IBF世界J・フェザー級王者。WBU&IBF王座戦。ジャンマリア・ペトリチョーリ戦、エデュアルド・アルバレス戦ほかを紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
レーロホノロ・レドワバ(南アフリカ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)
①レーロホノロ・レドワバ 12R 判定 ジャンマリア・ペトリチョーリ
(WBUバンタム級タイトル戦、1997年)
(ダウンシーン)
6R:左フックでペトリチョーリがダウン
(感想:レドワバがタイトル初防衛。南アフリカ・ソウェト出身の黒人レドワバ。ニックネームはあのロベルト・デュランと同じ「Hands of Stone(石の拳)」。これまで20勝(14KO)1敗1分。このところ連勝中で、決定戦で南アフリカのJ・フェザー級王座、WBUのバンタム級王座を獲得。13勝(3KO)2敗1分の挑戦者ペトリチョーリはイタリア・ローマ出身。デビューから二連敗だったが経験から学んだか、その後は負け無し。イタリア・バンタム級王座を獲得、防衛して、この挑戦。南アフリカ・ヨハネスブルグでの一戦。ガードを固めて速いジャブを飛ばすレドワバ。攻撃のテンポとバランスが良く、ワンツー、右アッパーからの左フックといったコンビネーション。ペトリチョーリは右ストレート、フック。接近戦でコンビネーションを出すが、レドワバは打ち合いを避けて素早く距離を取る。4R、サウスポーにチェンジしたペトリチョーリ。しかし、特に強さは感じられない「普通のサウスポー」といった動き。6R、強烈な左フックでペトリチョーリがダウン。その後もレドワバが左ボディからの左ジャブといった左のテクニックで優勢。12R終了。判定は大差の3-0。レドワバが左のテクニックで勝利。パワーもあり、KOできたと思うが、KOを狙わないボクサータイプの試合運びだった。ペトリチョーリは中途半端なサウスポー。オーソドックスで相手を引っかき回すような動きをすべきだったと思うが、どうだろう? その後、ペトリチョーリは再び同WBU王座に挑戦したが、TKO負け。国内の実力者にとどまった。)
②レーロホノロ・レドワバ 8R KO エデュアルド・アルバレス
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、2000年)
(ダウンシーン)
8R:左ボディでアルバレスがダウン
(感想:レドワバがタイトル防衛。ペトリチョーリ戦後のレドワバ。WBU王座をさらに防衛。元WBA世界バンタム級王者ジョン・マイケル・ジョンソンとの決定戦に勝利してIBF世界J・フェザー級王座獲得。アルバレス戦は三度目の防衛戦。挑戦者アルバレス(25歳)はアルゼンチン・ウンキリョ出身。これまで29勝(6KO)2敗。デビューから連勝でWBOラティノ王座(J・フェザー級)獲得。しかし、初防衛失敗、初黒星。アルゼンチン王座戦(J・フェザー級)も敗北。その後、南米王座(J・フェザー級)を獲得するなど連勝で、この世界挑戦。英国メードストンでの一戦。互いにジャブ。端正な顔立ちのアルバレスはジャブ、ストレートを出すが、受け身の姿勢。自分から攻めて試合の流れを作るタイプではない(それが「6KO」の理由か?)。ただし、パンチ自体は悪くない。レドワバ(29歳)はディフェンスしながらワンツーからの左フック、速い連打で相手のガードの隙を突く攻撃。先手を取るレドワバ、何とか応戦するアルバレス。8R、連打からの左ボディでアルバレスがダウン。両ヒザをキャンバスに着いたままカウントアウト。レドワバが序盤から攻める姿勢でそのまま勝利。多彩な攻めだった。アルバレスは正直すぎるボクシングで、自分から仕掛けない男。相手が攻めないときは自分も手を出さないため「お見合い状態」になっていた。その後、アルバレスは地域王座戦やジョニー・タピア戦に敗北。良いパンチを生かせなかった。)
③レーロホノロ・レドワバ 9R TKO アーネル・パロディーリョ
