WBA世界スーパーフライ級暫定王者。ニノ・スエロ戦、ホセ・カルロス・バルガス戦、ハビエル・ギャロ戦ほかを紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
ドリアン・フランシスコ(フィリピン)
身長165cm:オーソドックス(右構え)
①ドリアン・フランシスコ 4R 負傷引分 ニノ・スエロ
(フライ級戦、2007年)
(感想:フィリピンのサン・ホセ出身のフランシスコは有望株。父がボクサーだったことからボクシングの道へ。デビュー以来、連勝。WBOアジア王座(フライ級)を獲得し、初防衛に成功。スエロはフィリピン・トゥルナン出身。コチラもデビューから連勝だったが、フィリピン王座戦、WBCユース王座戦(いずれもミニマム級)、PABA王座戦(ミニマム級、フライ級)に敗れるなど不調に。二連勝後、フィリピン王座(フライ級)を獲得。その次の試合でフランシスコと勝負。マニラでの一戦。気合いが入っているスエロ。ガードを上げて前進し、パワーを込めたフックを勢い良くかましていく。口ヒゲのフランシスコ(貫禄を感じる)はややアップライトなスタイルで、攻めてくる相手に応戦。打ち合いが続く中、3Rにフランシスコの右フックがヒット。4R、攻めるスエロの頭がフランシスコの右眉を切り裂く。ドクターチェック後、引き分けの裁定。勢いでやや押し気味だったスエロ。その勢いで頭をぶつけてしまい、勝てず。フランシスコは棒立ちのスタイルに問題(攻められて苦戦したり、頭をぶつけられたり)。その後、両者の再戦は無し。スエロはフィリピン王座(スーパーフライ級)を獲得できたが、ワンディー・シンワンチャーらに敗れるなどフィリピンの実力者にとどまった。)
その後のフランシスコ
スエロ戦後も連勝。決定戦で元世界王者ロベルト・バスケスをTKO してWBAインター王座(スーパーフライ級)を獲得(2009年)。タイで行われた決定戦でWBA世界スーパーフライ級暫定王座獲得(2010年)。しかし、初防衛ならず。再起して決定戦でIBFパンパシフィック暫定王座(スーパーバンタム級)獲得(2012年)。何かと「決定戦」が多いキャリア。
②ドリアン・フランシスコ 1R KO ホセ・カルロス・バルガス
(スーパーバンタム級戦、2012年)
(ダウンシーン)
1R:右フック、左ボディ、左ボディで3度、バルガスがダウン
(感想:これまで22勝(17KO)1敗1分のフランシスコ。バルガスはメキシカンで、17勝(7KO)6敗。まだ王座戦の経験が無い中堅どころで、このところ三連続判定負け。メキシコ・エルモシージョでの一戦。モミアゲとアゴヒゲの濃い顔のバルガス。ジャブは少な目で、大きな振りのフック。フランシスコは昔と比べるとバランスが良く、ディフェンスしながら強いジャブ、フック。右フックが入ってバルガスがダウン。粗く攻めるフランシスコ。左ボディでさらに二度のダウンを奪う。バルガスはヒザをキャンバスに着いたまま10カウント。フランシスコが粗いパワーで勝利。基本的には良い動きだったが、攻めるときは大振りのパンチでかなり粗かった。バルガスはやや線が細かったか。その後、バルガスは再起戦にKO勝ちできたが、三連敗で引退。)
③ドリアン・フランシスコ 5R TKO ハビエル・ギャロ
(スーパーバンタム級戦、2012年)
(感想:バルガス戦の次の試合。ギャロはメキシコのプエルト・ペニャスコ出身。中堅相手に連勝したこともあったが、NABOバンタム級王座決定戦でKO負け。このところ勝ったり負けたりで、直前の試合は判定負け。ロサンゼルス「スポーツ・アリーナ」での一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。積極的なギャロ。足でリズムを取りながら接近して右ストレート、フック(オルランド・カニザレスのような雰囲気も)。フランシスコは例によって相手との距離を保ちながら一発一発にパワーを込めてジャブ、ワンツー、隙を突くフック(斜め下からの右フックなど)。両者、力強い打ち方で接近戦。バランスを崩すほどパワーを入れるフランシスコ。ギャロは攻めるがディフェンスされ、微妙に打たれる。5R、バッティングか何かが効いたギャロ。フランシスコが一気にラッシュ。ギャロがボディフックを連打されたところでレフェリーストップ。フランシスコがパワーで勝利。攻め方は相変わらず粗いが、迫力。リングサイドの客は満足だったろう。ギャロはフックを打つときに隙があったか。その後のギャロ。再起戦でビック・ダルチニアンにもTKO負け。WBCラティノ王座(バンタム級)決定戦で判定負けするなど重要な試合を落とすキャリアだった。)
④クリス・アバロス 10R 判定 ドリアン・フランシスコ
(NABOスーパーバンタム級王座決定戦、2013年)
(感想:アバロスがタイトル獲得。ギャロ戦の次の試合。アバロスはカリフォルニア州サンディエゴ出身で、ニックネームは「The Hitman」。デビューから連勝でNABOバンタム級王座獲得。しかし、その次の試合でクリストファー・マーティンに2-1で初黒星。WBOインターコンティネンタル王座(スーパーバンタム級)を獲得したが、その次の試合でジョナサン・ロメロに2-1の敗北。王座を獲っては次の試合に負ける、というパターンだが、このところ二連勝でフランシスコと勝負。ラスベガスでの一戦(レフェリーはトニー・ウィークス)。アバロスは手数で勝負する男。ジャブを連打しながら接近してフック、コンビネーション。斜め下からフックを入れ、器用さを発揮。フランシスコ(派手な金色トランクス。気合いが入っているアピールか?)は例によって一発ずつパワーを込め、右ストレートからの左フックに力強さ。ただ、単発傾向にあるため攻撃をブロックされがちになり、クリンチに逃げるシーンも。3R、アバロスの左フックがヒット。5Rはフランシスコが左フック、右ストレート。その後も手数のアバロス、パワーのフランシスコ。10R終了。判定は中差の3-0。強打の応酬だった試合。アバロスが手数&ディフェンスで勝利。フランシスコは9Rに左フックを当てるなど時折強いパンチを入れたが、単発のヒット。タイやフィリピンの選手は一発一発にパワーを込める傾向があるが、手数の多い相手に隙を突かれて押されるケースもよくある。フランシスコも例外ではなかった。その後の二人。アバロスはNABO王座の防衛に成功したが、IBF世界スーパーバンタム級王座への挑戦はTKO負け。以後はWBOインター王座戦(フェザー級)、レオ・サンタ・クルス戦に敗北するなどトップには立てなかった。フランシスコはこの後、しばらくブランク。復帰後、ギレルモ・リゴンドウと対戦したが、判定負け。これが事実上のラストファイトに。獲得した世界王座は暫定王座にとどまったが、そのエキサイティングな試合ぶりはヘタな世界王者よりも魅力があった。)
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