2025年8月16日土曜日

「恐るべき強打のメキシカン」アントニオ・アベラル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界フライ級王者。アルフォンソ・ロペス戦、ロッキー・ミハレス戦、プルデンシオ・カルドナ戦を紹介します。


アントニオ・アベラル(メキシコ)

身長163cm:オーソドックス(右構え)


アントニオ・アベラル 5R TKO アルフォンソ・ロペス

(フライ級戦、1980年)

「恐るべき強打のメキシカン」アントニオ・アベラル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フックでロペスがダウン

5R:右ストレートでロペスがダウン

(感想:メキシカンのアベラルはかなりの強打者。しかし、メキシコのフライ級は昔も今も激戦区。後のWBC世界フライ級王者フレディ・カスティーヨ、ガブリエル・ベルナルに敗北。WBC世界フライ級王者ミゲル・カントに挑戦するチャンスを得たが、判定負け。再起三連勝でロペス戦。ロペスはパナマ・チェピガナ出身。デビューから全勝のままWBA世界フライ級王者に。小熊正二を相手に防衛に成功したが、グティ・エスパダスにTKOで初黒星、王座陥落。そこから不調。エスパダス(再戦)、アマド・ウルスア、プルデンシオ・カルドナ、マルチン・バルガスに連敗。イラリオ・サパタに勝利後、具志堅用高のWBA世界J・フライ級王座に挑戦してTKO負け。ピークを過ぎた感がある。メキシコシティでの一戦(レフェリーはオクタビオ・メイラン)。まずは慎重に相手から距離を取る両者。2Rからアベラルが圧力。正確なジャブ、右ストレート、斜め下から突き上げるように打つフック。ロペスは受けの姿勢ながら右ストレート、左フックをカウンターで当てる巧さ。しかし、ワンツーからの左フックでダウン。パワーの差が明らかに。アベラルがインサイドからのフック、左ボディ打ちで優勢。5R、思い切って打撃戦に応じるロペスだが、左ボディからの右ストレートでダウン。何とか立てたが、コーナー付近で連打されてレフェリーストップ。アベラルが強打で快勝。正確なジャブをベースに豪快に振るうフック。単に振り回す強打者ではないことを証明。ロペスは気の毒。巧さはあったが、思い切り打たれた。その後のロペス。驚くべきことにその後も多くの試合。フレディ・カスティーヨ、チャーリー・マグリ、グスタボ・バリャス、張正九、シュガー・ベビー・ロハス、ヘルマン・トーレス、グレグ・リチャードソンといった世界レベル、日本でもおなじみの選手たちと対戦した。)


アントニオ・アベラル 2R KO ロッキー・ミハレス

(フライ級戦、1980年)

「恐るべき強打のメキシカン」アントニオ・アベラル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:右フックでミハレスがダウン

(感想:ロペス戦後、連勝のアベラル。アルベルト・モラレスをTKOして北米フライ級王座獲得。その次の試合はノンタイトル戦。ミハレスはメキシコのゴメス・パラシオ出身。若手の頃のルペ・ピントールにTKO負け、ヘルマン・トーレスにTKO勝ち。しかし、以後は連敗が続くなどサッパリ(ベツリオ・ゴンザレスらにTKO負け)。アベラルとは再戦で、初戦は1RでKO負け。メキシコ・グアダラハラでの一戦。ジャブ、左フック、ワンツー、左ボディ打ちのアベラル。ミハレスは足を使いながらジャブ。接近戦ではショートフック連打、メキシカンらしい左フック連打、インサイドからのアッパー気味フック。ワンツーからの左ジャブなどテクニックも持っている。2R、強烈な右フック一撃でミハレスがダウン。立ったが、カウントアウト。アベラルがワンパンチKO。フライ級離れしたパワー。ミハレスは良いパンチを持っており、悪い選手ではなかった。アベラルが「規格外」だったのだろう。しかし、ミハレスはその次の試合にTKO負けで、引退。)


プルデンシオ・カルドナ 1R KO アントニオ・アベラル

(WBC世界フライ級タイトル戦、1982年)

「恐るべき強打のメキシカン」アントニオ・アベラル「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでアベラルがダウン

(感想:カルドナがタイトル獲得。ミハレス戦の次の試合を日本で行ったアベラル。大熊正二をKOしてWBC世界フライ級王者に。元WBA王者の金泰式もKOして初防衛。カルドナと二度目の防衛戦。挑戦者カルドナはコロンビアのサン・バシリオ・デル・パレンケ出身の黒人。スリムな体型で身長は168cm。1972年、ミュンヘン・オリンピックにライトフライ級で出場したが、勝てず。実力者ベツリオ・ゴンザレス、アルフォンソ・ロペス、ルイス・イバラ、李承勲らと対戦して経験。コロンビア&南米王座(フライ級)のダブルタイトル戦は判定負けに終わったが、その後、連勝中。弟リカルドは一足先に世界王者に(WBA世界ジュニアフェザー級王座奪取)。それに続くことができるかどうか、といったところ。メキシコ・タンピコでの一戦。シャープなパンチの持ち主カルドナ。左フックを思い切りよく振り、右ストレートにパワーを込める。アベラルは相手の様子を見ているのもあってか、やや動きが緩慢。しかし、得意の左ボディ打ちにはキレとパワー。カルドナの右ストレートがヒット。連打を浴びるアベラル。右ストレートからの左フックで前のめりにバッタリとダウン。到底立てそうになく、10カウント。カルドナが鋭いパンチをパワフルに打ち込んで圧勝。ボクシングは1Rで終わることも珍しくない。身体が暖まる前にやられることもある。1R開始から機敏な動きをし、相手に隙を見せてはならない。その後の二人。カルドナはフレディ・カスティーヨに判定負けで初防衛ならず。サントス・ラシアルのWBA王座への挑戦はKO負け。コロンビア王座(フライ級)を獲得できたが、その後は「元世界王者」として試合。ラウル・ペレス、オルランド・カニザレスといった後の世界王者などに敗れ、「若手の踏み台」と化した。アベラルはノンタイトル戦が続く(ヒルベルト・ローマンと一勝一敗)。そして、大きな勝ち星。後の三階級王者ウィルフレド・バスケスにダウンを奪ってTKO勝ち。これが認められてミゲル・ハッピー・ロラのWBC世界バンタム級王座に挑戦できたが、TKO負け。それが最後の試合となった。) 

 

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