全米・北米王者。ジェリー・ペイジ戦、フィリッパ・マーティン戦、ジョン・ミーキンス戦を紹介します。
テレンス・アリ(ガイアナ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)
①テレンス・アリ 10R 判定 ジェリー・ペイジ
(J・ウェルター級戦、1988年)
(ダウンシーン)
3R:左フックでペイジがダウン
(感想:ホセ・ルイス・ラミレスに敗れて以来、実力者に連勝のアリ。これまで36勝(14KO)5敗2分。ペイジはオハイオ州コロンバス出身の黒人。アマチュアで実績。1984年、ロサンゼルス・オリンピックでライト級金メダル。プロではこれまで8連勝(4KO)。セコンドにはあのアンジェロ・ダンディ(モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナードの参謀として活躍)が付く。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはスティーブ・スモーガー。会場ではマイク・タイソンが観戦)。1R開始から突進するアリ。ペイジはホールドで対抗。その後も勢い(ハンドスピード)で攻めるアリ。ペイジはヘビー級のピンクロン・トーマスのようなタイプ。動きのスピードはそこそこだが、強いジャブ、ワンツーを正確に当てようとする。隙を突く巧さもあり、時折パワフルに連打。しかし、右目の腫れ。9Rに右ストレートでアリのマウスピースを吹っ飛ばしたが、最終10Rに左フックを食ってフラフラに。10R終了。判定は大差の3-0。アリが積極さ&手数で勝利。ペイジはゴツいパンチの持ち主で強さは確かにあったが、動きの鋭さに欠けた。その後、ペイジはフランキー・ランドール、ロドニー・ムーアらに敗北、引退。思ったほど活躍できず。)
②テレンス・アリ 6R 反則 フィリッパ・マーティン
(ウェルター級戦、1989年)
(ダウンシーン)
6R:左アッパー、右フックで2度、マーティンがダウン
(感想:ペイジ戦の次の試合でロドルフォ・アギラル(パナマ人。フリオ・セサール・チャベスのWBA世界ライト級王座に挑戦してTKO負け)に2-1で敗れたアリ。再起三連勝でマーティン戦。マーティンはミシガン州の黒人サウスポー。デビューから7連勝中で、経験はまだ浅い(浅すぎる?)。ミシガン州オーバーンヒルズでの一戦。クロンクジムの金色トランクスのマーティン(セコンドにエマヌエル・スチャワード)。アリは星条旗デザインのトランクス。1R開始、相手に突進するアリ。ジャブ、ストレート、フックで精力的な攻め。マーティンは右ジャブ、左ストレート、フックで何とか応戦するが、押されっぱなし。接近戦。アリが闇雲なフック連打、左右フックボディ打ち。マーティンは距離を取ろうとするが、攻められて苦戦。6R、鋭い左アッパーでマーティンがダウン。立ったが、右フックで攻められて自らヒザを着くような形でダウン。それが気に食わなかったか、アリが左パンチでマーティンを小突く。エキサイトしたマーティンはレフェリーごしにアリを攻撃(パンチはアリではなくレフェリーに軽くヒット)。反則となり、アリが勝利。消化不良な結果だったが、アリが終始優勢だった試合。マーティンは残念。キャリア不足というよりパワー不足。仮にこの試合に勝ったとしても人気は出ないのではないか、というぐらい。「クロンク」と言えばトーマス・ハーンズを思い出すが、パンチのないクロンクもいる。その後のマーティン。ミシガン州王座(J・ウェルター級)を獲得できたが、中堅どころのマイク・イフゲンに敗れて引退。ちなみにイフゲンはその次の試合でIBO王座(J・ウェルター級)を獲得したが、IBF世界ライト級王者ラファエル・ルエラスに惨敗。)
③テレンス・アリ 12R 判定 ジョン・ミーキンス
(北米J・ウェルター級タイトル戦、1991年)
(感想:アリがタイトル獲得。マーティン戦後、ロジャー・メイウェザーに判定負けしたアリ。カムバック戦で北米王座に挑戦。これまで44勝(18KO)7敗2分。王者ミーキンスはニューヨーク出身のスリムな黒人で、23勝(17KO)2敗2分。アマチュアでニューヨーク王者になったが、プロではハロルド・ブレージャー(北米J・ウェルター級王座戦)、メルドリック・テーラー(IBF世界J・ウェルター級王座戦)に敗北。北米J・ウェルター級王座を獲得し、アリと初防衛戦。アトランチックシティ「Trump Castle」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはスティーブ・スモーガー。TV解説席にメルドリック・テーラー)。1R開始から突進するアリ。実に活きのいい攻め。ミーキンスは冷静にクリンチ、ブロックし、左のガードを下げた構えからジャブ。互いに警戒しながらジャブの打ち合い。アリが連打。しかし、ミーキンスは大人しい。まるで「エンジンがかからない」といった雰囲気で、後手に。手数、意表を突くパンチでアリ優勢。ミーキンスの連打に連打で対抗。攻撃が続かないミーキンスだが、終盤に攻め。12Rに良いフックを決めるが、時すでに遅し。12R終了。判定は3-0(三者とも「117-111」)。アリが勢いで勝利。ただ、12Rにいいパンチを食った。ミーキンスはどうしたことか? 最後の攻めを最初からやっていれば勝てた。ピークを過ぎたのかもしれない。これが事実上のラストファイトに。後、カムバックしたが、結果を出せず。)
その後のアリ
チャールズ・マレー(後、IBF世界J・ウェルター級王座獲得)、プリモ・ラモスに勝利。そして「WBA・WBC・IBF1位」として三度目の世界挑戦。しかし、相手が悪かった。WBC世界J・ウェルター級王者フリオ・セサール・チャベスに6RでTKO負け(1993年)。これで気が抜けてしまったらしい。1997年までリングに上がったが、何とチャベス戦後は一勝もできず。素晴らしい選手であったが、世界王者になれず。最初の世界挑戦でハリー・アローヨに逆転負けしたのが痛かった。
0 件のコメント:
コメントを投稿