IBF世界J・ウェルター級王者。トニー・マーティン戦、ファン・ラポルテ戦、アルフォンソ・サンチェス戦を紹介します。
チャールズ・マレー(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①チャールズ・マレー 10R 判定 トニー・マーティン
(ウェルター級戦、1993年)
(感想:1991年にテレンス・アリに敗れて以来、連勝中のマレー。これまで27勝(18KO)1敗。27勝(8KO)3敗1分のマーティンはミズーリ州セントルイス出身の黒人。サミー・フエンテスにTKO負けしたが、リビングストン・ブランブル、ミッキー・ウォードに判定勝ちするなどこのところ連勝中(マレーはフエンテス、ブランブル、ウォードに判定勝ちしている)。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはルディ・バトル)。共にジャブ、連打。マーティンは左ボディからの右フック、左フックからの右ストレートなど。マレーは左フック連打からの右ストレート。しかしながら、ディフェンスでマレー。マーティンの大きなフック、コンビネーションは迫力があるが、微妙に阻止される。マレーがシャープなワンツー、左ボディ打ち、コンビネーション。相変わらず右を当てるのが巧い。10R終了。判定は3-0。マレーがディフェンス&コンビネーションで勝利。マーティンは積極的に手数を出したが、空転。しかし、連打に確かな強さがあった。その証拠にその後、全米王座、次いで北米王座(いずれもウェルター級)獲得。フリオ・セサール・チャベスに判定負けで引退。リタイア後は不動産で成功したようだが、家賃の支払いを借り主に求めたところ撃たれて死去(2013年、52歳)。)
②チャールズ・マレー 12R 判定 ファン・ラポルテ
(IBF世界J・ウェルター級タイトル戦、1993年)
(感想:マレーがタイトル防衛。マーティン戦の次の試合でロドニー・ムーアとIBF世界J・ウェルター級王座決定戦を行ったマレー。判定で新王者に。ラポルテと初防衛戦。挑戦者ラポルテはプエルトリカンで、元WBC世界フェザー級王者。「歴戦の勇士」といったキャリアでボクシング史に残る選手たち(サルバドル・サンチェス、フリオ・セサール・チャベスほか)と数多く試合をしてきたが、大きな試合を落とすことが多かった。タフでパワーがあるが、試合運びに難があるのが原因。コンスタンチン・チューに判定負け後、二連勝でマレーに挑戦。アトランチックシティ「Showboat Hotel & Casino」での一戦(リングアナはエド・デリアン、レフェリーはトニー・オーランド)。スキンヘッドのラポルテ。マレーより背は低いが、その分、ガッチリした身体。狙うような姿勢で一発ずつ強くジャブ、ストレート、フック。マレーは軽快な動きからジャブ連打、回転の速い連打。パワフルなラポルテに対し、マレーは接近戦を選択。ボディ連打、右アッパーなど多くの手数。ラポルテはこれまでの試合のように相手を見てしまって後手に回るクセ。先手を取られ、単発な攻撃。流れるような攻めができない欠点(これが大きな試合を落としてきた原因。パワーは誰にも負けないぐらいあるが)。4R、激しい攻防。パワーではラポルテが上か? 5R、マレーがサウスポーにチェンジして右ジャブ連打。10Rには右ボディからの右アッパー。互いにボディ連打。12R、ポイントで優勢のマレーは無理をせずアウトボクシング。12R終了。判定は大差の3-0。マレーが連打で勝利。アウトボクシングに徹すればもっと楽に勝てただろうが、接近戦。「王者らしい戦い」をしたかったのだろう。ラポルテは狙いすぎ。スムーズにコンビネーションできないのが惜しい。しかし、その後もラポルテにチャンスが。ちょうど一年後にザック・パディーリャのWBO世界J・ウェルター級王座に挑戦。残念ながらTKO負け。1998年、1999年に一試合だけカムバック。テディ・リード、元世界王者ビル・コステロにそれぞれ2-1の敗北だった。)
その後のマレー
格下コートニー・フーバーを軽くTKOして二度目の防衛に成功。しかし、三度目の防衛戦で「クセ者」ジェイク・ロドリゲスに判定負け、王座陥落。実力者レイ・オリベイラに判定負け。北米J・ウェルター級王座を獲得。元世界王者トニー・ロペス、ジェイク・ロドリゲス(再戦)、元世界王者リビングストン・ブランブル(再戦)らを相手に防衛。しかし、またしてもオリベイラに敗北、王座陥落。アルフォンソ・サンチェスと再起二戦目。
③アルフォンソ・サンチェス 3R TKO チャールズ・マレー
(ウェルター級戦、1997年)
(ダウンシーン)
2R:左フックで2度、マレーがダウン
(感想:これまで40勝(23KO)4敗のマレー。すっかりベテランに。サンチェスはメキシカンで、16勝(15KO)1敗。実力者ヘクター・ロペス、マウロ・グチェレスに勝利。メキシコ王座(J・ウェルター級)も獲得しているが、直前の試合はミッキー・ウォードにKO負け。アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン)。マレーがジャブ連打。サンチェスはフリオ・セサール・チャベスのようなタイプ。ダッキングしながら前進し、ジャブ、右ストレート、左フックを正確に当てようとする。特に左パンチに自信があるらしく、大きく振っていったり、メキシカン特有の左ボディ打ちを披露したり。2R、左ショートフックでマレーがダウン。立ったが、ラウンド終了間際にも斜め下からの左フックを食ってダウン。3R、攻めるサンチェス。右ストレート、ボディ連打。左フックをキッカケにコーナーにマレーを追い込んで激しく連打したところでレフェリーストップ。サンチェスが積極さで快勝。ガードもしっかりしていた。マレーはいつものパターンで戦っていたように見えたが、スピードが落ちていたか。スピードで勝ってきた選手はキレが無くなると命取りとなる。その後の二人。サンチェスはヴィンス・フィリップスのIBF世界J・ウェルター級王座に挑戦して何と1RでKO負け。ブランク後、カムバックしたが、最後は連敗で引退(ラストファイトの相手はティモシー・ブラッドリー・ジュニアで、1RでKO負け)。マレーは敗北もあって世界戦は無し。結局、ジェイク・ロドリゲス相手に防衛に失敗した試合が最後の世界戦に。スピードはあったが、「相手を圧倒するようなパワー」に欠けていたのが原因か? 引退後は若い選手の指導をしているという。)
0 件のコメント:
コメントを投稿