2025年6月11日水曜日

「魔術師」マーロン・スターリング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界ウェルター級王者。ホセ・バレト戦、トーマス・モリナレス戦(WBA王座戦)を紹介します。


マーロン・スターリング(アメリカ)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


マーロン・スターリング 4R KO ホセ・バレト

(ウェルター級戦、1983年)

「魔術師」マーロン・スターリング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでスターリングがダウン

4R:右フックでバレトがダウン

(感想:コネチカット州ハートフォード出身の黒人スターリング。「個人競技に向いている」ということでボクサーに。アマチュアではタイトル獲得。プロではデビューから連勝。フロイド・メイウェザーに勝利したり、全米ウェルター級王座を獲得したり。ところが厄介なライバル。北米王者ドナルド・カリーと対戦し、判定負け。初黒星と共に全米王座陥落。バレト戦は再起二戦目。これまで26勝(17KO)1敗、24歳。WBCで6位にランク。WBC15位のバレト(21歳)はドミニカ出身の黒人で、ニックネームは「The Threat(脅威の男)」。デビューから16連勝(15KO)。思い切りのいい打ち方で派手なKOを生み出してきたが、相手は中堅どころばかり。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはアーサー・マーカンテ)。1R開始からクリンチ(相撲のような動きで思わず笑ってしまった)。足でリズムを取りながら相手の戦力をうかがうスターリング。バレトは狙うかのような姿勢で、ジリジリ前進。タイミングを捉えた左フックでスターリングがダウン。その後、互いに強打。長いストレート、振りが大きめのフックを振るうバレト。スターリングはおなじみ「グローブで顔を覆う」ブロッキングをしながら右ストレート、主武器である左フックを連打。3R、激しい攻防。スターリングが左フックからの右フック。4R、左フックをヒットさせたのをキッカケにスターリングが猛攻。クリンチしようとするバレトだが、連打からの右フックでダウン。立てず、KO。スターリングが凄まじい勝利。後に「ディフェンシブで面白くない」と言われてしまうようになるスターリングだが、この頃は攻撃的だった。バレトは気の毒。強いパンチを打っていたが、スターリングのパワー&ショートパンチの巧さにやられてしまった。その後のバレト。フロイド・メイウェザーらに二連続KO負け、引退。1995年にカムバックしたが、一勝一敗だった。)


その後のスターリング

バレト戦の次の試合でケビン・ハワードを判定で下して全米&北米ウェルター級王座奪取。しかし、世界王座を懸けたカリーとの再戦にまたしても判定負け。後のIBF王者サイモン・ブラウンに勝利、元世界王者ジョニー・バンフスに負傷判定負け。以後、連勝でWBA世界ウェルター級王者マーク・ブリーランドに番狂わせのKO勝ちでついに世界王者に(1987年)。尾崎富士雄に判定で初防衛。ブリーランドとの再戦はドローで二度目の防衛。トーマス・モリナレスと三度目の防衛戦を行うことに。


マーロン・スターリング 6R無効試合 トーマス・モリナレス

(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1988年)

「魔術師」マーロン・スターリング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:これまで43勝(26KO)4敗1分の王者スターリング(29歳)。WBA1位の挑戦者モリナレス(23歳)はコロンビア・カルタヘナ出身の黒人で、デビューから22連勝(19KO)。試合のほとんどはコロンビアで、アメリカでは一試合(TKO勝ち)。コロンビア王座、WBC地域王座(いずれもウェルター級)を獲得している。アトランチックシティ「コンベンション・ホール」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはジョー・コルテス)。共に足でリズムを取りながらジャブ。モリナレスはワンツーからの左フック、左ボディ打ちなど器用なタイプ。スターリングはブロックしながら左フックにパワーを込める。2R、スターリングが左フックをトリプルで連打。その後も中間距離で手数の多い、互角の打ち合い。6R終了直前、モリナレスの大きな右フックがクリーンヒットしてスターリングがぶっ倒れる。レフェリーが10カウントを数え、試合終了。豪快なKO勝利にモリナレスと陣営は大喜び。あのスターリングが完璧なKO負け、と思ったら、後に、最後の右フックは「ゴング後のパンチ」という扱いをされ、試合結果は「ノーコンテスト」。映像では「正当な攻撃」に見えたが、ルールはルール。しかし、この扱いにモリナレスは戦う意欲を失ったらしい。再起したが、二連続KO負けで引退。) 


その後のスターリング

モリナレス戦の再起戦は何と世界挑戦。ロイド・ハニガンをTKOして今度はWBC世界ウェルター級王座獲得。鄭栄吉(韓国)に判定勝ちで初防衛。二階級制覇を狙ってマイケル・ナンのIBF世界ミドル級王座に挑戦したが、イマイチな試合の末、判定負け。二度目のWBC王座防衛戦で背の高いモーリス・ブロッカーに判定負けで王座陥落、引退。スターリングは不思議な選手。かなりのパワーの持ち主だが、妙にディフェンシブで迫力の無い試合をすることがあった。強かったときとそうでなかったときにどんな違いがあったのだろう?

 

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