2025年7月2日水曜日

「シャープな左フック」フリオ・ディアス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界ライト級王者。世界王者になる前の試合&再起ロード。ホセ・マンハレス戦、フスト・センシオン戦ほかを紹介します。


フリオ・ディアス(メキシコ)

身長175 cm:スイッチヒッター(両構え)


フリオ・ディアス 4R 判定 ホセ・マンハレス

(ライト級戦、2000年)

「シャープな左フック」フリオ・ディアス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:メキシコのミチョアカン州ヒキルパン・デ・ファレス出身のディアス(名前が似ているライバル、ファン・ディアス(テキサス出身)とは別人)。ニックネームは「The Kid」。兄がトレーナーとしてサポート。これまで11連勝(8KO)、20歳。マンハレス(30歳)はメキシカンで、14勝(6KO)20敗4分。勝ったり連敗したりのキャリア。葛西裕一に2-0の敗北、ローカル王座戦でKO負け。ところが、ナルシソ・バレンズエラをTKOで下してNABOジュニアライト級王座獲得。しかし、そこまで。バレンズエラとの再戦に敗れ、レバンダー・ジョンソン、ウィリー・ホーリン、セサール・バサンといった選手に連敗。WBC米大陸王座、WBOインターコンティネンタル王座(いずれもジュニアライト級)挑戦失敗。ただ、経験は充分(にもかかわらず四回戦に出場)。カリフォルニア州インディオでの一戦(TV解説席にエンジェル・マンフレディ。後、ディアスと対戦)。スリムなディアス。相手から距離を取ってシャープなジャブ連打、踏み込んで右ストレート、左フック。マンハレスも右ストレート、左フック。攻めの姿勢で特に右ストレートにパワーを込める。2R、好戦的なところを見せるディアス。ワンツーからの左フック、左パンチをボディからアゴへ連打するコンビネーション。パンチは軽めだが、当てる勘がある。マンハレスは経験に基づくしぶとさはあるが、大きなフックを空振りするなど攻めが単発傾向。4R、サウスポーにチェンジするディアス(器用さは感じられたが、中途半端なスイッチだった印象)。4R終了。判定は3-0。ディアスがシャープなコンビネーションで勝利。ただ、パワーが課題。マンハレスは一発狙いが空転。次第に受け身の試合ぶりになっていった。その後もマンハレスは勝ったり負けたりだったが、多くの試合。戦うのが好きだったのだろう。)


フリオ・ディアス 9R KO フスト・センシオン

(NABAライト級王座決定戦、2001年)

「シャープな左フック」フリオ・ディアス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:左ボディでセンシオンがダウン

7R:右ボディでセンシオンがダウン

9R:左ボディでセンシオンがダウン

(感想:ディアスがタイトル獲得。マンハレス戦後も中堅選手相手に連勝(21勝(15KO))のディアスが注目の全勝対決。センシオンはドミニカの黒人で、主戦場はアメリカ。ニックネームは「センセーショナル」(凄い試合をするのだろう)。マイアミでのデビューから連勝でドミニカ王座、ニューヨーク州王座(スーパーフェザー級)獲得。16戦全勝(9KO)でディアスと決定戦。ニューヨークでの一戦。共通点が多い二人。共にスリムな体型(センシオンはドレッドヘアー)。速いジャブを連打し、長いストレート、フック。サウスポーにスイッチ。ディフェンスしながらパンチのキレで勝負。互角の勝負。互いにボディ打ち。先に参ったのはセンシオン。6R、左フックを当てるディアスにセンシオンは打ち返すが、左ボディでダウン。7Rには右ボディでダウン。挽回すべくボディを攻めるセンシオンだが、9Rに左フックからの左ボディでダウン。片ヒザをキャンバスに着いたまま10カウント。ライバル対決はボディ攻撃で決着。パワーは同じぐらいに見えたが、ディフェンスと当てるテクニックに僅かに差があったか。センシオンは中途半端にスイッチ。もっと一貫したスタイルで戦った方がよかったのでは? その後、センシオンはWBC米大陸王座戦(ライト級)で判定負けするなど世界戦をすることなくキャリアを終えた。) 


