WBC世界S・バンタム級、フェザー級王者。防衛戦の仲里繁戦(再戦)、ウェイン・マッカラー戦(再戦)ほかを紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
オスカー・ラリオス(メキシコ)
身長169cm:オーソドックス(右構え)
①オスカー・ラリオス 10R 判定 ジョン・ローウィー
(フェザー級戦、2001年)
(感想:17歳でプロデビューしたラリオス。オスカー・デラ・ホーヤにプロモートされ、デビューから好調。しかし、後の世界王者であり、ライバルとなるイスラエル・バスケス に1R でKO負け(初黒星)。バスケス戦後、WBCの地域王座を獲得できたが、アガピト・サンチェスにTKO負け。メキシコ王座(S・バンタム級)を獲得、連続防衛。しかし、ウィリー・ホーリンのWBC世界スーパーバンタム級王座への挑戦は判定負け。大事な試合を落としてしまう残念なキャリア。これまで39勝(30KO)3敗1分。ローウィーと再起戦。27勝(18KO)2敗のローウィーは北アイルランド・ダンドナルド出身の白人。1988年、ソウル・オリンピックにバンタム級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではデビューから連勝でIBOスーパーバンタム級王座を獲得できたが、ケネディ・マッキニーにTKOで初黒星(WBUスーパーバンタム級王座戦)。エリック・モラレスにも敗れてWBC世界スーパーバンタム級王座奪取ならず、引退(1997年)。カムバック。中堅相手に二連勝でラリオス戦。ニューメキシコ州アルバカーキでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。ゴツいワンツー、フックで攻めるラリオス。ローウィーは右ストレートと左フックに正確さ。接近戦では互いにボディを打ち合うが、もみ合い、クリンチになるシーンが目立つ。試合は全般的にラリオスがジャブで先手を取る展開。左右フックも迫力。7R、ローウィーがクリンチ中のラビットパンチで減点。その後もラリオスが豪快な右ストレートからの左フック。10R終了。判定は3-0。緻密さには欠けるが、ラリオスが力強い攻めで勝利。ローウィーはディフェンスができており、良いパンチの持ち主。受け身になるシーンがもったいなかった。体力的に制限があったか。次の試合でWBC米大陸王座(S・バンタム級)に挑戦したが、判定負けで完全引退。)
②オスカー・ラリオス 12R 判定 アンヘル・チャコン
(WBA・WBCラテンアメリカ・スーパーバンタム級タイトル戦、2001年)
(感想:ラリオスがタイトル獲得。ローウィー戦の次の試合。王者チャコンはプエルトリコのベガ・アルタ出身のサウスポー。1992年、バルセロナ・オリンピックにフライ級で出場(一回戦負け)。フロリダ州マイアミを主戦場にデビューから連勝。ラテンアメリカ・スーパーバンタム級王座を獲得できたが、アントニオ・セルメニョ(WBA世界スーパーバンタム級王座戦)、クワテモク・ゴメス、エリック・モラレス(WBC世界スーパーバンタム級王座戦)に敗北。これまで27勝(15KO)3敗1分。フロリダ州キシミーでの一戦(1R、12Rのみの映像で観戦)。足でリズムを取りながら右ストレートを伸ばすラリオス。接近して左右フック連打。チャコンは残念ながら「普通のサウスポー」。攻めてくるラリオスに右ジャブ、ワンツー、フックで応戦。パワーはそこそこ。焦りからか、ローブローも使用。攻めるラリオス、抵抗するチャコン。12R終了。判定は大差の3-0。ラリオスが攻勢点で勝利。しかし、倒せず。12Rを観た感じだと「攻めても攻めても相手に粘られた」といった感じの内容。豪快なパンチの持ち主だが、キレに欠けるのがKOできなかった原因か? チャコンはパワー不足。後、ジョン・マイケル・ジョンソンを判定で下してIBAフェザー級王座を獲得できたが、その後は試合間隔が長くなると共に敗北が増えていった。)
その後のラリオス
