2025年7月25日金曜日

「四階級制覇」ファン・マヌエル・マルケス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界四階級王者。ついに世界王者に。オルランド・サリド戦、ビクトル・ポロ戦、ジムレックス・ハカ戦ほかを紹介します。


ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)

身長170cm:オーソドックス(右構え)


ファン・マヌエル・マルケス 10R TKO マルコス・リコナ

(ライト級戦、2003年)

「四階級制覇」ファン・マヌエル・マルケス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:右アッパーでリコナがダウン

(感想:WBA世界フェザー級王者フレディ・ノーウッドに判定負けして以来、連勝のマルケス。決定戦で古豪マヌエル・メディナをTKOしてIBF世界フェザー級王者に。リコナとノンタイトル戦。これまで40勝(32KO)2敗。20勝(7KO)3敗1分のリコナもメキシカン。来日経験があり、日本選手に判定勝ち。イスラエル・バスケスに2-1で勝利してNABOスーパーバンタム級王座獲得。カリフォルニア州王座(フェザー級)も獲得できたが、オスカー・ラリオスらに敗北。三つの負けは全て判定。粘り強いタイプと思われるが、強打者マルケスのパワーに耐えることができるかどうか? コネチカット州アンカスビルでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ。マルケスのセコンドにナチョ・ベリスタイン)。完璧に「リカルド・ロペスのコピー」になったマルケス。左腕を高く上げるガード、ジャブ、ワンツーからの左フック。攻撃のバリエーションも多く、パワフル(斜め下からの左フック、左ボディ打ち、右ストレートの組み合わせ)。リコナもガード上げてジャブ。右フックからの左フックなど振りが大きめのパンチに迫力があるが、マルケスの多彩さと比べると「普通の選手」に見える。ディフェンス&コンビネーションでマルケス優勢。8R終了間際、強烈な右アッパーでリコナがダウン。9Rの終了間際には強さと伸びがある右ストレートを食ってダメージ。左目下のキズもあってリコナはこのラウンド終了後に棄権。マルケスがディフェンス&パワーで勝利。リコナはよく前に出たが、当てさせてもらえず。その後のリコナ。勝ったり負けたり。IBAフェザー級王座挑戦に判定負けした後、四連続判定負けで引退。)


ファン・マヌエル・マルケス 12R 判定 オルランド・サリド

(WBA・IBF世界フェザー級タイトル戦、2004年)

「四階級制覇」ファン・マヌエル・マルケス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マルケスがタイトル防衛。リコナ戦の次の試合でWBA王者デリック・ゲイナーと統一戦を行ったマルケス。負傷判定勝ちで王座統一と共にIBF王座の初防衛に成功。次の防衛戦の相手は何とマニー・パッキャオで、ドロー。そしてサリドと防衛戦。これまで23勝(15KO)8敗2分の挑戦者サリドはメキシコ・ソノラ出身。連続KO負けを喫したり、ローカル王座(スーパーバンタム級)を獲得したりといったキャリアだったが、レジリオ・ツールに判定勝ち。元世界王者アレハンドロ・ゴンザレスに判定負けしたが、それからは好調。連勝中の勢いでマルケスに挑戦。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(メインは「バーナード・ホプキンス vs. オスカー・デラ・ホーヤ」の世界ミドル級王座戦。リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはトニー・ウィークス。会場ではパッキャオが観戦)。ジャブで先手を取るマルケス。ワンツー、左フックからの右ストレートで相手の隙を狙う。サリドは受け身。ディフェンスの巧さがあり、フックに強さが感じられるが、自分から攻めない。マルケスは右ストレートに強さがあるがディフェンスされがちなため、相手に攻めさせてカウンターを取ろうとする。サリドの連打もディフェンスされるため、あまり盛り上がらない展開。12R、右パンチを食ったマルケスが用心深い姿勢に。12R終了。判定は3-0。マルケスがディフェンスで勝利。サリドは残念。打ち返してはいたが単発で、自分から試合の流れをつくるような動きではなかった。ところがその後、IBF、次いでWBOの世界フェザー級王座獲得。ワシル・ロマチェンコに勝利したり、WBC世界スーパーフェザー級暫定王座も獲得したりするなどフェザー級の中心選手になった。)


ファン・マヌエル・マルケス 12R 判定 ビクトル・ポロ

(WBA・IBF世界フェザー級タイトル戦、2005年)

