2025年6月12日木曜日

「外科医」フランキー・ランドール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界J・ウェルター級王者。アルデマール・モスクエラ戦、ジェリー・ペイジ戦、アントニオ・マルガリート戦を紹介します。


フランキー・ランドール(アメリカ)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


フランキー・ランドール 3R TKO アルデマール・モスクエラ

(J・ウェルター級戦、1986年)

「外科医」フランキー・ランドール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:右クロスでモスクエラがダウン

(感想:アラバマ州出身の黒人ランドールは「The Surgeon(外科医)」と呼ばれる男。端正なスタイルから実に正確でキレ味鋭いパンチを使う。アマチュアで優秀な成績。プロ入り後、フレディ・ペンドルトンに勝利するなど連勝。ところがロンドンでエドウィン・ロサリオに判定負け、初黒星。直前の試合はペンドルトンとの再戦(全米ライト級王座決定戦)で、ドロー。これまで26勝(22KO)1敗1分、25歳。14勝(6KO)1分のモスクエラ(27歳)はコロンビアの黒人。コロンビア王座(J・ウェルター級)を獲得している。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。ヘンなモヒカン刈りのモスクエラ。ややトリッキーな動きをしながらジャブ、ストレート、振りが大きめのフック。ランドールは軽やかなステップでジャブ、ワンツー、左フック。2R、サウスポーにチェンジするモスクエラだが、攻めるときのガードに甘さ。3R、見事な右クロスでモスクエラがダウン。立ったモスクエラにランドールがコンビネーション(ワンツーからの左フック、右アッパー)。再び右クロスが入ってモスクエラの動きが止まったところでレフェリーストップ。モスクエラはストップ後に倒れた。ランドールが相手の隙を突くパンチで快勝。モスクエラは思い切りのいいフックは悪くはなかったが、「外科医の鋭さ」にしてやられた。その後、モスクエラは二連敗で引退。)


フランキー・ランドール 10R 判定 ジェリー・ペイジ

(J・ウェルター級戦、1989年)

「外科医」フランキー・ランドール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:モスクエラ戦後、北米ライト級王座決定戦でプリモ・ラモスに衝撃のKO負けを喫したランドール。復帰後、中堅相手に連勝。ペイジはオハイオ州コロンバス出身の黒人。アマチュアで実績。1984年、ロサンゼルス・オリンピックではライト級金メダル。プロではデビューから連勝だったが、テレンス・アリに敗北。直前の試合は中堅相手に2-1の敗北。ミシガン州オーバーンヒルズでの一戦(会場では元WBA世界ライト級王者ヒルマー・ケンティが観戦)。互いにジャブ。ランドールがワンツーからの左フック、ボディ連打。ペイジは右ストレートからの左ボディ。動きとパンチのスピードはランドール。ペイジは残念。金メダリストとは思えないほど鋭さに欠ける。ただ、タフネスと意外なパワーがあるようで、特に左ボディ打ちに威力があるように見える。互いにパンチが効いているのか、ややクリンチが目立つ展開。7R、ペイジがフットワークで少し休憩。9R、左フックでペイジのマウスピースが落下。10Rにも左フックで落下させ、口のキズをドクターチェック。10R終了。両手を上げて勝利をアピールするペイジだが、判定は3-0でランドール。映像ではスピード(特にワンツー)でランドールが大差で勝ったように見えたが、ジャッジの一人は僅差。ペイジのボディ打ちを評価したのだろう。ペイジは判定に不満の表情だったが、動きの機敏さ、相手を追い掛ける足に欠けていた。その後、ペイジは再起戦に勝利したが、ロドニー・ムーア(後、世界挑戦)に3-0で敗北、引退。)


その後のランドール

ペイジ戦後、ブランク。カムバックして連勝。デビュー(1983年)から時間がかなり経ってようやく初の世界挑戦。王者はフリオ・セサール・チャベス。無敗のチャベスから右ストレートでダウンを奪ってWBC世界J・ウェルター級王座獲得。しかし、リターンマッチであっけなく王座陥落。その再起戦でファン・マルチン・コッジからWBA世界J・ウェルター級王座奪取。防衛に成功後、コッジに敗れて王座陥落。そしてまたコッジからWBA王座奪取。カリ・ライルーに敗れて初防衛ならず。それが最後の世界戦に。ブランク。中堅相手に二連勝後、オバ・カー、ミケーレ・ピッチリーロ(WBUウェルター級王座戦)に二連敗。それから約一年後、アントニオ・マルガリートと対戦。


アントニオ・マルガリート 5R TKO フランキー・ランドール

(ウェルター級戦、1999年)

「外科医」フランキー・ランドール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:これまで55勝(42KO)7敗1分のランドール。年齢は38。もうリングに上がる年ではないと思うが・・・。マルガリートはカリフォルニア州トーランス出身。23勝(15KO)3敗で、22歳の若さ。「連勝男」バック・スミス、ケニアのデビッド・カマウ(NABOウェルター級王座戦)に勝利するなどこのところ連勝中。テネシー州メンフィスでの一戦。共に口ヒゲ。動きがいい両者。ランドールはおなじみジャブ連打、ワンツーからの左フック、左ボディ連打。マルガリートはダッキング、ヘッドスリップしながら前進し、右ストレートからの左ボディ連打、左右フック。コンビネーションを基本とし、打ち方も良い。接近戦。互いにディフェンスしながら手数。マルガリートは右ストレート、左フックを食うシーンもあるが、構わず打ち合う。4R終了後、ランドールが棄権。映像ではなぜ棄権したのかがわからず、唐突な試合終了だった。ランドールは全盛を過ぎたのだろう。その後の二人。マルガリートはWBO、次いでIBF、WBAの世界ウェルター級王者に。ただ、シェーン・モズリー、マニー・パッキャオには敗北。ランドールはさらに多くの試合。ただ、敗北が多く、チャベスとの三度目の対戦にも敗北。ラストファイトは2005年7月で、TKO負け。2020年、59歳で死去。長く戦い続けた後遺症が原因らしい。)

 

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