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、2001年)
(ダウンシーン)
9R:左フックでパロディーリョがダウン
(感想:レドワバがタイトル防衛。四度目の防衛戦。挑戦者パロディーリョはフィリピン・カタンドゥアネス出身で、これまで25勝(18KO)10敗3分。連勝しては連敗のキャリア。オーストラリアに主戦場を移してオーストラリア王座、IBFインターコンティネンタル王座(いずれもJ・フェザー級)獲得。ブヤン・ブングが王者だった頃にIBF世界J・フェザー級王座に挑戦して判定負け。レドワバとの同王座挑戦者決定戦も判定負け。マニー・パッキャオにTKO負けしたが、IBF太平洋王座(J・フェザー級)を防衛して、二度目の同王座挑戦のチャンス。南アフリカ・ブラックパンでの一戦(レフェリーはルディ・バトル)。パロディーリョはなかなか積極的なファイター。開始から接近して左右フック、ボディ連打。レドワバはシャープなパンチで打ち合いに応じる。力強い接近戦が続く。パンチの速さ、当てる巧さ(カウンターなど)はレドワバ。5R、パロディーリョが失速。攻撃が単発になり、クリンチで休むシーンも。6R、右ストレートを食ってパロディーリョがピンチ。9R、左フックでパロディーリョがダウン(ペトリチョーリ戦の時と似たようなパンチ、ダウンシーンだった)。立ったが、攻められてレフェリーストップ(同時にセコンドもタオルを持って棄権の申し入れ)。レドワバがブロックしながらシャープなコンビネーションで快勝。パロディーリョは強打を振り回す疲れる戦い方。4Rあたりでスタミナを使い切ってしまった。その後、パロディーリョは三試合。最後は日本で福島学にKO負けだった。)
④レーロホノロ・レドワバ 12R 判定 カルロス・コントレラス
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、2001年)
(感想:レドワバがタイトル防衛。これまで32勝(22KO)1敗1分のレドワバが五度目の防衛戦。挑戦者コントレラスはメキシコ・シウダードファレス出身で、17勝(12KO)4敗2分。北米バンタム級王座戦で判定負けするなど連敗したこともあったが、WBU王座(J・フェザー級)獲得、連続防衛。あのビクトル・ラバナレスにも勝利している。ブラックパンでの一戦(セドリック・クシュナーの興行。メインは「レノックス・ルイス vs. ハシム・ラクマン」の世界ヘビー級王座戦。南アフリカで英国とアメリカの黒人ヘビー級がメインを飾る珍しい興行となったが、ルイスが番狂わせのKO負け)。互いにジャブ、ストレート、フックで接近戦。手数が多く、連打の回転が速いレドワバ。ワンツーからの左フック、右ボディ打ち。右ストレートをダブルで打ち込むなど軽快なボクシング。ただ、その分、パンチは軽め。コントレラスは右ストレート、左フックに良さがあるが、ブロックされてしまう。パンチの正確さでポイント上、レドワバ優勢。9R、コントレラスが連打されて抱きつくかのようなクリンチ(みっともない感じだった)。その後もレドワバが軽快な動きで12R終了。判定は3-0。レドワバが攻撃の正確さで勝利。コントレラスは悪い選手ではなかったが、レドワバの安定感を崩すパワーは無かった。その後、コントレラスは地域王座戦などに出場したが、勝てず。最後はブランクがちにリングに上がり、連敗でキャリアを終えた。)
その後のレドワバ
六度目の防衛戦。相手はあのマニー・パッキャオ。当時のパッキャオは「元WBC世界フライ級王者」に過ぎなかったが、圧倒的なパワーでレドワバをKO。再起戦で同国のライバル、ブヤニ・ブングに判定勝ちして空位の WBUフェザー級王座獲得(2002年)。これが事実上のラストファイト(全盛期の終了)。以後は時折カムバックしてIBO王座戦に出場したりしたが、勝てず。引退後の2021年、新型コロナウイルスにより49歳で死去。
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