その後のディアス

エンジェル・マンフレディに2-1で初黒星。さらにファン・バレンズエラに1RでTKO負け。再起してWBCの地域王座を獲得するなど連勝。ハビエル・ハウレギを判定で下してIBF世界ライト級王者に(2004年)。防衛戦を行うことなくIBF王座を返上し、その次の試合でWBC世界ライト級王者ホセ・ルイス・カスティージョに挑戦したが、TKO負け。再起戦に勝利して、ラッセル・ストーナー・ジョーンズと再起二戦目。


フリオ・ディアス 1R KO ラッセル・ストーナー・ジョーンズ

(J・ウェルター級戦、2005年)

「シャープな左フック」フリオ・ディアス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでジョーンズがダウン

(感想:ジョーンズはガーナ・アクラ出身の黒人(期待大。アズマー・ネルソン、アイク・クォーティのような選手なのだろうか?)。アクラでデビュー。ガーナ王座(J・フェザー級)を獲得できたが、アフリカ王座(J・フェザー級)は獲れず。ガーナ王座戦にも敗北し、主戦場をアメリカに。トレーシー・ハリス・パターソン、ホエル・カサマヨールに敗北するなど苦戦。このところ三連勝でディアス戦。カリフォルニア州オーシャンサイドでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。力強いジャブのジョーンズ。ディアスはややゴツい身体になった印象だが、速いジャブ&ワンツー。左フックの器用さは変わらず。左フックを食ったジョーンズ。クリンチするが、ヒザを着いてカウントを取られる。一旦立ったが、またヒザを着いてカウントアウト。よくわからない終わり方。どうやら左フックを食って右目を痛めたらしい。クリンチで耐えようとしたが耐えきれずにヒザを着いた、ということらしい。ボクシングは真剣勝負。こういうあっけない終わり方をすることは珍しくない。ディアスが左のテクニックで勝利。目指すは世界王座返り咲きのみ。その後、ジョーンズはランドール・ベイリーにTKO負けするなど全敗でキャリア終了。記録によると2006年に引退して2023年にナイジェリアのラゴスで一試合。2RでTKO負け(何のために復帰?)。)


その後のディアス

IBF暫定王座を獲得。正規王者ヘスス・チャベスをKOし、「正規王者に昇格」という形でIBF王座返り咲き。しかし、次の試合でWBA・WBO世界ライト級王者ファン・ディアスと三団体統一戦を行い、TKO負け。復帰したが、試合間隔が長めに。


ローランド・レイジェス 5R TKO フリオ・ディアス

(J・ウェルター級戦、2009年)

「シャープな左フック」フリオ・ディアス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:連打、左フックで2度、ディアスがダウン

(感想:これまで36勝(26KO)4敗、29歳のディアス。レイジェスと再起三戦目。30勝(19KO)4敗2分のレイジェス(30歳)はカリフォルニアの選手。NABO王座(ライト級)獲得、ホセ・ルイス・カスティージョに判定負け、スティーブ・ジョンストンにTKO勝ち(IBAライト級王座戦)、といった実績。このところ連勝中だが、一年に一試合のペース。テキサス州オースティンでの一戦。ディアスが上体でリズムを取りながらジャブ、コンビネーション(ワンツー、左フックからの右ストレート、右ストレートからの左ボディ打ち)で手数。レイジェスは手数が少な目。ガードしながら右パンチを狙う構えで、1Rに右ストレートを決める。左のテクニックのディアス、一発を狙うレイジェス。5R、右パンチが効いたディアス。連打されてダウン。ラッシュされて左フックでダウン。それと同時に試合ストップ。レイジェスが狙い通りに右パンチで勝利。ディアスは相手が狙っていたのはわかっていただろうが、マトモに打たれて敗北。アウトボクシングに徹すればよかったかもしれない。勝ったレイジェスはこれが最後の試合に。元世界王者をKOして満足したのだろう。その後のディアス。リングに上がり続けてショーン・ポーターと地域王座戦を行うなどの頑張りはあったが、タイトル獲得ならず。最後の試合はWBA世界ウェルター級暫定王者キース・サーマンへの挑戦で、棄権負け。もう少しパワーがあれば、といった選手だった。)

LINK:

 ファン・ディアス

ブラッドリー・ジェンセン戦、アデイルトン・デ・ヘスス戦

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