WBC世界フェザー級王者。世界王者になる前の試合。遠藤健司戦、ボビー・チャコン戦、ラウル・クルス戦を紹介します。
ダニー・ロペス(アメリカ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)
①ダニー・ロペス 2R KO 遠藤健司
(フェザー級戦、1973年)
(ダウンシーン)
1R:ロペスがダウン、右ストレートで遠藤がダウン
2R:左ボディ(?)、ワンツー、右ストレートで3度、遠藤がダウン
(感想:ユタ州フォート・ダッチェイン出身のロペスはネイティブ・アメリカンの血を引くアイルランド系で、ニックネームは「Little Red」。兄アーニーはウェルター級でホセ・ナポレスの世界王座に挑戦経験(KO負け)。デビュー以来、連勝。後藤吉伸をKOしたことがあり、日本選手と戦うのはこれが二度目。遠藤は神奈川県出身。1970年度全日本バンタム級新人王。タイでチャチャイ・チオノイに判定負け、メキシコでロドルフォ・マルティネスにKO負け、ハワイ・ホノルルに遠征。実力者には敵わないが、海外でも試合をする度胸。ロサンゼルス「スポーツ・アリーナ」での一戦(1R途中からの古い映像で観戦)。ダウンしてカウントを取られるロペス。勢いに乗る遠藤がウィービングしながら思い切りのいい右ストレート、左右フック。打たれてピンチのロペスだが、意外な展開。右ストレートで遠藤があっけなくダウン。2R、攻める遠藤。しかし、立て続けに三度のダウン。タオルが投入されたらしく、試合終了。ロペスが逆転勝利。しかし、かなり打たれた。遠藤は打たれ弱さ。それともロペスのパンチが強く絶妙なものだったのだろうか? その後も遠藤はホノルル、韓国で試合。戦績は良くなかったが、強い選手と戦ったキャリアだった。)
②ボビー・チャコン 9R TKO ダニー・ロペス
(フェザー級戦、1974年)
(ダウンシーン)
9R:ボディ連打でロペスがダウン
(感想:遠藤戦後も連勝のロペス(牛若丸原田ら日本人選手とも対戦)。チャコンはカリフォルニア州シルマー出身。デビューから連勝だったが、あのルーベン・オリバレスに敗北。そこから連勝でロペス戦。ロサンゼルス「スポーツ・アリーナ」での一戦。テンポの良いジャブ連打&コンビネーション(ワンツーからの左フック、ワンツーからの左ジャブ)で攻めの姿勢のロペス。チャコンは一つ一つのパンチをしっかりと当てるタイプで、ジャブ、ストレート、フックにパワー。1Rからチャコンの「ガツン」といった感じのパンチがヒット。どうやらアップライトのロペスには攻めるときのガードに隙があるようで、その後も攻めるが打たれる。9R、強烈な右ストレートからの連打を食ってロペスが後退。ロープを背負う体勢となり、ボディ連打でダウン。立ったが(立たない方がよかったと思うが、根性があるロペスは自らギブアップしない男)、さらに連打を浴びてヨロけたところでレフェリーストップ。チャコンが強打を重ねて快勝。パンチにはキレもあった。ロペスはディフェンスが課題。連打しても倒せなかったようにパワーも課題だが、打たれてしまうのをまず克服しなければならない。その後のチャコン。次の試合はWBC世界フェザー級王座決定戦。これに勝利して王座獲得。初防衛に成功したが、またしてもオリバレスに敗北で王座陥落(1975年)。1982年にWBC世界J・ライト級王座を獲得して二階級制覇するまでかなり苦労した。)
③ダニー・ロペス 6R KO ラウル・クルス
(フェザー級戦、1975年)
(ダウンシーン)
6R:ワンツーでクルスがダウン
(感想:チャコン戦後のロペス。シゲ福山、オクタビオ・ゴメスに連敗。チューチョ・カスティーヨをKOして連敗脱出で、クルス戦。クルスはメキシコ・ミチョアカン出身。1965年、デビュー。ロドルフォ・マルティネスにTKO負け、ラファエル・エレラに判定勝ち、カスティーヨと一勝一敗、ライオネル・ローズにKO勝ち、クレメンテ・サンチェスにTKO負け、メキシコ王座(フェザー級)をKOで獲得。しかし、柴田国明のWBC世界フェザー級王座への挑戦は1RでKO負け。その後はベン・ビラフロアにTKOされるなど負けが多い。ロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」での一戦。開始から接近戦。ジャブ連打、ワンツーのロペスだが、右パンチをマトモに食う。クルスはダッキングしながらストレート、フックを出すが動きの機敏さに欠け、打たれてピンチ。細かい連打のロペス、フックで応戦するクルス。互いのパンチがヒットするが、手数でロペス優勢。6R、ワンツーでクルスが大の字にダウン、KO。ロペスが正確なパンチで勝利。打たれたが、この欠点だけはもうどうしようもないようだ。クルスは頑張って抵抗したが、1R早々に効いてしまったのが尾を引いた。これが最後の試合に。)
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