世界5階級制覇王者。強打で実力者を粉砕。フライ級時代のノエ・アルマ戦、ルイス・マルドナド戦ほかを紹介します。
ノニト・ドネア(フィリピン)
身長170cm:オーソドックス(右構え)
①ノニト・ドネア 3R TKO ノエ・アルマ
(フライ級戦、2002年)
(ダウンシーン)
1R:ワンツーでアルマがダウン
(感想:フィリピンの英雄ドネア(「ドネア」は英語読みで、フィリピンでは「ノニト・ドナイレ」と呼ばれている)。その凄まじい腕っぷしで名のある選手を撃破。フィリピンには強打者が多いが、その頂点に立つと言ってもいい存在。驚くべき事に子供の頃は体が弱かったという。アマチュアで活躍(タイトルも獲得)。カリフォルニアでプロデビュー。二戦目で敗北。アルマ戦はプロ五戦目。アルマはこれがデビュー戦。どんな選手なのか? フィリピン・パラニャケでの一戦。1R、狙うような姿勢で右ストレートを打つアルマ。しかし、左の打ち方が微妙で、右を打った後に隙ができる欠点。ドネアは一発一発が強いが、それをコンビネーションで打ち込む。ワンツー、右ストレートからの左フック、左フックカウンター。アルマは強打に押されて受け身になり、ワンツーでダウン。立ったが、足に来ているうえに早くも左目に腫れ。2R、ドネアが独特の伸び上がる左フック、左ボディ打ち。アルマは頼みの右ストレートに託す一発狙いだが逆に右ストレートを食い、右目下も負傷。このラウンド終わりでアルマは棄権。ドネアが勝てる相手に楽勝。固そうなパンチを容赦無く相手に叩き込んだ。アルマはバランスが悪い選手。これに懲りたのか、この一試合のみでプロキャリア終了。)
②ノニト・ドネア 7R TKO パウリノ・ビジャロボス
(スーパーバンタム級戦、2005年)
(感想:アルマ戦の次の試合でカイチョン・ソーウォラピン(タイ)を2Rで仕留めてWBOアジア太平洋フライ級王座を獲得したドネア。さらに連勝で、9勝(6KO)1敗、22歳。メキシカンと対戦。ビジャロボス(33歳)はメキシコ・ベラクルス出身のサウスポー。1989年デビューのベテランで多くの試合(24勝(15KO)29敗2分)。WBF王座、北米王座、メキシコ王座、WBC米大陸王座(全てJ・フライ級)、IBO王座、WBC米大陸王座(いずれもフライ級)に挑戦して敗北、フェルナンド・モンティエルにドロー&判定負け。このところマーク・ジョンソンらを相手に連敗中。カリフォルニア州サンノゼでの一戦。小柄なビジャロボス(アップで見ると迫力のある顔のため、大きい選手に見える)。なかなかタフで勇敢な男。サウスポースタイルで前進し、右ジャブ、左ストレート、フックで連打する。ドネアは左のガードを下げた構えから強いパンチを正確に当てようとする。ひたすら攻めるビジャロボス。ドネアは闇雲に打撃戦に付き合うタイプではない。足で距離を取りながら相手の隙を狙う。3R、ドネアが迫力のフック攻撃。ビジャロボスはボディ打ちで対抗。6R、フットワーク&強打のドネア。ビジャロボスはこのラウンドも攻めの姿勢だったが、ラウンド終了後に棄権。ドネアがパワーで勝利。パンチ力とタフネスがあるにもかかわらず距離を取って隙を狙う賢明なボクシング。パワーにモノを言わせてバカスカ打ち合う強打者ではないことを証明。ビジャロボスは実にタフだったが、元々はJ・フライ級。パワーで不利な試合だったか。その後も多くの敗北を喫しながら2010年まで戦った。)
その後のドネア
決定戦で2-1の判定で北米スーパーフライ級王座獲得。判定で初防衛に成功後、ビック・ダルチニアンのIBF世界フライ級王座に挑戦。あのタフでパワフルなダルチニアンを強烈な左フックでKOし、王座奪取(記念すべき初の世界王座)。ルイス・マルドナドと初防衛戦。
③ノニト・ドネア 8R TKO ルイス・マルドナド
(IBF世界フライ級タイトル戦、2007年)
(ダウンシーン)
7R:左フックでマルドナドがダウン
(感想:ドネアがタイトル初防衛。これまで18勝(11KO)1敗のドネア。IBF4位の挑戦者マルドナドはメキシコ・オコトラン出身で、37勝(28KO)2敗1分。デビュー三戦目で敗れたが、以後は好調。WBCユース王座、メキシコ王座(いずれもフライ級)を獲得、防衛。トマス・ロハスに2-1の勝利、クリスチャン・ミハレスとドローの後、ビック・ダルチニアンのIBF世界フライ級王座に挑戦したが、8RでTKO負け。再起して連勝。IBF王座挑戦者決定戦に勝利して、二度目のIBF王座挑戦。コネチカット州マシャンタケットでの一戦。赤いトランクス&強打のドネア。ジリジリと相手にプレッシャーを掛けて右ストレート、左フックを打ち込む姿はかつての三冠王ウィルフレド・バスケスのよう。マルドナドは残念ながら細いパンチで、パワーがあまり感じられない。2R、ドネアの右フックで後退したマルドナド。サウスポーにスイッチして対抗するが、特に効果無し。しかも、右眉付近から早くも出血。その後もパワーで押されるマルドナド。サウスポースタイルからの左ストレートはまずまずだが、ディフェンスされてしまう。7R、ドネアの斜め上からの大振り左フックでマルドナドがダウン。8R、ドネアが右ストレート、連打。左フックを決めたところでレフェリーストップ。ドネアが強打で快勝。1Rからパワーの差を見せつけた。マルドナドはまるで公開処刑。勝てないと解っていても自分から試合放棄するわけにはいかない。打ちのめされ、両目付近をカットする惨敗だった。その後のマルドナド。何と再起戦でWBO世界スーパーフライ級王者フェルナンド・モンティエルに挑戦したが、3Rで敗北。以後は負けが込むようになっていった。)
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