2025年6月10日火曜日

「パワーのアフリカ系」ニノ・ラロッカ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

欧州ウェルター級王者。初黒星&その前後。ティム・ハリス戦(再戦)、ジール・エルビリア戦ほかを紹介します。


ニノ・ラロッカ(イタリア)

身長177cm:オーソドックス(右構え)


ニノ・ラロッカ 5R TKO ティム・ハリス

(J・ミドル級戦、1984年)

「パワーのアフリカ系」ニノ・ラロッカ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:デビューから連勝中のラロッカ。かつて判定で下したハリスと再戦。ハリスはカリフォルニアの黒人。カリフォルニア王座(ウェルター級)獲得、フレッド・ハッチングスと一勝二敗、といった実績。ラロッカとの初戦はハッチングスとの三戦目に敗れた再起戦。ルペ・アキノにも敗れ、ラロッカと再戦。イタリア・シチリア島のマルサラでの一戦。1R、トリッキーな動きを入れながらパワフルなワンツーで攻めるラロッカ。ハリスはジャブ連打、左フックで応戦したり、サウスポーにスイッチしたり。ラロッカが相手を押さえて打って減点。3R、ハリスが相手を挑発して減点(結構、厳しいレフェリー)。4R、ラロッカがモハメド・アリばりの「フットワーク&ジャブ」。5R、ラロッカが強烈な連打。ハリスがドクターチェック。映像ではよく見えなかったが眉のあたりをカットしたらしく、レフェリーストップ。ラロッカが勢いで勝利。相変わらず右パンチに伸びとパワーがあった。ハリスは押され気味のまま敗北してしまった。その後のハリス。ジュリアン・ジャクソンにTKO負け。後の世界王者、世界ランカーに出世を阻まれたキャリアとなった。)


ジール・エルビリア 6R TKO ニノ・ラロッカ

(欧州ウェルター級タイトル戦、1984年)

「パワーのアフリカ系」ニノ・ラロッカ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:エルビリアがタイトル初防衛。連勝のラロッカがハリス戦の次の試合で欧州王座挑戦。王者エルビリアはフランス・パリ出身。父も欧州王者だった「サラブレッド」。アマチュアで経験。プロでは二つの敗北後、フランス王座、次いで欧州王座(いずれもウェルター級)獲得。イタリア・シチリア島のカーポ・ドルランドでの一戦。1R、ガードをしながら足で距離を取るエルビリア。ジャブを使うアウトボクシング。ラロッカは勢い。得意の右ストレートをヒットさせる。そして大きなハプニング(両選手の人生を変えたほど)。両者、激しく激突。ラロッカが負傷、出血。そのダメージからか、ラロッカはフットワークで距離を取りながらワンツー。エルビリアは前進し、右ストレート、左フック。互いに思い切った打ち方で右ストレート。6R、激しい攻防の中、ラロッカがドクターチェック。キズによりTKOでエルビリア勝利。負けたラロッカは実に悔しそうな表情。勝ったエルビリアは大喜び。リングには不満の観客から空き缶が投げ入れられた。事実上、1Rで決まってしまった試合。ラロッカは負けたが、実力による負けではない。ただ、攻めが強引なところがあるのは事実。この試合ではそれが裏目に出た。エルビリアはアマチュア的なスタイルだが、右ストレート、左フックに力強さがあった。その後のエルビリア。次の試合はミルトン・マクローリーのWBC世界ウェルター級王座への挑戦。これにTKO負け。続くパブロ・バエズ戦もTKO負けで引退。もう少しプロ的な戦いぶりだったら世界を獲れたかもしれない。)


その後のラロッカ

再起二勝後、ドナルド・カリーのWBA・IBF世界ウェルター級王座に挑戦。パワーファイターのラロッカが意外にもカリーの圧力に押される形となり、6RでのKO負け。再起戦もTKO負けでブランク。後の世界王者ルネ・ジャコに反則負けで三連敗。そこから連勝。カークランド・レインとの決定戦に判定勝ちして欧州ウェルター級王座獲得(1989年。なかなかの乱戦だった)。アルフレド・コスタスと初防衛戦。


ニノ・ラロッカ 2R TKO アルフレド・コスタス

(欧州ウェルター級タイトル戦、1989年)

「パワーのアフリカ系」ニノ・ラロッカ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:ワンツー、ワンツー、右ストレートで3度、コスタスがダウン

(感想:ラロッカがタイトル初防衛。挑戦者コスタスはスペイン人。スペイン王座(ウェルター級)を二度獲得しているが、実力のほどは? イタリアのサン・マンゴ・ダクイーノでの一戦。互いにジャブ、ストレート。コスタスは大きなフックを振るうが、真っ直ぐ攻めるクセがある。ラロッカは昔と比べると豪快さが消え、細かい打ち方になったような印象。2R、キレイなワンツーでコスタスがダウン。粗いパンチで反撃するコスタスだが、 ワンツー、右ストレートでダウンを追加。タオル投入で試合終了。ラロッカがワンツーで勝利。全盛は過ぎたが、隙のある選手には負けない。コスタスは思い切りのいい打ち方だったが、力む分、落ち終わった後のディフェンスに隙があった。その後の二人。コスタスは再起戦に判定勝ち。スペイン王座戦でTKO負け、引退。ラロッカは次の試合で欧州王座を失い、続くルイス・ガルシア(後、世界ウェルター級王座に三度挑戦したが、全て敗北)とのWBCインター王座戦で反則負け(ラストファイト)。結局、世界王座は獲得できず。最も勢いがあった時にエルビリアに負けて人生が変わってしまった印象。カリーではなく、マクローリーに挑戦していたらチャンスはあったかも。)

 

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