WBA世界フェザー級王座を18度防衛。防衛戦のホセ・ロハス戦(初戦)、トミー・ブラウン戦ほかを紹介します。
クリス・ジョン(インドネシア)
身長169cm:オーソドックス(右構え)
①クリス・ジョン 3R KO リード・シャブ
(インドネシア・フェザー級タイトル戦、2001年)
(ダウンシーン)
3R:左ボディでシャブがダウン
(感想:ジョンがタイトル防衛。「ドラゴン」と呼ばれたジョンはインドネシアが生んだ三番目の世界王者(エリー・ピカル、ニコ・トーマスに次ぐ)。アマチュアボクサーだった父の勧めでボクサーに(「散打」という格闘技の経験もあるとか)。プロではこれまで19連勝だが、全てインドネシアで試合。挑戦者シャブもインドネシア。TVテロップには「6勝(5KO)1敗」とある。インドネシア・ジャワ島のボゴールでの一戦。トレードカラーのグリーンのトランクスのジョン。スリムな体型から左ジャブ。左フックに速さと正確さがあり、特に左ボディ打ちに良さ。コンビネーション(ワンツー、左フックからの右フック)もバランスが良い打ち方。シャブはジャブ、右ストレートで応戦するが、ジョンはディフェンス。3R、左ボディでシャブがダウン。立てず、KO。ジョンが素晴らしい左ボディ打ちで勝利。力むことなくスムーズにKOした。シャブは普通の選手。ボディが効いてしまい、フィニッシュもボディ打ちだった。その後、シャブはこのインドネシア・フェザー級王座を判定で獲得。しかし、連敗が続くなどキャリア中盤以降は「かませ犬」的なポジションに。)
②クリス・ジョン 1R KO パク・デギョン
(PABAフェザー級タイトル戦、2003年)
(ダウンシーン)
1R:左フック、右フック、左ボディで3度、パクがダウン
(感想:ジョンがタイトル防衛。シャブ戦後も連勝のジョン。PABAフェザー級王座を獲得し、連続防衛。パクと五度目の防衛戦。挑戦者パクは韓国。経験が浅く、これが初の王座戦。インドネシア・ジャカルタでの一戦(TVコメンテーターはチャールズ・ブロンソンに似た男)。身長175のパク。開始から実に積極的に攻撃。ジャブ、右ストレート、左右フック。ブロッキングでディフェンスするが、攻めるときのガードに甘さ(アゴが上がっている)。ジョンが速いジャブ。そして左フックカウンターで早くもパクがダウン。立ったが、今度は右フックでダウン。最後は左ボディで倒れ、スリーノックダウンで試合終了。ジョンが楽勝。相手は勢いがあったが、隙を冷静に突いた。パクはもう一つ。ガチャガチャした攻めとガードの甘さ。次の試合を日本で行い、佐藤修に2RでKO負け。その次もKO負けで引退。)
③クリス・ジョン 4R 負傷引分 ホセ・ロハス
(WBA世界フェザー級タイトル戦、2004年)
(感想:ジョンがタイトル防衛。パク戦後、オスカー・レオンを下してWBA世界フェザー級暫定王座を獲得したジョン。正規王者デリック・ゲイナーがファン・マヌエル・マルケスに敗れ、王座陥落。マルケスが「スーパー王者」に認定されたため、ジョンが正規王者に(ややこしい。「WBA王座の大安売り」といった感じ)。日本で佐藤修に3-0で初防衛。ロハスと2度目の防衛戦。挑戦者ロハスはベネズエラ・カラカス出身の黒人サウスポー。身長は170で、ジョンとほぼ同じ。アントニオ・セルメニョのWBA世界J・フェザー級王座に挑戦したときは判定負け(1997年)。ヨベル・オルテガのWBA世界スーパーバンタム級暫定王座に挑戦してKO負け。後の世界王者セレスティーノ・カバジェロをKOするなど連勝でジョンに挑戦。インドネシアのクタイ・カルタネガラでの一戦。インドネシアの民族衣装を着た女性らに先導されて両選手入場(「大きなイベント」感がある演出)。ドレッドヘアーのロハス。ジョンはWBAベルト。ゴング。共にスリムな身体からジャブ。ワンツー、フックのジョン。ロハスは右ジャブ、接近して左ストレート、フックを使うが、KOを狙って攻めるタイプではない。3R、ジョンの右カウンター、右フックがヒット。4Rにハプニング。バッティングで両者負傷。共にドクターチェック後、引き分けとなった。ジョンが消化不良な防衛。これまで全勝だったが、勝てなかったのはこれが初めて。内容は攻めの姿勢でジョンの方が良かった印象。その後のロハス。ジョンとWBA王座を懸けて再戦し、判定負け。ユリオルキス・ガンボアとWBA世界フェザー級暫定王座決定戦を行い、TKO負け(ラストファイト)。多くのチャンスをもらえたが、世界王者にはなれず。)
④クリス・ジョン 10R TKO トミー・ブラウン
(WBA世界フェザー級タイトル戦、2005年)
(感想:ジョンがタイトル防衛。三度目の防衛戦で元王者のデリック・ゲイナーを判定で下したジョン。これまで35勝(19KO)1分。四度目は敵地で。18勝(7KO)3敗1分の挑戦者ブラウンはオーストラリア・カムデン出身の白人。身長178cmの長身。デビュー戦に判定負け。オーストラリア王座、WBCユース王座(いずれもフェザー級)などを獲得後、池仁珍のWBC世界フェザー級王座に挑戦して判定負け。再起戦でIBFアジア王座(スーパーフェザー級)を獲得して、ジョンに挑戦。オーストラリア・ペンリスでの一戦(オーストラリア国歌を歌うキレイなお姉さんはローレン・アトキンス(有名人?)。レフェリーは南アフリカのスタンリー・クリストドーロー(大ベテラン。太って髪も薄くなった))。互いにジャブ。ブラウンは右ストレートを思い切りよく打つ男。左フックも得意で左右フックボディ打ち。手数で攻めの姿勢。ジョンは安定したボクシング。ディフェンスしながらワンツーからの左ボディなどで相手の隙を狙う。攻めてもディフェンスされるブラウンは焦りからか、肩でプッシングしてレフェリーから警告(8R)。9Rには正確なパンチを食う。このラウンド終了後、棄権。ジョンが相手の僅かな隙を突くパンチで勝利。パンチはシャープで、バランスも良かった。その後の二人。ブラウンは階級を上げながら多くの試合。地域王座、WBF王座などのマイナー王座を獲得するローカルな活躍。通算戦績46勝(20KO)9敗2分。ジョンはファン・マヌエル・マルケスや日本選手らを相手に通算18度防衛。在位期間は何と10年。引退後は有名人として悠々自適だとか。)
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