英国・欧州王者。キャリア終盤のジョン・ドハーティ戦、ナジブ・ダホ戦(初戦・再戦)を紹介します。
パット・カウデル(イギリス)
身長170cm:オーソドックス(右構え)
①パット・カウデル 6R TKO ジョン・ドハーティ
(英国J・ライト級タイトル戦、1986年)
(感想:カウデルがタイトル獲得。二度目の世界挑戦でアズマー・ネルソンに1RでKO負けしたカウデル。再起ロード中で、これまで31勝(15KO)4敗、32歳。21勝(3KO)3敗3分の王者ドハーティ(23歳)は英国ブラッドフォード出身の白人。1986年、デビュー。中堅を相手に試合。敗北を喫しながら経験を積み、ローカル王座(フェザー級)獲得。決定戦で英国王者になり、カウデルと初防衛戦。ブラッドフォードでの一戦。互いにジャブ連打、ワンツー、左フック。攻めるカウデル、フットワークで距離を取りながら応戦するドハーティ。2R、カウデルの左フックがヒット。連打で反撃するドハーティだが、カウデルはディフェンス。その後も攻めるときに隙を見せるドハーティ。カウデルがコンビネーション(ワンツーからの左ジャブ、ワンツーからの左フック)で当てる巧さを披露。6R、カウデルの右フックが「ガツン」と入ったところでレフェリーストップ。カウデルが手数&隙を突くパンチで勝利。残念だったドハーティ。英国の選手はアップライト型が多く、ガードが甘いことが多い。ドハーティはカウデルには敵わないレベルだった印象。その後、ドハーティは英国王座を奪回しては初防衛に失敗。安定感に欠けるキャリアとなった。)
②ナジブ・ダホ 1R KO パット・カウデル
(英国J・ライト級タイトル戦、1986年)
(ダウンシーン)
1R:左フックで3度、カウデルがダウン
(感想:ダホがタイトル獲得。ドハーティ戦の次の試合は英国王座の初防衛戦。挑戦者ダホはモロッコ出身。1977年、デビュー。英国を主戦場に連勝したり連敗したり。後の世界王者バリー・マイケルに判定勝ち、元世界王者ケン・ブキャナンにKO負け、英国のローカル王座(J・ライト級)を判定で獲得。波があるキャリアだが、このところ連勝中。英国マンチェスターでの一戦。ダホが先制攻撃。いきなりの左フックでカウデルが早くもダウン。さらに左フックで二度目。速攻のダホ。カウデルはジャブで体勢を立て直そうとするが、強烈な左フックで三度目のダウン。どうやら「スリーノックダウンルール」らしく、関係者がリングインして試合終了。ダホが左フックで圧勝。パンチにはパワーとキレがあった。カウデルはアズマー・ネルソンに1Rでやられたときの悪夢が甦った形。丹念にジャブを突いて試合を組み立てるのがいつものパターンだが、相手の思い切った攻めに飲み込まれた。その後、両者は再戦。)
③パット・カウデル 9R TKO ナジブ・ダホ
(英国J・ライト級タイトル戦、1987年)
(感想:カウデルがタイトル奪回。ダホに1Rでやられたカウデルが再起二連勝でダホに挑戦。カウデルに勝ったダホはその次の試合でバリー・マイケルのIBF世界J・ライト級王座に挑戦して3-0の敗北(雪辱された形)。再起戦はジャン・マルク・レナールにTKO負けで欧州J・ライト級王座獲得ならず。再起二連続TKO勝ちでカウデルと防衛戦。英国バーミンガムでの一戦。今回のカウデルはいつもと違う。ジャブ&ディフェンス。時折打たれるが、クリンチ&ホールドで更なるダメージを回避。まさに「なりふり構わず」といったところ。ただ、パンチには隙を突く正確さ。ダホは前回のように長いパンチを使用。右ストレート、アッパー気味の右フックに迫力。しかし、接近戦はあまり得意ではないらしく、クリンチされてしまう。中間距離で互いのパンチがヒット。パワフルで大きなパンチのダホ。カウデルは警戒しながら細かい連打。9R、カウデルのジャブ、右ストレートがヒットする。左フックが入ったところでレフェリーストップ。勝って大喜びのカウデルだが、ダホは「早すぎるストップ」に不満。映像で見た感じではダホはまだまだ続行可能に見えた。レフェリーが一方の選手をひいきしたなどと考えたくはないが、そんな感じの結末だった。試合自体は一進一退。ダホの大きなパンチは迫力があったが、空転するシーンも。カウデルは打たれながらもその隙を突いていた。その後の二人。ダホは再起戦でパット・ドハーティにTKO負け(連勝しては連敗するのがダホのパターン)。しかし、ドハーティとの再戦に勝利して英連邦王座獲得(ライト級)。初防衛にも成功。ところが、やっぱり。その後、三連敗で引退。ラストファイトは1991年。1993年に34歳で死去(モロッコで交通事故)。カウデルはTKO負けして奪回したこの英国王座の初防衛に失敗、引退。結局、世界王者にはなれなかったが、サンチェスやネルソンといった有名選手と試合できてよかったのではないか。引退後はトレーナーに転身。)
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