2025年7月27日日曜日

「規格外のパンチ力」ファン・ラポルテ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界フェザー級王者。世界王座防衛戦のルーベン・カスティーヨ戦、ジョニー・デラ・ローサ戦ほかを紹介します。


ファン・ラポルテ(プエルトリコ)

身長165cm:オーソドックス(右構え)


ファン・ラポルテ 12R 判定 ルーベン・カスティーヨ

(WBC世界フェザー級タイトル戦、1983年)

「規格外のパンチ力」ファン・ラポルテ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

10R:連打でカスティーヨがスタンディングダウン

11R:右ストレートでカスティーヨがダウン

12R:左ボディでカスティーヨがダウン

(感想:ラポルテがタイトル初防衛。歴史に残る強豪と数多く戦ったラポルテ。プエルトリコ出身で、ニューヨークに移住。アマチュアでキャリア(タイトルも獲得)。プロではデビュー五戦目で負けてしまったが、その後は連勝。サルバドル・サンチェスのWBC世界フェザー級王座に挑戦して判定負け。そして大勢を「アッ!」と言わせたロッキー・ロックリッジ戦。全米フェザー級王者ロックリッジを右フックで強烈にKO。しかし、WBA世界フェザー級王者エウセビオ・ペドロサへの挑戦は、判定で敗北。WBC王者サンチェスが急死。マリオ・ミランダとの決定戦にTKO 勝ちしてWBC世界フェザー級王座奪取。カスティーヨと初防衛戦(ミランダ戦は「15回戦」だったが、この試合から「12回戦」。世界戦での死亡事故(レイ・マンシーニにKOされた金得九がダメージにより死去)により世界戦は12Rで行われるようになった)。挑戦者カスティーヨはテキサス州ラボック出身。1975年にデビュー以来、連勝。全米フェザー級王者になり、防衛にも成功。しかし、当時はハイレベル。アレクシス・アルゲリョのWBC世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け、初黒星。サンチェスのWBC世界フェザー級王座に挑戦して判定負け。そして、この三度目の世界挑戦。サンチェスに敗れた者同士の対戦はどんな内容に? プエルトリコ・サンファンでの一戦(レフェリーはデイビー・パール)。共に若い二人(ラポルテ23歳、カスティーヨは25)。ジャブ、そして強打の応酬。ラポルテはパワーを込めて右ストレート、フック。カスティーヨはワンツー、斜め下からの左フック、ショート連打。ただ、ラポルテはパワーに頼りすぎて単発傾向。カスティーヨは真っ直ぐ攻めるクセ。一進一退だが、時折ラポルテの強打がクリーンヒット。カスティーヨは左ボディダブル、ワンツーなどで攻めるが、ラポルテはタフ、8R、右ストレート、左フック、右フックがヒットしてラポルテ優勢。10R、連打でカスティーヨがスタンディングカウントを聞く。11R終了直前、右ストレート、左フックが連続ヒットし、右ストレートでカスティーヨがダウン。12R、左ボディでカスティーヨがダウン。12R終了。判定は3-0。ラポルテが強打で勝利。特に12Rにダウンを奪った左ボディがスムーズで良かった。ただ、パワーを込めすぎて、流れるような攻め、地道に追い込む攻めができない欠点(これはキャリアを通じて克服できなかった)。カスティーヨは頑張ってショート連打をまとめるなどしたが、ラポルテのタフネス&ディフェンスを突破できなかった。その後のカスティーヨ。フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け。以後はブランクがちにリング。何と1996年にNABOライト級王座を獲得。息の長いリングキャリアだった。) 


ファン・ラポルテ 12R 判定 ジョニー・デラ・ローサ

(WBC世界フェザー級タイトル戦、1983年)

「規格外のパンチ力」ファン・ラポルテ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ラポルテがタイトル防衛。23勝(13KO)3敗のラポルテ。カスティーヨ戦の次の試合は二度目の防衛戦。WBA・WBC9位の挑戦者デラ・ローサ(20歳)はドミニカ共和国のサント・ドミンゴ出身。これまで21連勝(17KO)。サント・ドミンゴでデビュー。主戦場をフロリダ州に。全勝の勢いでラポルテに挑戦。ただ、これが初の王座戦。「経験」という点でどうか? サンファンでの一戦(レフェリーはアーサー・マーカンテ。ラポルテのセコンドにエミール・グリフィス)。プエルトリコをデザインした帽子&ガウンのラポルテ。トランクスはトレードカラーの赤。身長で上回る白トランクスのデラ・ローサはボクサータイプ。相手から距離を取ってジャブ、ワンツー。ディフェンスもしっかり。ラポルテの戦い方は実にシンプル。重そうなパンチに一発一発パワーを込めてジャブ、ストレート、フック。パワーで上回る。4R、デラ・ローサが斜め下からのフック連打、ボディ打ちで攻勢。タフなラポルテは打ち返す。9R、デラ・ローサが明らかに低いローブローで減点。その後、ラポルテが強烈なフック攻めで優勢。12R、激しい接近戦。12R終了。判定は2-1。ラポルテがパワーで勝利。もう少し強弱を付ければ、良い勝ち方ができるのだが。デラ・ローサはジャブを使っていたが、相手の強打に慎重になるシーンも。試合運び次第では勝てたのではないか? その後のデラ・ローサ。後のWBA王者アントニオ・エスパラゴサにTKO負け、WBC米大陸王座(J・ライト級)獲得。ロッキー・ロックリッジのIBF世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け。以後はホルヘ・パエスに判定負けするなど勝ったり負けたり。世界王者にはなれなかった。)


ジェラルド・ヘイズ 10R 判定 ファン・ラポルテ

(J・ライト級戦、1983年)

「規格外のパンチ力」ファン・ラポルテ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:デラ・ローサ戦の次の試合はノンタイトル戦。ヘイズ(31歳)はニュージャージー州の黒人で、これまで23勝(11KO)19敗4分。1975年のデビュー以来、勝ったり負けたり。ルペ・ピントール、ボビー・チャコン、ロッキー・ロックリッジ、アレクシス・アルゲリョ、バーナード・テーラーに判定負け、後の世界王者フレディ・ペンドルトンに判定勝ち、マルコス・ビジャサナに判定負け。強打者相手に判定まで持ち込むしぶとさがある。アトランチックシティ「Sands Casino Hotel」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。開始から積極的なヘイズ。ダッキングしながら前進し、速いジャブ、ワンツー、やや振りが大きめのフック。接近戦にも挑む勇敢さがあり、ディフェンスしながら右アッパー、ボディ攻め。右ストレートをボディに突き刺す大胆な攻撃、右ストレートからの左ジャブといったテクニックも披露。ラポルテは欠点を露呈。自身のパワーを過信しているのか、手数が少な目で受け身の試合ぶり。5R、ラポルテの強烈な左フックがヒット。しかし、その後も勢いで攻めるヘイズ、攻められて反撃するラポルテ。10R終わり頃、ラポルテがラッシュをかけるが、時すでに遅し。10R終了。判定は2-0。ヘイズが現役世界王者に勝利。積極的で、パンチにはスピードがあった。しかしこの後、エウセビオ・ペドロサ、バーナード・テーラー(再戦)らに三連敗で引退。)

 

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