イスラエル・バスケスとのWBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦でTKO勝ち。王座獲得と共にバスケスに雪辱。福島学をTKOして初防衛。正規王者ウィリー・ホーリンと団体内統一戦。何と1RでのTKOでホーリンを下して正規王者になると共にホーリンに雪辱。日本に縁があり、仲里繁、石井広三を相手に王座防衛。6度目の防衛戦の相手は再び仲里。
③オスカー・ラリオス 12R 判定 仲里繁
(WBC世界スーパーバンタム級タイトル戦、2004年)
(感想:ラリオスがタイトル防衛。再戦。これまで52勝(37KO)3敗1分のラリオス(27歳)。24勝(18KO)6敗でWBC4位の挑戦者、仲里(31歳)は沖縄県出身。西岡利晃にTKO負け、決定戦で東洋太平洋スーパーバンタム級王座獲得。ラリオスへの挑戦(初戦)は3-0の敗北だったが、ラリオスのアゴを骨折させた。「さいたまスーパーアリーナ」での一戦(TV解説席にファイティング原田、浜田剛史、セレス小林)。長いジャブを使うラリオス。踏み込んで豪快な右ストレート、左右フック。仲里はブロックしながら右ストレート、左フック。左フックに特に良さがあるが、ジャブが少ないため当たらない。ラリオスの大味なボクシングが優勢に見える展開。6R、連打するラリオスだが、左フックを食ってピンチ。9Rに連打された仲里だが、10Rに左フックで反撃。12R終了。判定は3-0。共に粗いところがあった試合。ラリオスがゴツゴツしたパワー&手数で勝利。仲里はジャブが少なく、得意の左フックを存分に生かせなかった。その後の仲里。再起戦はドロー。その次の試合はフランスで世界挑戦。WBA世界スーパーバンタム級王者マヤル・モンシプールに挑んだが、TKO負け。それが最後の試合に。引退後はジムを設立。)
④オスカー・ラリオス 11R TKO ウェイン・マッカラー
(WBC世界スーパーバンタム級タイトル戦、2005年)
(感想:ラリオスがタイトル防衛。9度目の防衛戦はマッカラーとのダイレクト・リマッチ。初戦は3-0でラリオスがタイトル防衛。挑戦者マッカラーは日本のファンには懐かしい男。北アイルランド・ベルファスト出身。バルセロナ五輪ではバンタム級で銀メダル。プロではデビューから連勝でビクトル・ラバナレスに判定勝ち。薬師寺保栄を判定で下してWBC世界バンタム級王座獲得。全勝のまま二階級制覇を狙ってダニエル・サラゴサのWBC世界J・フェザー級(S・バンタム級)王座に挑戦したが、判定で初黒星。ナジーム・ハメドのWBO世界フェザー級王座、エリック・モラレスのWBC世界スーパーバンタム級王座、スコット・ハリソンのWBO世界フェザー級王座に挑戦するチャンスを得たが、全て判定負け。ラリオスにも3-0で敗れたが、またしても世界挑戦のチャンス(なぜこんなにチャンスをもらえる?)。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはリチャード・スティール)。ラリオスがいつものように長いジャブ、ストレート、ロングフックで手数。右ストレートからの左ジャブといったテクニックも使用。マッカラーは普段はショートパンチ&ディフェンスの比較的地味なボクシングをするが、この試合ではラリオスに合わせて大きなパンチで積極的に手数。4R、マッカラーが左ボディダブル、右ストレートをヒットさせる。その後も一進一退の攻防。互いにディフェンスしながら隙を狙う。ラリオスはタフネス、マッカラーは手数。10R、ラリオスの斜め下からの左右フックがヒット。このラウンド終了後、ドクターストップでマッカラーが棄権。ラリオスが豪打で勝利。連打で追い込まれるシーンもあったが、パワーで挽回。マッカラーは負けたが、強かった。ラリオスが強すぎたのだろう。その後のマッカラー。次の試合で空位の北米フェザー級王座を狙ったが、TKO負けで引退。二階級制覇ならず。)
その後のラリオス
次の試合で因縁のイスラエル・バスケスにTKOされて王座陥落。マニー・パッキャオに判定負け。決定戦でホルヘ・リナレスとWBC世界フェザー級暫定王座を争ったが、敗北。再び決定戦に出場してWBC世界フェザー級暫定王座獲得、正規王者に昇格。三度目の防衛戦で粟生隆寛に敗北。それが最後の試合に。引退後はトレーナーに転身。
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