WBA世界ライト級王者。世界王座陥落後のジョン・モンテス戦、ロベルト・エリゾンド戦を紹介します。
ヒルマー・ケンティ(アメリカ)
身長179cm:オーソドックス(右構え)
①ヒルマー・ケンティ 10R 判定 ジョン・モンテス
(ライト級戦、1982年)
(感想:テキサス州オースティン出身の黒人ケンティは長身。デトロイトの「クロンクジム」所属。アマチュアで優秀な選手だったが、オリンピックには出場ならず。プロ入り後は連戦連勝でエルネスト・エスパーニャからWBA世界ライト級王座奪取。三度の防衛(呉英鎬、エルネスト・エスパーニャ、ビロマー・フェルナンデス)に成功したが、ショーン・オグラディに判定負け(初黒星)で王座陥落。これで自信を失ったのだろうか? 一年以上間が空いて復帰戦(KO勝ち)。モンテスと再起二戦目。年齢は27。モンテスは(21歳)はカリフォルニア州ウィッティア出身。中堅相手にこれまで22連勝(17KO)。WBA世界ライト級8位に入っている。ニューメキシコ州アルバカーキでの一戦。左のガードを下げた構えから左ジャブを飛ばすケンティ。そして右ストレート、左フック。上半身のパワーを生かす打ち方(クロンクらしい)。モンテスもまたテクニックで勝負。ジャブ、右ストレート、左フック、左ボディ打ち。特に左フックをダブルで打ち込むなど左のテクニックに自信を持っているような打ち方。正確なパンチでケンティがやや優勢。ただ、真っ直ぐ攻めるクセがあり、時折左フックを食う。終盤は接近戦でのもみ合い。疲れたか、ケンティが打たれるシーンも。10R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は僅差の3-0。勝って大喜びのケンティ。ガードの隙があり、終盤は疲れ。ラウンドカットされた映像で観戦したため判定については何とも言えない部分もあるが、あまり良い勝ち方ではなかった印象。モンテスはやや線が細い。上位陣にはパワーで苦労するのではないか? その後のモンテス。再起戦でヘクター・カマチョに1RでKO負け。そこから連勝したが、コーネリアス・ボサ・エドワーズ、パーネル・ウィテカー(後に大物に)に判定で二連敗。しかし、底力。連勝後、WBC米大陸王座奪取(J・ウェルター級)。フレディ・ペンドルトンにKO勝ち。サミー・フエンテスにKO負け。ブランク後、カムバック。ラストファイトはIBFインターコンティネンタル王座戦(J・ミドル級)で、判定負け。相手は後の世界王者ポール・ベイデンだった。)
②ロベルト・エリゾンド 3R TKO ヒルマー・ケンティ
(J・ウェルター級戦、1982年)
(感想:モンテス戦の次の試合。これまで23勝(19KO)3敗のエリゾンド(26歳)はテキサス州コーパス・クリスティ出身(眉毛が濃い男で、つながっているのが特徴)。アレクシス・アルゲリョのWBC世界ライト級王座に挑戦してKO負け。その再起戦でコーネリアス・ボサ・エドワーズに判定負け。TKO勝利で連敗を脱出してケンティ戦。ニュージャージー州マカフィーでの一戦(レフェリーはトニー・ペレス)。シャープなパンチを打ち込むケンティ。まるでトーマス・ハーンズのように左ジャブ、ワンツー、左フックからの右ストレート。しかし、打たれる。エリゾンドがダッキングしながらジャブで前進し、フック攻撃。2R、左ジャブ、左フックを食うケンティ。このラウンド終了後、棄権。エリゾンドが攻めの姿勢で勝利。ケンティは打たれるクセ。勢いがあるときはカバーできるが、そうでないときは打たれて弱気に。ボクサーにはそれぞれ特徴やクセがあり、一度身に付いたものは直せないことが多い。その後の二人。エリゾンドは連勝して再び世界挑戦。エドウィン・ロサリオのWBC世界ライト級王座に挑戦して何と1RでKO負け。さらにフランキー・ウォーレン、ビニー・パジェンザにTKO負け。中堅相手には強かったが、大きな試合を落とすキャリアだった。ケンティはリングに上がり続けて若手時代のフレディ・ペンデルトン(後のIBF世界ライト級王者)を下すなど連勝だったが、世界挑戦は無し。良い選手ほど初黒星のダメージ・ショックが大きいということか。)
0 件のコメント:
コメントを投稿