョアはパンチ自体は悪くないが、ディフェンスされて打たれて追い込まれる。6R、ペレスが右ストレートをヒットさせて連打で畳み掛ける。7R、攻めるウリョアだが、またしても長い右ストレートを食う。このラウンド終了後、ウリョアは棄権。打たれたダメージとキズによるものと思われる。ペレスが快勝。パンチにはキレがあった。その後のウリョア。チリ王座を防衛。しかし、ビクトル・ラバナレス(後のWBC世界バンタム級王者)に敗北。南米の実力者にとどまった。)


ラウル・ペレス 8R KO チャンギャート・カルモナ

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1990年)

「異例の長身」ラウル・ペレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:左フックでカルモナがダウン

(感想:ペレスがタイトル防衛。ウリョア戦後、ディエゴ・アビラ、ガビー・カニザレス、ヘラルド・マルチネス、ホセ・バルデスを相手に防衛に成功したペレス。カルモナと七度目の防衛戦。バルデスとの防衛戦はドローに終わっただけに今回は良い勝ち方をしたいところ。カルモナもメキシカン。1979年デビューのベテラン。中堅どころに勝ってきたが、メキシコ王座戦(バンタム級)に敗北。連勝後、同王座を判定で獲得し、二度の防衛。ペレスの地元ティフアナでの一戦。アフロで黒人風の肌のカルモナ。距離を取ってサウスポースタイルから右ジャブ、左ストレート、右フック。しかし、残念なことにパンチのキレが無く、打った後にバランスを崩したりする。ペレスはワンツーからの左フックなどで手数。一発一発は軽いが、正確に当てようとする。7R、ペレスのアッパー気味の左フックがヒットしてカルモナがピンチ。8R、右ストレートが効いたカルモナ。左フックでダウン。立てず、KO。ペレスが楽勝。カルモナはスピードやパワーに欠けており、世界王座への挑戦者としては不十分。ベテランすぎてピークを越えていたのかも。その後、カルモナは再起戦でメキシコ王座を防衛したが、その次の防衛戦はKO負け。メキシコの実力者にとどまった。)


その後のペレス 

八度目の防衛戦でグレグ・リチャードソンに判定負け、王座陥落。ルイス・メンドサとのテクニシャン対決を制してWBA世界J・フェザー級王座獲得、二階級制覇(1991年)。しかし、初防衛戦でかつて判定で下したウィルフレド・バスケスに3RでKO負け、王座陥落。フェザー級を飛ばしてヘナロ・エルナンデスのWBA世界J・ライト級王座に挑戦したが、強烈なボディ打ちを食らってKO負け。背は高かったが、階級を上げてパワーアップすることはなかった。

 

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