世界S・バンタム級王者。世界王者になる前のホルヘ・エリエセール・フリオ戦、IBF戦のアルテム・シモニアン戦ほかを紹介します。
イスラエル・バスケス(メキシコ)
身長164cm:オーソドックス(右構え)
①イスラエル・バスケス 10R 判定 ヘクター・ベラスケス
(フェザー級戦、2000年)
(ダウンシーン)
10R:ワンツーでベラスケスがダウン
(感想:これまで23勝(17KO)2敗のバスケス(22歳)。若手の実力者としのぎを削っている状況。27勝(22KO)6敗1分のベラスケス(24歳)もまたメキシカンで、サンチアゴ・イスクイントラ出身。身長は170cmでスリム。メキシコ王座戦(J・ライト級)、サウル・デュラン(後、世界挑戦)戦など三連敗を喫したこともあったが、マーク堀越らを相手に連勝。ケビン・ケリーに判定負け後、三連続KO勝ちでバスケス戦。カリフォルニア州インディオでの一戦。互いにジャブ、ワンツー。長いパンチが武器のベラスケスは右ストレートをヒットさせる。また、ワンツーからの左フック、斜め下からの左フックにも良さ。バスケスは冷静にディフェンスしながら左ジャブ、左フックを当てる。3R、ベラスケスの左ボディ打ちがローブローに(ロングフックを使う選手が接近戦でやりがち)。その後も右ストレートのベラスケス、ディフェンス&当てる巧さのバスケス。7R、ベラスケスがまたしてもローブローで減点。バスケスはワンツーからの左フックでお返し。10R、ワンツーでベラスケスがダウン。10R終了。判定は2-1。ダウン、減点があったにもかかわらず、ジャッジの一人は1ポイント差でベラスケスを支持。長いパンチが効果的に見えたのだろう。バスケスにはその長いパンチをディフェンスし、僅かな隙を突く巧さがあった。その後のベラスケス。IBAフェザー級王座獲得、元世界王者ラウル・ペレスをTKO、地域王座戦に何度も出場。エドウィン・バレロのWBC世界ライト級王座に挑戦してTKO負け、ビタリ・タイベルトのWBC世界スーパーフェザー級王座に挑戦して負傷判定負け。以後は負けが増えていったが、2021年の引退まで多くの試合。通算戦績56勝(38KO)32敗3分。)
その後のバスケス
連勝。決定戦で北米S・バンタム級王座獲得。防衛にも成功。しかし、オスカー・ラリオスとWBC世界スーパーバンタム級暫定王座を懸けて再戦したが、TKO負けで雪辱されてしまった。再起戦に勝利して、元世界王者ホルヘ・エリエセール・フリオと対戦。
②イスラエル・バスケス 10R TKO ホルヘ・エリエセール・フリオ
(スーパーバンタム級戦、2003年)
(感想:これまで33勝(23KO)3敗のバスケス(25歳)。44勝(32KO)4敗のフリオ(34歳)はコロンビアの黒人で。元WBA・WBO世界バンタム級王者。ジョニー・タピアにWBO王座を奪われた後、二階級制覇を狙ってマニー・パッキャオに挑戦したが惨敗。バスケスと約一年ぶりの試合。基本に忠実なボクシングをする選手だが、コンディションはどうか? テキサス州サン・アントニオでの一戦(リングアナはルペ・コントラレス)。共に相手の隙を狙うタイプ。互いにジャブ、ワンツー、左のテクニック(フック、ボディ打ち)。バスケスがフック気味の右ストレート、ワンツーからの左フック。フリオはやや受けの姿勢で右カウンター。3Rから接近戦。ディフェンスしながらフック、ボディ攻め。共に当てるテクニック。5R、バッティングでフリオが減点。その後も連打に勢いがあるバスケス。応戦するフリオは右目の腫れ。8R、ヒジ打ちでバスケスが減点。10R、バスケスが攻撃を強める。右ストレート、ボディ打ち。左フックが入ったところでレフェリーストップ。共に手数を出し合った好試合。バスケスがコンビネーションで勝利。フリオが全盛期だったらどんな結果になっていたか、という気もするが、若さでベテランを押し切った。フリオはこれが最後の試合に。)
③イスラエル・バスケス 5R TKO アルテム・シモニアン
(IBF世界S・バンタム級タイトル戦、2004年)
(ダウンシーン)
3R:連打でシモニアンがダウン
5R:右ストレートでシモニアンがダウン
(感想:バスケスがタイトル初防衛。フリオ戦後、ホセ・ルイス・バルブエナとの決定戦でIBF世界S・バンタム級王者になったバスケス。シモニアンと初防衛戦。挑戦者シモニアンはアルメニア・エレバン出身。主戦場はアメリカ。デビューから無敗。全米スーパーバンタム級王座を決定戦で獲得し、IBF王座挑戦者決定戦にも勝利して初の世界挑戦。カリフォルニア州エルカホンでの一戦(レフェリーはジェームズ・ジェンキン)。シモニアンはアップライトなボクサータイプ。ジャブを連打し、ワンツー、ボディ連打。やや細かい打ち方だが、左フックに威力。バスケスはダッキングしながら前進し、ジャブ、右ストレート。3R、シモニアンが右フック、バスケスは右ストレートをヒットさせる。連打でシモニアンがダウン。4Rにハプニング。バスケスの左グローブが破れて交換(グローブが破れるのは時折あることだが、なぜ破れるのだろう? 歯に当たったのだろうか?)。5R、踏み込んで打ち込んだバスケスの右ストレートでシモニアンがダウン。立ったが、右フックを食って前屈みになったところでレフェリーストップ。バスケスが快勝。しかし、シモニアンはディフェンスの甘い選手。アップライトスタイルは攻めるときのガードに隙ができやすく、シモニアンは攻められると弱いところがあった。その後、シモニアンは勢いが落ちたらしく、再起戦でアガピト・サンチェスにTKO負け(全米王座戦)。ラストファイトは2006年。全米フェザー級王座戦で、KO負けだった。)
その後のバスケス
IBF王座の二度目の防衛後、WBC王者オスカー・ラリオスと統一戦を行い、TKO勝ち(結局、ラリオスとは二勝一敗で勝ち越した)。IBF王座返上。ジョニー・ゴンザレスをTKOするなど二度の防衛後、WBC王座を懸けてラファエル・マルケスと激しい抗争。初戦はマルケスの勝ち。再戦と三戦目はバスケス。四度目の対戦はWBCシルバー王座(S・バンタム級)を懸けて行われ、3RでのKOでマルケス勝利。その試合でバスケスは元々悪かった目を痛め、引退。右目が義眼になってしまった。
0 件のコメント:
コメントを投稿