世界四階級王者。「リカルド・ロペス」タイプ。ダリル・ピンクニー戦、アガピト・サンチェス戦ほかを紹介します。
ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)
①ファン・マヌエル・マルケス 10R 判定 ダリル・ピンクニー
(フェザー級戦、1996年)
(ダウンシーン)
5R:左フック連打でピンクニーがダウン
7R:左フック連打でマルケスがダウン
9R:右ストレートでピンクニーがダウン
(感想:マルケスはメキシコシティ出身(後、世界王者になった弟ラファエルも)。ギャングがのさばる治安の悪い地区で育ったが、悪の道に染まることはなかった。8歳でボクシングで始める。アマチュアからプロへ。1993年、19歳でのデビュー戦は反則負け。その後、連勝で、これまで16勝(12KO)1敗、23歳。22勝(15KO)21敗2分のピンクニー(29歳)はフロリダ州ハランデール・ビーチ出身の黒人。ニックネームは「The Nightmare(悪夢)」。1985年、デビュー。勝ったり負けたり連敗したりのキャリアだが、北米J・フェザー級王座を獲得したり、ジュニア・ジョーンズをTKOで下したり、といった実績。直前の試合は後の世界王者グディ・エスパダス・ジュニアを7RでTKO。どうやら「ここぞ」という時に気合いが入るタイプらしい。ネバダ州ステートライン「シーザース・タホ」での一戦(マルケスのセコンドにナチョ・ベリスタイン)。リカルド・ロペスそっくりなマルケス。足の使い方、パンチの出し方(ガードを上げてジャブ、ワンツーからの左フック)がほぼ同じ。左フックをボディからアゴへ連打する器用さも。ただ、端正でクリーンなボクシングではあるが、ややパワーは軽め。ピンクニーもまたジャブを基本とするタイプで、用心深くディフェンス。動きは悪くないが、右ストレート、左フックが単発でかわされてしまう。5R、見事な左フック連打でピンクニーがダウン。7Rは逆にワンツーをかわされた後に左フックを連打されてマルケスがダウン。その後もマルケスがジャブで先手を取り、コンビネーション。9R、左フックからの右ストレートでピンクニーがダウン。10R終了。判定は3-0。マルケスがテクニックで勝利。強打するシーンもあり、強弱を付けて攻撃ができるバランスの良さがあった。ピンクニーはダウンを奪ったシーンは良かったが、攻めが単発。安定的に勝ち続けられないのはそれが原因だろう。その後、ピンクニーはフレディ・ノーウッド、オスカー・ラリオスに敗れるなど多くの敗北。2006年までリング活動。通算戦績24勝(16KO)42敗3分。)
②ファン・マヌエル・マルケス 9R TKO ロドリゴ・バレンズエラ
(ライト級戦、1996年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでバレンズエラがダウン
8R:左アッパーでバレンズエラがダウン
(感想:ピンクニー戦の次の試合。バレンズエラ(25歳)は敗北が多いメキシカン(TVテロップには「9勝(4KO)12敗1分」とある)。元WBO王者ダニエル・ヒメネスには判定負け。「マルケスに勝たせるために選んだ相手」といった感じもするが、どんな試合になるか? カリフォルニア州イングルウッド「Great Western Forum」での一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。リズミカルにジャブを出すマルケス。伸びのある右ストレート、リカルド・ロペスばりの「突き上げるような左フック」。ワンツーからの左ボディにパワーがあり、左ボディ連打からの右ストレートを使いこなすバランスの良さも。バレンズエラは受け身。ディフェンスしながら意表を突くかのように左右フック連打。ややトリッキーな攻め方で、攻撃の正確さに欠ける(マルケスと対照的なスタイル)。2R、左フックからの右ストレートでバレンズエラがダウン。4R、バッティングでマルケスが少し負傷。その後も攻めるマルケス。バレンズエラはディフェンスしながら連打で粘る。8R、実に見事な左アッパーでバレンズエラがダウン。立ったが、このラウンド終了後に棄権した。マルケスが伸びのあるパンチで快勝。コンビネーションが正確で良かった。バレンズエラはしぶといタイプだったが、そこまで。その後も中堅相手に試合してキャリア終了。)
③ファン・マヌエル・マルケス 12R 判定 アガピト・サンチェス
(NABOフェザー級タイトル戦、1997年)
(感想:マルケスがタイトル初防衛。決定戦でNABOフェザー級王座を獲得したマルケスが初防衛戦。挑戦者サンチェス(27歳)はドミニカの黒人で、これまで22勝(14KO)3敗1分。連敗したこともあったが、ドミニカ王座(バンタム級、次いでJ・バンタム級)、全米J・フェザー級王座、WBCインター王座(フェザー級)獲得。マルコ・アントニオ・バレラのWBO世界J・フェザー級王座への挑戦は判定負け。再起三連勝中。「Great Western Forum」での一戦。共にリズミカルな動き。ステップを踏みながらジャブ。距離を取りながら戦うところも共通。中間距離での攻防。ワンツー、フック。サンチェスは思い切りのいい右ストレートを打つが、体格的に小柄なためかよけられてしまう。8R、激しく連打するマルケスだが、サンチェスはディフェンス。共に決定打に欠けるが、マルケスが攻めの姿勢で12R終了。判定は大差の3-0。マルケスがジャブ、ワンツーで勝利。ただ、盛り上がるシーンは少な目。サンチェスは器用だが、攻撃をかわされて不発。ディフェンスができる者同士の対戦はこの試合のように「スレ違い」になることがよくある。その後のサンチェス。フレディ・ノーウッドに判定負け、オスカー・ラリオスにTKO勝ち。2001年、決定戦でかつて獲りそこねたWBO世界J・フェザー級王座を獲得。IBF王者マニー・パッキャオと統一戦でドロー。二度目の防衛戦でTKO負け、王座陥落。)
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