WBC世界フェザー級王者。世界王座陥落後のルペ・スアレス戦、ニッキー・ペレス戦、フェリックス・ゴンザレス戦を紹介します。
ファン・ラポルテ(プエルトリコ)
身長165cm:オーソドックス(右構え)
①ルペ・スアレス 10R 判定 ファン・ラポルテ
(J・ライト級戦、1987年)
(感想:ジョニー・デラ・ローサを判定で下してWBC世界フェザー級王座を防衛(1983年)したラポルテだが、その次のノンタイトル戦でジェラルド・ヘイズに判定負け。フェザー級のウェイトでなかったため王座を剥奪されずに済んだが、次の防衛戦でウィルフレド・ゴメスに判定負け、王座陥落。結局、ゴメス戦が「世界王者としてリングに上がった最後の試合」になるとは本人は予想しえただろうか? ゴメス戦後、バリー・マクギガンに判定負け、フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ライト級王座に挑戦して判定負け。再起二連勝でスアレス戦。これまで29勝(15KO)7敗、27歳。22勝(18KO)1敗のスアレス(26歳)はテキサスの選手。アマチュアではフェザー級で全米王者に。プロではデビューから連勝。レフヒオ・ロハスにTKOで初黒星(ロハスはその次の試合でチャベスのWBC世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け)。その後は連勝。直前の試合は後の世界王者ジョンジョン・モリナにTKO勝ち(モリナの初黒星。モリナは後、スアレス、ラポルテと世界戦)。ラスベガス「Aladdin Hotel & Casino」での一戦(リングアナはチャック・ハル、レフェリーはデイビー・パール)。1R、サウスポーのスアレス。ガードを高く上げて前進。右ジャブ、左ストレート、右フック。パワーはそこそこ。バッティングでダウンしたが、レフェリーにカウントを取られる不運。ラポルテはパワー。右ストレート、フックに迫力があるが、攻撃がとぎれがち(そのためパワーの割にはKO勝ちが少ない)。スアレスがリズミカルな動きからジャブで先手を取るパターン。ワンツーからの右フックで手数も出していく。接近戦ではもみ合うような打ち合い。9R、ラポルテがローブローで減点(ラポルテはパワーがあるため、レフェリーは厳しい対処。「パンチが軽い選手」だったらどうか?)。その後ももみ合い、スアレスの手数。10R終了。判定は3-0。ラポルテは残念。相手よりもパワーがあるにもかかわらず、負け。どのパンチにもパワーを込め、スムーズに攻撃できない欠点。手数で相手のリードを許してしまった。その後のスアレス。中堅どころには勝利できたが、アズマー・ネルソンのWBC世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け、モリナのIBF世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け。パワー不足なのだろう。後の世界王者を破ることはできたが、世界王座は獲れなかった。)
②ファン・ラポルテ 12R TKO ニッキー・ペレス
(北米J・ライト級タイトル戦、1988年)
(ダウンシーン)
11R:ワンツーでペレスがダウン
12R:右フックでペレスがダウン
(感想:ラポルテがタイトル獲得。スアレス戦後、中堅相手に三連勝のラポルテ。王者ペレスはアリゾナ州のベテラン。1977年のデビュー戦はKO負けだったが、連勝。北米、次いで全米J・フェザー級王座獲得。ウィルフレド・ゴメスのWBC世界J・フェザー級王座に挑戦してTKO負け。北米フェザー級王者になったが、サルバドル・サンチェスに判定負けしてからは負けが目立つ。北米J・ライト級王座を獲得。しかし、フリオ・セサール・チャベス、バリー・マクギガンにTKO負け。アリゾナ州ツーソンでの一戦。ペレスは動きのテンポが良く、ショートパンチに巧さ。ジャブ、ワンツー、左フックからの右ストレート、右アッパーからの左フック。踏み込んで打つ右フックに威力。器用さと手数で勝負。ラポルテはいつものように伸びとパワーのある右ストレート、振りが大きめの左フック。パワーでラポルテ。6Rには迫力のある左フックからの右ストレート。9Rには勢い余って相手の背中にパンチ。11R、強烈なワンツーでペレスがダウン。これが効いたペレスは12Rに右フックでダウン。立ったが、マウスピースを自ら吐き出してギブアップ。ラポルテが強打発揮。ペレスの手数をディフェンス&タフネスで弾き返した。ペレスはこれが最後の試合に。)
③ファン・ラポルテ 8R 負傷引分 フェリックス・ゴンザレス
(ライト級戦、1990年)
(ダウンシーン)
2R:右カウンターでゴンザレスがダウン
(感想:ペレス戦後のラポルテ。北米王座初防衛後、ジョンジョン・モリナのIBF世界J・ライト級王座に挑戦して判定負け。ブルーノ・ラバナレス(ビクトルの兄)らを相手に北米王座防衛。ゴンザレスとノンタイトル戦。これまで36勝(19KO)9敗、30歳。17勝(15KO)6敗のゴンザレス(28歳)はカリフォルニア州サンフランシスコ出身。ニックネームは「Jawbreaker(アゴ砕き屋)」(本当に相手のアゴを割ったことがあるのかは不明)。1982年、デビュー。中堅選手と対戦してきた。直前の試合はカリフォルニア州ライト級王座戦で、判定負け。モンタナ州ビュートでの一戦。身長差のある対決。背が高いゴンザレスはスリムな体型のボクサータイプ。ガードを上げて左ジャブ、左ボディ連打。左のテクニックがあり、手数が多い。しかし真っ直ぐ攻めるクセがあり、パワーはそこそこ。ラポルテは踏み込んでジャブ、右ストレート。2R、強烈な右がカウンターとなってゴンザレスがダウン。立ったゴンザレスにラポルテは激しい攻撃。真っ直ぐ攻めるゴンザレス、踏み込んで攻めるラポルテ。バッティングでラポルテが右マブタをカット。5Rにキズのドクターチェック。その後も手数のゴンザレス、パワーのラポルテ。8R終了後、ラポルテのキズが悪化して負傷判定に。ドロー。ラポルテが勝ち損ねた試合。もっとスムーズに連打できていたら勝てた。ラポルテらしい引き分けだったと言えよう。ゴンザレスはパワーが乗らない手打ち気味パンチが多かった。少なくとも「アゴ砕き屋」の印象は無し。その後、ゴンザレスは後の世界王者シャンバ・ミッチェルらを相手に全敗でキャリア終了。)
その後のラポルテ
アズマー・ネルソン(WBC世界J・ライト級王座戦)、コンスタンチン・チュー、チャールズ・マレー(IBF世界J・ウェルター級王座戦)、ザック・パディーリャ(WBO世界J・ウェルター級王座戦)に敗北。ラストファイト(1999年)の相手はビル・コステロ(80年代にWBC世界J・ウェルター級王者だった男)。オールドタイマー同士の対戦に2-1で敗北。手数が少なくなってしまう欠点により、相手よりパンチがあるにもかかわらず敗北するもどかしい試合があったのが惜しい。
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