「四階級制覇」ファン・マヌエル・マルケス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

7R:ワンツーでポロがダウン

(感想:マルケスがタイトル防衛。サリド戦の次の防衛戦(試合間隔が空いた)。これまで34勝(24KO)4敗3分の挑戦者ポロ(世界12位)はコロンビア・ボリーバル出身の黒人サウスポー。コロンビアが主戦場だが、アメリカでも試合。WBCの地域王座、IBFインターコンティネンタル王座(いずれもフェザー級)を獲得後にマヌエル・メディナのIBF世界フェザー級王座に挑戦したが、敗北。その後、地域王座を獲得したが、WBO王座戦に敗北&ドロー。「世界王座にあと一歩」といったポジション。ラスベガスでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはリチャード・スティール)。互いにジャブ。ポロはディフェンシブ。足で距離を保ちながら右ジャブ、左ストレート、フック。2Rに右フック、4Rに左カウンターを決めたが、倒しに行かない(中南米の選手によくあるパターン。良いパンチを持っているが、KOを狙う激しさに欠ける)。マルケスは得意のワンツーをディフェンスされて難しい試合に。中間距離で互いに隙を狙う展開。7R、ワンツーでポロがダウン。その後もパワーのある連打で押すマルケス。時折、連打からの右パンチをヒットさせる(9Rほか)。12R終了。判定は3-0。マルケスが手数&ディフェンスで勝利。ポロは残念。これまで「あと一歩」だったのを物語るような試合ぶり。挑戦者はもっと積極的でなければ。これが最後の試合に。)


ポロ戦後のマルケス

指名試合が行えず、王座剥奪。ややこしいことにマルケスが剥奪されたWBA王座は「スーパー王座」で、「正規王座」はインドネシアのクリス・ジョンが保持。ジョンの王座に挑戦したが、判定負け。その次の試合はWBO世界フェザー級暫定王座決定戦。これにTKO勝利して王座獲得。ジムレックス・ハカと初防衛戦。


ファン・マヌエル・マルケス 9R KO ジムレックス・ハカ

(WBO世界フェザー級暫定タイトル戦、2006年)

「四階級制覇」ファン・マヌエル・マルケス④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

9R:左フックでハカがダウン

(感想:マルケスがタイトル防衛。これまで27勝(12KO)2敗1分の挑戦者ハカはフィリピン・ドゥマゲテ出身のサウスポー(綴りは「Jimrex Jaca」。「ジャカ」ではなく「ハカ」と読むらしい)。ニックネームは「Executioner(死刑執行人)」(バーナード・ホプキンスと同じ)。2000年、デビュー。連勝でフィリピン王座(バンタム級、スーパーバンタム級)、東洋太平洋王座(スーパーバンタム級)獲得。日本で国見泰央(くにみ やすお)にKO負け、初黒星(東洋太平洋王座戦)。階級を上げ、フィリピン王座(スーパーフェザー級)獲得。しかし、またしても日本で敗北。再起戦に勝利してマルケスと戦うチャンス到来。テキサス州ヒダルゴでの一戦(リングアナはルペ・コントレラス。会場ではバーナード・ホプキンスが観戦)。「いかにもフィリピン人サウスポー」といった感じのハカ。右ジャブ連打からの左ストレート、右フック。一本調子な攻めで、ディフェンスされがち。マルケスはいつもの戦い方。ワンツー、フック、カウンターで連打しながら隙を突くパンチ。5Rにバッティングで右眉の上をカットしたマルケス。そのキズが悪化して8Rにドクターチェック。それで勝負を急ぐことにしたのか、マルケスが9Rに強打。左フックでダウンしたハカは座ったまま10カウント。マルケスがコンビネーションで勝利。共にディフェンスができる者同士だったが、攻撃のバリエーションではマルケスだった。その後、ハカは地元で地域王座戦などに出場。しかし、日本で二度のTKO負け。日本とは相性が悪かった。)


その後のマルケス

正規王者スコット・ハリソンが王座返上で正規王者に。その後は階級を上げながらビッグマッチ路線。WBC世界スーパーフェザー級王者マルコ・アントニオ・バレラに判定勝ちして二階級制覇。マニー・パッキャオに敗れ、王座陥落。ファン・ディアスを決定戦でKOしてWBA・WBO世界ライト級王座獲得(2009年)。フロイド・メイウェザー・ジュニアに判定負け。WBO世界ウエルター級王者になったパッキャオとの三度目の対戦はまたしても惜しい判定負け。WBO世界スーパーライト級暫定王座を決定戦で獲得し、正規王者に昇格。フェザー級だった選手がウェルターでも戦うとは。階級を上げるとパワー負けすることが多いが、マルケスとパッキャオは階級を上げるたびにパワーアップ。まさに怪物。

 

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