WBC世界J・フェザー級王者。強打と弱点。カルメロ・ネグロン戦、ウーゴ・パルティダ戦ほかを紹介します。
ハイメ・ガルサ(アメリカ)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①ハイメ・ガルサ 5R TKO カルメロ・ネグロン
(J・フェザー級戦、1982年)
(感想:強打者ガルサはカリフォルニア州サンタクルーズ出身。ニックネームは「El Rayo(稲妻)」(早い回でのKO勝ちが多いことから)。子供の頃から兄弟でボクシングをスタート(兄はプロで数戦やったが、挫折したとか)。プロ入り後、中堅どころを相手にKOの山を築いてこれまで全勝。毎月のようにリングに上がってきたが、このところ少し試合間隔がある。ネグロンはプエルトリカンで、主戦場はニューヨーク。デビューから連続KO勝利後、初のプエルトリコでの試合でTKO負け。再起戦に勝利してガルサ戦。ラスベガスでの一戦(レフェリーはリチャード・グリーン)。共に22歳。互いにジャブ。アフロヘアーのネグロン(「プエルトリコの具志堅」といった感じ)。小柄な身体でよく動き、シャープなジャブ。ケンカのような打ち方で右ストレート、フック(斜め下からの右フックも使用)。ガルサは一発一発にパワーを込めるタイプ。強いワンツー、左フック。カウンターで左フックを当てる器用さがあるが、真っ直ぐ攻めるクセ。接近戦。強打の応酬。互いのパンチがヒット。4R、ガルサがストレート、フックでラッシュ。5R、ネグロンの右目尻あたりの負傷によりドクターストップ。ガルサが攻めの姿勢で勝利。パンチ自体は強いものがあったが、攻めるときのガードに甘さ。力みすぎが原因と思われる。ネグロンは強いパンチを当てるシーンもあったが、ディフェンスされた。その後のネグロン。次の試合で後の世界王者ケルビン・シーブルックスにTKO勝ちできたが、どうしたことかその後はサッパリ。ルイ・エスピノサらを相手に連敗で引退(1986年)。1996年にカムバックして中堅相手に試合。イリノイ州ライト級王座をKOで獲得して引退。)
②ハイメ・ガルサ 1R KO ウーゴ・パルティダ
(J・フェザー級戦、1982年)
(ダウンシーン)
1R:左フックでパルティダがダウン
(感想:これまで35連勝(33KO)のガルサ。ネグロン戦の次の試合の相手パルティダはメキシカン。TVテロップには「15勝(10KO)3敗1分」とある。ロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」での一戦(リングアナはジミー・レノン・シニア、レフェリーはルー・フィリポ)。互いにジャブ、左フック。ガルサはパワーを入れてワンツー、左フックからの右ストレート。バランスを崩すほど左フックを思い切り振っていく。左フックでパルティダがダウン。立ったが、再開してまもなくワンツーを食ったところでレフェリーストップ。ガルサが圧勝。このレベルの相手なら多少ガードが甘くても勝てるだろう。パルティダも思い切りのいい左フックを振るったが、当たらなかった。その後、 パルティダはフランク・セデニョ、ヘスス・サルード、ジェシー・ベナビデス、ジョニー・タピアらを相手に全敗。)
③ハイメ・ガルサ 5R KO アウストレベルト・ペレス
(フェザー級戦、1983年)
(ダウンシーン)
2R:左フックでペレスがダウン
5R:右アッパーでペレスがダウン
(感想:ボビー・ベルナを決定戦でKOしてWBC世界J・フェザー級王者になったガルサ(1Rにダウンを食う、厳しい試合だった)。その次の試合はノンタイトル戦。ペレスは中堅どころのメキシカン。主戦場はメキシコシティ。世界挑戦経験者ルーベン・カスティーヨとドロー。主戦場をアメリカに移したが、このところ三連敗中。ロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」での一戦。相手の強打を警戒するペレス。せわしない動きでジャブ、右ストレート。ガルサは得意のワンツーで前進するが、ジャブを食うシーンも。2R、左フックが効いたペレス。右ストレートからの左フックでダウン。その後もパワーでガルサ優勢。ペレスはジャブで抵抗するが、左フックを食ってクリンチ。5R、右アッパーでペレスが前のめりにダウン。立てず、KO。ガルサが通常運転で勝利。アッパーやフックをタイミング良く当てるセンス、隙を突くセンスがあった。ペレスは終始押され気味。どうせやられるのならもっと思い切った攻めをして欲しかったところ(無理?)。その後、ペレスは勝ったり負けたり。ビクトル・ラバナレスの兄ブルーノには判定負けだった。)
④ハイメ・ガルサ 4R TKO マリオ・ゴメス
(フェザー級戦、1986年)
(ダウンシーン)
4R:右ストレートでゴメスがダウン
(感想:ペレス戦の次の試合でフェリッペ・オロスコをKOして世界王座の初防衛に成功したガルサだが、二度目の防衛戦でファン・メサに何と1RでKO負け(1984年)。衝撃的かつあっけない初黒星にショックを受けたか、ブランク。1986年にカムバックして二連続TKO勝ち。ゴメスはメキシコのヌエボ・ラレド出身のサウスポー。ガビー・カニザレス、ダニエル・サラゴサ、ヒルベルト・ローマンには敗れたが、中堅どころに勝利してきた。ただ、このところ判定で二連敗中。カリフォルニア州アーバインでの一戦。共に24歳。左右の構えは違うが、足でリズムを取ってジャブ。ガルサはやや慎重なボクシング。ワンツーからの左フック、左フックからの右ストレート、右ボディ打ちで勝負。ゴメスはやはり強打者を相手に距離を取りたいらしく、左でカウンターを狙う。接近戦では互いにフック攻撃。パワーで押すガルサだが、時折打たれる。4R、左ストレートを決めたゴメスだが、左フックが効いた。左ボディからの右ストレートでダウン。ダウンと同時にストップされた。ガルサがコンビネーションで勝利。ディフェンスを意識しているかのような試合ぶりだったが、真っ直ぐ攻めるクセは最早治せない。ゴメスは相手の強打に飲み込まれた形。ガルサは相当パンチが強いようだ。その後もゴメスは多くの試合。ジョンジョン・モリナ、マヌエル・メディナに敗れるなど勝ったり負けたりだったが、後の世界王者で強打者のヘスス・サルードにTKO勝ち。一定の実力があるところを見せた。)
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