IBF世界ストロー級王者。王座戦のジュン・オルハリーサ戦、グスタボ・ベラ戦、ウェリントン・ビセンテ戦ほかを紹介します。
ラタナポン・ソーウォラピン(タイ)
身長162cm:サウスポー
①ラタナポン・ソーウォラピン 3R KO ジュン・オルハリーサ
(IBF世界ストロー級タイトル戦、1996年)
(ダウンシーン)
3R:右フックでオルハリーサがダウン
(感想:ラタナポンがタイトル初防衛。IBF王座を守り続けたラタナポンだが、13度目の防衛戦でやらかし。試合には勝ったが、計量オーバーで王座剥奪(以前から減量苦だった)。空位になった王座の決定戦に出場し、王座奪回。オルハリーサと奪回した王座の初防衛戦。挑戦者オルハリーサはフィリピンの中堅どころ。デビューから勝ったり負けたり後、連勝。しかし、フィリピン王座(J・フライ級)挑戦は判定負け。直前の試合は韓国でドロー。タイ・チェンマイでの一戦。足で距離を取って左ジャブを出すオルハリーサ。相手の強打を警戒。ラタナポンは右ジャブで相手にプレッシャーを掛けて左ストレート、右フック。余裕の表情を見せるふてぶてしさ。3R、ロープ際での狙い澄ました強烈な右フックでオルハリーサがダウン。立てず、KO。ラタナポンが豪快な勝利。そのパワーは最軽量級のものではなかった。オルハリーサはまさに「いけにえ」。観客の前で倒される役どころだった。その後、オルハリーサはジョマ・ガンボア、日本で内藤大助に敗れるなど中堅選手としてキャリア終了。)
②ラタナポン・ソーウォラピン 2R TKO グスタボ・ベラ
(IBF世界ストロー級タイトル戦、1996年)
(ダウンシーン)
1R:左ストレートでベラがダウン
2R:ワンツーでベラがダウン
(感想:ラタナポンがタイトル防衛。3度目の防衛戦。挑戦者ベラはベネズエラ・マラカイボ出身。WBCの地域王座(ストロー級)を獲得しているが、初防衛に失敗。直前の試合は後の世界王者ホセ・ボニージャとのベネズエラ王座戦(J・フライ級)で、TKO負け(世界挑戦する資格に少し問題があるような気がするチャレンジャー)。タイ・ウドーンターニーでの一戦。口ヒゲのベラ。トランクスはベネズエラ国旗。動きのスピード、パンチのキレはそこそこ。ただ、パンチの打ち方は良く、ディフェンスもできる。ラタナポンは豪快さで勝負。動きのスピードはかつてほどないが(減量苦だろう)、パワーは変わらず。しゃくりあげるような右フックからの左ストレートに迫力。左ストレートで早くもベラを倒す。2R、パンチの勢いが出てきたベラ。左フック、右アッパーを交えたコンビネーション。しかし、強烈なワンツーでダウン。立ったがダメージありで、レフェリーストップ。ベラはストップに納得いかないようだったが、強烈なパンチを食っていた。ラタナポンがパワーで圧勝。それは結構なことだが、対戦相手のレベルに問題。マイナーな相手とばかり防衛戦をやっても仕方がない。もっと名のある相手と戦わないと時間がもったいない。ベラはベネズエラ人らしい巧さ。ただ、相手の大きなパワーに飲み込まれた。その後、ベラは試合間隔が長めに。最後は四連続KO負けで引退。)
③ラタナポン・ソーウォラピン 2R KO ウェリントン・ビセンテ
(IBF世界ストロー級タイトル戦、1997年)
(感想:ラタナポンがタイトル防衛。6度目の防衛戦。挑戦者ビセンテはブラジル・レシフェ出身。決定戦でWBOラティノ王座(ストロー級)を獲得している。タイ・ノーンカーイでの一戦。坊主頭でスリムなビセンテ。アップライトな構えのため実態(身長166cm)より背が高く見える。ガードを固めてワンツー、接近戦ではフック。残念なことにパワーが感じられない打ち方。ラタナポンは相手のパワーを知ったからなのか、笑顔。いつものように右ジャブ、左ストレートで相手に接近。2R、攻撃に出るラタナポン。ストレート、フックでビセンテを打ちのめし、レフェリーストップ。ラタナポンが格下に楽勝。意味のない世界戦だったような気がするが、本人・ファン・関係者が満足ならそれでよいのだろう。ビセンテはその後、階級を上げて勝負。南米バンタム級王座決定戦で判定負け、WBOラティノ王座(フライ級)獲得、オマール・ナルバエスに三敗、WBOラティノ王座(スーパーフライ級)は獲得ならず、ドイツでブライム・アスロウムにKO負け。トップには敵わなかったが、精力的にリングに上がった。)
その後のラタナポン
ビセンテ戦の次の防衛戦でゾラニ・ペテロ(南アフリカ)にKO負け。再起三連勝。これまで全てタイで戦ってきたが、渡米。ウィル・グリッグスビーとIBF世界ジュニアフライ級王座決定戦を行って判定負け。PABAジュニアフライ級王座挑戦はKO負け。ラスベガスでリカルド・ロペスのIBF世界ジュニアフライ級王座に挑戦してTKO負け。今までの快進撃は何だったのか、というぐらいのスランプ。結果的にロペス戦が最後の世界戦に。その後は地元でノンタイトル戦。決定戦でPABAフライ級王座獲得。連続防衛後、判定で王座陥落。
④ラタナポン・ソーウォラピン 1R TKO 小松則幸
(スーパーフライ級戦、2009年)
(ダウンシーン)
1R:左ストレートで小松がダウン
(感想:初来日のラタナポン(35歳)。これまで57勝(46KO)7敗1分。24勝(10KO)5敗6分、29歳の小松(グリーンツダ)は決定戦で東洋太平洋フライ級王座を獲得し、防衛にも成功。判定で王座陥落。ポンサクレックのWBC世界フライ級王座への挑戦はTKO負け。決定戦で東洋太平洋王座奪回。日本王者の内藤大助にTKO負けで王座陥落。日本フライ級王座挑戦は負傷判定負けで、再起ロード中。大阪での一戦。大勢のファンの中、小松が入場(「大阪のスター」といった感じ)。ラタナポンは頭の真ん中を染め、まるでモヒカン刈りのように見える髪型。ゴング。距離を取って右ストレートを打つ小松だが、相手のパワーをかなり警戒している構え。ラタナポンは相手にプレッシャーを掛け、余裕の表情で右フック。左ストレートで小松がダウン。「大丈夫」といった感じの小松だが、左フック、左ストレートを食ったところでレフェリーストップ。圧倒的なパワーの差があった試合。強く打たれたら止めよう、とレフェリーは考えながら試合を裁いていたのではないか? ラタナポンは階級を上げてもパワフルだった。その後の二人。小松は事故により死去。ラタナポン戦が最後の試合に。ラタナポンは次の試合にKO勝ちしてPABAフライ級王座奪回。しかし、初防衛戦でKO負けして引退。IBF世界ストロー級王者時代がベストだった。)
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