IBF世界ストロー級王者。王座戦のアル・タラゾナ戦、ドミングス・シバレッテ戦、カルロス・ロドリゲス戦を紹介します。
ラタナポン・ソーウォラピン(タイ)
身長162cm:サウスポー
①ラタナポン・ソーウォラピン 4R KO アル・タラゾナ
(IBFインターコンティネンタル・ストロー級タイトル戦、1992年)
(ダウンシーン)
2R:左ストレートでタラゾナがダウン
4R:左ストレートでタラゾナがダウン
(感想:ラタナポンがタイトル初防衛。ラタナポンは貧しい農家の生まれ(「兄弟ボクサー」で、弟ラタナチャイは後、WBO世界バンタム級王者に)。14歳でムエタイの世界に(「ラタナポン」は本名ではなく、別人の名前を拝借。「ソーウォラピン」はジムの名前)。国際式(プロボクシング)に転向。その強打から名王者カオサイ・ギャラクシーに例えられて「小さいカオサイ」と呼ばれるようになり、二つの負けはあったがIBFインター王座獲得。これが初防衛戦。挑戦者タラゾナはフィリピン人。1988年デビューで、これまで勝ったり負けたり。タイトル戦はこれが初めてのようだ。タイ・サムットプラカーンでの一戦。共にサウスポー。ラタナポンは相手から距離を取って一発一発しっかり右ジャブを打ち込むタイプ。相手のワンツーをバックステップでかわすディフェンス。タラゾナは典型的なフィリピン人サウスポー。ワンツー、右フックにパワーを込めて前進。2R、ラタナポンが踏み込んで打った左ストレートでタラゾナがダウン。強烈な一発だったが、タラゾナはその後も前進。ただ、隙を突く強打でラタナポンが優勢。4R、左ストレート連打でタラゾナがダウン。立てず、KO。ラタナポンがディフェンスしながら強打で快勝。「小型カオサイ」な攻めっぷりだった。タラゾナは力むタイプで、攻めるときのガードに隙があった。その後のタラゾナ。東洋太平洋ストロー級王座に挑戦して判定負け、サマン・ソーチャトロン、ポンサクレック・ウォンジョンカム、ソーンピチャイ・クラティンデーンジムに敗北、PABAストロー級王座に挑戦してKO負け、日本でTKO負け、ロデル・マヨール、チャッチャイ・サーサクンに敗北。負けの方が多いキャリアとなったが、当時の実力者と数多く対戦できた。)
②ラタナポン・ソーウォラピン 4R TKO ドミングス・シバレッテ
(IBF世界ストロー級タイトル戦、1993年)
(感想:ラタナポンがタイトル防衛。タラゾナ戦の次の試合でマニー・メルチョルのIBF世界ストロー級王座に挑戦したラタナポン。ダウン応酬の末、判定勝ち。元王者ニコ・トーマス、日本でもおなじみアラ・ビラモア相手に二度の防衛。シバレッテと3度目の防衛戦。挑戦者シバレッテはインドネシアの選手だが、どういう経歴なのだろう? 「BOXREC」にはこれまでの試合の記録が無い(「デビュー戦が世界挑戦」などというのはあり得ない)。バンコクでの一戦。動きは悪くないシバレッテ。右ストレート、左フック、インサイドからの右フック。左フックが特に得意らしく、1R、2Rにヒットさせる。ただ、ジャブが少ないため空転しがち。ラタナポンは右ジャブ、左ストレート、フック。この試合では左フックをよく当てているが、振りが大きいため少し打たれるシーンも。4R、シバレッテがキズのドクターチェック。二度目のチェックで試合終了。ラタナポンが負傷により勝利。シバレッテの傷はパンチによるものだと思うが、強い左フックだったのではないだろうか? その後のシバレッテ。ファーラン・ルークミンクワン、ムハマド・ラクマンらを相手に全敗。一試合も勝てないほどダメな選手には見えなかったが、「65勝(35KO)12敗5分」という情報もある。ラタナポン戦までのインドネシアでの記録が抜け落ちているのだろう。)
③ラタナポン・ソーウォラピン 3R TKO カルロス・ロドリゲス
(IBF世界ストロー級タイトル戦、1994年)
(ダウンシーン)
1R:左ストレートでロドリゲスがダウン
3R:左フックで2度、ロドリゲスがダウン
(感想:ラタナポンがタイトル防衛。シバレッテ戦後もフィリピン人、南米人を相手に防衛のラタナポン。8度目の相手は南米。ロドリゲスはコロンビア・カルタヘナ出身で、国籍はベネズエラ。後の世界王者アキレス・グスマンに判定勝ち、ベネズエラ王座(ストロー級)獲得・防衛、アレハンドロ・モンティエルに判定負け(WBC米大陸フライ級王座戦)、レオ・ガメスに判定負け。このところ三連続KO勝ちでラタナポンに挑戦。タイ・コーンケーンでの一戦。1R、口ヒゲ&束ねた長い後ろ髪のロドリゲス。ガードを固めてダッキングしながらジャブ、ストレート、フックでコンビネーション、左ボディ打ち。隙を狙い、当てる巧さ。しかし、タフなラタナポンはひるまず左ストレート、右フック。左ストレートがボディに入ってロドリゲスがダウン。その後もパワーのラタナポン、コンビネーションのロドリゲス。3R、ストレート気味の左フックでロドリゲスがダウン。立ったが、二度目のダウン。立ち上がって笑顔を見せるロドリゲスだが、試合ストップ。ラタナポンが馬力で勝利。ロドリゲスは器用さはあったが、パワー不足。その後、試合間隔が長くなり、後の世界王者ホセ・ボニージャらを相手に連敗でキャリア終了。)
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